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Posts Tagged ‘金メダル’

前回のブログで、記録的な大雪に際してオリンピック情報を優先した(今もだが)NHKを批判した。しかし、このような対応はNHKだけではなかった。日本政府中枢の首相官邸も同様であったのだ。

首相官邸のサイトをあけてみよう。「新着情報 平成26年2月15日 総理の一日 安倍総理は羽生結弦選手にお祝いの電話をかけました」とある。そこをクリックすると、次の記事が出て来る。

平成26年2月15日
羽生選手へのお祝いの電話

 平成26年2月15日、安倍総理は総理大臣公邸で、ソチ・オリンピックで金メダルを獲得した羽生結弦選手へお祝いの電話をかけました。

安倍総理はお祝いの中で次のように述べました。

「羽生選手、おめでとう。昨日はたくさんの日本人がみんな、羽生選手の演技を見て胸が熱くなる想いだったと思います。
 私もワクワクしながら、ドキドキしながら見ていましたけれども、最後まで本当に冷静で諦めずに、凄いなと思いました。」
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201402/15gold_hanyu.html

前のブログでも書いたが、私はこのようなオリンピックの国家主義的利用には反対である。しかし、安倍晋三首相ならば、こういうことをすることは予想できた。予想できなかったことは、少なくとも表に出た限り、15〜16日において、「それ」しかしていなかったようにみえることである。

時事新報で報道された、2月15〜16日の首相動静をみてみよう。

首相動静(2月15日)

 午前8時現在、公邸。朝の来客なし。
 午前中は来客なく、公邸で過ごす。
 午後2時25分から同26分まで、報道各社のインタビュー。「ソチ五輪男子フィギュアで、羽生結弦選手が金メダルを獲得した」に「テレビを見ていて、日の丸を背にウイニングランをするシーンは本当に感動した」。同31分から同35分まで、ソチ冬季五輪フィギュアスケート男子で金メダルを獲得した羽生結弦選手を電話で祝福。同36分、公邸発。同54分、東京・富ケ谷の私邸着。
 16日午前0時現在、私邸。来客なし。(2014/02/16-00:04)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014021600002

首相動静(2月16日)

 午前10時現在、東京・富ケ谷の私邸。朝の来客なし。
 午前中は来客なく、私邸で過ごす。
 午後も来客なく、私邸で過ごす。
 午後5時31分、私邸発。
 午後5時49分、東京・赤坂の天ぷら料理店「楽亭」着。支援者らと会食。
 午後7時50分、同所発。(2014/02/16-20:01)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014021600098

15・16日は土日であり、安倍晋三首相ももちろん休んでいてもかまわない。しかし、「記録的大雪」があったことについて、政府内部で協議した形跡がまるでない。特に15日は公邸と官邸にいたのであるから、首相官邸内部で協議してもよさそうだが、その様子は全くない。さすがに、電話連絡などが全くないとは思えないのだが、大雪対策についてだれかを呼び入れて特別の指示を与えてはいないのである。安倍首相がこの2日間で公的に行ったことは「羽生選手に祝福の電話をかけたこと」だけなのだ。

それでも、首相官邸のサイトには、国土交通省へのサイトのリンクがはられており、多少なりとも対策を講じているようにみせている。しかし、この国土交通省の対策も、次にみるように、かなり不備なものなのである。

平成26年2月16日
国土交通省 道路局
今般の大雪による道路における対応状況とみなさまへのお願い
1.立ち往生の状況
・14日からの大雪により、15日に東名高速では裾野インターを先頭に、約40km渋滞し、直轄国道では、5路線7区間において、約1400台の車が立ち往生しました。
2.対応
・高速道路の本線における立ち往生車両については、移動が終了しております。
・直轄国道の立ち往生が生じた区間においては、車両の乗員の安否確認は終了しています。
・雪による通行止めの各区間においては、除排雪作業を全力で進めております。
・また、立ち往生している車両の乗員のみなさまには、地元自治体と協力し、食料等の提供、ガソリン等の補給を行っております。
・なお、最新の通行止め情報は、道路交通情報センターのhttp://www.jartic.or.jp/で、ご覧になれます。
3.お願い
・高速道路および直轄国道以外の道路については、現在、各道路管理者にて状況の確認を進めております。
・万が一、立ち往生が生じている場合は、道路緊急ダイヤル「#9910」※に、御一報いただくようお願い致します。
※「#9910」とダイヤルすると、係員につながります。
http://www.mlit.go.jp/road/bosai/kosetsu/1402161500.pdf

