公開空地(2011年1月4日撮影)
「芝青松の杜」(2011年1月4日撮影)
「芝青松の杜」掲示板(2011年1月4日撮影)
十二支のオブジェ、展望台、祠(2011年1月4日撮影)
智正庵(2011年1月4日撮影)
清岸院の前から、MORIタワーのほうに(つまり東に)歩いて行こう。しばらく、いかにも現代の公開空地でございという植え込みが続く。公開空地には、日本在来の草木をいかにも自然な感じで植栽することがはやりで、たぶんどこも造園家が腕をふるっているのだろうが、なんというかどこも同じようにみえてくるのがご愛嬌である。といっても、イギリス庭園を再現したりすればコストがかかるからな…と思っていると、全然違う風景がみえてくる。本当に自然の「杜」が目の前に存在しているのだ。もちろん、下草をかったり、遊歩道をつけたりしているが、公開空地特有の「自然的植栽」でもなく、東京でありがちな大名屋敷庭園の遺跡でもない、「庭」ではない「杜」の名残がそこにあるのだ。
愛宕グリーンヒルズ開発直前の景況を示しているゼンリンの『住宅地図』(1993年度版)には、この地には何も建設されておらず、広葉樹林や荒地となっていた。結果的にどの程度改変されたかはわからない。森ビルならば、一度木を移植して再度植えなおすということも考えられる。しかし、景観的には自然林の名残のようにみえる。
この場所は、「芝青松の杜」の一部とされており、青松寺境内として管理されることになっている。掲示板をみると、この場所は「芝青松の杜」のほんの一部だ。「芝青松の杜」は、夜は立ち入り禁止となっている。といっても、正直かなり気味が悪く、夜に来たいとは思わないだろう。
さらに、気味が悪いものがここにはある。十二支の動物の金属でできたオブジェが点在している。オブジェ自体は確かにかわいいともいえるのだが、なぜ、ここにあるのか不明で、その不条理感が、この場所の不気味さを増幅させている。
この場所には、展望台があり、青松寺が見下ろせる。しかし、木もあり、何よりも愛宕グリーンヒルズの超高層建築物のため、展望がきかない。展望するなら、MORIタワーを選ぶだろう。
この展望台のとなりに、小さな祠がある。後述するように、愛宕グリーンヒルズ内にはほかにも祠があるのだが、ここの祠は、自然の中に打ち捨てられた観があり、これも不気味さのもととなっている。
もちろん、まったくこの土地は打ち捨てられているわけではない。「智正庵」という日本家屋が立っている。しかし、これは、どどういう目的で建設されたのか、まったくわからなかった。清水昭夫の文章にふされた設計図でようやくわかった。本来、ここは「集会所」だったのだ。しかし、今でもその目的で使われているのだろうか。愛宕グリーンヒルズの住民は、ここで集会するのだろうか。
一見、機能的なオフィス地域の背後には、かなりカオスな不気味な空間が広がっていたのである。
*青松寺のホームページによると「智正庵」は同寺の施設となっている。
Read Full Post »