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さて、今度は、元空幕長であり、石原慎太郎(日本維新の会共同代表)より推薦を受けて都知事選に立候補を予定している田母神俊雄がどのような原発論をもっているかみておこう。彼の原発論については、本ブログでも一部紹介した。しかし、部分的に紹介しても、彼の原発論総体が伝わらないと思われる。また、これは、原発推進派が原発や放射能についてどのように考えているのかを知る一つの材料にもなるだろう。ここでは、「第29代航空幕僚長田母神俊雄公式ブログ 志は高く、熱く燃える」に2013年3月20日に掲載された「福島原発事故から2年経って」を中心にみていこう。

田母神は、まず冒頭で、このように述べている。これが、全体のテーマといってよいだろう。

東日本大震災の福島原発の事故から2年が経過して、テレビなどではまたぞろ放射能の恐怖が煽られている。あの事故で誰一人放射能障害を受けていないし、もちろん放射能で死んだ人もいない。2度目の3月11日を迎え、原発反対派は鬼の首でも取ったように反原発運動を強化している。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11494727117.html

まず、田母神は、チェルノブイリでは原子炉自体が爆発して当初30人の死者が出てその後も多くの放射線障害を受けた人がいたが、福島では地震で原子炉自体は自動停止したが、津波により電源供給が絶たれて冷却水が送れないために水蒸気爆発を起こしたと、その違いを強調している。福島第一原発事故の主要原因が地震なのか津波なのかは議論のあるところだ。ただ、それはそれとして、田母神は「だから電源を津波の影響を受けない高台に設置すれば安全対策完了である。マグニチュード9の地震に対しても日本の原発は安全であることが証明されたようなものだ」と言い放つ。かなり唖然とする。日本の原発は海辺にあることが普通であり、もともと、津波被害には脆弱な構造を有しているのだが。

続いて、彼はこのようにいって、2012年末の総選挙で「脱原発」を掲げた政党を批判する。

原発がこの世で一番危険なものであるかのように騒いでいるが、我が国は50年も原発を運転していて、運転中の原発による放射能事故で死んだ人など一人もいない。それにも拘らず原発が危険だと煽って、昨年末の衆議院選挙でも脱原発、卒原発とかを掲げて選挙を戦った政党があった。しかし、日本国民もそれほど愚かではない。原発さえなければ後のことは知ったことではないという政党は選挙でボロ負けをすることになった。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11494727117.html

田母神によれば、「人間の社会にリスクがゼロのものなど存在しない…豊かで便利な生活のためにはリスクを制御しながらそれらを使っていくことが必要なの」であり、脱原発を主張する人は、飛行機にも車にも乗るべきではないとする。そして、原発新規建設計画がある米中韓で原発反対運動をすべきと揶揄しているのである。

田母神は、現在の福島第一原発は危険ではないと主張している。復旧作業をしている人がいるのだから、危険はないというのだ。福島第一原発の作業員において、今の所急性症状が出ていないのは、東電なりに法的規制にしたがって、作業場所や作業時間を管理した結果であり、人が入れないところは、ロボットが作業しているのだが、そういうことは考慮した形跡がない。

福島原発周辺で放射能的に危険という状況は起きていない。東京電力は、周辺地域に対し放射能的に危険であるという状況を作り出してはいない。福島原発の中では今でも毎日2千人もの人が入って復旧作業を継続している。そんなに危険であるのなら作業など続けられるわけがない。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11494727117.html

そして、福島第一原発は危険ではないにもかかわらず、住民を避難させて、損害を与えたのは、当時の菅政権の責任だとしている。彼によれば、年間20ミリシーベルトという基準でも厳しすぎるのである。年間100ミリシーベルトでよかったのだと、田母神はいう。ここで、私は、除染の基準は年間1ミリシーベルトであり、たとえ、住民が帰還しても、そこまで下げる義務が国にはあるということを付言しておく。田母神のようにいえば、避難も除染も一切ムダな支出となる。

しかし危険でないにも拘らず、ことさら危険だと言って原発周辺住民を強制避難させたのは、菅直人民主党政権である。年間20ミリシーベルト以上の放射線を浴びる可能性があるから避難しろということだ。国際放射線防護委員会(ICRP)の避難基準は、もっと緩やかなものに見直しが行われるべきだという意見があるが、現在のところ年間20ミリから100ミリになっている。これは今の基準でも100ミリシーベルトまでは避難しなくてもいいということを示している。100ミリを採れば福島の人たちは避難などしなくてよかったのだ。
(中略)
強制避難させられた人たちは、家を失い、家畜や農作物を失い、精神的には打ちのめされ、どれほどの損害を受けたのだろうか。一体どうしてくれるのかと言いたいことであろう。
(中略)
政府が避難を命じておいて、その責任を東京電力に取れというのはおかしな話である。繰り返しになるが福島原発の事故によって、東京電力は放射能的に危険であるという状態を作り出していない。危険でないものを危険だとして、住民を強制避難させたのは菅直人なのだ。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11494727117.htm

田母神は、原子力損害賠償責任法で異常な天災・地変によって生じた損害については、電力会社は責任をとらなくてよいことになっているが、にもかかわらず、巨額の賠償金支払いが義務付けられたと述べている。それは、東京電力が戦わなかった結果であるとし、「社長は辞めたが、残された東京電力の社員は経済的にも、また精神的にも大変つらい思いをしていることであろう」と、東京電力に同情している。

そして、田母神は、放射能は塩と同じで、なければ健康が維持できないが、一時に取りすぎると真でしまうものだと述べている。

放射能は、昔は毒だといわれていた。しかし今では塩と同じだといわれている。人間は塩分を採らなければ健康を維持できない。しかし一度に大量の塩を採れば死んでしまう。放射線もそれと同じである。人間は地球上の自然放射線と共存している。放射線がゼロであっては健康でいられるかどうかも実は分からない。放射能が人体に蓄積して累積で危険であるというのも今では放射線医学上ありえないことだといわれている。放射線は短い時間にどれだけ浴びるかが問題で累積には意味がない。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11494727117.htm

その論拠として、自然放射線の100倍の環境にいるほうが健康にいいという説(ミズーリ大学のトーマス・ラッキー博士が提唱しているとしている)、DNAが放射線で壊されてもある程度なら自動修復されるという説、年間1200ミリシーベルトの放射線照射は、健康によいことはあっても、それでガンになることはないという説(オックスフォード大学のウェード・アリソン教授が提唱したものとされている)をあげている。これは、いわゆる放射線ホルミシウス論というものであろう。

そして、結論として、田母神は、このように述べている。

我が国では長い間歴史認識の問題が、我が国弱体化のために利用されてきた。しかし近年では多くの日本国民が真実の歴史に目覚め始めた。そこに起きたのが福島原発の事故である。左向きの人たちは、これは使えるとほくそ笑んだ。そして今ありもしない放射能の恐怖がマスコミ等を通じて煽られている。原発なしでは電力供給が十分に出来ない。電力が不足してはデフレ脱却も出来ない。不景気が今のまま続き学校を卒業してもまともな就職も出来ない。放射能認識は第二の歴史認識として我が国弱体化のために徹底的に利用されようとしている。
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11494727117.htm

田母神の「原発論」は、いってしまえば、日本の原発は、地震によって停止し、津波対策もされている(?)ので安全であり、放射線による健康障害などはありえず、それらを理由にした脱原発は、日本を弱体化させる陰謀であり、それにのってしまえば、電力不足、デフレによる不景気、就職危機が継続してしまうということになる。

田母神俊雄は、福島県郡山出身である。福島県あたりで、このような議論をされていると考えるとうそ寒くなる。

さらにいえば、田母神は、元航空幕僚長であった。航空自衛隊ではトップの役職である。一応、自衛隊は、よくも悪くも、核戦争や核物質テロへの対処を考えているはずだと思っていた。しかし、放射能を塩と同じという田母神のような認識で、まともな核戦争やテロへの対策がとれるのかと思ってしまう。さらにいえば、彼らから見れば都合の悪い情報は、こちら側を弱体化させる敵の悪宣伝でしかないのである。このような人が、どうして、航空幕僚長を勤めることができたのかとすら思えてしまう。

田母神俊雄のサイトに都知事選の政策が出ているが、原発については全くふれていない。しかし、このような原発認識を抱いている人物が、今や都知事に立候補しようとしているのである。

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最近の福島県内の首長選で、現職が落選することが目立っている。まず、9月10日にネット配信された河北新報の次の記事をみてほしい。

進まぬ復興、現職に逆風 いわき市長選も新人当選

 8日のいわき市長選で現職の渡辺敬夫氏(67)が新人の清水敏男氏(50)に敗れ、再選を阻まれた。4月の郡山市長選でも新人が当選し、福島県の主な市長選で現職の敗戦が続く。福島第1原発事故からの復興が進まない停滞感が現職批判につながったとみられ、11月に福島市長選を控える現職の瀬戸孝則氏(66)は現職落選の連鎖に危機感を強めている。

<敗因明かさず>
 8日夜、いわき市の渡辺氏の事務所。テレビの開票速報で落選が伝えられ、重苦しい雰囲気に包まれた。渡辺氏は「敗軍の将は多くを語らない」と敗因を明かさなかった。
 得票は約4万8000で、約7200票の差をつけられた。初当選した2009年の前回よりも3万4000票減らしている。組織力を誇ったが、新人の各陣営から原発事故対応で批判の集中砲火を浴びて沈んだ。
 矢吹貢一選対本部長は「復興遅れや避難者の受け入れで市民がギスギスした雰囲気になり、おおらかな市民性が失われた。国や東京電力へのやり場のない憤りが現職に向かった」と分析する。

<流言が痛手に>
 事故直後、インターネットで「市長が(県外へ)逃げた」と流言が広がり、痛手を受けた。「事実無根」と説明しても打ち消すのは容易でなかったという。陣営幹部は「批判票をつかもうと思ったら簡単だ」と新人陣営の戦術を皮肉る。
 自宅を津波で流された同市の自営業女性(64)は新人に投票した。「2年半たっても何も進まない。市長のアピールが弱く、取り残されている」と語る。
 郡山市長選では3選を目指した現職の原正夫氏(69)が苦杯をなめた。自民、公明両党の推薦を受けて組織戦で臨み、校庭表土除去の除染にいち早く取り組んだ実績を強調したが、現職批判の逆風をはね返せなかった。渡辺氏と同様、「事故直後に逃げた」というデマにも苦しめられた。
 選対本部長だった渡辺隆弘氏(75)は「復興の停滞に対する市民のじれったい思いが全部現職にぶつけられた。県内首長選では現職の苦戦が続くだろう」と話す。
 避難自治体でも7月の富岡町長選で現職が新人に敗れている。