大雪対策といっても道路だけで、それも東名高速道路と直轄国道(しかも、この道路名すらあきらかではない)のことだけなのである。現時点(2月16日)においても、東名・中央・上信越・関越・東北道の関東から他地方に通ずる高速道路の交通は途絶している。そして、1mをこえる積雪に見舞われた山梨県内では多くの道がとざされ、自衛隊が除雪作業をしている。そのようなことには全くふれていない。いわば、情報収集すら十分ではない「対策」なのである。

そして、16日の状況について、山梨日々新聞が県内の状況を中心にネット配信している。

2014年02月16日(日)

【大雪情報】あす、315の小中高校が休校
19日以降、一時雪の恐れ

 記録的な大雪に見舞われた山梨県内は16日も鉄道が始発から運転を見合わせ、高速道路で通行止めが続くなど、交通機関がまひしている。JR身延線は身延~西富士宮駅間で運転を再開した。
 甲府地方気象台は山梨県内全域に強風注意報となだれ注意報(昭和町を除く)を継続して出している。16日夜から17日にかけて冬型の気圧配置となり、山梨県内は晴れる見込み。16日夜は強風が吹き、17日は朝方冷え込み、日中はやや強い風が吹きそう。また、19日午後から20日午前にかけ、一時雪となる恐れがある。同気象台は雪崩や落雪、路面凍結などに注意を呼び掛けている。

【読者の皆様へ】本日16日付の山梨日日新聞の配達に遅れがでています。こちらで紙面の一部をPDFで17日午前零時まで公開しています。事情をご理解いただき、ご了承ください。

 
中央道、あす中の通行止め解除めざす
 中日本高速道路は、大雪で通行止めが続いている中央自動車道(富士吉田線を含む)について、「17日中をめどに通行止め解除をめざす」としている。

徒歩で帰宅中の男性が凍死か 北杜市
 北杜市須玉町下津金の路上で15日午前6時ごろ、男性が倒れているのを通行人が発見し119番した。倒れていたのは北杜市の無職男性(48)で、搬送先の病院で死亡が確認された。
 県警によると、死因は凍死とみられる。男性は、車が雪のため動かなくなったため、歩いて帰宅途中で死亡したとみている。

あす、315の小中高校が休校
 山梨県教委によると、週明けの17日、大雪の影響で県内の公立小中高校と特別支援学校計315校が休校する。睦合小(南部)が2時間、始業時間を遅らせる。栄、富河、万沢小、南部中(南部)は平常通り。

甲府~身延駅間、あすも終日運転見合わせ JR身延線
 JR東海は16日、週明けの17日も、甲府~身延駅間で終日運転を見合わせると発表した。特急も全列車を運休する。運転再開には相当の日数がかかる見込み。
 16日に運転を再開した身延~富士駅間は、本数を通常より減らす。

豪雪対応、国に要請 テレビ会議で横内知事
 政府の関係省庁災害対策会議が16日開かれ、横内正明知事はテレビ会議システムを通じ、古屋圭司防災相に対し、山梨県内で除雪が難航して交通網が遮断されている現状を報告。自衛隊の増員や豪雪対応のノウハウがある国交省職員の派遣を要請した。
 古屋防災相はソーシャルネットワークを活用して詳細な情報収集をするよう関係省庁に求めた。

