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Archive for 2012年12月

さて、最近、各新聞が、市民団体の調査により、取手市の小学一年生、中学一年生の間で心臓検診で「要精密検査」が必要とされた数が急増していることが報じられた。ここでは、東京新聞のネット配信記事をあげておこう。

73人が「要精密検査」 取手市内24校心臓検診

2012年12月26日

 取手市の市民団体は二十五日、市立小中学校二十四校の二〇一二年度の心臓検診で、一次検査で「要精密検査」と診断された児童・生徒の数が一一年度に比べて急増していることを公表した。
 心臓検診は取手市教委が毎年五月中に小学一年生、中学一年生に実施している。公表したのは「生活クラブ生協取手支部」(根岸裕美子代表)、「放射NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表)、「とりで生活者ネットワーク」(黒沢仁美代表)の三団体で、市教委などの資料を基に調べた。
 それによると、一二年度に一次検診を受けた小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された。一一年度の二十八人から二・六倍になり、中学生だけで見ると、十七人から五十五人と三倍強に増えていた。
 また、心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も一〇年度の九人から一一年度二十一人、一二年度二十四人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、一〇年度の一人、一一年度の二人から八人へと急増していた。
 市民団体は「心臓に異常が認められるケースが急増しているのは事実。各団体と相談して年明けにも関係各機関に対応策を求めていきたい」としている。
 藤井信吾市長の話 データを確認したうえで対応策を考えたい。
  (坂入基之)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20121226/CK2012122602000145.html

これだけ読むと、何が問題なのか、よくわからない。朝日新聞などの報道も大体同じである。もちろん、児童・生徒において心臓疾患の恐れがある数が急増していること自体、もちろん問題ではあるのだが。

ここでは、端的に言わなくてはならない。1986年のチェルノブイリ事故以後、チェルノブイリ周辺の人びとの間で心臓疾患が急増している。日本でも、その可能性が懸念されている。その証左ではないかということで、取手市の児童・生徒における心臓疾患急増の可能性が恐れられているのである。

放射性物質によって心臓疾患が引き起こされる可能性を指摘しているのが、ベラルーシの元ゴメリ医科大学学長バンダジェフスキー氏である。バンダジェフスキー氏は、ボランティアグループ「放射能防御プロジェクト」(木下黄太代表)の招きで来日し、東京や札幌、仙台など全国5カ所で開催された計9回にのぼる一般向け講演会を行い、2012年3月19日には、衆議院第一議員会館内でマスコミ向け記者会見および国会議院や政府関係者、マスコミを対象とした院内講演会が開催された。その時の記者会見内容を、週刊東洋経済のオンライン配信サイト「東洋経済オンライン」が「セシウムによる健康被害を解明したベラルーシの科学者が会見、心臓や甲状腺への蓄積を深刻視」(2012年3月22日配信)というタイトルで伝えている。その内容を一部みておこう。

この記者会見で、バンダジェフスキー氏は次のように語った。

環境に高いレベルで放射線があるところで暮らしていると突然死の可能性がある。ゴメリ医科大の学生でもそういう例があった。放射性セシウムは特に心臓に激しい攻撃を加える。心筋細胞にセシウム137が取り込まれると、エネルギーの産生(合成)ができなくなり、突然死につながる。
 
 実際に解剖して測定すると、セシウム137の蓄積が確認できる。セシウム137は20~30ベクレル/キログラムという低レベルの蓄積でも心拍異常が起きている。それが突然死の原因になりうる。福島第一原発事故の被災地では、子どものみならず大人も対象に被曝量に関する調査が必要だ。
http://toyokeizai.net/articles/-/8864?page=2

つまり、セシウム137が心臓の心筋細胞に取り込まれることによって、心臓疾患が発生し、突然死の原因になりうると主張しているのである。

バンダジェフスキー氏は、日本政府が情報を公開せず、各放射性物質の調査もしないことをこの記者会見で批判した。さらに、がれき処理については、放射性物質を含んでいるので全国にばらまくべきではないとし、「このような沈黙を強いるやり方が旧共産党政権下で行われているならばわかるが、21世紀の今日、民主主義国である日本で行われているとは信じがたい。」と指摘している。

そして、食品における暫定基準について、このように主張している。

–4月から日本では食品に含まれる放射性物質について新しい基準値が設定される。これをどう評価しているか。

食品中に放射性物質が含まれていること自体が非常に危険だ。新基準で食品に含まれるのを許容するベクレル数を引き下げたことは肯定的な動きだが、ベラルーシでは1999年から用いられている基準のおかげで国民は放射性物質を摂取し続けている。
 
 食品を通じて体内に取り込んだ放射性物質は体のさまざまなシステムに影響を与える。このことは(放射線の照射である)外部被曝と比べても数段危険だ。

–仮に内部被曝をきちんと管理できた場合、土壌汚染地域で安全に生活できる閾(しきい)値はどれくらいか。具体的には(年間の積算放射線量が数ミリシーベルトに達する)福島市や郡山市、二本松市で生活することに問題はないか。

牛乳を例に取ってみると、クリーンな牛乳は50ベクレル/キログラム以下とされている。しかし、それ以下であれば安全という基準はない。基準以上であれ以下であれ、両方とも危険だ。基準とはあくまで運用上のものにすぎない。
 
 長い間汚染された地域に住む人が放射性核種を体内に取り込むとさらに危険が増す。最も危険なのは食品を通じて臓器に放射性物質が取り込まれることだ。

病気が誘引される放射性物質の濃度や放射線量ははっきりしない。ただ、子どもの場合、体重1キログラム当たり10~30ベクレルのセシウム137を取り込んだ子どものうち約6割の子どもで心電図に異常が出ている。

さらに蓄積量が多くなると、心臓の動きの悪い子どもの数がどんどん増加していることがわかった。ベラルーシの汚染地域ではそういう子どもがたくさんいる。だから子どもの死亡が多い。

チェルノブイリ原発から30キロメートルにあるウクライナのイワンコフ地区では人口1000人当たり30人が1年間に死亡している。キエフ州全体では18人だが、これも多いほうだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/8864?page=3

つまり、特に食品による内部被ばくによって、セシウム137が子どもの心臓にとりこまれ、心臓疾患が多発しており、子どもの死亡が多くなっているというのである。

このような、放射性物質による内部被ばくによって引き越される心臓疾患増加の兆しとして、取手市の児童・生徒の心臓疾患が懸念されているのだ。つまり、放射性物質によって引き起こされる健康傷害は、がんや白血病、遺伝傷害だけではない。心臓疾患もありうるのではないかと考えられるのである。

もちろん、この記事でも「福島第一原発事故をきっかけに始まった福島県による「県民健康管理調査」–。同調査の進め方を議論する「県民健康管理調査検討委員会」が配布した資料には次のような記述がある。「チェルノブイリ原発事故で唯一明らかにされたのは、放射性ヨウ素の内部被曝による小児の甲状腺がんの増加のみであり、その他の疾病の増加については認められていません」(昨年7月24日に開催された第3回検討委員会配布資料)。」と冒頭で報じているように、チェルノブイリ事故において甲状腺がん以外の疾患が放射能で発生したことは、日本においては公式では認められていない。それゆえ、新聞も追随して、なぜ取手市における心臓疾患問題が注目されるのか、その理由を全く報道していない。しかし、取手市における児童・生徒の間の心臓疾患は、福島第一原発事故が、チェルノブイリ事故に匹敵するほどの健康障害を引き起こす兆しとして、懸念されているのである。つまり、すでに首都圏でも、ある意味では、チェルノブイリと同等の危機に直面しているといえよう。

追記:未見だが『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響–チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』(著者はユーリ・バンダジェフスキー)が参考になると思う。

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さて、12月20日に双葉町議会で全会一致で不信任決議された井戸川克隆双葉町長であるが、結局、26日に町議会の解散を行った。それを伝える12月27日の河北新報のネット配信記事を下記に掲載する。

不信任の双葉町長、議会解散 「町政、中断させぬ」

町議会を解散し、埼玉県加須市の仮役場で記者会見する井戸川双葉町長
 福島第1原発事故の対応をめぐり、20日に町議会から全会一致で不信任を決議された福島県双葉町の井戸川克隆町長(66)が26日、地方自治法に基づき、議会(定数8)を解散した。40日以内に町議選が行われる。
 井戸川町長は避難している埼玉県加須市の仮役場で記者会見。辞職せずに議会を解散した理由について「自治体の長として誠実に公務を行い、先を見据えた災害対応をしてきた。町政を中断させるわけにはいかない」と説明した。
 決議に対しては「重く受け止める」と述べたが、「町長は町業務全ての責任者。町民に迷惑を掛けないように粉骨砕身で取り組む」と続投に理解を求めた。議会を解散した上で自らも辞職して信を問う町長選と町議選のダブル選挙の可能性に関しては「今答える段階ではない」と明言を避け、含みを持たせた。
 地方自治法では選挙後の初議会で再び不信任決議案が提出され、過半数が賛成した場合、町長は失職する。井戸川町長は町議選に向け、町政に理解を示す候補者の擁立を模索していることも認めた。
 町選管は年明けにも委員会を開き、町議選の日程を協議する。県外避難者が不在者投票を利用しやすくするため、選挙期間は昨年11月の町議選と同様に10日間を確保する見通し。来年1月24日告示、2月3日投票を軸に調整が進むとみられる。

2012年12月27日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121227t61013.htm

なお、河北新報では、さらに次の記事をネット配信している。

「辞めるのは町長が先」 双葉町議会反発

 福島第1原発事故で深刻な放射能汚染を受けた福島県双葉町。事故対応をめぐり町議会から不信任決議を突き付けられた井戸川克隆町長が選択したのは議会解散だった。「辞めるのは町長が先。せめて一緒に審判を受けるべきだ」。26日の解散で失職した町議からは一斉に不満や疑問が噴出した。
 「町長が辞職して町民に信を問えば、議会も理解するし、町政も早く正常化する。町議選の後、不信任案が再可決されれば町長選で二度手間になる」と残念がるのは白岩寿夫前議員。不信任決議は町議8人が全員賛成で、議会側から解散決定を支持する声は聞こえてこない。
 清川泰弘元議長は「町長には相談相手がいないのだろう。辞職が少し延びただけ」と町長の判断を厳しく批判する。「足踏みしてもいられない」と早速、選挙準備に入るという。現職の多くは立候補に意欲的で年末年始にも準備が本格化する。
 「町議選の争点は、双葉郡の他町村や県と一緒に双葉町が進むのか、それとも孤立を続けるのか」と指摘するのは菅野博紀前議員。6月と9月の定例会にも不信任案を提出し、井戸川町長に路線転換を求めてきた。
 佐々木清一前議員は議長として、埼玉県加須市の仮役場で井戸川町長から解散通知を受け取った。「お世話になった」と話す町長には「分かりました」と短く返しただけで諦めの表情がにじむ。報道陣に「町民に迷惑を掛けないよう、12月定例会で必要な予算は通した」と述べた。
 福島市であった県の会議に出席していた同町幹部は議会解散の連絡を受け、「政治の混乱で最も影響を受けるのは住民だ」と困惑した様子で語った。

[井戸川双葉町長一問一答]

 井戸川克隆双葉町長が26日開いた記者会見での主な主張と一問一答は次の通り。
 「議会解散は断腸の思い。原発事故さえなければ平和な町だった。町には重要な課題が山積している。不信任決議の理由は真実とは言い難い」
 -議会解散を選択した理由は。
 「喫緊の課題が山積している。避難区域再編や賠償の議論を中断させるわけにはいかない」
 -町民との意見交換がないと批判されている。
 「時間をつくり積極的に対応したい。中間貯蔵施設など諸課題について町民説明会を速やかに開きたい」
 -議会の主張で納得できない点は。
 「町民との懇談会を一度も開いていないというのは真実と違う。仮設住宅を回り、できる限り話を聞いている。それが理解されていない」
 -不信任再可決を防ぐには町長支持派が8議員中4人必要。候補擁立の動きがあるが、事実か。
 「はい」
 -不信任可決後、町民からの反応は。
 「激励の言葉をいっぱい束でもらった」
 -度重なる不信任案提出をどう思うか。
 「精いっぱい仕事をしていたのに割り切れないし、残念。事故の原因者がきちんと対応してくれていれば、これほどの苦労もなく、町民も我慢しなくて済んだ」