<手をこまねく>
 福島市の瀬戸市長は焦りを隠さない。市長選で4選を目指す。ほかに1新人が立候補を表明している。
 瀬戸氏は「リーダーが変われば閉塞(へいそく)感が解消されるのではという空気がある。実績を訴えるだけでは厳しく、放射能対策や子育て支援など具体的な政策を訴えて支持を拡大するしかない」と強調する。
 瀬戸氏を支持する市議会会派「真政会」の黒沢仁幹事長は「いわき市長選は市民の憂さ晴らしのようなもの。どのように戦えばいいのか、まだ道筋が見えない」と現職批判のうねりに手をこまねいている。
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/backnum/news/2013/09/20130910t61011.htm

この記事が示すように、4月の郡山市長選、7月の富岡町長選、9月のいわき市長選と、相次いで現職の首長が敗退している。特に、郡山市長選では、現職が自公両党の推薦を得ていた。それでも敗退したのである。

河北新報では、現職敗退の要因をまず「復興の遅れ」に求めている。もちろん、それもあるだろう。ただ、それに加えて、郡山・いわき両市長選では、3.11直後市長が県外に逃げたというデマが流れたこともあげている。デマはデマなのだろうが、その背景には、震災直後の行政対応への不信があるといえよう。

そして、11月17日の福島市長選では、現職の福島市長が敗退した。19日付の河北新報のネット配信記事をみてほしい。

福島市長選・現職落選 原子力災害への不満集中

 福島市長選(17日投開票)で、現職瀬戸孝則氏(66)が新人の小林香氏(54)に大差で敗れた。福島県の主要市長選では4月の郡山、9月のいわきに続く現職3連敗。福島第1原発事故の復興遅れに対する批判の集中砲火を浴び、現職退場が連鎖する。来年11月には佐藤雄平知事(65)が任期満了となる。佐藤氏は3選を目指すかどうか明らかにしていないが、「連鎖の最終章は知事選か」という声も出ている。

<徹底した組織戦>
 テレビの当選確実速報は午後6時の投票終了時刻と同時に出た。あっけない幕切れに瀬戸氏の事務所は一瞬にして重苦しい空気に包まれ、瀬戸氏は「全ては私の人としての至らなさ」と言葉少なに敗戦の弁を語った。
 瀬戸氏は現職の落選続きに危機感を抱き、自民、公明、社民3党の推薦を受け、徹底した組織戦を展開。それでも、負の連鎖のうねりにひとたまりもなく、小林氏に2倍超の差をつけられた。
 郡山市長選で敗れた原正夫前市長(69)は「原発災害は前例がなく、除染が遅いと批判されても何との比較か分からない。瀬戸市長も懸命に頑張ったのに」と同情する。

<被災なお進行中>
 東日本大震災の被災3県のうち岩手、宮城両県の首長選は「復興加速」を掲げた現職の当選が相次ぐ。宮城では8月に奥山恵美子仙台市長が再選され、10月には村井嘉浩知事が3選された。いずれも圧勝だった。
 福島は3県で唯一、原子力災害を受けた。避難指示の未解除など被災は今も進行中だ。「まだ底を打っていない」という不満が事故対応に当たった現職に集中し、特有の選挙結果につながった。
 東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)は「国策に翻弄(ほんろう)された面は否めないが、地方自治の原点の『民の声』を聞いてきただろうか」と現職の市政運営の不備が響いたとみる。

<自民から主戦論>
 首長選で「現職不利」の流れが強まる中、佐藤知事の任期は満了まで1年を切った。知事は18日の記者会見で、来年秋に想定される知事選に対しては明言を避けた。現職落選続きに関しても「目の前のことをしっかりやっていく」とかわした。
 佐藤氏が初当選した2006年知事選で対立候補を立てた自民党県連。杉山純一幹事長は「現職支持、独自候補擁立の両面で検討する」と言うが、県連内では主戦論が高まる。知事周辺は「自民党は必ず擁立する」と警戒心を隠さない。
 知事与党を自任する民主党県連の亀岡義尚幹事長は「県民の信頼を得るべく、復興加速に突き進むだけ」と語る。同党県議の一人は福島市長選の結果に「知事選が1年後で良かった。今なら負けていた」と身をすくめた。

2013年11月19日火曜日http://jyoho.kahoku.co.jp/member/backnum/news/2013/11/20131119t61011.htm

この記事によると、現職市長は、自民、公明、社民の推薦を取り付けた。それでも新人候補に2倍を超える差をつけられて落選したという。同じ被災県でも、岩手・宮城県の首長選では「復興加速」をかかげた現職が相次いで当選しているそうで、福島県特有の傾向ということである。「復興の遅れ」が主因と分析されているが、その遅れ自体が、まさに原子力災害によるものであり、つきつめていえば、原子力災害への対応を批判されたといえるだろう。

そして、11月24日の二本松市長選、広野町長選でも現職が落選した。毎日新聞の次のネット配信記事をみてほしい。

選挙:福島・二本松市長選/福島・広野町長選 また現職落選
毎日新聞 2013年11月25日 大阪朝刊

 福島県で24日、任期満了に伴う二本松市長選と広野町長選が投開票され、いずれも現職が新人に敗れた。同県では今年度、東京電力福島第1原発事故後の対応を巡り、17日の福島市長選のほか、郡山市、いわき市、富岡町で現職首長が落選している。

 二本松市長選は、無所属新人で前市議の新野(しんの)洋氏(62)が、3選を目指した無所属現職の三保(みほ)恵一氏(64)を破り初当選した。投票率は64・72%。

 同市は国の資金で自治体が除染する「汚染状況重点調査地域」に指定されているが、除染達成率は44%(10月末現在)にとどまる。

 一方、広野町長選は無所属新人で前町議の遠藤智氏(52)が3選を目指した無所属現職の山田基星(もとほし)氏(65)を破り初当選。同町は原発事故で緊急時避難準備区域に指定され、解除後の2012年3月に役場機能をいわき市から戻したが、町民5235人のうち帰還したのは1191人(22日現在)だけ。【高橋隆輔、中尾卓英、喜浦遊】

 二本松市長選の確定得票数次の通り。

当 15632 新野洋<1> 無新

  14930 三保恵一(2) 無現
http://senkyo.mainichi.jp/news/20131125ddn002010052000c.html

23日に私は広野町を通った。その際、選挙事務所が設置されたのをみた。その際、多少は戻りつつあるのかと思ったのだが…。まだ2割程度しか戻っていないということである。どちらにせよ、「復興の遅れ」を指摘されてもしかたのないことである。

前述したように、岩手・宮城両県と比較して、福島県における復興の遅れがみられる最大の要因は、原子力災害問題である。福島第一原発事故によって放出された放射性物質は、内陸部の中通りなどにもとどき、3.11による地震・津波被害が相対的に軽かった地域にも及んだ。これらの地域においても、まず除染が必要とされたが、除染作業自体が遅れているとともに、その効果も限定的なものである。さらに、海岸部の浜通りでは、地震・津波によって大きく打撃を受けた上に、福島第一原発事故によって放出された放射性物質がより多く蓄積された。現在でも立ち入り、居住が制限された地域が設定されているとともに、除染の必要性もより大きい。しかも、海岸部における津波災害からの復興も、原子力災害があったがゆえに遅れざるをえなくなっているのである。

つきつめてしまえば、原子力災害というものが、地方行政への不信を招き、その責任者である現職首長たちの苦戦につながっていっているのである。それが、福島県の現状といえよう。

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さて、また、首都圏のホットスポットとなった千葉県の状況を、柏市の動向を中心にみていくことにする。以前、本ブログで前述したが、学校施設の除染基準を年間20mSvから1mSvに事実上かえた文科省の措置、市民からの不安の声、東京大学内部での批判により、2011年5〜6月より、柏市、我孫子市、野田市、松戸市、鎌ヶ谷市、流山市の東葛6市は、独自に空間放射線量を測定するなど、独自の放射性物質対策を実施しはじめた。しかし、いまだ、「専門家」たちは、この地域の首長たちが開催した7月8日の「東葛地区放射線量対策協議会」で放射性物質対策は必要はない、測定もこまめに行う必要がないと主張し続けた。

しかし、首長たちは納得せず、同日、今後とも放射線量測定などの独自の対策を講じること、費用対効果を考慮しつつも、学校施設については、年間1mSv以下にすることをめざすことなどが決められたのである。

柏市で月2回発行されている柏市民新聞2011年7月22日号によると、柏市としては、次のような対策を講じることになっていた。

 

また、6市のうち松戸市と野田市と野田市を除く4市では、今後の対策として、積算可能な測定機を購入し、全小学校と保育園、幼稚園に各1機を配備する方針を決めた。8月中に揃え、9月から現場の線量を年間通じて測っていく予定。2市については検討中だという。
 また、柏市では、夏休み中に市内の各小学校で細かい測定を行う。学校ごとに線量を図面に落とし、高い数値の場所については、教職員らで清掃する。限られた時間で、きめ細かく清掃するため、保護者らの協力を仰ぎたいとしている。
 ごみ処理場の基準値を超える放射性セシウムについては、秋山浩保市長が15日、環境省に早期対応の緊急要望を提出したが、21日の時点で国の回答はなく、進展はみられていない。

つまり、学校・保育園・幼稚園ごとに測定機を備え付けるともに、小学校では夏休み中にきめ細かく線量を測定し、高い場所では教職員らで「清掃」ー除染することになっていたのである。そして、小学校の測定・除染については、保護者らの協力を仰ぎたいとしている。教職員・保護者らの、いわばボランティアによる線量測定、除染が提起されたといえる。

しかし、すでに、放射性物質の問題は、学校施設の問題に限定されるものではなくなっていた。先の記事の中にも述べられているが、柏市の二つある清掃工場の焼却灰などより、環境省の基準である1kgあたり8000bqをこえる放射線量が検出されたのである。基準をこえる焼却灰などは、最終処分場に埋め立てて一時保管することになっているが、その準備が整うまで工場に仮保管されることになっており、基準以下の場合は、通常通り最終処分場で埋め立てることになっていた。しかし、柏市民新聞が「いずれの措置にしても、工場付近の住民の理解は得難く」といっており、柏市長としては、環境省に早期対策を要望した。結局、第一清掃工場は操業停止となり、第二は稼働を継続したが、もし国・県の対策が遅れた場合、1〜2月程度で双方とも保管限度をこえて操業停止となるという状態だったのである。なお、この問題は、現在もこの地域に重くのしかかっているのである。

さらに、柏市は、7月28日から市内農産物の放射性物質調査を開始した。柏市民新聞2011年8月12日号には、その目的として、「柏市産の安全性を確認し、風評被害を防ぐこと」としている。農産物の放射性物質調査は千葉県が実施していたが、柏市の調査は簡易調査と位置づけられており、この市の検査で200bqをこえた場合、厚労省の登録検査機関に送って、暫定基準値を超えていた場合は、出荷停止となるというシステムになっている。柏市民新聞2011年8月12日号によると、ブルーベリーにおいて、セシウム134が40.9bq、セシウム137が44.6bq検出された事例があったが、いずれにしても暫定基準値をこえたものがないとしている。なお、千葉県も、柏市産を含めた千葉県産の早場米の検査を8月から開始している。

