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Posts Tagged ‘高濃度汚染水貯蔵タンク’

最近、福島第一原発の状況について、あまり注目されることがなくなっている。しかし、福島第一原発は、人びとが意識していようがいまいが、厳然と存在している。確かに、1号機・2号機・3号機は水で冷却され、直近に爆発する可能性は少なくなっている。4号機の燃料プールからの燃料棒の取り出しも始まった。しかし、福島第一原発からの汚染水の流出は止まっていない。また、原子炉を冷却した後の汚染水も鉄製貯蔵タンクにためこまれている。

さらに、この鉄製貯蔵タンク自体が問題となっている。1月9日付の次の読売新聞の報道をみてほしい。

汚染水タンクからX線、対策怠り基準の8倍超

 福島第一原子力発電所で、汚染水タンクから発生するエックス線の影響を東京電力が軽視し、対策を講じないままタンクを増設し続けていることが9日わかった。

 国が昨年8月に認可した廃炉の実施計画では、原発敷地境界の線量を「年1ミリ・シーベルト未満にする」と定めているが、12月には一部で年8ミリ・シーベルトの水準を超えた。

 現在、周辺に人は住んでいないが、作業員の被曝ひばく量を増やす要因になっている可能性がある。原子力規制委員会は10日に東電を呼び、対策の検討に入る。

 タンク内の汚染水から出る放射線は主にベータ線で、物を通り抜ける力が弱い。しかし、ベータ線がタンクの鉄に当たると、通り抜ける力の強いエックス線が発生し、遠方まで達する。

 東電によると、様々な種類の放射線を合わせた敷地境界での線量は、昨年3月には最大で年0・94ミリ・シーベルトだったが、5月には同7・8ミリ・シーベルトに急上昇した。汚染水問題の深刻化でタンクが足りなくなり、敷地の端までタンクを増設したため、エックス線が増えたらしい。

(2014年1月9日18時20分 読売新聞)

つまり、汚染水タンク自体が鉄製のため、汚染水が発するベータ線があたると、より透過力の強いX線が発生し、そのため、福島第一原発敷地内の放射線量が急上昇しているというのである。

ベータ線が鉄などにあたるとX線が発生するということは、一般的に知られていたことのようである。例えばWikipediaの「ベータ粒子」(ベータ線)の遮蔽に関する記述をみてみよう。

遮蔽

ヘリウム4の原子核であるアルファ粒子は一枚の紙で遮蔽できる。ベータ線の実体である電子では 1 cm のプラスチック板で十分遮蔽できる。電磁波であるガンマ線では 10 cm の鉛板が必要となる。
透過力は弱く、通常は数 mm のアルミ板や 1 cm 程度のプラスチック板で十分遮蔽できる。ただし、ベータ粒子が遮蔽物によって減速する際には制動放射によりX線が発生するため、その発生したX線についての遮蔽も必要となる。
遮蔽物に使われる物質の原子番号が大きくなるほど制動放射が強くなることから、ベータ線の遮蔽にはプラスティックなどの低原子番号の物質を使い、そこで発生したX線を鉛などの高原子番号の物質で遮蔽する、という二段構えの遮蔽を行う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF%E7%B2%92%E5%AD%90

汚染水タンクについては、鋼材をボルトでつないだだけのボルト締め型では水漏れのおそれがあるといわれていた。このようにみてみると、溶接型も含め、そもそも汚染水と鉄を直に接触させているタンク自体が欠陥品であったことになる。鉄製タンクの場合は、内部をプラスチックなどで遮蔽すべきだったのである。

この記事でも出ているように、この鉄製汚染水タンクの使用は、無用に放射線を増大させている。これが、福島第一原発の労働者に意味もない被ばくを強いていることはあきらかである。1月10日時点では、原子力規制委員会もこの問題について東電を呼び出して、協議するとしていた。

しかし、14日には、原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁は、次のような態度表明を行った。

ALPS性能不良、稼働のメド立たず…福島第一

 東京電力が福島第一原子力発電所で試験運転中の新型浄化装置「ALPS(アルプス)」について、原子力規制庁は14日の記者会見で、目標通りの性能が出ておらず、いつ本格稼働できるか分からないことを明らかにした。

 汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、62種類をほぼ完全に除去できるはずだったが、ヨウ素など一部の物質の除去性能が目標を下回り、改良を加えているという。

