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Archive for 2011年10月19日

本ブログで、カタログハウスの店・東京店において「福島さん」野菜を販売する試みを以前紹介した。

その時は、カタログハウスの店・東京店を実際に見ていなかったので、2011年10月15日に実際にいってみた。

本来は写真撮影は遠慮すべきだったのだが、結局、ブログに使うということで、写真を結果的に使えることになった(ありがとうございます)。

カタログハウスの店・東京店は、新橋駅前にある。一般的には「都心」といえるであろう。ビルの一・二階が店舗になっている。それほど大きくはない。基本的に通販であり、その一部を販売しているという感じである。食品などより、枕などの生活用品が目立つ印象がある。二階には講演会場もある。たぶん、『通販生活』のアンテナショップなのであろう。

カタログハウスの店・東京店(2011年10月15日撮影)

カタログハウスの店・東京店(2011年10月15日撮影)

「福島さんの野菜」コーナーは、1階入口付近の、かなり目立つところにあった。ここでも「ウクライナの基準合格」を強調していた。カタログハウスとしては、力を入れている企画だと感じた。

「福島さんの野菜」コーナー(2011年10月15日撮影)

「福島さんの野菜」コーナー(2011年10月15日撮影)

店舗の入り口には、このような看板がたっている。販売する野菜・果物の放射性セシウム含有値をそれぞれ示しているのだ。ほとんどが10ベクレル未満になっている。つまりは検出限界ということなのであろう。ただ、ぶどうの一部は23ベクレル・17ベクレルとやや検出されている。果物は比較的セシウムがあることが多いことは承知していたので、これも想定通りであった。もちろん、野菜は40ベクレル、果物は70ベクレルという「ウクライナの基準」以下ではある。

放射性セシウム検査値をしめす看板(2011年10月15日撮影)

放射性セシウム検査値をしめす看板(2011年10月15日撮影)

実際の売り場は、このようになっている。値札をみてほしい。ミニきゅうり280円、ピーマン210円、ニンジン220円、ナス230円…。そんなに安くはない。比較的高級食材を売ることがメインであるスーパーマーケットなみの値段といえるのである。

野菜売り場(2011年10月15日撮影)

野菜売り場(2011年10月15日撮影)

ここでの商品は、基本的に生産者特約で買い入れている。それも明示している。

生産者を明示する掲示板(2011年10月15日撮影)

生産者を明示する掲示板(2011年10月15日撮影)

そして、極め付きは、店舗内に鎮座している放射能測定器である。本体の上にかなり大きなディスプレイがあり、検査結果がわかるようになっている。出荷している福島県側でも測定しているとされている。普通は、店舗内におくようなものではない。まさに、この放射能測定器が、「安心」を強調する、最大の宣伝アイテムとなっているのである。

放射能測定器(2011年10月15日撮影)

放射能測定器(2011年10月15日撮影)

放射能測定器のディスプレイ(2011年10月15日撮影)

放射能測定器のディスプレイ(2011年10月15日撮影)

店内には、「福島さんの野菜」を推奨する有名人の看板もあった。西田敏行・田部井淳子・永六輔・山本太郎・小泉武夫・鎌田實という面々である。

「福島さんの野菜」を推奨する有名人(2011年10月15日撮影)

「福島さんの野菜」を推奨する有名人(2011年10月15日撮影)

実際に、ナス(230円)を購入してみた。1袋に3個。やはり高級スーパーなみの値段である。ただ、それぞれが大きくて、肉が多いと感じた。たぶん、特約生産者による注意深い農作業のたまものであろう。

福島県産ナス(2011年10月17日撮影)

福島県産ナス(2011年10月17日撮影)

一言でいえば、かなり頭のいいという意味での、スマートな売り方だといえる。「放射能測定器」というアイテムを使用し、さらには、現行の暫定基準よりも厳しい基準を採用することで、「安全」という付加価値をつける。一度「安全」ならば、被災地福島県産の野菜を買うという積極的な購買意欲を掘り起こすことができる。それゆえ、ある意味で、かなり高い値段で売ることが可能となるのである。

といっても、それほど、カタログハウスとしては、この「福島さんの野菜」販売で大きな利益は見込んでいないであろう。むしろ、「安全な福島県産の野菜」を売ることで、カタログハウス全体のイメージをアップさせる、いわば「広告塔」のような役割もたぶん想定していると思われる。もちろん、カタログハウスとしての「信念」でもあろうが。ある意味では、企業戦略なのであろう。ただ、それは悪い意味ではない。ソフトバンクの孫正義社長が自然エネルギー導入を推進するということは、単に信念だけでなく、イメージアップという企業戦略もからんでいるであろうが、それ自体は評価すべきことである。それと同じような意味で、カタログハウスの試みも評価すべきなのである。

といっても、このような、イメージとしては成功(採算がとれているかいないかは不明だが)している売り方は、残念ながらたぶん少数であろう。そのことは、また別個に考える必要があるといえる。

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