加えて、1kgあたり500bqという暫定基準値をこえた牛肉が発見されたことから、8月より学校給食の食材に対する放射線セシウムの検査を開始することを決めた。

このように、柏市では、2011年7〜8月から放射性物質対策がとられてようになってきたが、市民の目からみれば、まだまだ不十分なものであった。朝日新聞朝刊2011年8月11日号には、次のような記事が掲載されている。

千葉の幼稚園 独自に土除去
 福島第一原発から約200キロ離れている千葉県の柏市や松戸市などは市の発表で毎時0.3〜0.4マイクロシーベルト前後になる場所がある。福島県発表のいわき市(同0.2マイクロ程度)を上回る。千葉県が発表する市原市の同約0.04マイクロに比べ1桁高い。放射性物質が他よりも多く降り注いだ「ホットスポット」と呼ばれる場所だ。
 千葉県柏市の私立みくに幼稚園で8日、杉山智園長らが花壇の表土をはがして古い浄化槽の中に埋める作業をした。花壇は毎時約0.4マイクロシーベルトだった。
 園庭の放射線量は0.1マイクロシーベルト。これは5月の測定で0.4〜0.5マイクロシーベルトだったので表土の入れ替えをしたためだ。杉山園長は「子どものために実行可能なことはやらざるを得ない」という。
 柏市など6市は対策協議会を開き「低減策が国の財政支援の対象になる毎時1マイクロシーベルトを上回る地点は確認されなかった」などとの中間報告を7月にまとめた。柏市は小中学校などで線量を細かく測定し、線量の高い場所は清掃や草の除去をするというが、校庭の表土の入れ替えなど大規模な工事の計画はない。
 子どもの被曝を心配する親らが約1万人の署名を集め校庭や公園で土砂の入れ替えなどを求める要望書を6月に柏市に出した。その一人、主婦の大作ゆきさん(33)は「市の動き方は鈍い」と批判する。大作さん自身は10日、1歳と3歳の2人の子どもとともに大分県に一時避難した。(編集委員・浅井文和)

このように、市立の小中学校においても大規模な除染を行うことは想定されておらず、「市の動き方は鈍い」と批判される状況であったのである。そして、私立幼稚園としては、独自に除染作業を開始したのであった。

しかし、朝日新聞の報道後、柏市の放射性物質対策はやや進展をみせる。8月19日には、職員4人の「放射線対策室」が環境部内に設置された。柏市のサイトでは、このように設置目的が説明されている。

福島第一原子力発電所の事故に伴い、市民の皆さんから放射線に対する不安の声が多く寄せられていました。現在、空間放射線量の低減対策については、子どもを対象とした部署を中心に関係各課が行っているところです。今後は、今まで以上に子どもに関連する部署間の連携を強化するとともに、それ以外の部署(通学路や農作物、給食食材関連など)との連携も必要となってくることから、次のとおり環境部内に新たに「放射線対策室」を設置することとしました。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080500/p009165.html

そして、8月には、多少とも、小中学校の除染活動も進んだようである。柏市民新聞2011年8月26日号では、次のような記事が掲載されている。

地域住民 学校で除染作業 放射線量低減に安堵の声

 市内の幼稚園と小中学校で放射線の除染作業がはじまった。夏休み期間を利用し、敷地内で1マイクロシーベルトを超える地点や側溝などの高い数値が予想されるポイントを対象としている。教職員のほか、保護者らも参加して実施。一部の校(園)庭では、表土を削るなどの低減策もとられている。その効果は、毎時0.3マイクロシーベルトを測定した校庭が同0.2未満になるほどで、参加者からは喜びと安堵の声が挙がっていた。
 20日には、富勢小学校と松葉第二小学校などで作業が行われた。松葉第二小では、教職員のほか、保護者や地域住民など126人が作業に参加。校庭の大半の表土を削った。大勢の参加者が集まったため、開始時刻を早めてスタート。それでも、前日から降った雨が地中にしみ込んだため、その重量に参加者は悪戦苦闘。用意した土嚢袋の半分程度の量で成人男性がやっと持ち上げるほどの重みに。当初の土嚢袋800袋では不足し、さらに、800袋を追加。表土をわずか2センチ程度削っただけにもかかわらず、校舎からもっとも離れた校庭隅に土嚢の山が築かれた。
 当日は午後4時前から開始。気温は真夏日を下回ったが、マスクと軍手、長袖長ズボンの参加者は汗でぐっしょり。それでも「子どもに安心して運動会をしてほしい」との思いから作業に集中。学校職員が配備された測定機で測り「0.3マイクロシーベルトだったところが、0.2を切りました」と報告すると、喜びの声が挙がった。職員によると、松葉第二小は、6月以降、毎時0.3マイクロシーベルトの地点が非常に多く、今回の除染結果には笑顔が溢れた。参加者からも「子どもたちが安心して校庭で遊べる日がくるなら、がんばろう」との声が挙がり、多くの参加者が希望を持った作業結果となった。
 現在、市内の学校施設(幼稚園など含む)の放射線量測定は、全校で終了。私立園とも連携を図っており、放射線対策室によると、今後各学校が地域と連携し、2回目を含めた除染作業を行っていくとしている。 

この記事は、非常に興味深い。まず、指摘すべきことは、すでに述べているように、柏市などは年間1mSv以下とするとしているにもかかわらず、結局毎時1μSv以上の地点しか除染作業の目標としていなかったことである。年間1mSv未満とするならば、現在の基準では毎時0.23μSv未満にすべきなのだが、そのような地点は本来は対象としていなかったのである。これは、実質的には「専門家」の意見に引きずられていたといえるのである。「市の動き方は鈍い」と批判されるのも無理はないだろう。

しかし、この基準は、市民の求める基準ではなかった。ここで扱っている松葉第二小学校では、毎時0.3μSvでは高すぎるという意識があり、校庭の大半の表土を削り取るという大規模な除染が行われた。そして、この作業が、「教職員のほか、保護者や地域住民など126人が作業に参加。」とあり、いわば地域のボランティアを動員して行われたとみられることに注目しておきたい。この校庭の表土を削り取るという作業が、どのような形で意志決定されたかは不明だが、市の方針としては一部の高線量地点のみ除染ということであったから、それをこえた除染作業の実施は教職員も含めて自発的な形で決められたのではないかと想定される。そして、その究極の目的は「子どもに安心して運動会をしてほしい」「子どもたちが安心して校庭で遊べる日がくるなら、がんばろう」ということであった。真夏日ではなかったようだが、それにしても、夏の日にこのような重労働を地域の人びとは自発的に行ったのである。こういう活動を通して、年間1mSvにするという柏市のかかげた目標は、柏市当局の意図を超えて、定着していったのである。これは、住民自治ともいえるであろう。

しかし、他方で、このような除染活動の実施は、そもそも、このような事態を引き起こした東電なり国なりが行うべきことであることも指摘しておかなくてはならない。そして、この除染活動によって、市民自身がいわば無用の被曝を強いられることにもなったといえる。このような矛盾は、福島県郡山市の除染活動で、より深刻な形で露呈されているのである。

そして、また、2011年9月以降、柏市の放射線物質汚染状況がより明らかになってくるにつれ、市行政自体がより責任をもった放射能対策の必要性が提起されるのである。

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前回のブログで、東京圏においては、環境省の除染基準にのっとり、おおむね年間1mSv、1時間0.23μSvの放射線量程度が除染基準になっていることを述べた。

福島県では、その数倍が暫定的な除染基準になっていることがある。まず、福島市の除染基準をみておこう。2012年5月に出された『福島市ふるさと除染計画』第2版では、次のように規定されている。

(4) 目 標
① 平成 23 年 10 月からの 2 年間で、市民の日常生活環境における空間線量率を市内全域で 1μSv/時以下にすることを目指します。
② 現在空間線量率が 1μSv/時以下の地域においては、平成 23 年 10 月からの 2年間で、現在の空間線量率を 60%7低減させることを目指します。
③ 将来的には、推定年間追加被ばく線量を、法の基本方針に基づき、年間 1mSv(0.23μSv/時)以下にすることを目標とします。

(5) 除染実施区域
除染は、空間線量率が 0.23μSv/時(1mSv/年)以上の地域を対象に実施します。具体的には、文部科学省の航空機モニタリング結果や市の全市一斉放射線量測定結果に基づき、3「優先度の考え方」に示した地域とします。
また、除染の実施に当たっては、実施前に空間線量率を測定しますが、0.23μSv/時を下回っている施設等でも、たとえば、側溝や雤どい下等の局所的に 0.23μSv/時を上回っている箇所については、除染を実施します。
また、除染作業にあたっては、0.99μSv/時(約 5mSv/年)以上の地域は面的に除染し、それ以下の地域は、空間線量率の程度に応じ必要な措置を選択し除染します。
http://www.city.fukushima.fukushima.jp/uploaded/attachment/10812.pdf

福島市の場合、将来的には、「0.23μSv/時(1mSv/年)」にすることをめざすとしながら、現状では1時間あたり1μSvにすることにしている。結局、現状では、東京圏の約4〜5倍の放射線量が許容されているといえよう。

郡山市ではどうであろうか。「郡山市ふるさと再生除染実施計画」(第2版 2012年2月)では、市内全域の追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト(高さ1メートル)において毎時0.23マイクロシーベルト)未満とすることを目指します。」とされている。しかし、「追加被ばく線量が年間5ミリシーベルト(毎時 0.99μSv)を超える区域 」が「住宅(家屋・庭)、道路、側溝、公共施設等の面的な除染を進めます。 」とされ、追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト(毎時 0.23μSv)以上で年間5ミリシーベルト(毎時0.99μSv)以下の区域 」は住宅の雨どいや道路、側溝等の局所的に高線量を示す箇所の除染を進めます。」とされている。結局、面的な除染活動を実施するのは、1時間あたり約1μSv以上の地域なのである。

以前、本ブログで「市民に不必要な被曝をさせる郡山市の除染マニュアル」として市民ボランティアに準備不足で除染作業を郡山市が行っていたことをとりあげたことがある。もう一度郡山市の除染マニュアルを読み直したが、その時点では除染基準は示されていなかった。ただ、結局、毎時1μSv以上の場所を優先しているところからみて、このような場所も対象に入っていたのではないかと思う。実際、予定プランでは、高さ1mで 毎時1.5μSv以上の放射線量を示す場所が候補に入っていた。前回とりあげた小金井市の場合は、市独自で行う除染作業は毎時1μSv未満の場所で、それ以上は国・都の指導を仰ぐとしていた。小金井市では、毎時1μSv以上の場所は、市独自で除染するのは危険と判断していたのである。そのような場所の除染を、郡山市では市民のボランティアで除染させていたのである。ダブルスタンダートである。