 同庁はまた、汚染水タンクから出るエックス線によって、敷地境界の放射線量が基準を大幅に超えている問題について、当面はタンクの設計変更などを求めずに増設を認める姿勢を示した。同庁の担当者は、設計変更の具体案がまだないとして、「(アルプスで汚染水中の)ストロンチウムなどを除去するのが一番」と説明した。

(2014年1月14日21時08分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140114-OYT1T01083.htm

まず、前段は、放射性物質浄化装置(「ALPS(アルプス)」)が性能不良で、本格稼働のめどがたたないということを告白している。ALPSは、トリチウム以外の放射性核種の多くを除去できるといわれているもので、稼働すれば、汚染水におけるベータ線の主な発生源であるストロンチウム90なども除去できることになる。しかし、ALPSについてのニュースは、いつも故障その他で本格稼働できないというものばかりであった。2014年1月時点でも、やはり、本格稼働できないのである。

しかし、後段は、ALPSの本格稼働のめどがたたないにもかかわらず、その稼働を期待するとして、X線の発生源になっている鉄製タンクの設計変更を求めないと主張している。確かに、本格稼働すれば、ストロンチウム90を除去することによって、ベータ線の発生をおさえ、鉄製タンクでもX線は生じないことになるだろう。しかし、そもそも、ALPS自体の本格稼働のめどが立たないのであり、ゆえに、鉄製タンクにストロンチウム90を含んだ汚染水を貯蔵しつづけるしかない。現状において、X線の発生を防ぐ措置は全く講じられないのである。福島第一原発自体の廃炉処理のように、手段自体が現時点の科学技術で考えられないわけではない。タンク自体の設計を変更すればいいのである。そのような指示をすることすら、原子力規制庁は放棄したのである。

そして、東電は、そもそも水漏れの恐れボルト締め型タンクの「延命」すらはかるようになった。東京新聞の次の報道をみてほしい。

欠陥タンク 延命図る 福島第一 漏水不安のボルト締め型

2014年1月22日 朝刊

 東京電力は、水漏れの不安を抱える福島第一原発のボルト締め型タンクに、漏水防止の延命策を施し、数年の間は使い続ける方針を決めた。漏水しにくく耐久性が高い溶接型タンクに早急に置き換えるとしていたが、増設が急速には進まず当初の方針から後退した。置き換えは来春以降にずれ込む見通しで、当面は弱点の底板の接ぎ目を止水材で補強し、だましだまし使い続ける。 (清水祐樹)
 タンク内の水は、溶け落ちた原子炉内の核燃料を冷やした後の水。放射性セシウムはおおむね除去されているが、高濃度の放射性ストロンチウムなどが残る。昨年八月には、一基から三百トンの水漏れが発覚し、周辺の土壌や地下水、さらには排水溝を伝って外洋も汚染した。
 東電が調べたところ、五枚の鋼板をボルトでつなぎ合わせた底板の止水材がはがれたことが水漏れの原因と判明。東電は、国からの指示もあり、全てのボルト締め型を溶接型に置き換えることを決めた。
 ただ、溶接型の増設には一基当たり二カ月前後かかる上、増設用地も不足しているため、東電は場所をとる割に容量の少ない小型タンクを撤去し、そこに溶接型を増設していく方針。ボルト締め型タンクを置き換えるだけの容量の余力ができるのは、早くても来年四月半ばになる見込みだ。
 このため東電は、ボルト締め型タンクの弱点である底板を二つの手法を併用して補修し、延命させてしのぐことにした。一つはタンク天板に穴を開け、そこから止水材を塗った鋼材を入れ、底板の接ぎ目にかぶせる方法。もう一つは、底板の接ぎ目とコンクリート基礎のすき間に止水材を注入する方法だ。いずれもタンクに汚染水が入ったままでも作業できるというが、ボルト締め型の根本的な弱点がなくなったわけではない。鋼材をかぶせる手法では、事前に作業員が水中ポンプを使って接ぎ目周辺の沈殿物を掃除する必要がある。高濃度汚染水のすぐ近くでの作業だけに、細心の注意が必要になる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014012202000128.html

汚染水タンクを「溶接型」にするということ自体、「反故」にされていく勢いである。ボルト締め型についても「延命」措置をして、「数年」は使うとのこと。これでは、「緊急措置」とすらいえない。ボルト締め型のタンクの場合、「漏水」と「放射線発生」という二重の欠陥をもっている。しかし、そのことは、当面、放置されるのである。本格稼働のめどがたたないALPSの稼働をあてにして…。

このようなことは、他でも見られる。多少、人びとの目が向かなくなったことを好機として、東電・原子力規制委員会・原子力規制委員会は、好き放題なことをしているのである。