2012年12月27日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121227t61018.htm

なお、町議会を解散しても、記事中にあるように、もし反町長派が議会の多数をしめれば、今度は過半数で町長は失職させられるのである。これまでの町議会とは違った勢力で町議会の過半数をしめることは容易ではないだろうと考えられ、井戸川町長側の不利は否めない。記事の中で、井戸川町長自身が辞職して出直し選挙する可能性が示唆されているが、そのためだと思われる。

この双葉町議会議員選挙は、福島県が「復興」を旗印にして、「中間貯蔵施設」建設という形で双葉郡地域を犠牲にすることを、双葉郡の各自治体自体が認めてしまうことへの「住民投票」という意義をもっているといえる。衆議院議員選挙、東京都知事選挙では、脱原発という争点はあいまいにされてしまった。ここでも「復興」という言葉で争点があいまいにされるかもしれない。井戸川町長のいうように中間貯蔵施設建設は、全く立地自治体の復興と逆行するものであるといえる。そのことを中心に、この問題は注視されるべきと思う。そして、この双葉町議会選挙には、双葉町だけでなく、福島県、いや日本全国の未来がかけられているといえるのである。

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さて、ここで、新聞報道ではなく、双葉町のサイトでどのように井戸川克隆双葉町長が自身の辞任要求問題を語っているかをみておこう。

福島県知事との中間貯蔵施設建設調査受け入れについての双葉地方町村長たちとの協議会を11月28日に欠席した件については、12月11日付の「中間貯蔵施設についてのご報告」で、次のように述べている。

中間貯蔵施設についてのご報告
 中間貯蔵施設についてご報告申し上げます。
 この施設の名前はご存じだと思いますが、大変危険なものです。
 したがって、国には以前から数々の質問をしてきましたが、納得いく回答はありませんでした。今なおありません。何を質問したかは、町ホームページに掲載しましたのでご参照ください。(中間貯蔵施設の現地調査に係る質問事項について)

 双葉町は「東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定書」(下記参照)を福島県知事(甲)、双葉町長、大熊町長(乙)、東京電力株式会社取締役社長(丙)との間で結んでいます。第12条には「発電所の保守運営に起因して地域住民に損害を与えた場合は、丙は誠意をもって補償するものとする。」、第16条には「この協定の実施に関し必要な事項及びこの協定に定めのない事項については甲、乙及び丙が協議して別に定めることができるものとする。」となっています。
 皆さん、ここまで来ると変だと気づきませんか。今私たちに交渉しているのは協定の対象とされていない方であり、その彼らが我々に不都合なことを要求しています。

 前置きが長くなりましたが、私は、避難のさせ方、避難生活全般、除染、中間貯蔵施設など全ての協議に東京電力と立地町が入るべきだと言い続けてきました。賠償協議に私たちは入っていません。国・県の災害対策協議に町が入らないのはおかしいと事あるごとに話しています。町民の皆さんの意見が言えるのは役場、マスコミしかありません。改善を要求しています。
 区域の見直し、財物の賠償についてはもう少しで国から報告があります。

 11月28日の会議を欠席した理由について申し上げます。この会議は各町村が環境省から説明を受けてから再開することになっていました。そこで町としては、環境省には話し合いの席上、いつも質問をしていますが、これまで答えずにいますので答えを先に聞くために、11月16日に町から質問書を送付しています。この回答書を見て、納得してから町、町議会、そして、町民の皆さんに現地調査の説明をするよう国には伝えていたのですが、11月21日、突然、町長、副町長不在の時、環境副大臣が来て回答書と説明書を置いて行っただけです。
 最終処分場にされてしまうのではないかと心配しているのに、このような扱いです。そこで、町としては、まだ説明されていないため、28日の会議には出席できないと県に話しをしています。順序良くやらない会議に出て、町民の皆さんの意見を聞いていない私は良いとか悪いとか話せませんし、まだそこまでは皆さんの権利を預かっていません。
 調査だから工事はしないと言いながら、用地買収班が福島にできるそうですが何のためでしょうか。工事をしないのであれば用地はいらないはずです。
 公共の予算科目は普通、大項目に中間貯蔵施設の工事の記載があって、小項目に調査費が出てきます。目的のない単独の調査費はありえません。調査を認めれば必ず仕事、すなわち中間貯蔵施設の着工したことになります。

 六ヶ所村の放射性廃棄物貯蔵施設と人形峠の残土置き場は、人家から2キロメートル以上離れています。双葉町に置き換えると町主要部(下記参照)がほとんど入ってしまいます。いますぐ、帰れないとしてもいつかはと思う希望を奪ってしまいます。
 この場合は新たな迷惑施設としての交渉が先だと思いませんか。後で、言うことが出来なくされても良いのですか。子供たちの意見を聞かずに決めて良いのですか。私はじっくりと考え、帰れるまでの住居や職場、学校、健康施設などを備えた町を造ってもらい、被ばくを受けた皆さんの賠償、生活費の補償など期限を設けずに補償してもらい、以前の生活に早く戻したいと考えます。

 まだまだありますが、まだ、見えない不具合についてもあります。
 原発を誘致して今何を思いますか、もう二度とこのような苦しみは、したくないと皆さん思っているのではないですか。私は皆さんと同じ気持ちです。
 町がこれ以上、壊れるのを見たくありません。財政再建は何とか目途をつけました。

 皆さん、冷静に考えてください。会議に出て多数決で無理やり決められたら良かったと思いますか。中間貯蔵施設は福島の復興のためと言われていますが、双葉町民の救済を急げとは聞いたことがありません。私たちはこの現状から抜け出したいのです。脱出したいのです。そして、先人が何百年もかかって築き上げてきた郷土、文化を捨てるわけにはいかないのです。
 平成24年12月11日
双葉町長 井戸川 克隆http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20121211.html/

ある程度、要点をまとめておこう。まず、中間貯蔵施設受け入れについてさまざまな疑念をもっていた井戸川町長は、11月16日、次のような質問を環境省に送った。その項目を以下にあげておく。

1、事故の責任がないのに、なぜ双葉町が受け入れなければならないのか。理由を立証すること

2、東電の無主物の考えに納得できない、誰が事故の責任を取るのか。

3、最終処分場はどのようになっているか。同時進行で実施すること。

4、双葉郡内のバランスが良くない。

5、賠償が片付いていないのに片方だけを進めるのはおかしい。

6、30年後の姿を図絵に示すこと。

7、双葉町を人の住めない町にできない。

8、双葉町がこの事故で苦しんでいることをどう思っているのか。

http://www.town.futaba.fukushima.jp/file.jsp?id=2326より

この質問に対して、環境副大臣(生方幸夫)が、21日に町長不在のまま、回答書などを置いていったのである。双葉町のサイトに回答書が載せられているが、その内容もかなり問題のあるといえる。「1、事故の責任がないのに、なぜ双葉町が受け入れなければならないのか。」については、「線量の高い地域で発生したものを線量の低い地域に運び込むことは、困難であると考えています。結果として、最もご苦労されている地域に除去土壌等を搬入することになり、大変心苦しいですが、福島の復興を推進するためには、中間貯蔵施設の設置が必要不可欠である」と述べている。そして、「双葉町の復興の道を閉ざすことがないよう」としつつも、双葉町の将来計画については「時間がかかることになります」としている。つまり、中間貯蔵施設建設は、福島県の復興が目的であって、立地町の復興などは「将来の計画」でしかないのである。

「3、最終処分場はどのようになっているか。」の質問については、技術開発などに時間がかかるとしながら、「中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了する旨を福島県復興再生基本方針(閣議決定)で明記するとともに、この担保を更に強めるため、法制化することとしています。」と述べている。結局30年は放射性廃棄物を貯蔵しなくてはならないのである。

そして「7、双葉町を人の住めない町にできない。」という問いについては「中間貯蔵施設の整備に当っては、徹底的な除染を行った上で工事を行うこととなりますので、施設敷地においては、むしろ放射線量が下がることになると考えます」と、ほとんど虚偽としか思えない回答をしている。

こういう回答をうけて、井戸川町長は、中間貯蔵施設建設調査受け入れを決めようとした県知事との協議会を欠席したと述べている。彼は「順序良くやらない会議に出て、町民の皆さんの意見を聞いていない私は良いとか悪いとか話せませんし、まだそこまでは皆さんの権利を預かっていません。」「会議に出て多数決で無理やり決められたら良かったと思いますか。中間貯蔵施設は福島の復興のためと言われていますが、双葉町民の救済を急げとは聞いたことがありません。」と述べている。

井戸川町長としては、東電側の賠償責任も明確にならないまま、国や県に理不尽な中間貯蔵施設建設という負担を強いられることへの憤懣があったといえる。さらに、「六ヶ所村の放射性廃棄物貯蔵施設と人形峠の残土置き場は、人家から2キロメートル以上離れています。双葉町に置き換えると町主要部(下記参照)がほとんど入ってしまいます。いますぐ、帰れないとしてもいつかはと思う希望を奪ってしまいます。この場合は新たな迷惑施設としての交渉が先だと思いませんか。後で、言うことが出来なくされても良いのですか。」という思いがある。実際、双葉町のサイトにある、双葉町の中間貯蔵施設候補予定地の地図をみて、私も驚いた。まず、みていただきたい。

双葉町の中間貯蔵施設候補地

双葉町の中間貯蔵施設候補地

日本においては、いかに過疎地といえども、人跡未踏の地などない。その意味で、どの地域に作っても、住民への影響は出てくるだろう。といっても、この候補地は、双葉町役場やJR双葉駅などがある双葉町の中心部にあまりにも近接しているのである。

「中間貯蔵施設は福島の復興のためと言われていますが、双葉町民の救済を急げとは聞いたことがありません。」ということなのである。

このような位置に中間貯蔵施設建設を受け入れることを、福島県も双葉町議会もなぜ容認するのか。そのような問いが惹起される。

そして、井戸川町長は、「私はじっくりと考え、帰れるまでの住居や職場、学校、健康施設などを備えた町を造ってもらい、被ばくを受けた皆さんの賠償、生活費の補償など期限を設けずに補償してもらい、以前の生活に早く戻したいと考えます。…私たちはこの現状から抜け出したいのです。脱出したいのです。そして、先人が何百年もかかって築き上げてきた郷土、文化を捨てるわけにはいかないのです。」と主張しているのである。

しかし、この訴えを全く耳をかさず、双葉町議会は12日に井戸川町長へ辞職を要求した。そして、20日には全会一致で不信任案を可決したのである。しかも、その理由が、中間貯蔵施設建設の是非というよりも、県知事との協議会に欠席したことなのである。事大主義としかいえない。どちらをむいて議場にいるのだろう。

そして、12月21日付で、井戸川町長は、次のようなメッセージを双葉町のサイトに掲載した。

町民の皆様へ
 町民の皆様、皆様の苦しみは計り知れないものです。毎日、皆様と話し合いができれば良いのですが、なかなか叶えられませんことをお詫び申し上げます。

 私が一番に取り組んでいますのが、一日も早く安定した生活に戻ることです。双葉町はすぐには住めませんが、どこかに仮に(借りに)住むところを準備しなければなりません。そこで、国と意見が合わないのは避難基準です。国は年間放射線量20mSvを基準にしていますが、チェルノブイリでは悲惨な経験から年間5mSv以上は移住の義務と言う制度を作りました。
 私たちは、この事故で最大の被ばくをさせられました、町民の皆様の健康と家系の継承を守るために、国に基準の見直しを求めています。この基準がすべてです。仮に住む場合は安全でなければなりません。子供たちには、これ以上被ばくはさせられませんし、子どもたちが受ける生涯の放射線量は大きなものになります。事故から25年が経ったウクライナの子供たちには働くことができないブラブラ病が多く発生しているそうです。
 私はこのようなことが一番心配です。町は絶対に事故を起こさないと言われて原発と共生してきました。しかし、今は廃虚にさせられ、町民関係も壊されました。自然も、生活も、生きがい、希望やその他すべてを壊されました。一方どうでしょう。これほど苦しんでいる私たちの思いは、皆さんが納得いくものになっていないのです。これを解決するのが先だと訴えています。

