今、現在、政府は、「エネルギー・環境会議」を設置して、その審議より、2030年の電力における原子力発電の比率を0%、15%、20〜25%の三つの選択肢が選ぶこととし、この三つのシナリオについて、意見聴取をする意見聴取会を全国11都市で開催している。この意見聴取会は、この三つのシナリオを支持する人をそれぞれ3人づつ、都合9人を公募・抽選によって選出し、意見を述べさせるというものである。
7月18日現在、さいたま市(14日)、仙台市(15日)、名古屋市(16日)と開催されてきた。その内、仙台市では東北電力幹部が、名古屋市では中部電力社員が出席して、原発推進の議論を展開し、批判をあびている。
ここでは、16日の中部電力社員が意見聴取会で述べた内容を紹介しておきたい。これは、電力会社など、いわゆる原発建設を推進してきた原子力ムラの人びとが、どのように福島第一原発事故をみたうえで、原発推進の正当性を求めているのかを示す、一つのケーススタディになるといえる。なお、典拠はhttp://www.ustream.tv/recorded/24030483の動画であり、この動画から、私自身が聞き取ったものである。聞き間違いもあるかもしれないし、また、ある程度、要約してしまったところもある。さらに、表現も、現物は「です、ます」調だが、ここでは、簡潔にするために「だ、である」調に直した。気になる方は、典拠の動画をみてほしい。中部電力社員は3番目で、話す時間も10分しかない。
まず、彼は、自身が「中部電力に勤める会社員」であると自己紹介しつつ、個人として20〜25%シナリオを選択する意見を申し述べると述べた。そして、このようにいう。
今回のように、原子力発電の必要性の議論になると、大抵、安全か経済かの二項対立になることが多い。具体的には経済成長よりも安全、命のほうが大事だという論調になる。しかし、私はこの二つを全く別のものとは考えていない。世界では貧困でなくなっている方が多数いる。薬や医療技術があってもお金がないから救えないということがたくさんある。以前、おにぎりが食べたいといって、なくなった方がいらしゃった。これも経済が回っていて福祉にお金が行き届いていれば、救えた命ではないかと私は思う。
まあ、安全や命も経済次第であるということになる。そして、経済が回っていたら、貧困によって命が失われることがなくなるということになるだろう。
そして、これは、福島第一原発事故以後の福島県にもあてはまることだと、彼はいう。
昨年の福島事故でもそうだったと私は思う。放射能の直接影響でなくなった方は一人もいらっしゃらない。それは、5年10年たっても、この状況は変わらないと私は考えている。…疫学のデータからみたら、これは紛れもない事実だ。それは、5年10年たてばわかる。
…実質的な福島事故の被害とは何だろうか。これは、警戒区域等を設置することによって家とか仕事をうしなってしまったり、あるいは風評被害とか過剰な食品規制値の設置によって、せっかく作り出した作物が売れなくなってしまうことによって、先行きを悲観した人が自ら命をたたれたりするとか、体調をくずしてしまったりするとか、生活がたちゆかないということが発生している。これは、まさに、経済的な影響が安全や命をおかしてしまった例と私は考えている。
彼は、福島第一原発事故がもたらした福島県ーいや、少なくとも東日本全域におよんでいるがーの窮境は、放射能汚染によって生み出されたものとしてはみていない。放射能汚染ではだれも死んでいないし、長期的にみてもそうだという。むしろ、この窮境は、警戒区域等設置、風評被害、食品規制値設定など、いわば放射能汚染対策によって引き起こされた経済的な影響によるものだといっている。この論理でいうならば、福島第一原発事故において経済的に悪影響を及ぼす放射能汚染対策はすべきではなかったし、そのことが安全や命をおかすことになったということになる。
そして、彼は、このように主張する。
私は経済的なリスクが、命や環境の安全リスクにつながることとしてとらえられていないということを懸念している。経済が冷え込んで、消費が衰退して、企業の国際競争力が低下してしまえば、福島事故と同じこと、あるいはそれ以上のことが日本全体でおこると考えている。そういう視点で私たちは各シナリオがどれだけ共有されているかということを問いたいと思う。放射能の影響に対する過剰反応で、脱原発の論調が席捲している。しかしながら、報道されている内容にかたよりがないか。私は各シナリオのリスクを理解・覚悟した上で、国民がそのシナリオを選択するならば、それはしかたがないと考えている。でも、それで、本当にやっていけるか。私は無理だと思う。