さて、ほぼ全域が計画的避難区域に指定され、ほとんどの住民が村外に避難しなくてはならなかった飯館村ではどうだろうか。飯館村では、村長を中心に、早期の村民の帰還をめざして、除染作業が進められている。なお、飯館村で除染アドバイザーをしているのが、次期原子力規制委員長としてあげられ、批判の的になっている田中俊一である。2011年9月に定められた飯館村除染計画書では2014年度中に「国は村と連携し、住民の安全性を十分に確保した上で家屋、事業所、公共施設等を対象に年間1mSv以下を目標に実施する。」となっている。しかし、2011年12月にだされた「いいたてまでいな復興計画」(第一版)では、現在もしくは2年後までの「短期」に実施することとして、

○村内全域にわたる除染を進めます
◆除染目標は、追加被ばく線量の長期的な目標でなる年間積算線量1ミリシーベルトを目指します。当面の目標としては、年間積算線量5ミリシーベルト(毎時1マイクロシーベルト)以下を目指し、徹底した除染を進めます・
http://www.vill.iitate.fukushima.jp/saigai/wp-content/uploads/2011/12/5bbd68d3c1ec69c22c664b48805fcce4.pdf

結局、福島市や郡山市と同じである。将来的には年間1mSv以下にすることをめざすとしながらも、現状の除染目標は年間5mSv(毎時1μSv)にするしかないのである。そして、除染作業の結果もかなりシビアである。『広報いいたて』2012年8月号に昨年度の除染作業の結果が掲載されているが、除染作業の結果として、年間1mSvに該当する0.23μSv/hになったところはどこにもない。5ヶ所があげられている内、1ヶ所のみが0.53μSv/hに下がったが、他は2.08、2.37、1.70、3.04μSv/hと、1μSv/hを上回っているのである。

基本的に、除染が課題となっている福島県の各市町村では、将来的には年間1mSv(毎時0.23μSv)にするとしながらも、現実的には年間5mSv(毎時1μSv)を除染対象の基準にするしかないのである。もちろん、これは、それぞれの市町村の怠慢というわけではない。前、このブログでも述べたが、放射線管理区域以上(毎時0.6μSv)の放射線量を示す場所が広範囲に広がっている地域では、このようにしか、現時点で実行可能な目標を設定できないということでもあるのだ。しかし、このような除染基準は、東京圏と福島県の原発問題における最も見えやすい格差ということができる。東京圏の4〜5倍の放射線量を福島県の人びとは現状において甘受せざるをえないのである。それは、人びとの生存の問題であるが、生業の問題でもある。4〜5倍の放射線量を甘受しなくてならないというのは、人びとだけでなく、そこで生産される農産物、水産物、林産物、工業製品の問題でもあるからだ。

ここで問題になっている低線量放射線がどれほど人体に影響があるか、今の所は「わからない」ということしかない。ただ、それでも、東京圏と福島県の除染基準の格差は、社会的なものである。社会的にリスクといわれるものを、福島県の人びとは多く背負わされているのだ。つまり、放射線量において、現状では、東京圏と福島県には、明白なダブルスタンダートがあるということになる。

そして、これは、原発が大都市立地をさけて、過疎地に立地したことから起因している。このブログでも紹介したように、原発事故の危険性は暗黙のうちに前提とされ、そのことが原発の大都市立地をさけて過疎地に立地する一因となっている。事故が起きてしまえば、それは明白に示される。比較的遠方の大都市では影響が少なく、立地している地域社会には影響が大きい。しかし、大都市に立地していれば、より深刻な影響が生じたであろう。立地条件自身が孕んでいた大都市/過疎地の矛盾がここに露呈したのである。

しかし、他方で、放射線のリスクは短期的には影響を感知することはできず、また、十分な除染作業をスピーディーに行うことは現時点では困難であるということから、結局、地域復興のためには放射線量の高いところでも、避難などせずに住まなくてはならないという論理が形成されていくことは考えられる。福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任した山下俊一が推進していることは、所詮そういうことなのだと思う。そして、そういう見地からいえば、放射線の害を主張する人びとは地域復興の阻害者であり、早期に住民を帰還させることが財政負担や賠償負担を軽減するになるという利害を有する国や東電は、地域復興を支援しているというようにうつることになる。しかし、この論理は、そもそもの責任者の責任を看過し、放射線量についての、東京圏と福島県の明白なダブルスタンダートを前提にしてしまっているものといえる。

早く帰還すべきだという地域住民の声も理解できるので、この問題には簡単に解決がみつかる問題ではない。しかし、より高い放射線量を示す地域に異議もなく住むということは、東京圏と福島県とのダブルスタンダートを固定してしまうことになるだろう。もう一度、過去にさかのぼって、どのようにやり直さなくてはならないか、それを考えなくてはならないと思う。

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福島第一原発事故につき、子どもたちを避難させるべきかいなか、これは、福島県だけでなく、場合によっては首都圏でもさかんに議論された問題である。

その一例として、2011年9月30日に郡山市議会定例会で行われた駒崎ゆき子市議会議員と、郡山市当局者の論戦をみていくことにする。

駒崎ゆき子は、「郡山の未来をつくる会」から市議会議員選挙に立候補し、2期8年勤めた。「郡山の未来をつくる会」については、詳細はよくわからないが、いわゆる「市民派」の団体ということができよう。駒崎ゆき子は、前回の市議会議員選挙で落選した。今回の9月の市議会議員選挙で再び議員に当選した。駒崎ゆき子については、本人のブログhttp://komasaki.info/?m=201109&paged=2を参照されたい。ただ、一つ、重要なことは、彼女は、「ふくしま集団疎開裁判」という裁判に議員当選前から関与していることである。このことは、質問中にも言及されている。

とにかく、まず、駒崎ゆき子の質問をみておこう。駒崎の質問は放射線関係だけであったが、多岐にわたり、放射線測定機器の貸し出しや除染などにも質問しているが、ここでは、避難関係だけをみていこう。

◆駒崎ゆき子議員 おはようございます。
 郡山の未来をつくる会の駒崎ゆき子です。
 では、通告に従って一般質問をいたしますが、その他のところで1項目追加をお願いいたします。
 郡山市も、東日本大震災では多くの被害を受けました。また、台風15号により、9月21日から22日にかけて約4,800世帯が浸水の被害を受けました。被害を受けた皆様に心からお見舞い申し上げます。
 さて、原発事故による放射能の汚染については、健康に対する心配と不安、また農産物をはじめ経済への影響ははかり知れないものがあります。郡山市の空間線量は低くなったとはいえ、まだ1時間当たり0.89マイクロシーベルト前後です。事故前に比べて約22倍の高さです。私たちに一番身近な放射線はレントゲンですが、レントゲン室の放射線管理区域は、法律で年間5.2ミリシーベルト以下であり、1時間当たりに換算すれば0.6マイクロシーベルトです。ここは、法律により18歳未満の労働は禁じられ、子どもを含む一般人の立ち入りも禁止されています。しかし、私たちはもう6カ月以上も放射線管理区域よりも高い放射線の中に無防備で生活をしています。今後いつまで続くのか、見通しも立っていません。放射能対策は、緊急かつ最重要な課題ですので、質問いたします。
 1、土壌汚染マップと郡山市の汚染状況について。
 文部科学省が放射線量等分布マップ、略称・土壌汚染マップを発表しました。郡山市で118地点の計測結果が出ております。これをチェルノブイリ原発事故時に旧ソ連当局がセシウム137の線量に基づき設定した避難の基準に当てはめますと、移住権利地域は17地点あり、その他ほとんどが放射線管理区域で、区域設定なしは35地点しかありません。今の郡山市は、セシウム137とセシウム134が同程度あり、合計して考えるべきです。そうすると、55万5,000ベクレル/平方メートル以上の義務的避難地域に該当する地点が3地点となり、移住権利地域は49地点にふえます。最大で83万7,340ベクレル/平方メートルと高い汚染濃度となっております。
 そこで伺います。
 1、住民の安全を守る立場の郡山市として、文部科学省によるこのマップをどうとらえているのか、見解を伺います。
 また、この現状の中、どのような対策で市民の命と生活を守ろうとしているのか、あわせて伺います。
 2、教育委員会では通学路放射線量マップを作成したようですが、今後の除染活動において、この土壌汚染マップも参考にしていただきたいが、見解を伺います。
 また、あわせて子どもたちの健康を守る今後の対策を伺います。
 3、内部被曝を防ぐ手だてについて。
 現在、厚生労働省が定める食品の暫定規制値は、野菜、穀類、肉、魚、卵などに含まれる放射性セシウムは500ベクレル/キログラムになっています。一方、チェルノブイリ原発事故で被害を受けたベラルーシの野菜の規制値は100ベクレル、ウクライナでは40ベクレルとなっています。日本の基準で本当に健康は守れるのか心配です。そこで、内部被曝を防ぐ手だてをどう考えているのか、当局の見解を伺います。
 2、こども・妊婦の疎開について。
 子どもは大人より放射能の影響を受けやすいと言われています。また、7月5日の朝刊に、3月下旬に県内の約1,000人の子どもたちの調査で、45%の子どもたちがヨウ素被曝を受けていたと報道されています。世界の歴史の中でも、核実験の後、スリーマイル島及びチェルノブイリ原発事故後に4年から5年で子どもたちの甲状腺がんがふえています。また、勇気ある14人の子どもたちが「1ミリシーベルト以下の安全な場所で学校運営をしてほしい」と郡山市に仮処分の申し入れをしていますが、文部科学省の土壌汚染マップの現状を見れば、子どもたちへの影響がとても心配されますので、伺います。
 1、子どもたちの将来の安全について。
 裁判で郡山市は、文部科学省の言うとおりやれることはやっているので、疎開させるまでもない旨、答弁しています。現在、自主避難等々で小中学生997名が転出している中、このまま子どもたちを郡山市にとどめておいて、将来までも安全だと言えるのかどうか、郡山市の説得力ある見解を伺います。
 2、保健室利用日誌の充実や子どもの健康把握について。
 保健室利用状況を情報開示しましたら、外科系の症状が減り、内科系の症状がふえていました。仔細理由の記載は一部の学校のみでしたが、腹痛、頭痛、発熱、気分不良等々、中には腹痛の欠席、来室者が増加しています等々の記載もありました。原因は、第一には外で遊べない子どもたちのストレスだと思いますが、子どもたちの健康状態が気になります。そこで、今後、保健室利用日誌の充実や子どもの健康把握をどうするのか伺います。
 3、子どもたちの公的主導の疎開について。
 ジャーナリストの広河隆一さんたちは、チェルノブイリの支援で、安全な場所2カ所に寄宿舎を建て、危険な場所に住む子どもたちを学級ごと、何カ月か交代で疎開させているそうです。今回、環境NGOが子どもたちの尿中セシウムの検査をした結果、すべてのお子さんの尿からセシウムが検出されました。もう既に子どもたちは内部被曝をしている現実があります。そのお子さんの尿の検査を9月に再び行ったところ、この夏休みに疎開したお子さんのセシウムは減り、動かなかったお子さんはふえていたという結果が出ています。
 子どもたちは新陳代謝も早いので、疎開は有効な手だてです。チェルノブイリでできることが郡山市でできないはずはありません。姉妹都市との連携等々で、ぜひ公的主導の疎開が実現できないでしょうか、伺います。
 4、妊婦さんへの対策と避難、疎開の現状や生活保障について。
 放射能は遺伝子を傷つけることから、妊婦さんやこれから妊娠出産を予定している皆さんの心配は大きいです。未来を担う子どもを守るのは自治体として大きな責務でありますので、郡山市の妊婦さんへの対応を伺います。
 また、県の助産師会は会津に避難所を設けているようですが、郡山市の妊婦さんの避難、疎開の現状や生活保障について、あわせて伺います。
http://www2.city.koriyama.fukushima.jp/gijiroku/
上記の9月30日定例会会議録より引用。なお、後述する郡山市議会における発言はすべてここから引用。