 私が皆さんに多くの情報を出さないと叱られていることは十分承知しています。出したくても出せないのです。納得のいくような情報を国に求めていますが、出してこないのです。国とは隠し事のない交渉をすることを求め続けてきています。町民の皆様を裏切ることは決していたしません。これから多くの情報を出していきます。

 放射線の基準に戻りますが、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告を採用していると国では言いますが、国際的に採用している訳ではありません。ヨーロッパには独自の基準があり、アメリカでも自国の基準を作って国民を守っています。最近のICRP勧告では日本を非難しています。もう1~20mSvを採用しなさいと言っています。これは大変なことで、区域見直しも賠償の基準も変わってきます。
 このような中で冷静にと言っても無理かもしれません。このような環境に置かれているのだから、皆さんの要望を常に政府、与党には伝えてきました。政争に振り回されて進んでいません。
 福島県内に避難している町民を県外に移動してもらう努力はしましたが、関係機関の協力は得られずにいます。しかも盛んに県内に戻す政策が進行しています。県に理由を聞いても納得のいく返事は来ません。町民(県民)の希望を国に強く発信して頂きたいと思います。

 町民の皆さん、損をしないでください。財産には目に見えるものと見えないものが有りますので、区別しなければなりません。目に見えるものは形や重みのあるもの価値が直ぐに判断できるものです。見えないものは未来です。一番心配なのは健康で、被ばくによる障がいであります。ウクライナでは障がいに要する費用が国家の財政を破綻させるような事態になっています。今のウクライナが25年後の日本であってはならないのです。子供に障がいが出ればとんでもない損害です。この見えない、まだ見えていない損害を十分に伝えきれていないもどかしさがあります。まだ発症していないからとか、発症したとしても被ばくとは関係がないと言われる恐れがあります。水俣病のように長い年月をかけて裁判で決着するような経験を町民の皆さんにはさせたくありません。
 昨年の早い時期から町民の皆さんの被ばく検査を国、東電、福島県にお願いし、被ばく防止も合わせてお願いしてきました。しかし、思うようになっていません、原発事故による放射能の影響下に住むことについて拒むべきです。

 損について一部しか言いきれていませんが、一番大きなこと、何年で帰れるかについて申し上げます。今は世界一の事故の大きさのレベル7のままだということ。溶けた核燃料の持ち出し終了が見通せないこと。処理水をどうするのか、核物質の最終処分はどのようにいつまで終わるのかなど多くの要因を考慮して、木村獨協大学准教授が最近の会議の席上、個人の見解として双葉町は場所によっては165年帰れないと発言しました。私には可か不可の判断できませんが、大変重要な言葉だと思います。半分としても80年だとしたら、この損害は甚大なものです。
 また、被ばくの影響についても責任者に対して担保をとっておく必要があります。

 中間貯蔵施設については、議論をしないまま、調査だから認めろと言いますが、この費用の出どころを確かめることが重要です。この施設は30年で県外に出すと国は言っていますが、約束は我々とはまだ出来ていません。この施設の周りには人が住めません。六ヶ所村では2km以内には民家がないようで、双葉町では町の中心部が殆ど入ってしまいます。では、どうするのかの議論が先です。ボーリング調査を行うのは着工です。予算の構成を見ますと、整備事業の下に調査費が付いています。これは行政判断としては着工になります。着工の事実を作らせないために、私は非難覚悟で止めていることをご理解ください。
 十分すぎるほど議論して町民の皆さんの理解の下に進めるべきです。日本初の事業です。双葉町最大の損害で、確かな約束を求める事をしないまま進めてはやがて子供たちに迷惑をかけます。新政権とじっくり話し合いをして、子供たちに理解を貰いながら進めます。このように、私たちには大きな損害があることをご理解ください。

 寒さが一段と厳しくなりました、風邪や体力の低下に気をつけて予防を心がけてください。これからもお伝えします。
 
 平成24年12月20日
双葉町長 井戸川 克隆
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20121220.html/

内容は明瞭である。今回は、ここで解説はしない。いつか、その内容を論じてみたいと思う。

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このブログで、井戸川克隆双葉町長が、除染などの放射性廃棄物質の中間貯蔵施設を双葉郡に建設するための調査を受け入れることを決めようとして、佐藤雄平福島県知事と双葉郡内町村長との11月28日に開催された協議会に欠席し、そのため翌29日、双葉郡の各町村長たちから双葉地方町村会長の辞職をせまられ、さらに、そのことを主な理由として、双葉町議会から町長辞職を要求されたことを伝えた。

その後、まず、井戸川町長は、10日に双葉地方町村会長の辞職を余儀なくされた。そのことを、福島民友新聞は、次のようにネット配信で伝えている。

井戸川氏が会長辞任 双葉町村会、後任に山田広野町長
 双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長が、中間貯蔵施設の現地調査受け入れを協議する会議など町村会と国・県などとの重要会議に欠席したことなどを理由に、双葉町を除く7町村長から会長辞任を求められていた問題で、井戸川会長は10日、郡山市で開かれた同町村会の会議で辞任を申し出て受理された。新会長には副会長の山田基星広野町長が選ばれた。山田新会長の任期は前会長の残任期間の来年3月31日まで。
 会議は非公開で行われた。山田氏によると、井戸川前会長への辞任要求は7町村長の総意として、先月29日、山田氏が行った。山田氏は「(先月28日の)会議欠席が問題だった。前に進む方法を採るべきだった」と井戸川前会長のこれまでの行動を批判した。
(2012年12月11日 福島民友ニュース)
http://www.minyu-net.com/news/news/1211/news3.html

他方、双葉町議会は、12日、井戸川克隆町長に対して辞任要求を行った。町長は17日に拒否したが、町議会は不信任案提出をめざした。下記の福島民友新聞のネット配信記事をみてもらいたい。

提出なら可決必至 双葉町長不信任案で議会
 双葉町議会の町議のほとんどが19日、埼玉県加須市で20日開かれる12月議会最終本会議に井戸川克隆町長の不信任案を提出する方針を固めた。同案が提出されれば、可決は必至の状況で、可決後は町長が議会を解散するか、自らが辞職することになり、年明けの選挙戦が避けられない。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故のため続く全町避難は2度目の年末を迎え混乱の度を増している。
 全町議8人は12日、「町長は議会への相談、町民への説明もなく、独断で町政を行っている。大事な会議を欠席するなど、双葉郡から町が孤立してしまう」などとして、井戸川町長に辞職を要求。これに対し井戸川町長は17日、「区域再編や中間貯蔵施設の建設問題など、町の命運を左右する大きな問題に形を付けなければならない」などとして、「町長職の続投」を回答、要求を拒んでいた。
(2012年12月20日 福島民友ニュース)
http://www.minyu-net.com/news/news/1220/news9.html

そして、実際に20日に双葉町議会に町長不信任案が提出され、全回一致で可決したのである。比較的詳細に報道している河北新報のネット配信記事をここであげておこう。

双葉町長不信任案可決 町議会で全会一致 進退、週明け判断

町議会の不信任決議に「批判する側にも責任がある」と反発する井戸川町長=20日、埼玉県加須市騎西総合支所
 福島県双葉町議会は20日、福島第1原発事故で役場機能を移した埼玉県加須市で12月定例会を開き、井戸川克隆町長の不信任決議を議員8人の全会一致で可決した。地方自治法で町長は10日以内に議会を解散しない限り失職する。井戸川町長は週明けにも進退を判断する意向を明らかにした。
 不信任決議は、除染廃棄物の中間貯蔵施設の立地調査をめぐり、11月28日に福島市であった福島県知事と双葉郡8町村長の協議を井戸川町長が欠席したのが主な理由。当時、調査候補地に双葉町の2カ所を含む郡内12カ所が挙がっており、井戸川町長は双葉地方町村会長として協議を主導する立場だった。
 本会議で、決議案を提出した岩本久人町議は「協議を議会に説明なく欠席した。中間貯蔵施設は賛否はあるが、避けては通れない問題で、復興への大きな妨げになった」と不信任の理由を説明。「町長は『町民の声を聞く、議会と相談する』と常々言うが、一度も機会がない」と批判した。
 井戸川町長は採決前に発言を求め、「町民の健康を守り、賠償で損をしないよう尽くした。国と県、東京電力こそ事故の経緯と今後の道筋を示すべきで、このような決議は残念」と反論した。議会終了後の取材には「議会は全て私が悪いと言うが、批判する側にも責任がある」と述べた。
 いわき市の双葉町仮設住宅に暮らすアルバイト林祐司さん(57)は「双葉町だけが何も前に進まず遅れているので、前進できる人に代わってほしい」と話した。同市のパート女性(52)は「議会も町長もそんなことで騒いでいる場合ではない。町民として恥ずかしい」と町政混乱を嘆いた。
 井戸川町長は双葉町出身。水道設備会社経営を経て2005年初当選し、2期目。現在の任期は13年12月7日まで。

◎独自の路線/説明不足

 【解説】福島県双葉町議会が全会一致で井戸川克隆町長の不信任を決めた。福島第1原発事故対応をめぐり対立してきた町長と議会。背景にあるのは双葉郡8町村の中で独自の道を模索する井戸川町長の姿勢だ。
 井戸川町長は第1原発から約4キロの町役場付近で事故に遭った。「放射能の感覚が違う」と公言し、他の町村長とは異なる判断を重ねてきた。
 原発事故で役場機能を移した県内9町村で唯一、県外に仮役場を置く。双葉町内の試行的除染を断り、放射線量に応じた避難区域の再編にも一切応じていない。
 年間1ミリシーベルト以上の追加被ばくに極めて慎重な姿勢を評価する声もある。独自の道を歩むからこそ丁寧な合意形成が求められるが、説明不足は否めず、議会側の理解は得られなかった。
 不信任案提出は6、9月の定例会に続き3度目。6月と9月は可決に必要な4分の3の賛成には達しなかった。今回の不信任案提出者は前回、前々回は町長を擁護し、否決に回った議員だった。
 町長不信任に伴う選挙で一定期間、復興の歩みが停止するのは事実。空白期を奇貨として町再生の道程を再構築するためには、住民を巻き込む理性的な議論が町長、議員双方に求められる。(福島総局・加賀山仁)

2012年12月21日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121221t61007.htm

この河北新報の記事においては、いくつかのことが読み取られよう。一つに、やはり、中間貯蔵施設建設のための調査受け入れを決めようとした県知事と双葉郡の町村長たちの協議会に欠席したが不信任の主な理由となっているということである。これだけでは、どう考えても町長不信任の理由としてはおかしい。しかし、双葉町議会としては、町内の中間貯蔵施設受け入れを容認する姿勢をもっている。その意味で、直接的には、双葉町内に中間貯蔵施設受け入れについての是非が町長ー町議会の対立の原因となっているといえる。

もう一つには、放射性物質問題があるといえる。現在、福島県内は、かなり高い放射線量があるにもかかわらず、福島県の意向で、住民に避難の権利は与えられていない。年間20mSvにするという不十分な除染によって、さらに住民が住まなくてはならない高放射線量の地域は拡大することが予想される。そして、そのために中間貯蔵施設の建設が要請されている。

そのことに反対していたのが井戸川克隆双葉町長であったといえる。双葉町民の多くを埼玉県に避難させ、町役場を埼玉県に置いていることはそのあらわれといえる。そして、河北新報のいうように、町内の試行的除染や避難区域の再編に応じないのも、町民を被曝にあわせないためといえる。

しかし、年間20mSv以下は安全とする福島県のドクトリンからみて、井戸川町長のあり方は容認できないものであった。そして、福島県内に避難した住民も多いだろう。町議たちも福島県内の人間関係により多く拘束されているといえる。まさしく、このような考え方が、双葉町長の不信任に結果したと考えられるのである。