経済的衰退は、彼にとって、福島第一原発事故以上のカタストロフィーなのである。彼にとって、脱原発の論調は「放射能の影響に対する過剰反応」によって引き起こされたものとしてみている。そして、原発を減らすような選択は「無理」なのである。
ここから、原子力の代替エネルギーが、どれほどリスクをおっているかを、事細かに彼は主張している。先にみた議論よりは常識的でわかりやすいが、その主張の是非云々を議論する気はないので、ここで簡単に概括しておこう。太陽光・風力・地熱発電などの再生可能なエネルギーは、設置費用もかかるし、耐用年数も短く、設置場所にも限界がある。水力発電も拡張の余地はない。ゆえに、再生可能なエネルギーによって電力供給を35%賄おうとすることは、最初から破綻している。結局、火力発電に頼らざるをえないのだが、火力発電の場合は、多額の燃料費が海外に流出するということになる。火力発電コストの大半は燃料費であり、人件費を削っても限界がある。さらに、お金では解決できないこととして、火力発電の燃料は中東に多く依存しており、その政情不安(例えばイランとアメリカの紛争によりホルムズ海峡が封鎖されるなど)によって、エネルギー供給がたたれることになりかねないことをあげている。
最後に、彼は、このように概括している。
最後に、公平のために、私は20から25%シナリオにもリスクがあることを申し述べて話を終わりたい。ただし、それは原子力のリスクではない。再生可能エネルギーを20から25%シナリオでも引き上げるという前提が入っているというリスクがある。これは15%シナリオでもそうだが、程度の差こそあれ、財政負担とか、スケジュールが困難であるとか、用地の買収が不可能であるとか、かかえている問題は0%シナリオと同じである。つまり、このシナリオ(20〜25%シナリオー引用者注)も破綻したシナリオである。結局、最後は、中東の情勢が不安なことにひやひやして、高い電気料金を払い続けるという結末は変わらない。私は35%シナリオがあれば35%、45%シナリオがあれば45%を選択した。その方が安全だろうからである。提示されたシナリオは、原子力のリスクを過大に評価したと思う。このままでは、日本は衰退の一途をたどると思う。国民の皆様の冷静な判断を望む。
まあ、全体は、こういう話なのである。この中部電力社員の発言については、全体が報道されていない。そのため、往々として、避難や放射能汚染規制のためなどで自殺者が出ていることを無視しているなどという批判がされていることがある。彼は無視はしていない。むしろ、たぶん、放射能の影響に対する過剰反応による警戒区域設置や食品規制値設定などの規制によって経済的に悪影響が及んだ結果としてみているといえよう。そして、福島第一原発事故は、このような放射能への過剰反応による経済的悪影響の前例としてとらえられているといえる。
今まで、原子力ムラの人びとが原発廃炉において電力供給上のリスクをもちだしてくる論理は、私なりに理解可能であった。しかし、福島第一原発事故をとらえ、それをどのように認識しているかは私もよくわからなかった。あれほどの事故があっても、実質的な安全対策をなぜとらないか、疑問であった。ようやく氷解した。福島第一原発事故は、放射能汚染で直接人が死んでいない。むしろ、このことで、過剰な対策をとったことが経済的な悪影響となった。今後、原発の安全性を考慮して原発を廃炉していくことは、経済上の悪影響を惹起し、日本全体が福島以上の窮境に落ち込むことになることになる。それを福島は示している。そういう論理なのだろう。
こういうふうに考えているーこの論理は経団連なども同様らしいがー人びとと対峙しているのだということを、この中部電力社員の発言は示してくれているといえる。政府は、さすがに事業者である電力会社社員が意見聴取会で発言することは公平ではないとして、以後、電力会社社員の発言はとりやめるそうである(しかし、前年の九電やらせメール事件で、このような問題が惹起されることは予想できたと思うのだが)。といいつつ、むしろ、このような意見を電力会社社員が公言することによって、彼らの意図とは逆に、社会一般に、その考え方の危険性を理解させていくということになっていっているのだと思う。
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