駒崎の質問の趣旨は明解だ。文部科学省の発表した土壌汚染マップによれば、セシウム137だけでも郡山市の多くの地域は放射線管理区域(3万7千Bq/㎡~)なみの汚染を示しており、さらに、チェルノブイリ事故時に移住の権利が認められた区域(18万5千Bq/㎡~)のところも17箇所あると、駒崎は指摘する。さらに、半減期約2年のセシウム134を合算するならば、「義務的避難地域(55万Bq/㎡~)に該当する地点が3地点となり、移住権利地域は49地点にふえます」と、駒崎は主張しているのである。

私自身も先に、本ブログの「福島・宮城・栃木三県における放射性セシウム汚染の状況ー東日本大震災の歴史的位置」(2011年8月10日)の中で、同様のことを指摘した。その際、私自身もチェルノブイリの区分を参考としている。ここで再びあげておこう。

参考:チェルノブイリの区分

148万Bq/㎡~     (第1) 強制避難区域   直ちに強制避難、立ち入り禁止
55万Bq/㎡~     (第2) 一時移住区域   義務的移住区域
18万5千Bq/㎡~   (第3) 希望移住区域   移住の権利が認められる
3万7千Bq/㎡~    (第4) 放射線管理区域  不必要な被ばくを防止するために設けられる区域

駒崎は、このような状況下において、チェルノブイリ事故の教訓にかんがみ、放射線に対してより感受性が強いと思われる子どもと妊婦を郡山市より避難させるべきではないかと訴えたのである。

この駒崎の問いに対し、郡山市役所の高田繁総務部長は、このような答弁をした。

○大内嘉明議長 次に、項目1、土壌汚染マップと郡山市の汚染状況について、当局の答弁を求めます。高田総務部長。
    〔高田繁総務部長 登壇〕
◎高田繁総務部長 土壌汚染マップについてでありますが、チェルノブイリではセシウム137のみの数値であり、測定時期も事故から約4年後であることなど単純な比較はできないものと考えております。
 今後につきましても、放射性物質の除染を積極的に進め、年間総被曝量1ミリシーベルト以下にすることを目指してまいります。
 以上、答弁といたします。

駒崎は納得しない。再質問となった。

○大内嘉明議長 土壌汚染マップと郡山市の汚染状況について、駒崎ゆき子議員の再質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 再質問いたします。
 今、土壌汚染については、単純に比較ができないということでしたが、それは4年過ぎてみないと、郡山の4年後と比較してみないと比較できないとおっしゃっているのか、そこのところを再度、もう少し詳しく説明お願いします。
○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。高田総務部長。
◎高田繁総務部長 再質問にお答えします。
 先ほど、単純には比較できないものという答弁を申し上げましたけれども、その比較できない要因でございますが、チェルノブイリの事故のベクレルにつきましては、土壌表面のセシウム137だけで148万ベクレル、妊婦、子どもに対しては55万5,000ベクレルでございますが、郡山市の場合については、セシウム137と134を合わせますと55万5,000を超えているところがありますので、片方はセシウム137だけ、片方はセシウム137と134ということで、その1つと、さらには合計といったところが違います。さらには測定時点が、先ほどの4年と現時点という時点がございますので、その点が比較できないというところでございます。
 以上、答弁といたします。

チェルノブイリとは比較できないーそれも測定方法の次元においてというのが、高田総務部長の答えなのである。駒崎は、「今の答弁ですと、やはり郡山市内は今とても危険だという状況には立っていないように思うのです」と言わざるをえなかった。

○大内嘉明議長 駒崎ゆき子議員の再々質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 では、再々質問をさせていただきますが、今の答弁ですと、やはり郡山市内は今とても危険だという状況には立っていないように思うのです。歴史的にも、過去のチェルノブイリ事故の後とか、本当に子どもたちに甲状腺がんがふえたりしているわけですから、過去の間違いを私たちはしないように、今から予防的対応をとらなければならないと思っているのですが、そこのところがまだ認識がちょっと違うように思うのですが、子どもたちについては、今でも、この郡山市で安全だとお考えなのかどうか、再々質問いたします。
○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。高田総務部長。
◎高田繁総務部長 再々質問にお答えをいたします。
 子どもに対する取り扱いは安全なのかというような再々質問でございますが、やはり将来を担う子どもの健康は大事でございますので、そういったことから、大人とは違った、子どもは半分のベクレルというところで、先ほどチェルノブイリでいう148万に対して55万5,000でございますが、本市につきましては、そういった取り組みの中で少しでも子どもの線量を低くするための取り組みということで、表土除去とかいろいろやっております。
 今後につきましても、放射性物質の除染をもっともっと積極的に進めまして、年間総被曝量を1ミリシーベルト以下に持っていきたいというような考えで取り組んでいるところでございます。
 以上、答弁といたします。

駒崎の懸念について、高田は、除染すれば大丈夫だという答弁をしたということができよう。ここでは紹介していないが、市長自身も、除染に積極的な姿勢を示していた。そして、その積極的な除染というものが、結局、かなり問題がある、町内会などを中心として行われた「市民自らの除染」ということになっていくということができよう。

さて、子ども・妊婦の疎開については、木村孝雄教育長が答えることになった。

○大内嘉明議長 次に、項目2、こども・妊婦の疎開について、当局の答弁を求めます。木村教育長。
    〔木村孝雄教育長 登壇〕
◎木村孝雄教育長 初めに、子どもたちの将来の安全についてでありますが、低放射線量と健康被害との関係については、専門家でも判断が分かれるところであります。また、8月26日には文部科学省が、学校で児童生徒が受ける線量は年間1ミリシーベルト以下、毎時1マイクロシーベルト未満を目安とする指針を定めたところであります。
 本市においては、子どもたちの健康と安全を最優先に、除染活動や屋外活動の時間制限、健康チェックや安全・安心な食材の確保など今できることを一つ一つ行っているところであります。
 次に、保健室利用日誌の充実や子どもの健康状態の把握についてでありますが、子どもたちの震災の影響による健康状態を的確に把握する必要があることから、きめ細やかな健康観察、校内の教育相談の充実、保護者との情報の共有などと合わせて、常に個人と全体の把握ができる学校保健日誌の記載のあり方について、管理主事の全校訪問等で指導しているところであります。
 今後も、学校保健日誌を充実させ、全職員で有効活用しながら、心のケアを中心に子どもの健康管理に万全を期してまいる考えであります。
 次に、子どもたちの公的主導の疎開についてでありますが、本市は国が示す警戒区域・緊急時避難準備区域等に指定されておりません。また、疎開による生活不適応からくる子どもたちの心身の影響等の課題もあることから、市主導の疎開は考えておりません。
 以上、答弁といたします。

木村の答弁によると、低放射線量と健康被害との関係は、専門家でも判断が分かれるとし、結局は国の基準に従いつつ、「子どもたちの健康と安全を最優先に、除染活動や屋外活動の時間制限、健康チェックや安全・安心な食材の確保など今できることを一つ一つ行っているところであります」としているのである。その上で、国が避難を強制している区域ではないし、「疎開による生活不適応からくる子どもたちの心身の影響等の課題もある」として、市主導の疎開は考えていないと木村教育長は述べたのである。

もちろん、駒崎は、ここでも納得しない。再質問を行った。

○大内嘉明議長 こども・妊婦の疎開について、駒崎ゆき子議員の再質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 再質問をさせていただきます。
 疎開については考えていないというお話でしたけれども、私の知っている若いお母さんたちが、自分も仕事を辞め、そしてお父さんをこちらに置き、2人のお子さんを連れて郡山市を離れました。その理由は、行政の対応を待っていたら子どもの命は救えないという本当に切実な思いで離れたのです。
 ですから、もう少し、そこの心情をしっかり考えていただきたいと思います。今の郡山市の対策、それからホールボディカウンターだって、あと半年後なんですよ。でも、私たちは毎日毎日、被曝をしているわけですので、そういう意味から、ぜひ考えていただきたいし、また郡山市を離れたいと思っても、いろいろな事情で離れられない親子さんも多くいます。条件とか環境によって命に格差が生まれてはいけないと思うのです。やはりそのためには、公的な避難、公的な疎開、そこをぜひさせたいと思うのですが、再度お伺いいたします。

駒崎は、郡山市から自主的に疎開した母子の例をあげて、郡山市の当局者を追求した。

それに対して、木村教育長は、このように答えた。

○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。木村教育長。
◎木村孝雄教育長 再質問にお答えいたします。
 公的主導の疎開についての考えについてでありますが、本市は、国が示す避難区域等に指定されておりません。
 市が一方的に疎開を行う権限も有しておりません。
 3点目は、疎開により自分の家を離れることは、子どもたちや保護者に大きなストレスを与えることになり、心身への影響等を考える必要があると考えます。
 4点目は、現在、放射線量が減少傾向にあります。今後、除染が進むこと、以上のことから、現時点では疎開が必要な状況にはないと考えております。
 特に、教育の原点は家庭でございます。成長過程で生ずるさまざまな不安や悩み、受けとめてくれるのはやはり家庭です。人格形成の基礎には何よりも家庭、そしてなれ親しんだ地域、教師、友人が欠かすことができないものと認識しております。その意味でも、ふるさとを離れている子どもたちが一日も早く戻れるような除染活動に、どの子も健康で思う存分学べる環境づくりに、例えば除染、内部被曝の軽減、健康診断、情報公開等に今後も取り組んでいく所存であります。
 以上、答弁といたします。

木村は、まず、国が避難区域に指定していない、市が疎開を行う権限はないと答えた。さらに、疎開は、子どもや保護者にストレスをあたえるとした。加えて、放射線量が低下傾向にあるとも述べた。その上で、木村は、教育の原点は家庭である、家庭や、なれ親しんだ地域・教師・友人などのところに子どもが戻れるように、除染などに努力すると述べたのである。