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2012年12月16日、衆議院選挙と東京都知事選挙が行われ、開票結果が出た。衆議院選挙の結果は、次のように報道されている。

自民大勝294・民主57・維新54…議席確定

 16日投開票の第46回衆院選は、17日午前までに全ての議席が確定した。
 自民党は294議席で、郵政民営化を争点に圧勝した2005年衆院選(296)には及ばなかったものの、現憲法下の衆院選で過去4番目となる大量の議席を獲得した。
 公明党は31議席で、候補を立てた9小選挙区で全勝。自公両党は計325議席となり、衆院で法案の再可決が可能となる3分の2の議席(320)を上回った。
 民主党は、公示前の約4分の1に落ち込む57議席の惨敗。1998年4月の結党時の議席(93)も下回った。
 「第3極」の政党では、国政選挙初挑戦となった日本維新の会が54議席を得て、衆院で単独で内閣不信任決議案、予算関連法案をそれぞれ提出できる議席(51)を超えた。
 みんなの党は、公示前から倍増となる18議席だった。日本未来の党は公示前の7分の1の9議席となる大敗を喫した。
 共産党、社民党、国民新党、新党大地は公示前の議席を下回った。新党日本、新党改革は議席を獲得できなかった。
 投票率は、59・32%(小選挙区)となり、戦後最低となった。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news/20121217-OYT1T00510.htm
(2012年12月17日11時14分 読売新聞)

小選挙区制を前提に自民党・公明党が支持以上に勝利をおさめることは予想できた。それは、民主党が、原発再稼働、消費税増税など、支持者はおろか議員すら納得できない政策転換をして自民党的政策を押し進め、自壊したことに起因するといえる。しかし、小選挙区制の壁にはばまれ、日本維新の会や日本未来の党、日本共産党や社会民主党は、民主党への批判票をまとめきれず、その票は小選挙区においては自公にむかってしまった。さらに、民主党が「自民党」的になる一方で、日本維新の会など党外の極右ナショナリストの挑発もあり、差異化をはかって自民党がより「極右ナショナリスト」的な主張をはじめることも了解できる。

しかし、もっとも奇異に思ったのは、猪瀬直樹都知事候補が、約433万票(約67.34%)という都知事選史上最高の票を獲得したことであった。次の時事通信のネット配信記事を読むように、これは、1971年の美濃部亮吉が獲得した得票数を大きく上回る。そして、次点の宇都宮けんじ候補は約96万票、15.04%しか獲得できなかった。

都知事選、猪瀬氏が圧勝=434万票で過去最多得票-13年半ぶりに新たな首都の顔

猪瀬直樹氏
 石原慎太郎氏の辞職に伴う東京都知事選が16日投開票され、無所属で前都副知事の猪瀬直樹氏(66)=公明、維新支持=が、前日弁連会長の宇都宮健児氏(66)=未来、共産、社民支持=、前神奈川県知事の松沢成文氏(54)、元科学技術担当相の笹川堯氏(77)ら無所属、諸派の8新人を退け、初当選を果たした。約13年半に及んだ「石原都政」の継承か転換かが最大の焦点だったが、石原氏の後継指名を受けた猪瀬氏が強さを発揮し、他の候補に大差をつけた。
 猪瀬氏の得票数は433万8936票に達し、1971年の美濃部亮吉氏の361万5299票を上回り、過去最多となった。他の地方選や国政選挙を含めても個人としての得票では過去最多とみられる。
 投票率は62.60%で、前回(57.80%)を上回った。
 猪瀬氏は、副知事として石原氏を5年5カ月支えた実績を強調。政策面でも、2020年夏季五輪招致や羽田空港国際化の推進など都政の継続を訴えた。自民党の支援も受けたほか、作家としての知名度の高さを生かし、幅広い層の支持を得た。
 一方、石原都政からの転換を目指した宇都宮氏は、東京電力福島第1原発事故を受けて「脱原発」を旗印に掲げたものの及ばなかった。松沢氏は経営再建中の新銀行東京の清算、笹川氏は高齢者福祉の充実などを主張したが、いずれも浸透しなかった。
 発明家の中松義郎氏(84)、元ネパール大使の吉田重信氏(76)、ミュージシャンのトクマ氏(46)、政治団体代表のマック赤坂氏(64)、会社社長の五十嵐政一氏(81)も支持が広がらなかった。 
◇東京都知事選当選者略歴
 猪瀬 直樹(いのせ・なおき)信州大人文学部卒。作家として、1987年に「ミカドの肖像」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。政府の道路関係4公団民営化推進委員会委員、地方分権改革推進委員会委員などを歴任。2007年6月から東京都副知事。66歳。長野県出身。当選1回。

◇東京都知事選開票結果
当 4,338,936 猪瀬 直樹 無新
    968,960 宇都宮健児 無新
    621,278 松沢 成文 無新
    179,180 笹川  堯 諸新
    129,406 中松 義郎 無新
     81,885 吉田 重信 無新
     47,829 トクマ   諸新
     38,855 マック赤坂 諸新
     36,114 五十嵐政一 無新
               =確定得票=

(2012/12/17-08:10)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012121600512

なぜ、こうなったのだろうか。朝日新聞のネット配信に掲載された、衆議院議員選挙東京比例区において各党が獲得した得票率を次にしめしておこう。

民主党           15.42%
自由民主党         24.87%
日本未来の党         6.86%
公明党           10.14%
日本維新の会        19.86%
日本共産党          7.41%
みんなの党         11.67%
社会民主党          2.09%
新党改革           1.43%
幸福実現党          0.25%
http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo46/kouho/B05.htmlより

猪瀬都知事候補を支持していたのは、自民党、公明党、日本維新の会、民主党の基盤である連合東京である。まず、自公維だけの得票率を合算すると、54.87%になる。また、連合東京の働きかけで、民主党に投票した人(15.42%)の約半分が猪瀬に投票していたとすれば、約62%になる。まして、日本維新の会にスタンスの近いみんなの党(11.67%)が全員支持したとすれば、むしろ67%よりも超えてしまうのである。

一方、宇都宮けんじ候補を支持していたのは、日本共産党、社会民主党、日本未来の党である。これらの党の得票率を合算すると16.36%である。もともと、基礎票でこれほど差があるのである。

そのうち、最も帰趨をわけたのは、日本維新の会の獲得した19.86%の票であったといえる。固定した選挙基盤のない日本維新の会にとって、これらの票の多くは浮動票であったと考えられる。これらが、すべて宇都宮陣営に流れ込んだとしたら、36.22%の票となった。自民党と公明党だけならば35.01%となるので、むしろ宇都宮陣営が有利となった。みんなの党もたぶん多くは浮動票頼みと思われるので、このような浮動票が「日本維新の会」や「みんなの党」に流れ込んだことが、猪瀬都知事候補の大勝に結びついたといえる。

その意味で、日本維新の会がとりあえず結党されたこと、そして、衆議院議員選挙と平行して都知事選が行われたこと、さらに日本維新の会代表石原慎太郎の都政を猪瀬直樹候補が継承することを標榜したことは、猪瀬直樹都知事候補の大勝に結果したといえるのである。

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東京新聞2012年12月11・12・13日付け朝刊に「衆院選東京小選挙区候補者アンケート」という記事が掲載された。これは、東京の小選挙区の衆院選の各候補者たちに、原発、消費税増税、憲法9条改正という三つの項目についてアンケート調査を実施し、その結果を各選挙区別に(地図などもいれて)掲載したものだ。原発問題ではかなり細かく選択肢が用意されている。「ただちに原発稼働をゼロにする」「2030年代よりも前倒ししてゼロにする」「2030年代にゼロにする」「原発は減らすがゼロにはしない」「現状を維持する」「原発を増やす」というのが、その選択肢である。消費税増税と憲法9条改正は賛成・反対のみである。

それをみていて、気づいたことがある。自民党・日本維新の会から出ている候補者たちの多くが「2030年代にゼロ」「減らす」などの回答をよせていることである。彼らの原発問題の回答を抜き出して、表にしてみた。

東京における自民・維新各候補者の原発問題への態度

より詳しく述べておこう。東京の小選挙区は25区であるが、東京12区は公明党から立候補しており、自民党の立候補者は24人である。さすがに「ただちにゼロ」という候補者はいない。しかし、自民党では、「2030年代にゼロ」が6人、「減らす」が11人いる。無回答は7人だが、その内の6人は「前職」である。つまり、選挙に強い人たちなのだ。逆にいえば、相対的に選挙に自信のない人たちが、より「脱原発依存」という回答をよせているといえよう。

一方、日本維新の会からは19人が立候補しているが、その内「前倒しにゼロ」が2人、「2030年代にゼロ」が9人、「減らす」が2人、「無回答」が6人となっている。自民党よりも「脱原発依存」志向が強いといえる。

現状、民主党、日本未来の党、社会民主党、共産党など多くの政党は、いわゆる「脱原発依存」を主張している。といっても、民主党のいう「2030年代にゼロ」というのと、共産党・社会民主党などの主張する「ただちにゼロ」というのは大きく違っているが。日本未来の党の「卒原発」というのは「前倒しにゼロ」にあたるといえるが、両者の中間にあるといえるだろう。いずれにせよ、「脱原発依存」志向とはいえる。

ここでは紹介できなかったが、民主党、日本未来の党、共産党などの候補者は、広い意味での「脱原発」を主張しているのである。これは、当然のことである。

他方、自民党の政権公約では、次のようにいわれている。

 

いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期します。
 当面は、再生可能エネルギーの最大限の導入と省エネの最大限の推進を図り、原発については、福島第一原発事故の反省を踏まえ、「安全第一主義」をもって対処し、3 年以内に再稼働の結論を出すことを目指します。
 中長期的には、10 年以内に新たなエネルギーの安定供給構造を確立します。
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf

いわば、「エネルギー需給の安定」に重点があり、「脱原発」などは主張していない。この文面だけでは、「脱原発」かどうかもいえないのであるが、例えば、民主党の公約が次のように述べていることから比較すれば、自民党の公約の意味は明瞭となるといえる。

原発ゼロで生まれ変わる日本
2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入。
電力の安定確保など、様々な課題を乗り越え、着実に目標へ近づいて、「原発ゼロ」を必ず実現します。
結論先送りのなし崩し的な原発維持も、実現可能性を無視した即時原発ゼロも、同じように無責任です。
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2012.txt

一方、日本維新の会の公約「骨太2013ー2016」では「先進国をリードする脱原発依存体制の構築」と言われている。しかし、東京新聞が次のように報道しているように、代表である石原慎太郎自身がそれを否定している。

原発ゼロ 目指さない 維新・石原代表が方針

2012年11月27日 朝刊

 日本維新の会の石原慎太郎代表は二十六日、本紙などのインタビューで、現時点で「原発ゼロ」を目指す考えがないことを明らかにした。
 橋下徹代表代行(大阪市長)が「原発ゼロに向けてやる」と主張していることについて石原氏は「個人的な発言だと理解している」と、党方針ではないとの考えを示した。
 原発を含むエネルギー政策については「どういう産業をどうやって盛り上げていくか考えなければ、(原発を)何パーセント残す、残さないという議論にならない。綿密な経済のシミュレーションをやった上で、(火力や水力との)エネルギーの配分を決めていくのが妥当だ」と述べた。
 衆院選の対応については「自民、公明両党に過半数を取らさないように強力な『第二極』をつくらないといけない」と、自公の過半数獲得阻止を目指す考えを強調。その上で「強力なキャスチングボートを持ちたい。肝心なことを決めるのに過半数が要るなら協力する」と自民党と連携する可能性に言及した。
 みんなの党との小選挙区の候補者調整が難航していることについては「(みんなの渡辺喜美代表は)視野狭窄(きょうさく)と自己過信がある」と批判。河村たかし名古屋市長の合流が実現しなかったことについて「大阪側に拒否反応があった。減税という名前も良くない。(名古屋市で)市民税の減税に成功したから他の自治体で通用するわけではない」と指摘した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012112702000126.html