陸自、郡内地域で除雪作業に入る
 県から災害派遣要請を受けた陸上自衛隊は16日、富士河口湖町などの国道138、139号の除雪作業に入った。同町の精進湖周辺で孤立しているホテル3カ所には食料、毛布をヘリで輸送している。また、大月市の国道20号で立ち往生している車列に対応する部隊は東富士五湖道路を除雪しながら、山中湖村を移動している。

2020軒で停電続く
 東京電力山梨支店によると、県内では大雪の影響で16日午後5時半現在、2020軒で停電が続いている。
 停電が続いているのは、北杜、上野原、南部、身延、早川の5市町。富士河口湖町精進の停電は午後3時20分ごろ、解消された。身延町では930軒、南部町は860軒が依然停電している。同支店は自衛隊に協力を要請し、新たな職員をヘリで現場に運び、復旧作業を急いでいる。
 早川、南部、身延町の一部では14日から2日間にわたって停電が続いている。
 
雪中の車内、CO中毒に注意を 県が呼び掛け
 山梨県防災危機管理課によると、記録的な大雪のため、県内各地で立ち往生する車が相次いでいる。同課は、できる限り外出は控えるよう呼び掛けるとともに、エンジンを掛けた車内にいる人に対し、車の排気管が雪で埋もれると一酸化炭素(CO)中毒になる恐れがあるとして、十分注意するよう呼び掛けている。
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2014/02/16/2.html

記録的大雪に見舞われた山梨県の被災状況が多少なりとも伝えられている。そして、このような被害は、山梨県だけではなく、関東・甲信・東北の各地でみられるであろう。そんな中、ようやく16日に政府の関係省庁災害対策会議が開かれた。しかし、これは内閣府の所管であり、官邸主導ではない。また、「古屋防災相はソーシャルネットワークを活用して詳細な情報収集をするよう関係省庁に求めた」とあるように、いまだ情報収集すら緒に就いたばかりという状態のようである。

しかし、これは、一体全体、なんなのだろう。安倍首相も他の政府首脳も東京にいて、30センチ弱の積雪で、空路・鉄道・道路の交通が遮断され、屋根が落ち、けが人が出ている状況を自身でも見聞きしているはずだ。また、一般人よりも確度の高い、リアルタイムな情報を得ているはずである。その3倍の積雪ではどうなるか、想像できないはずはないと思う。それにもかかわらず、首相は「羽生選手に祝福の電話をかける」以外の公的な動きをみせない。集団的自衛権では選挙で審判を受ける自分が答弁すると主張した首相が、大雪対策については、まったく主導性をみせない。古屋防災相もソーシャルネットワークを活用して情報収集をはかれという指示をしたりしている。15日の大雪は気象庁は予想しておらず、「想定外」だったかもしれないが、被害が出た時点では少なくともなんらかの対策が必要であった。オリンピックに関心をもつことの是非はともかく、少なくとも困った人びとが出たり、出ることが予想された場合、できることを行おうとするのが、政治の責任者たちの責務である。遅きに失しているかもしれないが、今からでも、雪害で困った人びとのため万全を尽すべきだと思う。

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2月8日に続き、2月14〜15日も、関東甲信地方は記録的な大雪に襲われた。まず、朝日新聞のネット配信記事をみてほしい。

東日本の広範囲で記録的大雪 甲府で114センチ
2014年2月15日12時25分

 日本の南海上を進む発達した低気圧の影響で、東日本は14日夜から15日にかけて広範囲で記録的な大雪となった。甲府市や前橋市では積雪が観測記録を大幅に更新し、首都圏各地の交通網は混乱した。東急東横線の元住吉駅(川崎市)では電車同士の衝突事故も発生し、19人が軽傷を負った。

 甲府市では15日午前、先週の残雪分も含め114センチの積雪を記録し、1998年1月の49センチを大幅に上回り、1894年からの観測記録を更新。埼玉県秩父市は98センチ、同熊谷市62センチ、前橋市73センチといずれも観測史上1位となった。東京都心も歴代8位タイとなった8日と同じ27センチ。横浜市も28センチを記録した。