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さてはて、福島第一原発における汚染水において問題の起きない時はない。例えば、10月2日には、たまった雨水を汚染水貯蔵タンクにためていたところ、雨水を入れすぎて、上部から0.43トンの汚染水が漏れ、一部は排水口をつたわって、港湾外に流失したことが報じられている。まず、下記の毎日新聞の報道をみてほしい。このようなことが報道されている。

福島第1原発:港湾外に汚染水流出「タンクに入れ過ぎた」
毎日新聞 2013年10月03日 13時21分(最終更新 10月03日 16時39分)

 東京電力福島第1原発の汚染水をためる貯蔵タンクから新たな漏れがあった問題で、東電は3日、推計約0.43トンが漏れたと発表した。一部は排水溝を通って港湾外の海に達したとしている。タンクを囲う高さ30センチのせき内にたまった水を、既にほぼ満杯状態だったタンクに移した結果、タンクの天板と側板の間からあふれたとしている。安倍晋三首相は「汚染水の影響は港湾内の0.3平方キロで完全にブロックされている」としているが、汚染水は港湾外に達した。【高橋隆輔、鳥井真平】

 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は3日の記者会見で「タンク満杯のぎりぎりを狙いすぎた。貯蔵計画にミスがあった」と語った。

 せき内の水からは、ストロンチウム90などベータ線を放出する放射性物質が1リットル当たり20万ベクレル、タンク内の水は、セシウム除去装置などで一旦処理した汚染水で、ベータ線が同58万ベクレル、セシウム134が同24ベクレル、セシウム137が同45ベクレル検出された。汚染水が流れた排水溝からはベータ線が同1万5000ベクレル検出された。タンクから漏れた汚染水の放射性物質濃度と環境への影響は確認中。東電は原子炉等規制法に基づき、国に通報した。

 東電によると、汚染水漏れが発覚したのは「B南」エリアと呼ばれ、8月に300トンの汚染水漏れが見つかったのとは別のタンク群。海から約300メートル離れている。

2日は、せきから雨水があふれ出すのを防ぐため、ポンプで吸い上げ、タンク内に移す作業をしていた。タンクの水量は元々97〜98%まであったが、雨水を移送する緊急対策として98〜99%まで水を入れることにしていた。

 作業は午前中から正午過ぎまで約2時間行い、最大約25トンをタンクに移した。午後8時5分ごろ、作業員がタンクの最上部から水が漏れているのを発見した。水漏れはポンプを起動した約12時間前の午前8時35分ごろから始まったとみられるという。

 漏れた水の一部は、タンクの最上部から2.5メートル下に設置されている作業用の足場の雨水を抜く穴からせきの外側に落ち、さらに側溝から海につながる排水溝へ流れ込んだとみられる。

 漏れが見つかる前の水位は98.6%だったが、水位計を常時確認していたかは分からないという。2日午後2時半の目視確認は、タンク天板から水位を計測しただけだった。

 タンクは傾斜した地面上に設置されていた。東電はタンクの傾斜は基準の範囲内だったとしている。
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20131003k0000e040235000c2.html

東京新聞の報道によると、より情けないことが判明する。

汚染水漏れ 満水に気付かず注水

2013年10月3日 夕刊

 福島第一原発の雨水を移送していたタンクから高濃度の放射性ストロンチウムなどを含む処理水が漏れた問題で、東京電力は三日、四百三十リットルが堰(せき)外へ出て、一部が排水溝を通じて外洋に流出した可能性があると発表した。タンクが傾いていたため、低い所から漏れ出した。
 水漏れしたタンクは、八月に漏れが見つかったのとは別のタンク群にある。敷地東の海に向かって緩やかに傾斜した土地に五基連結し、傾いて建てられていた。タンク一基の大きさは直径九メートル、高さ八メートルの円筒状。
 最も高い位置にあるタンクより約五十センチ低い海側のタンクに雨水を入れていたが、水位計は一番高い陸側にあるだけ。水位計で98%になるまで雨水を入れる予定で作業し、海側のタンクが先に満水になったことに気づかなかった。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は三日、「タンク運用が厳しく、ぎりぎりを狙いすぎてアウトになった」と話した。
 漏れた水の一部は、近くの排水溝から外洋などに流れたらしい。一リットル当たり五八万ベクレルのストロンチウムなどを含んでおり、外部への放出が許される濃度の約一万倍。ただ、ベータ線のため直接、触れなければ人体に大きな影響はない。東電は国に通報するとともに、排水溝に土のうを積むなどの対策を取った。
 二日は台風の影響で、処理水タンク周りの堰内の水位が上がり、雨水を移送した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013100302000240.html