つまり、あいまいであるが、日本維新の会は政党全体として脱「脱原発依存」といえるのである。

自民党・日本維新の会は総体として脱「脱原発依存」ということになる。しかし、両党所属の東京の候補者たちの多くは、原発について「2030年代にゼロ」「減らす」などと回答しているのである。これは、たぶん、東京新聞へのアンケート回答にとどまるものではないだろう。有権者たちに問われれば、そのように答えているのであろう。選挙演説でもそのように話しているのかもしれない。

これは、いわば、「争点隠し」といえよう。政党全体をよく検討すればいわば脱「脱原発依存」なのだが、ある意味ではあいまいでもあり、それを利用して、自分の反対党である民主党・日本未来の党・共産党などの主張する「脱原発」を自民党などの候補者は主張しているのである。そのような形で、「脱原発」は争点から隠されるのである。

ただ、「争点隠し」であることをふまえて、もう一ついえば、自民党などの候補者たちも、有権者たちに踏み込めば踏み込むほど、「脱原発」を主張せざるをえなくなったともいえる。自民党の場合、新人や元職など、選挙に相対的に弱く、より有権者に密着する必要のある候補者たちが、より強く「脱原発」を主張している。元々地盤のない日本維新の会はなおさらである。その意味で、選挙に強い「前職」の衆議院議員たちを中心として作ったと考えられる「政権公約」とは、ニュアンスを異にせざるを得なくなった考えられる。このことは、自民党や日本維新の会に投票するような保守的な人びとも「脱原発」を強く意識するようになったことをあらわしているとみることができよう。

*なお、ここで、自民党・民主党・日本維新の会の公約を一部とりあげたが、これは例示のためであり、選挙における支持とは全く無関係であることを付記しておく。

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日刊ゲンダイ2012年12月12日号に、次のような記事が掲載された。

笹子トンネル崩落は猪瀬直樹が招いた悲劇 道路公団民営化で「コスト3割減」を主張

 笹子トンネルの天上(ママ)板崩落事故は、小泉時代の道路公団民営化の大幅なコストカットが招いた悲劇だ。それが鮮明になってきた。
 当初、「接合部の打音検査をした記録はない」としていた中日本高速道路はその後、「00年にはトンネル上部のボルトや付近のコンクリートの劣化を打音検査で点検した」と説明を一転させている。その検査ではボルトを締めるナットに緩みが見つかった。ところが、同社は「補修で健全性が回復した」と判断。なぜか05年の定期検査から打音が省略されたのである。
 普通なら「補修が必要な状態」が1回でも見つかれば、それからは入念な検査を行う。ところが中日本の動きは逆だから理解に苦しむ。ポイントは00年と05年の検査の間に何があったかだ。この期間に道路公団は民営化されたのである。
 民営化推進の過程で議題に上ったのはコスト削減だった。民営化すればムダが削れる。そういう方向で議論が交わされたのである。議事録によると、当時、道路関係四公団民営化推進委員会の委員だった猪瀬直樹氏はこんな意見書を提出している。
〈新会社は道路本体業務にかかる維持補修等の管理コストの徹底した合理化を行い削減することが求められている〉〈現在の四公団の維持管理に要する費用の合計から概ね3割以上の縮減を目指す〉
 最終的にまとめられた委員会の意見書にも「管理費の徹底的な見直し」「概ね3割の縮減を目指す」などと書かれていて、猪瀬氏の意見が反映されたことがハッキリわかる。当時の道路公団にはファミリー企業がいくつもぶら下がっていた。猪瀬氏はそこにメスを入れようとしたのだろうが、安全性まで置き去りにされた印象は拭えない。
 日航機墜落事故の被害者代理人だった海渡雄一弁護士はこう言った。
 「人の生命に関わる公共性の高い事業の維持管理では削っても大丈夫なもの、削減したら深刻な事故を引き起こしかねないものの2通りがあります。日航機事故は十分な検証をせず、飛行機の修理と検査費用をカットしたことで起きました。猪瀬氏は何を根拠に『3割縮減』を提案したのでしょうか。打音検査が省略化されるに至った経過と、民営化との関連を遡って検証しなければなりません。
 民営化の”成果”を繰り返す猪瀬氏。この人物が都知事でいいのか。有権者はしっかり考えるべきである。

このような指摘は、日刊ゲンダイだけではない。ここで意見を求められている海渡雄一氏は、「レイバーネット日本」というサイトに、12月5日付で「笹子トンネル事故と道路公団民営化」という記事を寄稿している。この中で、打音検査を実施しないことがこの事故につながったとし、高速道路公団の民営化について触れ、「この民営化を推進したのが小泉内閣下での民営化推進委員会である。猪瀬直樹氏はこの委員会で舌鋒鋭くマスコミを巻き込んで民営化を主導した。今も、民営化を成し遂げたことを自らの功績としている。」と指摘している。

そして、「民営化と安全コストの削減は表裏」として、次のように主張している。

公共事業の民営化は国鉄の分割民営化などを見てもわかるとおり、赤字対策として提起される。他方で、民営化に際しては「政治主導」で決定された事業への投資が押し付けられる場合も多い。高速道路についても、儲からない新たな高速道路の建設が押しつけられた。経営収支や財務状況が悪化した民営企業は民営化のメリットを社会的に示すために、設備の改装など目に見えるところには投資を迫られ、目立たないところには投資が控えられる。目立たないところの最たるものが、安全のための投資である。設備のメンテナンス予算が削減される。
 中日本によると、点検は各社ごとに要領を定めて実施。同社は民営化後の06年4月に点検マニュアル「保全点検要領」を策定したが、天井板の点検について「目視による確認をするなどの配慮が必要」としただけで、打音検査は定めなかったとされる。
 中日本高速は今年9月を含む過去の点検で、トンネル最上部の内壁とつり金具のボルト接合部については双眼鏡による目視にとどめ、打音検査は「一度もした記録がない」ことを明らかにしている。同社幹部は「笹子トンネルの場合は(足場となる)天井板から最上部まで高さ5メートルもあり、打音が困難だった」と釈明している。
 しかし、同じ道路公団を分割して民営化された他の各社では打音検査がなされていたことからすると、このような説明には疑問がある。道路公団時代の点検要領を明らかにし、民営化後に検査が省略された可能性の有無を含めて、徹底した捜査がなされるべきである。
 国交省道路局の幹部は「元は旧道路公団の同一組織なのに、中日本が他社同様の点検をしていなかったことは驚きだ。インフラの安全確認は常に強化すべきで、問題を精査する必要がある」と話していたという。
http://www.labornetjp.org/news/2012/1205kaito/view

なお、この記事は、今からみると事実誤認がある。笹子トンネル事故直後の12月2日、中日本高速道路会社は打音検査を一度も行っていないとしたが、12月5日には、2000年に打音検査を実施し、その後行っていないと改めたのである。しかし、このことにより、さらに2005年の高速道路分割民営化と打音検査中止との関連性が強まったといえる。

そして、海渡氏は最後に「民営化政策の是非も都知事選の争点に」として、次のように述べている。

東京都知事選の争点は命を大切にする政治かどうかである。脱原発も福祉も命の問題である。
 猪瀬候補は、都営地下鉄と東京メトロの一元化」=「都営地下鉄の民営化」を政策として掲げている。民営化された高速道路で、このような大きな犠牲が生じたことについて、民営化を推し進めた政治家や都知事候補はどのように考えているのだろうか、説明する責任があるだろう。
http://www.labornetjp.org/news/2012/1205kaito/view 

その後、12月7日に、海渡氏は「道路公団民営化と高速道路の維持管理コストの大幅削減を主張したのは誰か」というメールを「転載可能」という形で出した。猪瀬直樹氏の発言自体をここでは検証している。

さらに、海渡氏が望んでいたように、この問題は都知事選の争点にもなった。12月9日、フジテレビの「新報道2001」(7:30〜8:55)という番組で、都知事選候補者の討論会が行われた。その時、この問題も取り上げられた。ほとんど報道がなく、選挙違反を恐れて動画などもアップされていないので、とりあえず、見ていた人たちのツイッターをまとめたものから、内容を再構成するしかない。少し読みづらいので、時間のない方は、この後にある私のまとめをみてほしい。

猪瀬氏の求めた管理縮減費の削減と笹子トンネルの打音検査の中止は無関係か

新報道2001(フジテレビ2012年12月9日7:30~)における宇都宮けんじ候補と猪瀬直樹候補のやりとりについて

・道路関係四公団民営化推進委員会は2002年から2003年にかけて52回開催。メンバーは今井敬、中村英夫、大宅映子、猪瀬直樹、川本裕子http://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/index.html

・道路関係四公団民営化推進委員会第34回委員会(平成14 年11 月30 日)猪瀬委員提出資料

クリックして35siryou2-3.pdfにアクセス


「現在の四公団の維持管理に要する費用の合計額から概ね3 割以上の縮減を目指す(p.5)」
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by mu0283

宇都宮けんじさん「笹子トンネル事故の背景には打音検査の省略があった。猪瀬氏らが進めた道路公団民営化で、管理コストが三割カットされた影響もある。」
inabatsuyoshi 2012/12/09 08:59:25

報道2001 宇都宮さんの民営化以降、検査していていないという。猪瀬さん、検査していないのは2000年から、民営化は2005年から、事実に基づかない発言はデマになると反論。事故が起こると民営化に結びつける人が必ずでてくる。関係ないことが多いけどね
YoichiTakahashi 2012/12/09 08:52:57

#新報道2001 宇都宮さん「道路公団が民営化する際、猪瀬さんは維持管理費の3割カットを提言し、結果的に取り入れられた。」 (確かに、H14のこの資料にも「維持管理に要する費用の合計額から概ね 3 割以上の縮減を目指す」と書いてある http://t.co/icqzkkmc )
geophysics 2012/12/09 08:56:18

#新報道2001 宇都宮「民営化以降打音検査をやってない」猪瀬「民営化は2005年。最後の打音検査は2000年。事実に基づいて発言しないとデマになる」と反論。宇都宮発言に嘘はないが、打音検査の実施間隔がわからないと微妙。それをあたかもデマのように印象付けようとする猪瀬話法はさすが
geophysics 2012/12/09 09:05:58

@geophysics ご参考。「笹子と同じ構造ながら高さが半分以下の恵那山トンネル(長野、岐阜県)と都夫良野トンネル(神奈川県)では、5年に1回の点検で打音検査をしていたとしている」 http://t.co/k76GtzhM
KutaroMichikusa 2012/12/09 09:50:06

笹子トンネル事故 打音検査せず 県警捜査「予見可能性」が焦点http://t.co/4w18YzhU 「問題視されているのは、中日本高速が平成12年を最後に、ボルトや周辺をハンマーでたたいて異常を確認する「打音検査」を実施していなかったことだ」
mu0283 2012/12/09 09:40:54

笹子トンネル事故 打音検査せず 県警捜査「予見可能性」が焦点http://t.co/4w18YzhU 「こうした事情(平成12年を最後に、打音検査が行われなかったこと)の背景に、17年の民営化で生まれた「利益追求」の姿勢が影響した可能性があるとみる専門家もいる。」
mu0283 2012/12/09 09:42:12
Content from Twitter
↓ コメント欄に記したとおり、録画を確認したところ、猪瀬氏の発言は次の通り。「違う。打音検査は2000年にやめてるから。民営化は2005年ですから。事実関係を、正確に言わないといけません。」

笹子トンネルで打音検査が行われなくなったのは2000年、民営化は2005年だと猪瀬氏反論。しかし、最後の打音検査が2000年、詳細検査が5年ごとだとすると、次の詳細検査は2005年。猪瀬氏は数字は正確に言わないとデマになると宇都宮氏をたしなめたが、反論になっていない。(続)
mu0283 2012/12/09 09:51:03

(続き)猪瀬氏が推進委員会の中で「維持管理に要する費用の合計額から概ね 3 割以上の縮減を目指す」と求めたのは2002年。 そのころから既に、維持管理費のコストカット圧力は強かったはず。http://t.co/uPYDXjSF …
mu0283 2012/12/09 09:51:50