結局、駒崎と木村の論戦は、平行線のままだった。

○大内嘉明議長 駒崎ゆき子議員の再々質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 再々質問をいたします。
 確かに教育長のおっしゃるとおりストレスがとても大変なんです。でも、それを防ぐには行政が主導していく避難だと思うのです。そこなので、もう少し考えていただきたいと思います。---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ぜひ今回のこの子どもたちを救うという目的から、公的な避難や疎開をぜひご検討いただきたいと思いますので、市長にお答えいただきたいと思います。
○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。木村教育長。
◎木村孝雄教育長 再々質問にお答えいたします。
 さらに疎開について具体的に考えていけないのかという質問でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、今、実現可能な方策を一つ一つプライオリティをつけながら、行政の責任、大人の責任で精いっぱい取り組んでまいります。
 子どもの10年先、20年先の健康リスクはだれも予想できない、それだけは認識しております。そういう意味で、これからも実現可能な方策を順次取り組んでまいりますが、なお、9月28日現在で60名以上の生徒が戻ってきております。再転入してきており、その人数が増加傾向にあります。いろいろな多くの問い合わせがございます。
 再転入の主な理由を、ほとんどの保護者からアンケートをとりました。
 第1点目は、放射線量が下がり、学習環境が改善されたため。それが1番多かった。
 第2点目に多かったのは、郡山市の教育や取り巻く環境がすぐれていると認識したため。これは2番目に多かったです。
 3点目が、他地域での学習や居住に不都合があった。
 4点目が、災害復興が進み、生活環境が整ったなどであります。
 また、2学期になり、郡山に避難している方からの情報を受けて、県内外から新たに9月だけで7避難家族が市内に転入してきております。
 そういうものをしっかり受けとめながら、今後可能な限り子どもたちの安全を、命を守ることを最優先に努力してまいります。
 以上、答弁といたします。

駒崎は、ストレスを防ぐためには行政主導の避難をすべきだとする。しかし、木村は、すでに子どもたちは戻ってきている、他地域では不便であり、郡山市の教育環境が優れていることが再認識させられたのだと述べているのである。

私個人の意見をいえば、駒崎の意見に近いといえる。低放射線量の健康への影響は、確かに実証されていないのだが、影響がないともいえない。それゆえ、日常において、例えばレントゲン診断の時など低線量といえども照射される際は、なんらかの放射線防護を行っている。郡山市の多くの地点が放射線管理区画なみであるならば、妊婦・子どもだけでも特別な措置が必要ではなかろうかとも考えるのである。

ただ、木村孝雄教育長の言葉についても、多少考えてみよう。避難などについては国の基準以上は必要ないという主張については、中央追随ではないかとみられるのはしかたがないだろう。しかし、たぶん、それだけではないとも思う。

木村は、避難している子どもたちにつき、ストレスを懸念しているといえる。目に見えない放射線による被害よりも、確かに目に見える避難によるストレスのほうを心配しているのだ。ある意味では、放射線被曝の影響を軽視しているといえる。それゆえ、駒崎などからの批判は免れえないのであるが、木村の正当性の根拠となるのが、低線量被曝による健康被害が実証されていないということを前提にした、国の避難基準なのである。

その上で、木村は、避難している子どもたちが郡山市に戻ってきてほしいと願っているといえる。木村によれば、避難しているストレスによる被害の方が、放射線被曝の害よりも大きいのだ。ふるさとに戻るということが、木村のいう教育の原点である家庭に戻るということでもあるとしている。彼にとっては、目に見えない放射線被曝による健康被害を恐れて、市が積極的に妊婦・子どものふるさとや家庭からの離脱を意味する避難を勧奨するということは、たぶんに理解できないことなのであろう。

もちろん、木村も、放射線被曝を防ぐ措置が全く無用としているわけではない。彼にとっても、除染は必要な課題なのだ。しかし、彼にとって、放射線被曝のリスクは、避難時のストレスのリスクよりも小さいのであり、除染による放射線被曝のリスクの低減は、実質的なものというよりも、避難している子どもたちを呼びかえらせるという意味で心理的なものでもよいのではなかったのかとも考えるのである。

現時点で、あまり一方的なことはいえない。とりあえず、2011年9月の時点において、郡山の地域社会は、放射線被曝の害を懸念して子どもたちを避難させるか、避難している子どもたちのストレスを懸念して、除染などにより呼びかえらすことを指向するかというジレンマをかかえていたことを、ここでは確認しておこう。そして、その場合、チェルノブイリ事故の経験を重くみるか、国の基準を信奉するかということも問題になっていたことを忘れてはならないだろう。

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さて、郡山の除染問題をもう少し続けよう。2011年8月26日、内閣府の原子力災害対策本部が「除染に関する緊急実施基本方針」「除染推進に向けた基本的考え方」「市町村による除染実施ガイドライン」(http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html#除染の取組)などを発表した。これが、現在の除染事業の基本方針となっている。警戒区域や年間被曝量20ミリシーベルトをこえる計画的避難区域では国が実施し(安全性が確保されれば市町村が実施することも可)、1-20ミリシーベルトの地域では、コミュニティ単位が有効に除染できるとして、市町村が除染計画を策定して実施し、国はその支援を行うとされた。ある意味では、人の住んでいない警戒区域や計画的避難区域は国費で、それ以外の人の住んでいる地域は市町村で除染するという、ある意味では不思議な制度が実施されたのである。

そして、「市町村による除染実施ガイドライン」では、除染の実施主体を「地域住民の方々が自ら実施することができる作業」と「安全性や効率性などから専門事業者に依頼して実施すべき作業」にわけた。後者の作業の例として、高所作業など危険性の高い作業、重機などの特別の機器が必要な作業、文化財など慎重に取り扱うべき作業、線量率が高く安全性により配慮すべき作業をあげた。ある意味で、専門事業者が行うべき作業は限定しているといえる。町内会などの市民に依拠して行っている郡山市の除染作業は、国の指針におおむねそっているといえる。

もちろん、このような除染作業のあり方自体が問題である。そもそも、市民は、このような無償労働をする謂われはない。東電が実施すべき作業のはずである。国や市町村ならばかかった費用を東電に請求することもできようが、市民の無償労働では、まったく請求できない。

また、防護服や線量計などを持ち合わさない市民が、安全に除染作業ができようか。もちろん、半袖・短パン、マスクなしでも除染作業ができるとしていた福島県や郡山市のマニュアルとは違って長袖、防塵マスク、ゴム手袋、ゴム長靴などの着用が指示されているが、それにしても普通の衣類である。「市町村による除染実施ガイドライン」では、事業者の行う場合、従業者に個人線量計を持たせ、放射線量を記録することを義務付けているが、市民にはそのようなことは規定していない。要するに、どれだけ被曝してもわからないのである。

福島市の場合は、9月27日に「福島市ふるさと計画」というものを出し、その中で、市が中心となって道路・公共広場・公共施設などの主要な部分を除染をし、住民自らは住宅やその周囲の除染のみを行わせる方針を打ち出した。もちろん、町内会などに50万円の補助を出して除染作業を行わせることも規定している。しかし、住宅でも屋根や雨樋は業者委託で作業させることとしている。福島民報は、次のように報じている。

除染へ市町村始動 ほぼ全世帯対象に実施 福島市が計画
2011年10月 9日 | カテゴリ: 震災から7カ月

 福島市は市内全域の約11万世帯を対象とした除染計画をまとめた。除染した放射性物質を含む全世帯分の土を仮置きする場所は確保できないとして、民家分は敷地内に埋めて保管するよう求めた。市内の約6割を占める山林や農地は対象から外された。

 当初発表した計画では、費用負担対象を比較的高い世帯のみとしていたが、市は発表後、市内ほぼ全世帯の屋根と雨どいを業者委託で除染する方向で対象を拡大した。2年間で市内全域の放射線量を毎時1マイクロシーベルト以下にするのが目標だ。http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/10/post_2113.html

郡山市とはかなり対照的である。ただ、たぶんに、福島市の場合は有名になった渡利地区のように避難が問題になるような地域をかかえており、市民まかせにはできないという事情も加味しなくてはならないと思う。それはそれなので、福島市については、別の角度からみる必要がある。ここでは、郡山市の特質をうきたたせるために、福島市の事例を扱っているとご承知されたい。

他方で、郡山市は、10月1日に前述のように「郡山市放射性物質除染マニュアル(第一版)」を出した。これは、町内会などを通じて市民に除染を行わせる福島県のマニュアルを良くも悪くも踏襲したものである。この時期、郡山市議会が開会していた。これをみると、本来、国の方針であると除染計画を出さなくてはならないので、議員がさかんに質問しているが、市長などはほとんど町内会を通じての市民への除染作業ばかりを強調していた。ある意味では、全体的な除染計画不在の除染作業なのである。

特に、それがあらわれているのは汚染された土壌の仮置き場である。郡山市では、先駆的に学校や公園の除染を進めていた。しかし、今度は、道路・住宅の周りなど、かなり面的に除染をすることになった。そして出された汚染物のうち、ゴミや草などの可燃物はゴミ焼却場で焼却処分することになった。これ自体、東京の例をみてもわかるのだが、かなり問題なのだが。しかし、土壌については、最終処分場が決まらず、小学校の学区単位で協議して、学区内の公園に穴を掘って仮置きするこおTになったのである。

これでは全く意味がない。公園については、わざわざ除染したのに、また汚染土壌を運びこむことになっている。もちろん、穴を掘っていわば埋めるのであるから、多少は放射線量は低くなるだろう。しかし、それだけだ。子どものために公園の除染をしたのに、これではほとんど意味がない。

郡山市では10月2日に、デモンストレーション的に、喜久田町で市民2000人を動員した除染事業を実施した。福島民報は、次のように伝えている。

住民2000人通学路除染 郡山市喜久田町 汚泥など195トン埋設 
 小中学校の通学路の放射線量低減を目指す大規模な除染作業が2日、郡山市喜久田町で行われた。
 喜久田町区長会などが市の協力を得て実施し、住民約2000人が参加した。喜久田小、喜久田中の通学路のうち、多くの児童、生徒が通るコースを集中的に除染し、喜久田小を起点に側溝にたまった汚泥や側道の土砂を15キロ四方にわたって除去した。約5時間の作業で25キロの専用袋約5000袋合わせて195トンを回収した。JR磐越西線の喜久田駅前近くの喜久田町堀之内畑田の側溝は、地上1センチの高さで除去前の毎時1.30マイクロシーベルトから毎時0.94マイクロシーベルトに下がった。他地点もおおむね低下したという。
 袋の埋設は市建設業協会が担当。喜久田スポーツ広場に掘った穴に遮蔽(しゃへい)シートなどを三重に敷き、汚泥と土砂の袋を埋め、さらに約30センチの盛り土をした。これにより、袋を集めた時点で毎時7.45マイクロシーベルトだった埋設地の放射線量は毎時0.43マイクロシーベルトになったという。
 市は除染で出た汚泥や土砂をスポーツ広場や都市公園など市有地の土中に仮置きする手法を模索している。今回の取り組みをモデルケースの一つとして各地域に提案する方針。
(2011/10/03 09:29)
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9894048&newsMode=article

といっても、郡山市の除染計画が決まったわけではない。10月12日、福島民報は、次のような記事をネット配信した。

 郡山市は11日、除染計画の策定などを担う原子力災害対策直轄室を設置した。しかし、配属された職員は浮かぬ顔だ。国は除染地域の優先順位付けを求めているが、人口、地域の放射線量、子どもの利用する施設数など考慮する事情が多い上、具体的な基準を示さないためだ。