この漏れたタンクは、傾斜地に五基連結して建設されており、その内の最も下部に海側に所在していた。しかし、それぞれのタンクには水位計が設置されておらず、最も上部の陸側のタンクにしか水位計が設置されていなかった。そのため、最も下部の海側にある当該タンクが満水になったことを承知できず、上部から汚染水が漏れることになったという。小学生の理科でもわかるようなことが、福島第一原発の現場では検討されなかったらしい。

この状態について、さすがに、菅義偉官房長官は対応策が十分ではなかったことを認めた。しかし、福島第一原発については「全体としてはコントロールできていると思っていると述べている。次のロイター発信の記事をみてほしい。

福島第1原発の新たな汚染水漏出、東電と連携し対策=官房長官
2013年 10月 3日 11:52 JST
[東京 3日 ロイター] – 菅義偉官房長官は3日午前の会見で、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート) 福島第1原子力発電所のタンクから新たな汚染水が漏出し、その一部が海に流出した可能性があることについて、東電の対応を確認するとともに、汚染水問題解決に向けてしっかり対策を講じていきたいと語った。

菅官房長官は、汚染水問題の抜本的な改革は政府が責任をもって対応し、個々の問題は東電が対応するとしたうえで、今回のような漏れもあってはならないことだと指摘。「実際に漏れているのだから対応策が十分だったとは思わない」と語った。そのうえで「政府と東電が連携し、一切こういうことがないよう、これからもしっかり取り組んでいきたい。最善の努力をしていく」とした。

安倍晋三首相が国際オリンピック委員会(IOC)総会などで汚染水問題はコントロールできていると発言したこととの関連については「全体としてはコントロールできていると思っている」と答えた。

(石田仁志)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99201R20131003

福島第一原発が「コントロールされている」という状況ではないのは、首相官邸とIOC委員以外は周知の事実である。ただ、今回の問題は、福島第一原発建屋に流れ込んできている地下水などの問題とは、やや次元が異なる問題である。地下水については、まさに、自然の力をコントロールできないということである。しかし、今回の汚染水漏れについては、そもそも、タンクの状況を把握して作業していれば防げたことである。作業員も別に無用の被ばくは避けたいのであるから、タンクの状況を把握していれば、タンクが満水して汚染水が漏出するということはしなかったであろう。傾斜地にタンクを建設し、さらにそれぞれのタンクに水位計を設置しないということ自体が無茶苦茶な話であるが、そういう構造であるということすら東電首脳部は十分把握しておらず、それゆえに雨水でタンクを満水にして汚染水を漏出させたと推測できる。

ということは、東電首脳部は、福島第一原発の作業現場を十分コントロールできていないということを意味するだろう。これは、非常に重大なことである。そもそも、汚染水の貯蔵タンク自体が不備なものなのであるが、それが不備であることすら、東電首脳部は承知していないのである。単に、自然の地下水や、メルトダウンした原子炉だけでなく、貯蔵タンクの管理という人間の手で作業しうる範囲ですら、東電はコントロールできなくなっているのではなかろうかと思えるのである。

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このプログでも何度もとりあげている福島第一原発の汚染水流失について、8月23日、原子力規制委員会の更田豊志委員が現地視察を行った。このことについては、実はあまり報道されていない。また、テレビなどで報道されても、その動画はあまりアップされていない。

NHKの全国ニュースをみていても、福島第一原発についてはほとんど出て来ない。しかし、福島放送局の「福島県のニュース」として、ある程度、動画つきでネット配信されている。それは、次のようなものである。

http://www.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6053805851.html?t=1377292675313