【同社(中日本高速)は「点検は目視が基本」と釈明。ただ、同様の構造を持つ別のトンネルでは打音を行っていたほか、マニュアルを共有する東日本、西日本両高速とも「5年ごとの詳細点検では必ず打音をやる」という。】笹子トンネル事故 打音検査せずhttp://t.co/4w18YzhU
mu0283 2012/12/09 09:57:49
http://togetter.com/li/420014

このまとめは、私大教員である「mu0283」氏が作成したようである。この中で、名前が特定できるのはNPO法人自立生活サポートセンター・もやい所属の稲葉剛氏と、経済学者で元官僚、そして大阪市特別顧問である高橋洋一氏である。

このやりとりから復元すると、都知事候補者である宇都宮健児氏が、「道路公団が民営化する際、猪瀬さんは維持管理費の3割カットを提言し、結果的に取り入れられた。確かに、H14のこの資料にも「維持管理に要する費用の合計額から概ね 3 割以上の縮減を目指す」と書いてあると述べ、猪瀬氏に迫った。そして、猪瀬氏は「違う。打音検査は2000年にやめてるから。民営化は2005年ですから。事実関係を、正確に言わないといけません。」と反論したということのようである。つまり、猪瀬氏は、笹子トンネル事故の原因となった打音検査の中止と民営化は無関係だといいたいのだ。

 しかし、猪瀬氏は、2000年には打音検査が行われていたことを故意か間違いかはわからないが、無視している。大体5年おきで検査していると考えられるので、猪瀬氏の言い方では民営化と打音検査中止の関連性を否定できないといえよう。

もちろん、笹子トンネル事故については、設計上もしくは施工上の問題も原因としては考えられる。そして、中心的な責任者としては、当然のことだが、中日本高速道路会社の幹部にある。しかし、道路関係四公団民営化推進委員会が無責任にコスト削減を目的とした分割民営化を主張し、その結果として、コスト削減を目的として笹子トンネルにおける打音検査が中止され、今回の事故を招いたとみることができる。

そこで問われているのは、コスト削減を目的とした民営化の是非ということである。ほとんど、マスコミの多くは報道しないが、このことは、都知事選における大きな争点になっているといえるのである。

参考
http://kongojia.exblog.jp/17382739/
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/index.html

クリックして35siryou2-3.pdfにアクセス


http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/incident/snk20121209063.html
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0404U_U2A201C1CC1000/?dg=1

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東京都知事選と衆議院議員選挙の選挙期間中となった、2012年12月7日も、首相官邸前行動は続けられていた。

さすがに、脱原発派の候補が、都知事選においても衆院選でも立候補している状況であり、コールでも「国会変えよう」「官邸変えよう」という選挙関連のものが目立つようになった。都知事選候補者も、この抗議の場においてスピーチしていた。

その中で、ここで紹介したいのが、次のエピソードである。

12月7日の抗議行動の終りの方、私は、国会前交差点付近で行っているドラム隊のところにいた。ここでも、選挙関連のコールが目立っていたが、最後は、いつも通り、ドラムのリズムにあわせて「再稼働反対」と皆で声をあわせ、盛り上がっていた。

そして、20時になり、ドラム隊のパフォーマンスが終わった時、思いがけないことがおきた。ドラム隊でドラムを叩いていた女性が、「候補者」として紹介され、ドラムを置き、「候補者」のたすきをかけて、スピーチを始めたのである。そのスピーチを下記に掲載しておく。

みなさん、きょうもお疲れさまです。

こういうたすきをかけております。

いろいろな脱原発活動を通して、官邸前、何回も何回もきて、

署名では変わらない、デモじゃ変わらない、ずっといわれていました。

変わりました。

私の姿はデモから生まれた姿。

全国、世界で、本当に脱原発を望んでいるみなさんの熱い思い、ひとつひとつの行動が、

私を、今、ここに立たせています。

デモから変わる、デモから変わる。

デモから変える、デモから変える。

この、今、私たちの手で、社会は変わっている。

新しい 進化が生まれている。

デモって、ものすごい力なんだなって、

すごい思ってます。

ここまで続けてきてくれて、本当にありがとうございます。

たくさんの人たちが、この場に交流できる。

その場を作ってくれて、

本当にありがとうございます。

だから、もっともっと、みんなで、

新しい人たちを作っていく姿を送り出していく。

ここから、デモから、やっていきましょう。

ありがとうございます。どうもありがとうございます。

http://ameblo.jp/the-river/day-20121209.htmlより

*私もスピーチをその場で聞いていたのだが、その場で記憶できず、上記ブログにアップされた動画から聞き取った。本来はスピーチした人の名前を出すべきだが、公職選挙法のある解釈では「選挙行動」とみなされる可能性があるので、ここでは不本意ながら氏名掲載を差し控えさせてもらった。

「デモから変わる、デモから変える」…。この言葉は、このスピーチの核心であるとともに、この日の官邸前抗議行動に来ていた多くの人たちが共有していた思いだったといえる。立候補した彼女の、たすきをかけた姿。その姿は「デモから生まれた姿」なのである。デモに象徴される脱原発への熱い思い、そしてそれぞれの行動が、「選挙への主体的参加」ということを生み出していっている。これこそが、「この、今、私たちの手で、社会は変わっている」ということなのだ。

このような思いがあって、初めて「選挙」というものが意味をもつ。いわば、「選挙」も手段の一つなのだ。人びとが実現したい思いがあって、はじめて選挙は「民意」を「代表」することが可能になるといえる。

これは、今や「日本維新の会」を組織している橋下徹とは全く相反している考え方である。朝日新聞2012年2月12日付朝刊に掲載された「インタビュー・覚悟を求める政治」において、橋下は、「有権者が選んで人間に決定権を与える。それが選挙だと思います…選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」と語っている。それは、たぶん、自民党や民主党、そして朝日新聞のようなマスコミが暗黙のうちに共有している前提なのだと思う。彼らにとって、「選挙民」が「主権者」であるのは、投票箱に投票する、その一瞬でしかない。その他の時間は、「白紙委任」されたと称して、権力を私物化し、選挙民が全く望まない政策を進める。消費増税やオスプレイ配備など、その一例にすぎない。

人びとが主体的に思いを表明し、社会を変えていく決意を示すことーそれがデモなのである。それを実現していく一つの手段として、選挙に参加する。「デモ」がなければ、「選挙」に主体的に関わろうという意識は、私にだってもち得なかったであろう。「今、ここにある危機」としての原発への恐怖は、人びとの思いを揺り動かし、デモへと結集している。そして、それが、選挙というもの、政治というものを、真に人びとのものとしてとらえかえす営為へとつながっていこうとしているのである。

まさに「デモから変わる、デモから変える、今、私たちの手で、社会は変わっている。」なのである。これが、この選挙におけるテーマであり、その後もテーマであり続けるであろう。

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朝日新聞2012年12月9日付朝刊の東京版(29面 東京北部)に、次のような記事が掲載された。東京都知事選も対象とした記事なので、全国版には掲載されず、ネット配信もされていない模様である。ここで、まず、全文を掲載しよう。

届けダブル選@派遣村 生活保護 怠けて来たんじゃない

 芋と野菜がゴロゴロ入った汁。プラスチックの器から白い湯気が立っていた。
 8日、京王線府中駅にほど近い府中公園。市民グループ「府中緊急派遣村」が9日まで開く「年末困り事相談会」の炊き出しを訪ねた。
 テントの中。職を失った人たちが、弁護士や看護師にとつとつと打ち明けている。突然の解雇のこと、健康面の不安ー。通りの向こうでは、選挙カーが候補者名を連呼していた。
 派遣村の村長が松野哲二さん(63)がつぶやいた。「人々が今、不安に思っていることや、困っていることは、今回の選挙では何一つ反映されていないような気がします」
 松野さんが定年後に仲間と派遣村を立ち上げたのは09年。自公政権の社会保障費抑制を強く批判した民主党政権の誕生に期待した。
 あれから3年。世の中では生活保護へのバッシングが高まり、与野党は、引き上げや現物支給案さえ話題にし始めている。もう、どこにも期待できない。
 炊き出しの手伝いをしていた女性(64)に話を聞くことができた。昨春から生活保護を受け、アパートで暮らしているという。
 中学卒業と同時に、育った施設を出て以来、働きづめの50年だった。サウナやラーメン屋の住み込み店員、子どもをおんぶしてのヤクルトの配達…。夫は早くに亡くなり、昨年2月まで市内の建設会社で住み込みの炊事係をしていた。だが男性作業員からの暴力や嫌がらせを受けて退職。住むところも失った。
 そこへ、東日本大震災が起きた。身を寄せるところもなく、公園で凍え、飢えた。結婚して家族との暮らしを必死で守っている子どもには頼りたくない。そんな時、松野さんに会った。
 生活保護を受けるように勧められた。でも、不安だった。軽蔑されるんじゃないか。決心がついたのは、体臭を気にする野宿生活者に、松野さんがかけたという言葉を人づてに聞いた時だ。「臭くないですよ。人間のにおいがします」ー。涙が止まらなかった。
 「政治家で、そんな風に思ってくれる人がどこにいると思いますか? 怠けて生きて、ここに来たんじゃない。私たちの人生をほんの少しでも聞いてほしい」
(市川美亜子)

この記事を読んで、どのように思われるだろうか。まず、第一番に言わねばならないことは、現時点で府中緊急派遣村が行っている「年末相談会」は緊急になさねばならない課題であるということだ。そして、この記事を、純粋に、府中緊急派遣村の「年末相談会」を社会に紹介し、貧困者に冷たい社会に対してその是正を訴えるものとして読むならば、それなりの価値をもつといえるだろう。特に、最後の「政治家で、そんな風に思ってくれる人がどこにいると思いますか? 怠けて生きて、ここに来たんじゃない。私たちの人生をほんの少しでも聞いてほしい」という女性の主張には共感を覚える人もいるだろう。府中緊急派遣村のサイト自体も、次のように評価している。純粋に宣伝としての意味があったということであろう。

昨日は、朝日新聞から別な企画で二名の記者が取材にきました。市川記者は社会部で選挙の連続記事で、松浦記者は経済部でサンキューハウスの集会で高見さんの話を聞いてやがて特集記事を書くために、一緒に炊き出し食べたりインタビューしたり長時間取材をされました。
市川さんは、早速今朝の東京版に大きく書いています。こんなこと言ったかな?と気恥ずかしい内容もありますが、相談に行こうと思う方々の目にふれていただければと思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/peace19th/MYBLOG/yblog.html

しかし、これは、「届けダブル選」と題され、衆議院議員選挙と東京都知事選挙を扱った選挙報道なのである。そのことを考慮にいれて、この記事を読むと様相は一変する。最初の場面で、選挙カーと「年末相談会」は対比的に示される。そして、府中緊急派遣村村長松野哲二氏の「人々が今、不安に思っていることや、困っていることは、今回の選挙では何一つ反映されていないような気がします」という発言が挿入される。そして、さらに「自公政権の社会保障費抑制を強く批判した民主党政権の誕生に期待した。あれから3年。世の中では生活保護へのバッシングが高まり、与野党は、引き上げや現物支給案さえ話題にし始めている。もう、どこにも期待できない。」と要約した形で松野氏の主張が述べられる。そして、最後に「政治家で、そんな風に思ってくれる人がどこにいると思いますか? 怠けて生きて、ここに来たんじゃない。私たちの人生をほんの少しでも聞いてほしい」という女性の言葉で締められるのである。

単純にいえば、政治家たちの選挙と反貧困の活動を対比的にのみとらえ、前者は、後者の思いを全く受けとめていないとして「糾弾」するという姿勢を有しているのである。

これは、確かに、生活保護費の圧縮を主張している「与野党」ー民主党・自民党・日本維新の会についてなら該当するといえよう。しかし、これらだけが政党なのか。すべての政党の公約にふれることはできないが、少なくとも、日本共産党や社会民主党は、生活保護制度の拡充を主張している。反貧困の活動と、衆議院議員選挙は無縁ではないのだ。