 郡山市内の放射線量は毎時0・2~2・0マイクロシーベルト。最も線量の高い地域が優先順位のトップ候補だが、そうした地域の中でも放射線量に高低があり一概に「大字」「字」の単位で実施場所を決めるのは難しい。市民から除染を早急に実施するよう求める声が相次いでおり、線引きの仕方によっては反発も生まれかねない。

 直轄室職員は「道路を挟んで除染が始まるのが早い世帯と遅い世帯が出る可能性もある。国は地域の設定の仕方まで示すべきだ」と訴える。

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/10/post_2149.html

ある意味では、除染作業を市民に押し付ける枠組みはできていたのに、除染計画が不在であったことがわかる。ある意味、郡山にとってジレンマであったと思われる。

そのような状況を打破したのが、かなり皮肉なことだが、10月18日の野田首相の郡山訪問であったといえる。福島民報は、10月19日に次のように報じている。

除染徹底を推進 首相が郡山で園児の父母に表明
2011年10月19日 | カテゴリ: 福島第一原発事故

 野田佳彦首相は18日、郡山市の富田幼稚園で開かれた保護者との意見交換会で、除染を徹底して進め、子どもたちが屋外で遊ぶことのできる環境を一刻も早く取り戻す考えを示した。
 同園と市内の別の幼稚園の保護者らも参加した。除染の推進や食品の安全確保を求める意見が相次ぎ、野田首相は全力で対応することを約束した。終了後、みどり幼稚園の女性の保護者は「野田首相ならやってくれるのではないかと感じた」と評価。同園の男性の保護者は、首相が首相官邸で本県産のコメや野菜を使う考えを表明したことに、「心強く感じた」と笑顔を見せた。
 一方、富田幼稚園の女性の保護者は「いち早く子どもたちが外で遊べる環境をつくりたいという話はあったが、もっと具体的な話が聞きたかった」と不満を口にした。席上、原正夫市長が除染の財政支援や最終処分場整備などを求める要望書を野田首相に手渡した。http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/10/post_2200.html

たぶんに、野田首相は、幼稚園を訪問し、子どもたちやその保護者のために、国も除染に積極的になっていることを示したかったのだと思う。同日、郡山市とはだいぶ違う除染方針をとっている福島市大波地区を訪問しているので、郡山市の除染方法に特別賛意を野田がもっていたわけではないだろう。

しかし、その二日後の10月20日、郡山市は、町内会長などを集めて、「郡山市線量低減化活動支援事業・郡山市放射性物質除染マニュアル」説明会を開催した。そして翌日の21日から補助金受付を開始した。郡山市のサイトは、次のように伝えている。

「郡山市線量低減化活動支援事業・郡山市放射性物質除染マニュアル」説明会

 10月20日に郡山市公会堂で「郡山市線量低減化活動支援事業・郡山市放射性物質除染マニュアル」説明会を開催しました。
 郡山市線量低減化活動支援事業とは、子どもの健康を守るために、通学路等の除染活動を行う町内会、PTA、ボランティアなど自発的な取り組みを行う団体に対して、除染活動や除染に必要な物品の購入などに最大で50万円を補助するものです。
 開会に先立ち、郡山市自治会連合会の鈴木光二会長が「いくら除染、除染といっても一時仮置き場がなければ、除染は不可能です。除染には総論賛成、各論反対の意見が必ず出ます。今日は、忌憚のない意見を出していただき郡山市の除染につながるようことを願っています」とあいさつしました。
 続いて栗山副市長が、東日本大震災の被害状況やこれまでの学校等の表土除去の取り組み、喜久田町の自発的な除染作業で出た汚泥をスポーツ広場へ埋めた事例などを説明し、「本日は、町内会長さんをはじめ、PTA、ボランティアの皆様に参加いただき、大変ありがとうございます。ぜひとも皆さんにお願いしたいのは、今後の日本を担う子どもたちをぜひとも守る。ということで皆さんのご協力をいただければと思います。皆様のご協力なしには十分な除染は進みません。どうかひとつよろしくお願いいたします」とあいさつしました。
 この日は、町内会連合会やPTAなど133団体、244名の方に参加していただき、補助事業の内容説明や申請の仕方、除染マニュアルの説明、除染活動で生じた草木の収集・運搬方法などを説明しました。
 参加した方からは、早期に除染計画を策定するよう求めることや仮置き場の確保、除染活動の技術講習会の開催、活動時に負傷した場合の保険適用の有無、除染の際に使用する水道水の確保、町内会とPTAの連携のあり方、継続的な説明会の開催などの多くの意見や要望が出されました。市では、これらの意見などを踏まえ、今後の除染活動への取り組みに反映させていきます。
 なお、線量低減化活動支援事業の申請は、10月21日から受け付を開始しました。
http://www.city.koriyama.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24986

結局、この時点でも、除染計画が示されることはなかった。結局のところ、野田首相がきて、除染の必要性を主張し、それを契機に、町内会などへの補助を中心とする「線量低減化活動支援事業」のみが開始されたのである。たぶん、当事者たちは否定するであろうが、あまりにも近接しており、野田首相の訪問が「線量低減化活動支援事業」開始の追い風になったことは否めないであろう。しかし、あまりに「事大主義」である。

住民680人が除染 郡山市の赤木小の通学路周辺 
 郡山市の赤木小学区の通学路除染クリーン統一活動は3日、同校周辺で行われ、町内会や育成会など28団体の関係者や住民合わせて約680人が通学路の除染作業に取り組んだ。市内の中心市街地での大規模な除染活動は初めて。
 県の補助を受けた除染活動で、町内会などでつくる実行委員会の主催。市の協力を得て赤木小の通学路のうち、道幅の広い道路などを中心に除染した。住民がデッキブラシで路面を丁寧にこすった。地元の消防団のポンプ車3台を含む高圧洗浄機計12台が放水し、歩道や路肩にたまった土砂を洗い流した。
 除染前は、うねめ通りの最も高いところで毎時1・5マイクロシーベルトあったが、除染後は同1・3マイクロシーベルトになった。
 実行委によると、購入し使用した高圧洗浄機は今後、町内会で除染作業を行う際に貸し出す。

(2011/11/04 09:41)
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9904116&newsMode=article

華々しく報道される除染作業。しかし、それは単に町内会に補助金を渡して実施するものであり、「無計画」といえる。そして、そこから出された汚染土壌は、最初の除染目標であった公園に積み置きされる。

もちろん、ある程度早く除染が進展することはいいことである。しかし、「計画不在」の事業では、進展になるのだろうか。そもそも、マニュアル自体が、とても不備だというのに。

その上で、町内会・PTA単位で動員され、望まない人びと、いやむしろ、最大限防護しなくてはならない子連れの母親たちも、結局不必要な被曝にさらされる
のである。

前述したように、野田首相は幼稚園にきて、子どもたち、そしてその親たちのためにも国は除染に協力するといったはずだ。それが、全く逆のことに帰結してしまったといえるのである。

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最近、町内会などを通じて、市民に除染作業をさせる郡山市の姿勢が問題となっている。そのことで署名活動がおこっている。署名を求める文章を下記にあげておく。

2011年11月30日水曜日
【大拡散】福島県郡山市より「ずさんな除染に市民を巻き込まないで!」署名スタート
郡山よりSOSです☆

「ずさんな除染に市民を巻き込まないで!」

人口密集地では町内会にわずか50万円で除染を丸投げするかと思えば、人の住んでいない20キロ圏内の高線量地域は70億以上をかけてゼネコンや大企業に除染実験をさせるのだという。私たちは、キテレツで残酷なこの国のありようを目のあたりにしています。

避難をする・しない、内部被曝や低線量被爆の危険を認める・認めない、ずさんな除染をする・しない・・・・次から次へと、なんで被害者である市民が分断されなければならないのでしょうか。憎むべきは、加害者であるにもかかわらず、市民に踏み絵を押し付ける行政のやり方であり、本来的に責任があるはずの東電なのに。

郡山では、そうやって市民をずさんな除染に巻き込み、被曝を拡大させる除染を止めるための署名を集めています。添付しますので、みなさんどうぞご協力ください。
(http://papamama-zenkokusawakai.blogspot.com/2011/11/blog-post_7830.htmlより)

さらに、郡山市の現状が伝えられている。町内会・PTAなどを通じて、子連れの母親まで含めて、郡山市民が「動員」されて、除染活動にあたらされているというのである。そして、除染作業後、汚染された土壌は、その地域から撤去されず、公園に積み置かれているとのことである。

2011年12月3日土曜日
福島・郡山市「ずさんな除染に市民を巻き込まないで!」署名について
こちらの署名の投稿記事に関しまして、郡山の除染の実情を知りたい、といくつかのコメントをいただきましたので、実際に聞いた郡山のお母さんからの声のご紹介をこちらの投稿でお知らせさせていただきます。

~郡山のお母さんから聞いたお話~

まず市から町内会に除染をするように話がきます。
町内会で人が足りなければ学校のPTAに話が行きます。

小さなお子さんのいるお母さんが、
これからまだ赤ちゃんを産みたいお母さんが除染に行きたいでしょうか?

でもお父さんや家族の都合が悪ければ、お子さんを連れて除染に行くのだそうです。

行かなければ、協力的でないと後ろ指をさされます。
なのでお母さんはいくのだそうです。

除染された土は土嚢につめられ、それは通学路の脇の公園で、子どもが通っているときに
平然と土を掘り起こし、埋められ、土をかぶせられます。
そしてその公園は管理区域・・・とはならず子どもたちの遊び場に戻っていくのだそうです。

このお話をきいて、除染作業が子どもたちへも影響があることから「子どもたちを放射能から守りたい」という子ども全国ネットの主旨に当てはまっていると捉え、しかも、この署名を行っている団体が子ども全国ネットの賛同団体であるのでその取り組みを紹介していくという立場からも署名拡散をさせていただきました。

そしてこのお母さんたちをつなぐブログにおいては全国のお母さんの声を集め、拡散していくことを大きな役割と捉えていますので、郡山のお母さんの声を紹介させていただきました。

また別のブログですが
郡山のお母さんからの聞いた現状がつづられています。
ぜひ呼んでいただければと思います。
郡山からのSOS

皆さまのご理解とご協力よろしくお願いいたします。
(同上より)

この情報に接した際、非道い話だと思ったのだが、実際はどうなのか、なぜこんなことが起こっているのか理解できなかった。そこで、ネットで検索してみた。そこで、ある程度、私なりに理解したことをここで書いておこうと思う。もちろん、これは私なりの仮説でしかないことはご承知されたい。

町内会など住民自体に除染をさせること、これは郡山市だけの問題ではない。このような方針を打ち出したのは、福島県庁である。次の福島民友の記事をみておかれたい。50万円ずつ補助金をだして町内会などを通じて、地域住民に除染作業を行わせる方針を7月に決定したのである。

県、町内会除染に50万円助成 地域の体制確立へ(福島民友ニュース)