 気象庁は14日夕には東京23区の降雪量の予測を10センチとしていたが、低気圧からの暖気が予想よりも入り込まず気温が低くなり、雪の量が増えたという。

 16日午前6時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で東北70センチ、関東北部山沿いと甲信60センチ、関東南部20センチ、関東北部の平野部10センチと予想されている。

 群馬県富岡市では同日朝、雪の重みで車庫の屋根が崩れ、男性(79)が下敷きになり死亡した。

 関東南部の平野部では同日未明に雨に変わったが、内陸や山沿いでは16日にかけて雪や強風が続く見込みで、気象庁は警戒を呼びかけている。最大風速はいずれも陸上で東北20メートル、関東18メートル、東海15メートルと予想されている。
http://www.asahi.com/articles/ASG2H1RB8G2HUTIL008.html

甲府・秩父・熊谷・前橋と、軒並み記録更新という状態で、特に甲府では、これまでの記録の2倍以上の114センチを記録した。そして、これは、単に記録というだけでなく、この記事にもあるように、この大雪によって、首都圏の交通網は大混乱に陥ったのである。

私事になるが、本日(15日)、私個人は群馬県館林市の会議に出席することを予定していた。何もなければ、東北道などを経由して自動車で行くことにしていたが、スノータイヤなどの装備がなく、前日(14日)の時点で断念し、鉄道で行くことにしていた。

しかし、東京にいても、夜が深まるにつれて積雪がましており、翌朝起きてもとんでもない深さの積雪だった。とにかく、館林まで鉄道は動いているだろうか。どのくらいの積雪だろうか。そのような情報を求めて、NHK総合テレビの7時台のニュースをみてみた。ところが、大雪情報は少しばかりで、多くは、ソチオリンピックの男子フィギュアスケートで金メダルを獲得した羽生結弦選手のことばかりであった。やや後の配信だが、こんな調子である。

金メダルの羽生「復興に役立ちたい」
2月15日 12時55分

ソチオリンピック、フィギュアスケートの男子シングルで金メダルに輝いた羽生結弦選手は、試合後の記者会見で、東日本大震災で出身地の仙台市が被災した経験に触れ、「復興に役立ちたい」という強い思いを口にしました。

羽生選手は会見で、報道陣から試合後にあまり笑顔を見せない理由を問われて、「金メダルの実感が沸かないこともありますが、震災からの復興のために自分に何ができたのか分からない。複雑な気持ちです」と答えました。
そして、震災の当時を振り返って、「スケートができなくて、本当にスケートをやめようと思いました。生活するのが精いっぱいというなかで、大勢の人に支えられてスケートを続けることができました。金メダルを取れたのは、被災した人たちや支えてくれた人たちの思いを背負ってやってきたからです」と語りました。
そのうえで今後について、羽生選手は「将来、プロになったとき、震災からの復興のために何かできればと思っています。金メダリストになれたからこそ復興のためにできることがあるはずです。これがスタートになると思います」と真剣な表情で話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140215/k10015261821000.html

後述するように、私個人は「オリンピック報道」が好きではない。ただ、それは報道のやり方がきらいなだけであって、オリンピックのそれぞれの種目でメダルを獲得すること自体、選手個人にとってかけがえないものであり、一般の「日本国民」においても、喜びを分かち合いたいと思う人が多く存在することは当然だと思う。しかし、その時の私は、何よりも、大雪とそれによる交通網への影響についての最新で詳細な情報を欲していた。とにかく、NHKニュースからの情報収集をあきらめ、民放各局のニュースをみることにした。民放ニュースも「羽生結弦の金メダル」一色であったが、それでも、NHKのニュースよりは、大雪情報を伝えていた。結局、NHKにはたよらず、民放ニュースとネットで収集した情報をもとに、館林までの交通網が混乱しているだろうと判断して出発時間を自主的におくらせた。その後、電話で連絡をとりあって、館林出張をとりやめた。