さらに、東京都知事選挙については、完全に次のことを無視している。都知事選の候補者の一人である宇都宮健児氏は、「会の目的は、人間らしい生活と労働の保障を実現し、貧困問題を社会的・政治的に解決することにある。」(規約第四条)として、反貧困運動を展開している反貧困ネットワークの代表であるということである。つまり、反貧困の問題は、都知事選の大きな争点の一つなのである。全く、そのことを看過して、一般的な「選挙不信」を募らせているのが、この記事なのである。

それでは、府中緊急派遣村自体はどのように言っているのだろうか。彼らのサイトからみてみよう。

府中緊急派遣村「年末相談会」開会宣言
2012年12月8日

 本日より、年末困り事相談会を開始します。
 今回で6回目となる相談会は、生活と労働に悩む人びとに一層厳しい状況下で開きます。世界を見ても、グローバル化が豊さをもたらすどころか貧富の格差を拡大させ中間層の下層への地滑りが広がっています。
 国内においても、底冷えの経済、殺伐とした社会状況が長期に続き、庶民の我慢と苛立ちを領土や国家へと向けさせ、さらに社会的弱者、とりわけ外国人労働者や生活保護者への攻撃に転嫁する政治勢力が暗雲のごとく覆っています。まるで戦前への回帰か、新たな戦前か、それとも大衆動員フアッシズムの到来というべき危険な状況です。そもそも金持ち勢力の彼らが、生活保護費をやり玉にあげるのは、単にお金の問題ではなく、社会をどこに向けさせるのかという価値観から政策として出されているのです。派遣労働や使い捨て労働者の蔓延も、彼らが企業中心社会を堅持し、働く者には知的文化的な暮らしをあきらめさせ、食うためにのみ働く従順な労働者になること、それができないのならば一生どん底に居ろという彼らの政策なのです。
 さらに、福島の原発犯罪で、製造企業東芝、日立、GE、運営管理会社の東電の社長は逮捕されることなく、原発の持続、輸出、拡大路線をひた走りしています。被曝労働、廃棄物、プルトニウム生産を見るまでもなく、原発は人類に敵対する一握りの富のかたまりです。
 私たちは、福島を思い、寄り添い、忘れずこれまで11回の福島現地支援を行動してきました。
 しかし、この選挙で予想される新たな政権は、原発拡大路線です。原発ゆるすまじの民意は反映されず動員煽動された投票が多数派を形成するという矛盾を許してはなりません。
 生き辛い人びとが一層生きにくくなるこの年末に、大切な選挙のさなかにあえて私たちは相談会を開きます。すべてが選挙に向かい、今困っている人びとが選挙に埋もれ窒息してはなりません。
 私たちは派遣村を地域で日常化する活動をしてきました。そこから自覚できたことは、第1に、森居さんが毎日新聞で語っているように本当に困窮している人たちの生活を知ることです。第2に、どんな人間も地域で仲間と共に健康で文化的に生きる権利があるということです。第3に人間は何度でもやり直すことが出来る。しかし、1人でできないことは仲間と共にすること。
 だからこそ、私たちは、決して仲間を貧困ビジネス施設に追いやらない。決して孤立の深みに追いやらない。決して国家の弱者、野宿者排除を許さない。決して健康と文化を奪う生活保護改悪を許さない。決して被曝労働を許さない。決して働く者の困窮化を許さない。
 そして、新たな仲間との出会いを求めてここにつどう。
 今回も多くの方々からご理解とカンパをいただき準備できました。2日間の相談態勢は、多摩弁護士会から4名の弁護士と荒木弁護士、大阪から萬田司法書士が待機します。府中診療所の看護士さん2名が健康相談に待機していただけます。
 炊き出しは昨年の相談者やみんなの村の仲間たちが腕によりをかけて準備しました。
 いくつかの福祉事務所から炊き出し物資を提供いただきました。
 派遣村労働組合は何度もハローワーク前などでビラまきもしました。 東京、読売、毎日新聞各社も報道してくれました。朝日は今日会場取材し明日報道する予定です。 皆さまにあらためてお礼申し上げます。 また、寒さをついての屋外相談です。カイロを用意しています。風邪を引かないよう充分温かくしてご活躍ください。
 となりの中央文化センターに会議室も用意しています。無理をしないで屋内相談に移動してください。
 では皆さん、胸は優しく温かく、頭はおおらかに冷静に、みんな仲良く2日間を過ごしましょう。 相談には耳をかたむけ、聞くだけではなく解決を共にする具体的な対応を心がけましょう。

府中緊急派遣村 松野哲二
http://blogs.yahoo.co.jp/peace19th/MYBLOG/yblog.html

「しかし、この選挙で予想される新たな政権は、原発拡大路線です。原発ゆるすまじの民意は反映されず動員煽動された投票が多数派を形成するという矛盾を許してはなりません。生き辛い人びとが一層生きにくくなるこの年末に、大切な選挙のさなかにあえて私たちは相談会を開きます。すべてが選挙に向かい、今困っている人びとが選挙に埋もれ窒息してはなりません。」ということである。彼らは、原発拡大派が政権をとることをよしとはしていない。「大切な選挙」としているのである。彼らとすれば、選挙戦において、貧困者が「埋もれ窒息」させてはいけないとして「年末相談会」を行ったとしているのである。

そして、彼らのサイトには「藤田祐司さんからも、相談会の成功を祈りつつ、衆院選を最後までがんばるとの決意メールも今朝届いています。」という記載がある。藤田祐司氏は日本未来の党の衆議院議員候補者の一人で、東京21区から立候補した。なお、21区には府中市は含まれない。彼らは、予想される選挙結果には不信をもっているだろうが、選挙自体を無視しているわけではないのである。

結局のところ、この朝日新聞の報道は、民主党・自民党・日本維新の会のみを「選挙の参加者」とし、その他の選択を全く排除することによって成り立っているといえる。そのことを、自分の口ではなく、貧困者やそれを支援する人の口を借りて語っている。「民・自・維」しか選択肢にないならば、だれが選挙にいくのだろうか。そういった形で、選挙自体への不信を結果的にあおりたてているといえる。

例え、積極的に選挙活動ができなくても、選挙権は行使できる。それに、府中緊急派遣村のサイトにも出ているように、既存の政党からではない形で選挙に立候補する人もいる。「府中緊急派遣村」の記事に出ていた人たちも、議員などになることもあるかもしれない。そのような可能性を見出さないまま、朝日新聞の記者は「選挙への絶望」を語っている。

記事を読むと、それなりに良心的な記者だと思う。しかし、その良心をはきちがえていると思う。それは、全く「政治」の枠を「小さくみる」ことから始まっているといえるのである。

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facebookをみていたら、福島第一原発が所在する福島県双葉郡双葉町の井戸川克隆町長が双葉町議会から辞任をせまられているという一報があった。驚いて、ネット検索してみた。福島民報は、2012年12月9日に、次のような記事をネット配信している。

町長に辞任要求へ 双葉町議会、週明けにも
 福島県双葉町議会は8日までに井戸川克隆町長に対し辞任を求める方針を固めた。週明けにも辞任の要求書を井戸川町長に提出する方向だ。
 町議会は7日に開いた全員協議会で意見を調整した。町議によると、井戸川町長が議会と情報の共有化に努めていないことなどが辞任要求の理由として挙がったという。
 全員協議会では11月28日に福島市で開かれた中間貯蔵施設に関する県と双葉郡との協議に井戸川町長が欠席したことも問題と指摘された。町議の1人は「協議に出席して町の意見を伝えるべきだった」と話している。
( 2012/12/09 10:34 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201212095369

前段の理由はある程度あっただろうが、辞任要求の理由にはならないだろう。むしろ、後段の「中間貯蔵施設に関する県と双葉郡との協議に井戸川町長が欠席した」ことが辞任要求の大きな理由と考えられる。

このことについては、遡って考えてみる必要がある。除染などで出た放射性廃棄物の中間貯蔵施設を双葉郡内に建設する案については、昨年から提起されていたが、住民らの反発にあっていた。その代表者が井戸川克隆双葉町長であった。「容認派」も含めた昨年末の状況を福島民報は次のように伝えている。

【双葉郡に中間貯蔵施設要請】住民、怒りと落胆 「帰れなくなる」 除染のため必要の声も

 細野豪志環境相兼原発事故担当相が28日、中間貯蔵施設の双葉郡内への設置を佐藤雄平知事に要請したことに対して、双葉郡の住民からは長期間にわたり廃棄物が貯蔵されることに怒りと落胆の声が上がった。一方で、仮置き場の確保のためには決断が必要との声も。双葉郡各町村長は重い宿題を課せられ難しい決断を迫られる。県が、受け入れに向けて動きだすとしても関係町村を説得できるかなど乗り越えなければならない課題は多い。

■反発
 「土地の買い上げや生活費の賠償がなければ絶対に受け入れられない」。会津若松市の仮設住宅に暮らす大熊町の無職荒木俊夫さん(63)は中間貯蔵施設の設置について憤る。
 自宅は東京電力福島第一原発から約4.5キロ。線量だけでみれば、自宅周辺は「帰還困難区域」になる。「この先の生活が全く見通せず、不安は募るばかり。国、東電が今後、きっちりと対応してくれるのか」と疑問を投げ掛ける。
 東京電力福島第一原発が立地する双葉町に住み、会津地方に避難している高校3年生の高野安菜さん(18)は「しばらく帰れないと覚悟はしているけど、施設建設は本当に嫌」と強く拒絶した。原発事故から9カ月半。埼玉県などに避難した同級生とは会えない日が続く。年越しが迫るが「年始の準備なんてする気になれない」という。「中間」とはいえ、施設が設置されれば最大30年間、廃棄物が貯蔵されることになる。「(郡内設置が)はっきり決まったわけではないんですよね」と念を押しつつ、「10年以上もお世話になった町。思い出が壊れてしまう」と声を落とした。
 中間貯蔵施設の候補地として有力視された両町の住民の反発は強い。

■気持ち複雑
 「原発周辺に施設を造れば帰ることができなくなるのでは」と不安をのぞかせているのは福島市の借り上げ住宅に避難する浪江町の理容師、小川昌幸さん(44)。子どもは帰りたいと言うが「完全に元の状態になった上でなければ不可能な話。何とも言えない」。
 茨城県つくば市に避難している双葉町の双葉ばら園主、岡田勝秀さん(67)は「中間貯蔵施設は双葉郡外にとの考えもあるが、現実は厳しいだろう。仕方がないのではないのか」と考えている。ただ、40年以上前から開墾し整備してきた自慢のばら園を思うと気持ちは複雑だ。
 郡山市の仮設住宅に夫妻で暮らす富岡町中央行政区長の遠藤武さん(68)も「断りようがない。やむを得ない状況なのだろう」と言葉を選んだ。「建設するなら国は土地の買い上げなどそれに見合ったものを提供すべきだ」と求めた。双葉町から白河市に避難している60代の男性は「他県が引き受けることは実際には考えられない。避難者の生活保障を東電任せにせず国がきちんと対応することが重要だ」と指摘した。

■温度差
 中通りで除染問題に悩む住民は、仮置き場からの搬入先となる中間貯蔵施設の議論が始まったことに安堵(あんど)しながらも、双葉郡住民の心情を思い、複雑な気持ちでいる。
 福島市渡利の看護師出雲キヨさん(75)は「これでようやく除染が進む」と話す。渡利地区は市内で比較的放射線量が高く、市が年明けに本格的な除染を予定している。しかし、市は仮置き場の選定に慎重になり、まだ設置場所が確定していない。中間貯蔵施設が決まれば、仮置き場問題も進展すると考えている。「ただ、双葉郡の住民のことを考えると非常に難しい問題だ」と語った。
 郡山市の桑野第2町内会長の今泉久夫さん(78)も地域の通学路の除染で出る土砂などの仮置き場が決まらないのが悩みだ。しかし、「双葉郡の住民にすれば到底納得はできないだろう。国が安全を確保するという約束が必要だ」と強調した。

