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さて、ここでは、千葉県北西部や茨城県南部という首都圏におけるホットスポットに位置した常総生活協同組合により、3.11直後の3月20日というかなり早い段階で、脱原発の主張が行われたことをみていくことにする。この常総生協のサイトによると、同生協は、1975年に取手市井野団地自治会での「朝市」をもとに「取手生協」として設立され、翌1976年に守谷市に移転し、「常総生協」となった。2009年には千葉県東葛地区が活動エリアに加わった。2012年3月現在で、従業員数44名、組合員数6790名、出資金3億2650万1千円、供給高11億4568万円となっている。配達エリアは次のようなものである。

常総生協の配達エリア

常総生協の配達エリア


http://www.coop-joso.jp/area/area.html

このように、配達エリアの多くの地域が、首都圏におけるホットスポットとされた地域と重なっているのである。

この常総生協は、3月11日の「東日本大震災」発生をうけて同日、対策本部(本部長:専務理事 丸山)を設置し、3月14日には、組合員向けの機関紙『COOP JOSO NEWS LETTER』の号外【東日本大震災 緊急速報】を出し、組合員や組合の安否、商品配送状況などを伝えるとともに、当時知り得た限りの福島第一原発事故の状況を報道している。3月16日には、再び『COOP JOSO NEWS LETTER』号外を出し、「震災にともなう原発事故への対処について」として、雨に注意する、極力外に出ない、吸入・経口摂取での体内被曝を避ける、ヨウ素を含む食品を摂取するなど、組合員に対し放射能被曝をさける対策を伝えている。

そして、早くも3月20日、常総生協震災対策本部は、「原子力発電所・福島原発の現状の認識と対応について」という文書を出し、その中ですべての原発をやめることを提唱している。

原子力発電所・福島原発の現状の認識と対応について
1.かねてより多くの市民が心配し指摘してきた、地震国日本での原子力発電の脆さと危機が現実のものになってしまった以上、エネルギー政策を転換し、電力消費についても率直に国民、企業に語り、次の震災が来る前に一刻
も早くすべての原子力発電をやめる手続き・手順に入るべきです。東海地震に備えて浜岡原発は直ちに停止すべきです。
2.福島原発事故はまだ事態の終息に至っていません。したがって「今後何が起きるか」は予断を許せませんが、「何が起きたか」「何が起きているか」は冷静に判断しておく必要があります。
※現場を知る技術者を結集させ、適確な措置を行うべきです。必要な整理された正確な情報を公開し、「危険は危険」として、危機の冷静な判断ができるようにすべきです。パニック回避のバイアスのあまり、「直ちに健康に影響を及ぼすものでない」とか、「まだ余裕がある」とか、学者や政治家や評論家が軽々に言うべきではないと思われます。
①まず、地震発生直後に制御棒が挿入されて炉心自体の核分裂反応はひとまず緊急停止している。
②現在の問題は、津波による冷却用の非常用電源の喪失による冷却水循環の機能喪失であり、早急に電源を回復して冷却機能を回復させることが急務である。海水注入や放水は緊急措置であって焼け石に水である。
③現時点では原子炉の「格納容器」ならびに炉心の「圧力容器」の爆発に至っていない。また冷却機能の喪失による大規模な炉心溶融ならびに核燃料の「再臨界」は起きていない。
④圧力容器内の炉心の冷却水の低下と燃料棒露出は事実のようだが、圧力容器ならびにそれを包む格納容器の圧力を抜いて爆発は回避している。そのかわり、炉心内部の放射性物質もガス状のものは外部に放出されたと考えられる。
⑤建屋内の使用済み核燃料プールの水位低下・燃料棒露出による表面被膜の溶融、核燃料の露出に伴う水素発生によって、建屋内の酸素との反応で「水素爆発」を引き起こし、建屋の破壊で、ガス状の放射性物質は環境中に放出されたと考えられる。
⑥早急に冷却用電源を回復させ、循環冷却のポンプやパイプを修復させる必要がある。
3.人体、生命への危険の回避と汚染の除去
【原子炉施設からの直接の放射線照射】
圧力容器の圧力抜きに伴い格納容器ならびに建屋へ漏出した放射性物質、ならびに建屋内の露出した使用済み核燃料棒からの強い放射線が放出していると考えられる。
建屋の爆発に伴う遮蔽がないことから、施設周辺には高濃度の「放射線」が放出されていて放射線被曝により近づくことが困難な状態であることは変わりがない。現場の作業員の被曝と健康の限度を超える前に、早期に冷却を回復させて最悪の事態を回避し、コントロール下に置くことです。
【放射能汚染・・・ガス状となって放出された放射性物質の落下】
圧力逃し弁の開放や、使用済み燃料プールの水位低下により、放射性希ガス(セシウム・クリプトン)、放射性ヨウ素が気体の状態のとして漏出し、建屋も水素爆発で崩壊している状態ではそのまま上空に放散された。
放射性雲となって同心円状に拡散しつつ揺らぎながら風向きによって方向付けられて東北・関東、そして太平洋沖へと漂った。
東北・関東内陸部及び太平洋沖を覆い地球上に拡散した放射性雲は小雨や霜といっしょに地上部や海洋に落下し、放射性物質は建物や人体ならびに野菜や土壌、そして海洋ならびに他国を汚染し放射線を放出している。
現時点では吸入や食物による経口摂取による体内被曝を注意深く回避すること。衣類や建物そして土壌と作物の有効な「除染」を急ぐ必要があります。
4.震災を受けた東北の人々の復興支援が最優先課題の中で、このような原発事故による二重苦と広範な地球規模の汚染と被害をもたらした政府・電力会社の責任を明確にし、これからの生産や消費のあり方を抜本的に見直す国民的作業をすすめることを提案します。
http://www.coop-joso.jp/newsletter/pdf/2011041-2.pdf