県は、通学路や公園の清掃など県内各地域の放射線量低減の取り組みを地域住民に委ねる方針を決めた。市町村を通して町内会などの地域団体に空間線量計や高圧洗浄機などの購入費として50万円を上限に助成、地域ぐるみの除染体制を確立する。6月補正予算案に関係予算36億円を盛り込んだ。夏休み中の除染開始を目指す。
 助成対象は町内会のほか自治会、PTA、ボランティア団体など約6000団体を想定、助成額は30億円を見込んでいる。市町村に助成先の選定を依頼、県が作業手順などの活動指針を示し、小学校区単位で除染活動を実践してもらう。また、地域団体の活動で発生する放射性物質を帯びた落ち葉や汚泥などを一時保管するための施設整備を含め、市町村に全体で6億円を補助。
 活動指針は、作業中の被ばく防止や側溝の土、雑草の処分などの注意事項をまとめる考えで、今月中旬までに作成し、夏休み前に市町村に助成策や手引きを説明する。
(2011年7月6日 福島民友ニュース)
(http://netwatch.24joy.net/index.php?itemid=2821&catid=136より転載)

この事業の正式名は、「線量低減化活動支援事業」という。福島県庁のホームページにその実施要領が掲載されている。

線量低減化活動支援事業実施要領

1 目的
  県の将来を担う子どもたちが生活空間として過ごす時間が多い通学路、公園等における放射性物質による放射線量の低減を図るため、町内会、PTA、ボランティア等により、側溝の清掃や草刈りなどを行う場合、その活動を支援する。

2 事業の内容
 (1) 補助事業の実施主体
   事業の実施主体(以下「事業実施主体」という。)は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
 ア 市町村における行政区、自治会、町内会等の地域的な共同活動を行っている地域住民団体
イ 各学校、幼稚園、保育所、放課後児童クラブ等において組織されたPTA等の保護者団体
ウ 地域づくり団体等の民間団体
エ ア、イ、ウの団体が新たに組織した協議会、実行委員会等

 (2) 補助対象地域
   補助対象地域は、県内全域とする。

 (3) 補助対象期間
   補助対象となる事業期間は、平成24年2月末までのものとする。

 (4) 補助限度額
   補助限度額は、1事業実施主体につき、50万円とする。

 (5) 補助対象事業
 補助対象事業は、通学路、側溝、公園など、子どもの生活空間における放射線量の測定調査及び清掃、草刈りなど子どもの生活空間における放射線量の低減のための活動とし、実施の際は、次により行うものとする。
 ア 事業を実施する際は、別添「生活空間における放射線量低減化対策に係る手引き」に基づき実施すること。
 イ 事業の効果を確認するため、事業実施前後の放射線量測定を行うこと。
 ウ 事業実施にあたっては、必ずしも備品の購入を必要としないこと。既存機器の賃借等により有効利用を図ること。
 なお、既に実施済みのものも補助対象とするが、事業実施前後の放射線量の測定値を確認できるものに限る。

3 市町村の役割
 (1) 市町村の業務
   各市町村は、事業実施にあたって次の業務を行う。
ア 事業実施主体が行う作業範囲の確認及び各実施主体間の調整
イ 事業により生じた刈草、落ち葉等の処分及び土砂等の保管、管理
 (2) 市町村事務費
   県は、市町村に対して当該事業によって生じる経費を交付するものとし、既に実施済みの事業も対象とする。

4 地方振興局の役割
 各地方振興局は、事業実施にあたっての技術的助言を行うなど、当該事業に積極的に関与するものとする。

5 この要領に定めるもののほか、事業の執行に関し必要な事項については、別に定めるものとする。

   附 則
 この要領は、平成23年8月2日から施行する。
(http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24901より)

そして、7月15日に、福島県災害対策本部名で『生活空間における放射線量低減化対策に係る手引き』(http://www.pref.fukushima.jp/j/tebiki0715.pdf)というパンフレットを発行した。町内会などを通じて地域住民自身が除染作業を行うマニュアルといってよいだろう。まずは、放射線量をはかり、その上で、実際の作業として、作業の効率化および放射線被爆の低減化をはかるために班分けをし、清掃班が汚染されたゴミ・草・土壌などをとりのぞき、水洗浄班が高圧洗浄機などで水洗浄し、運搬班がとりのぞかれたゴミ・草・土壌などを運搬し、最後に拭き掃除班が子どもの手の触れそうなところを拭き掃除している。

これらの手順についても、専門家がみれば問題があるかもしれない。しかし、私のような非専門家でもわかることがある。それは、除染作業時の服装である。次に原文のままあげておこう。

(1)除染及び清掃活動を行うときの服装や個人装備
 作業を行う全員に必要な装備と特定の作業に必要な装備については、以下の装備を参考に状況により判断する。(通常の場合、重装備は必要ない。土埃がたつ所ではジョーロで水まきし、心配であればマスクをする等、状況により判断する。)
①作業を行う人数分必要なもの(全員共通のもの)
 長靴、布手袋(軍手等)、ゴム手袋、作業環境により、長袖、長ズボン、服の上にする腕カバーや足カバー、帽子、マスク(サージカルマスク、防塵マスク等)、タオル
②それぞれの作業を行う人数分必要なもの(行う作業の内容によって変わるもの)
ア 水を扱う作業を行う人
例)高圧水洗浄、ブラシ・タワシでの洗浄等
カッパ(高圧水洗浄作業は上下必須。その他は下だけでも可)、ゴーグル(めがね)
イ 高所で作業を行う人 例)雨樋、屋上で作業をする人(一緒に作業する人も含む)
ヘルメット、安全帯、脚立・はしご等

まず、必要装備が、長靴、布手袋、ゴム手袋、それだけである。肌の露出をさけるためには長袖・長ズボン・帽子の着用が必要であるはずだが、それも必須ではない。マスクも「心配ならば」ということで、必要装備ではない。このマニュアルによれば、Tシャツ・短パンでマスクなしでも、除染作業を行うことが可能となっている。

農薬散布でも、もっと着込んでいるはずだ。ほとんど、通常の草刈・清掃作業の服装である。たとえ、たいした放射線量ではないとしても、「不必要な被曝はさける」べきであろう。まして、地域の放射線量がもともと高いー以前このブログで紹介したように、福島県には避難区域ではなくても、放射線管理区域以上の放射性セシウムが付着している箇所が多い。そもそも、市民に無償にさせているーしかも、本来は東電や国が行うべき作業なのであり、被曝を最低限にすることが求められているといえるのに、逆行しているといえよう。

一ついえるのは、この作業は、夏休み中に行うものとして企画されており、酷暑の中の熱中症対策や作業効率を考慮してマニュアルは作成されたかもしれないということだ。しかし、それも本末転倒である。健康に被害があるから放射線量を下げるために除染作業するのであるから、作業時には放射線対策を重視すべきであり、熱中症対策は二の次のはずである。さらにいえば、作業に支障がある高温時に、このような作業を一般市民に無償で行わせるべきではないのだ。もしかすると、原発労働者は、常にこのような扱いをされてきたのかもしれないとも思う。

郡山市の除染マニュアルはほぼこれを踏襲している。10月1日付けの「郡山市放射性物質除染マニュアル(第一版)」http://www.city.koriyama.fukushima.jp/upload/1/3701_manual_zentai.pdf)の当該箇所をみておこう。

(1)除染作業を行うときの服装や個人装備
 「作業を行う全員に必要な装備①」と「特定の作業に必要な装備②」については、以下の装備を参考にしてください。
 なお、通常は重装備の必要はありませんが、土埃がたつ所では散水して土埃を防ぎ、マスクを着用するなど、状況により判断してください。
①作業を行う全員に必要な装備
長靴、布手袋(軍手等)、ゴム手袋。
作業環境により、長袖、長ズボン、腕カバーや足カバー、帽子、マスク(サージカルマスク、防塵マスク等)、タオル(首に巻きます。保冷剤等を入れると熱中症対策に効果的です。)等を着用してください。

このマニュアルでも、長袖、長ズボン、マスクは必要装備とされていなかったことに注目されたい。しかも、ご丁寧に、必要装備ではないが、熱中症対策として、タオルを首に巻くことを推奨している。放射線対策よりも熱中症対策のほうが、郡山市においては大事なのである。

8月26日に、国の原子力災害対策本部が「市町村による実施ガイドライン」(http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110826001/20110826001-6.pdf)を出すが、その際でも服装は、防塵マスク、ゴム手袋、ゴム長靴、長袖などの着用を義務付けられている。あたり前である。

たぶん、国にしたがってのことかと思うが、福島県では10月31日に『生活空間における放射線量低減化対策の手引き 要約版(第ニ版)』(http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=26515)を出し、その中で、基本装備として「動きやすく通気性の良い服装(長袖、長ズボン)、長靴、布手袋(軍手等)、ゴム手袋、帽子、マスク(サージカルマスク、防塵マスク等)、(作業環境により、服の上に腕カバーや足カバーを着用するとよい)」とし、その理由として「内部被ばくを防ぐため」と述べている。このように、さりげなく改定している。実は、要約版のほうが安全なのである。そして、つまり、7月のマニュアル時の服装規定では、内部被曝は防げないと告白しているも同然なのである。

まずは、ある意味では非常識で、後で改定せざるをえないような福島県のマニュアルにしたがって、郡山市の市民による除染作業は行われているのである。これは、国の基準にも、改定された県の基準にも違反している。そのことは確認しておかねばならない。郡山市に外部からきて安全意識が低いまま除染作業に携わるボランティアがいることが伝えられているが、そもそも郡山市のマニュアルが国や県の基準にも違反しており、マニュアルにしたがって作業せざるをえないボランティアたちが悪いのではない。マニュアルを作成し運用している郡山市役所こそ、安全意識が低いといわねばならないのである。

郡山市の除染の問題点は、まだまだある。次に、基本的には市が除染の責任を負い、町内会などには補助的な役割しか与えていない福島市との比較、さらに、郡山市による町内会などへの除染の「要請」の契機となった10月18日の野田首相の郡山訪問などについてみておこう。

付記:一応コメントしておくが、防護服や線量計のような装備をもたない一般市民が除染の主役になること自体が問題なのであり、そのことは福島市との比較で今後述べておきたい。通常の長袖・長ズボン・マスク着用ならばよいとする国などの見解もおかしい。しかし、まったく放射線防護を無視したような現行の郡山市のマニュアルはより問題である。
 
付記2:とりあえず、現状では、マスク・ゴーグル着用は指示されているらしい。下記ブログhttp://sakunary.blog134.fc2.com/を参照されたい。

でも、除染は市から町内会に「分担された仕事」として降りてきているそうです。
年配の町内会長は放射能のことがよくわかりません。
でも、「孫のためにがんばるか!」と張り切って作業しています。
市からの安全対策の指示は、ゴーグルを付けるのと、マスク(粉じん用ではなく普通の)を付けた方がいいという話ぐらい。だから、ちょっとした清掃作業と同じだと思っているようです。

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