地域にどう説明 各首長”重い宿題”
■険しい道のり

 双葉郡の首長らは協議会後、重い宿題に直面し表情を曇らせた。
 双葉地方電源地域政策協議会長の遠藤勝也富岡町長は「8町村で議論したい」と気を引き締める。その上で「住民の理解は難しい仕事。双葉郡だけで解決できる問題ではなく、県と連携し前に進みたい」と語った。
 渡辺利綱大熊町長も「双葉郡の全体的な問題で、町単独で判断することではない」とする。施設の設置場所については「(建設に)手を上げる自治体はないだろう。施設のマイナスイメージの払拭(ふっしょく)は容易でない」と決定までの道のりの険しさをにじませた。
 協議会で中間貯蔵施設の議論になると「議題に乗っていない」と議事を止めたのは双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長。しかし、町村関係者の多数決で議事は継続になった。施設を1カ所とすることも示され「国は以前、数カ所と言っていた。信用できない」とぶぜんとした表情だった。
 一方、浪江町の馬場有町長は「今日はあくまでスタートライン」と受け止める。中間貯蔵施設はマイナスの印象が強いことも理解している。「県外の避難者が町に戻って来なくなる心配もある」と悩みを深めた。
 中には中間貯蔵施設の役割を重く受け止める首長もいる。草野孝楢葉町長は「除染には施設が必要で、双葉郡内に設置するのはやむを得ないのではないか」と受け入れ容認の考えを示した。松本允秀葛尾村長は「建設に向けた話が出たことはいいこと」と前向きに受け止めた。
 また、遠藤雄幸川内村長は「帰還に向けて除染と処分場は必要。相反する部分の解決をどうするかが課題だ」と指摘した。黒田耕喜広野町副町長は「双葉郡が足並みをそろえて協議することが大切だ」と淡々と語った。
 各首長の間にも施設の受け止め方に温度差が出始めている。
■申し訳ない
 細野豪志環境相兼原発事故担当相は佐藤雄平知事との会談の中で、何度も「申し訳ない」と頭を下げた。
 本県の最大の課題である除染を進めるため、「いずれかの場所に中間貯蔵施設を造らなければ除染が進まない」として、双葉郡内に中間貯蔵施設を設置したいとする考えを切り出した。
 県幹部は「中間貯蔵施設を受け入れるかどうかは双葉郡の町村の意向が前提となる」とした上で、「双葉郡内での調整が難しい場合は、県としても調停役を務める」との考えを示す。
 しかし、ある双葉郡の議会関係者は「県は判断を双葉郡に丸投げしているような印象だ。しっかりとリーダーシップをとるべきだ」と県の姿勢を批判した。

【背景】
 環境省は10月29日に除染で出た放射性物質を含む土壌などの廃棄物を保管する中間貯蔵施設を今後3年程度を目標に県内に整備し、廃棄物は貯蔵開始から30年以内に県外で最終処分するとした工程表を示した。中間貯蔵施設に廃棄物を搬入するまでの間は各市町村が設ける仮置き場での一時保管を求めている。仮置きの前提となる中間貯蔵施設の建設が具体化しなければ、仮置き場の確保も進まず、除染が滞る懸念もある。
(2011/12/29 15:19カテゴリー:3.11大震災・断面)
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/12/post_2881.html

ところが、8月19日に政府が、双葉・大熊・楢葉町の12ヵ所を候補として、現地調査に協力してほしい旨を依頼した。8月23日には大熊町議会が現地調査を受け入れる方針を決めた。そして、10月17日には双葉町議会も中間貯蔵施設建設を条件付きで受け入れるとした。それを伝えるのが、福島民報の10月18日付のネット記事である。

条件付き受け入れ方針 中間貯蔵施設で双葉町議会が町民懇で示す
 双葉町議会は、東京電力福島第一原発事故による汚染廃棄物を運び込む中間貯蔵施設建設を条件付きで受け入れる方針を固めた。17日、福島県南相馬市で開いた町民と議会との懇談会で明らかにした。
 懇談会で伊沢史朗副議長は「議会の中での意見調整はついている。放射性廃棄物は全国どこの自治体でも引き受けない。双葉町が引き受けざるを得ない」と述べた上で、「ただし、単に受け入れるのではなく条件が必要。賠償などを議会として考えている」と強調した。菅野博紀議員は賠償や町民の健康確保などを受け入れ条件に挙げ、「8人の議員が話し合った議会の統一見解」と述べた。
 出席者からは「(受け入れるための)条件を国に提示して話を進めるべき」などの意見が出された。
 井戸川克隆町長は国が一方的に施設設置を提案していると強調。明確な理由を示すように求め、設置に否定的な考えを示している。
( 2012/10/18 09:02 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201210184304

しかし、ここでも、井戸川克隆町長は、中間貯蔵施設受け入れ拒否の姿勢を貫いたのである。ここで、中間貯蔵施設受け入れについて、町長と町議会が対立したのである。

そして、11月28日、佐藤雄平福島県知事は、双葉郡の町村長との協議会を開き、そこで、中間貯蔵施設建設についての現地調査受け入れの方針を正式に示した。つまり、福島県としても双葉郡への中間貯蔵施設建設を容認する方向に向かったといえよう。しかし、井戸川克隆双葉町は、双葉地方町村会会長であったが、この協議会を欠席した。現時点では中間貯蔵施設の受け入れを容認できないという初志を貫徹したといえよう。福島民報は、11月29日に次のような記事をネット配信している。知事の「建設容認ではない」というのは、言い訳にしても苦しい。

知事、現地調査受け入れ 中間貯蔵施設 「建設容認ではない」
 東京電力福島第一原発事故による汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設の整備をめぐり、佐藤雄平知事は28日、建設候補地の現地調査の受け入れを表明、長浜博行環境相に伝えた。施設建設の受諾ではないことを明確にすることなど3項目を条件に挙げている。環境省は年明けにも調査を開始し、3カ月程度で終了させる方針だ。
 福島市で双葉郡の町村長との協議会を開き、(1)調査受け入れと建設の受け入れは別であることを明確にする(2)地域に対する丁寧な説明と設置者としての責任をしっかり果たす(3)調査の状況を適時に報告する-を条件に受け入れることで一致。長浜環境相に全ての条件を着実に実行するよう申し入れ、対応策を示すよう求めた。
 長浜環境相は同日、環境省内で記者団に対し、「施設の設置受け入れではないことを佐藤知事との間で確認した」と説明。佐藤知事が挙げた条件に応じることを明らかにした。環境省は地権者の確認と、同意を得る作業に並行して年内にボーリング調査などを行う業者を選定する。
 協議会終了後、佐藤知事は記者団に「調査しなければ、施設の安全性を確認できない。広域自治体の長として苦渋の決断をした」と説明する一方、「現地調査の受け入れであり、建設を認める訳ではない」と強調した。
 環境省は今年8月、建設候補地として大熊町の9カ所、双葉町の2カ所、楢葉町の1カ所を示し、県、双葉郡8町村に現地調査の受け入れを要請した。
 建設候補地を抱える双葉町の井戸川克隆町長は、「国の説明を受けていない」として協議会を欠席した。同町の建設候補地には町有地が含まれており、地質などを調べるボーリング調査の実施には町の同意が必要となる。

( 2012/11/29 08:08 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201211295149

これが、結局、佐藤知事の現地調査受け入れを唯々諾々と容認した、他町村長たちの怒りを買った。井戸川克隆に双葉地方町村会会長の辞任を迫ったのである。それを伝える福島民報の11月30日のネット記事を下記に示す。

井戸川会長に辞任要求 双葉地方町村会の町村長
 双葉町を除く双葉郡の7町村長は29日、双葉町の井戸川克隆町長に双葉地方町村会長を辞任するよう求めた。井戸川町長は28日に福島市で開かれた、中間貯蔵施設の整備をめぐる知事と双葉郡8町村長の協議会を欠席したため。
 同町村会副会長の山田基星広野町長は29日、井戸川町長に電話で連絡し、30日までの返答を求めた。山田町長によると井戸川町長は辞任について即答せず「8町村長が集まる場を設けたい」との意向を示したという。
 複数の町村長によると、井戸川町長は2月に国と双葉郡8町村の意見交換会を欠席していることなども背景にある。28日の協議会終了後、7町村長から「国や県を交え(会合には)重みがある。いかなる理由があっても会長として出席すべき」との声が上がり、総意として辞任を求めることにした。
 正副会長の任期は平成25年3月末。
( 2012/11/30 10:17 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201211305185

そして、早期に受け入れを表明した大熊町には、政府から「恩賞」を与えられた。中間貯蔵施設の候補地を9ヵ所から6ヵ所に減らすというのだ。それを伝える12月6日の福島民報のネット記事を下記に示す。しかし、「(減らす3カ所があるのは)サケが遡上(そじょう)する熊川の周辺。扱いは慎重にすべきという実感を持った。町の意向に沿うようにした」というのは……。悲しくて言葉もでない。

大熊町の中間貯蔵施設建設候補地 9カ所から6カ所に減らす方針
 東京電力福島第一原発事故による汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設の建設をめぐり、環境省は5日、大熊町の9カ所としていた建設候補地を6カ所に減らす方針を町と町議会に示した。町内南部の3カ所を北部6カ所に集約させる。ただ、同省は施設に搬入させる土壌などの量を減らさない方針で、北部6カ所の施設の面積は増える可能性がある。
 同省の小林正明水・大気環境局長が5日、会津若松市で渡辺利綱町長、千葉幸生町議会議長らに方針を説明した。同省は候補地の対象としない3カ所について現地調査をしない。小林局長は「(減らす3カ所があるのは)サケが遡上(そじょう)する熊川の周辺。扱いは慎重にすべきという実感を持った。町の意向に沿うようにした」と理由を述べた。
 一方、施設に搬入する土壌の量については「一定の容量は確保できるようにする。候補地が北部の6カ所に加え、周辺地域に広がる可能性はある」と話した。同省は現地調査の準備作業を年内にも始める予定。
 説明を受けた渡辺町長は「(熊川周辺を候補地としないよう)町民感情も考えて要請していた。削減は当然」と語った。ただ、「施設に搬入する土壌の量や最終処分場の在り方など全体的に不明確な部分も多く、調査結果が出た上で町の対応を考えたい」とした。今後、区長会を開いて報告し、地権者、町民に説明する方針。
 千葉議長も「熊川周辺は自然豊かで観光面からも復興のシンボルの一つとなる」と同省の方針を一定程度評価したが、搬入する土壌の量などの説明が不明確と強調し「説明に根拠があるのか疑問」と述べた。
( 2012/12/06 11:38 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201212065308

たぶん、これが決め手になったのだろうと思われる。双葉町議会はそもそも中間貯蔵施設の条件付き受け入れに賛成していた。しかし、井戸川克隆町長の受け入れ拒否の姿勢は堅い。しかし、大熊町が早期受け入れを表明して「妥協」(考えてみれば考えてみるほど悲しい「恩賞」である)を獲得したことに刺激され、早く交渉しなければという気持にかられたのであろうと思われる。大熊町で減らした分を双葉町に押しつけられては困るというのだろう。

まず、「双葉地方町村会」を使って、一見強制でない形をとって「合意」をとり、反対派の井戸川克隆町長を孤立させていく。他方で、大熊町と双葉町を「容認」について競わせているが、福島第一原発を建設する際にも、福島県は大熊町と双葉町を競わせて、原発誘致に積極的にさせようとしていた。そして、最終段階で、町議会が井戸川町長に辞任要求をつきつけるというのである。こういう形で、現在、井戸川克隆町長は難局に直面しているといえる。

そして、「総選挙」という状況を利用していることも注視しなくてはならない。普段であれば、そもそも双葉郡における中間貯蔵施設建設容認、そして、そのことを背景にした井戸川克隆町長への辞任要求は、かなり大きなスペースで伝えられるはずである。そのことについての批判も大きいはずだ。しかし、現時点では、総選挙報道に塗りつぶされてしまっている。ほとんどの人ー特に埼玉に避難している双葉町民ーが、十分検討できない状況をねらって、重大なことが行われようとしているのである。

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