常総原発による脱原発の主張は、3月11日より10日もたっていない時になされており、かなり早期のものといえるだろう。特に浜岡原発については、直ちに停止すべきとしている。また、「必要な整理された正確な情報を公開し、「危険は危険」として、危機の冷静な判断ができるようにすべきです。パニック回避のバイアスのあまり、「直ちに健康に影響を及ぼすものでない」とか、「まだ余裕がある」とか、学者や政治家や評論家が軽々に言うべきではないと思われます。」と、情報隠蔽や事故の過少評価を戒めていることにも注目される。

そして、この文書の後半では、その当時知り得た福島第一原発事故の状況がまとめられている。その上にたって、二つのことが提言されている。一つは、「現時点では吸入や食物による経口摂取による体内被曝を注意深く回避すること。衣類や建物そして土壌と作物の有効な「除染」を急ぐ必要があります」ということである。もう一つは、「震災を受けた東北の人々の復興支援が最優先課題の中で、このような原発事故による二重苦と広範な地球規模の汚染と被害をもたらした政府・電力会社の責任を明確にし、これからの生産や消費のあり方を抜本的に見直す国民的作業をすすめることを提案します」ということである。

この文章を今、読みながら、東日本大震災・福島第一原発直後の情報混乱状況の中で、よくこれほど的を得た主張ができたものだと感嘆するしかなかった。当時の政府、東電、推進派学者、マスコミは、場当たり的な発言を繰り返していた。そして、私なども、これらの場当たり的な発言に不信感をもちながらも、何が一番問題なのかということを十分把握できなかった。3.11以後、最初に開かれた大規模な脱原発デモは高円寺のデモであるといえるが、それも4月10日である。3.11から10日もたたない時に、常総生協は、福島第一原発事故の問題点を把握して、脱原発を主張し、東電、政府、マスコミ、推進派学者を批判していたのである。

次回以後、常総生協の取り組みについてみていきたい。

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