なお、このような記事は、早期にすべて削除される恐れがあるので、記事部分だけをここで引用しておこう。

原子力規制委が現地視察

原子力規制委員会の更田豊志委員は、23日、タンクから300トンあまりの汚染水が漏れ出た東京電力福島第一原子力発電所を視察し、東京電力に対し、点検がずさんだと指摘した上で「人手の問題などでできないことがあれば国などに対して声を上げてほしい」と呼びかけました。
原子力規制委員会の事務局によりますと、更田豊志委員は、23日午前、福島第一原発を訪れ、今月19日に300トンの汚染水が漏れ出ていることが分かったタンクの周辺などを見て回ったということです。
視察の後、取材に応じた更田委員は、「タンクから漏れることを前提とした準備がとられていたとは思えない。異常に気づくには、小さな変化も見逃せないが、そのために必要となるタンク周辺の通常の放射線量の記録などが残されていないのは、点検に対する姿勢を疑わざるをえない」と東京電力の対応を批判しました。
その上で、東京電力側からは、「点検を強化するには4倍の人員が要る」などと説明があったということで、これに対して更田委員は、「できないことがあれば声を上げてほしい」と呼びかけたということです。
また更田委員は「万全を尽くしていると言うことより、やりたい対策ができない現状を言うことの方が大事だ。事業者が言えないという難しい事情は分かるが、ぜひ勇気を持って声を上げてほしい。お金や人手の問題があれば、資源エネルギー庁などに対して要望を言わなければならない」と話しました。
08月23日 19時14分

実際、この動画をみて驚いたのだが、高濃度汚染水が漏洩したと思われる貯蔵タンクのまわりに「土のう」が積まれていた。そして、それをみて、更田委員と思われる人物が「これでさ、水が止まっていると思うか」とつぶやいていた。

福島第一原発の高濃度汚染水の流失を抑えようとして、東電は、最早「土のう」を積むしかなかったのである。「土のう」は、もちろん、ある程度の水を抑えることはできる。しかし、完全に「漏洩」を防ぐことはできない。そもそも、「土のう」は洪水対策に使うものであって、放射能防護対策に使うようなものではない。どうみても不十分な対策だが、この「土のう」を積む作業でも、作業した労働者は、かなりの被ばくをしたと考えられる。

また、動画をみてみよう。更田委員とおぼしき人物が「排水溝」のほうをみにいき、まるで自然の小川のように流れている排水溝をみて、東電側の説明をうけながら、「これなあ、これ海にいっているじゃない。このまま、ジャーンと合流してこのまま…」と述べている。東電は、汚染水の海への流出を認めたがらなかったが、結局、原子力規制委員会としては、汚染水が海に流失した可能性を認めたのである。

そして、現場で、更田委員が通常の放射線量の記録をとっているかと質問し、東電側が残していないと答えたやりとりが残されている。なお、この動画では残されていないが「点検を強化するには4倍の人員が要る」と東電は弁解したそうである。

その後で、更田委員が記者会見している動画が挿入されているが、それは、ほぼ記事内容通りである。

そもそも、300トンもの汚染水が流失したにもかかわらず、その汚染水の大半が残されていないのは、タンクの周りにあった堰の排水弁が開けられていたというミスのためである。このこと自体ズサンなのだが、「土のう」を積んで汚染水漏洩を防ごうとする、海に流れている排水溝があっても汚染水の海洋流出を認めようとはしない、通常の点検時の放射線量の記録をとっていないなど、私のような素人がみても東電の対応はおかしい。

そして、更田委員が、「万全を尽くしていると言うことより、やりたい対策ができない現状を言うことの方が大事だ。事業者が言えないという難しい事情は分かるが、ぜひ勇気を持って声を上げてほしい。お金や人手の問題があれば、資源エネルギー庁などに対して要望を言わなければならない」と東電によびかけている。しかし、これだけでは、最早、問題解決にならないだろう。原子力規制委員会は、8月14日、汚染水対策にはさらなる検討が必要としながらも、東電の福島第一原発の廃炉計画を認可した。だが、「高濃度汚染水」の放射線量の点検記録をとっていないことすら、「4倍の人員がいる」と弁解した会社が東電なのだ。コスト増になろうとなるまいと、点検などまっとうな管理作業に必要な労働者は確保しなくてはならず、そのことによって、破たん処理を免れたことの正当性が確保できるのが東電の置かれた立場である。にもかかわらず、コスト増になることを恐れてズサンな管理をしているのが東電の現状なのである。コスト減に努力するのは、民間の営利会社の本性といってよい。しかし、東電は、営利会社という自己の本性に忠実であればあるほど、自己の立場を失っていくであろう。

とにかく、この動画は、福島第一原発の管理を東電に任せておけないことを雄弁に物語っているといえよう。そして、それがゆえに、NHKなどは、この報道を抑制していると考えられるのである。

なお、ネット記事配信が削除される可能性があるので、Youtubeにアップされていた、TBSとFNNのニュース動画もここでは紹介しておく。原子力規制委員会の現地視察は、今回漏れた貯蔵タンクだけではない。原子炉建屋の汚染地下水対策も検討しており、このタンクとは違った溶接型のタンクについても漏洩対策が不十分であることを指摘している。

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