しかし、こんなことは、実は初めての経験である。地震・津波・台風などの災害時において、私は、CMがあり、視聴率に拘束されている民放各局のニュースよりも、公共放送であり、CMは入らず、視聴率に拘束されず、全国的な支局網をもつNHKのニュースのほうを、速報性・確実性という観点から評価していた。東日本大震災の時もそうであった。もちろん、その情報自体が信頼に値するかいなかは別だが。今回の場合は、逆に、NHKのニュースのほうが「役に立たない」と判断したのである。

もちろん、NHKニュースをずっと見ていた訳ではないので、いわば印象批評でしかないといえる。しかし、この大雪のニュースについてNHKが速報性においても確実性においても劣っていたことは、次の記事でもうかがえるように思う。

記録的大雪 なだれなど注意

県内は低気圧の影響で14日から雪が降り続き、甲府市では、積雪が1メートルを超えるなど記録的な大雪となっています。
気象台では、大雪の峠は越えたとして県内全域に出していた大雪警報は解除しましたが、引き続き雪崩や強風に注意するよう呼びかけています。
甲府地方気象台によりますと低気圧の影響で、県内は14日から雪が降り続き、記録的な大雪になりました。
午前11時の積雪は、▼富士河口湖町で1メートル38センチ▼甲府市で1メートル8センチなどとなっています。
甲府市では、これまでの記録の倍以上となり、120年前の明治27年に記録を取り始めてから最も多くなりました。
気象台は大雪の峠は越えたとして県内全域に出していた大雪警報を午前11時すぎに解除しました。気象台では引き続き16日までなだれに注意するよう呼びかけています。
また、これから16日昼前にかけて県内では風が強まる見込みで強風にも注意するよう呼びかけています。
02月15日 12時59分
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/1045254843.html

これは、NHK甲府地方局の地方ニュースだが、朝日新聞の先のニュースよりもやや遅い時間に配信されたにもかかわらず、甲府の積雪を1メートル8センチとしている。些細なことなのだが、速報性・確実性という点で、NHKは劣っていたといえるのである。

まさに印象でしかないが、公共放送としてのNHKは、オリンピックでの金メダル獲得を重視し、私個人を含めた関東圏の多くの人に影響を与えた大雪情報を軽視しているように思える。私個人は、交通網の混乱で館林に行けない程度のことであるが、大雪のため、屋根などが倒壊して死傷者も出ているそうである。

さて、この「公共放送」における「公共」とは何だろう。私は「公共」には三つの含意があると考えている。一つは「国家的」であり、もう一つは共同利益などの意味での「共同的」であり、最後の一つは言論などを通じた「公開性」である。NHKの籾井勝人会長が、従軍慰安婦への言及だけでなく、「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。国際放送にはそういうニュアンスがある」となどと発言し、物議を醸しているが、これは、まさに、言論の自由などの「公開性」の原則に対し、「国家的」に傾斜した形で「公共」を再定義しようということになるだろう。他方で、今回のようなことは、大雪情報を提供するという人びとの「共同利益」を、「国威発揚」をめざすオリンピック報道によって抑圧したものとみることができる。オリンピックに携わる選手たちのひたむきさを否定はしないし、彼らの活動を伝える報道も必要だろう。しかし、現時点での日本のオリンピック報道は、スポーツを通じて行われる国家間競争の側面が強調され、その中で、「国民」のアイデンティティを再確認することが中心となっていると思われる。その意味でオリンピック報道は「国家的」なものといえる。いわば、ここでは「国家的」なものが「共同的」なものを抑圧したものといえるのである。

このようなことは「ニュースバリュー」という形で、民放各局も含めて内面化されていると考えられる。しかし、視聴率競争に縛られている民放とは別個な形で、「公益」を実現することが「公共放送」であるNHKに期待されていたことである。最初に述べたように、災害時により信頼性の高い情報を提供するというイメージがNHKにはあった。それがふみじられていくこと、これもまたNHKの「国営放送局」化の一側面としてみることができよう。

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