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Posts Tagged ‘郡山市議会’

福島第一原発事故につき、子どもたちを避難させるべきかいなか、これは、福島県だけでなく、場合によっては首都圏でもさかんに議論された問題である。

その一例として、2011年9月30日に郡山市議会定例会で行われた駒崎ゆき子市議会議員と、郡山市当局者の論戦をみていくことにする。

駒崎ゆき子は、「郡山の未来をつくる会」から市議会議員選挙に立候補し、2期8年勤めた。「郡山の未来をつくる会」については、詳細はよくわからないが、いわゆる「市民派」の団体ということができよう。駒崎ゆき子は、前回の市議会議員選挙で落選した。今回の9月の市議会議員選挙で再び議員に当選した。駒崎ゆき子については、本人のブログhttp://komasaki.info/?m=201109&paged=2を参照されたい。ただ、一つ、重要なことは、彼女は、「ふくしま集団疎開裁判」という裁判に議員当選前から関与していることである。このことは、質問中にも言及されている。

とにかく、まず、駒崎ゆき子の質問をみておこう。駒崎の質問は放射線関係だけであったが、多岐にわたり、放射線測定機器の貸し出しや除染などにも質問しているが、ここでは、避難関係だけをみていこう。

◆駒崎ゆき子議員 おはようございます。
 郡山の未来をつくる会の駒崎ゆき子です。
 では、通告に従って一般質問をいたしますが、その他のところで1項目追加をお願いいたします。
 郡山市も、東日本大震災では多くの被害を受けました。また、台風15号により、9月21日から22日にかけて約4,800世帯が浸水の被害を受けました。被害を受けた皆様に心からお見舞い申し上げます。
 さて、原発事故による放射能の汚染については、健康に対する心配と不安、また農産物をはじめ経済への影響ははかり知れないものがあります。郡山市の空間線量は低くなったとはいえ、まだ1時間当たり0.89マイクロシーベルト前後です。事故前に比べて約22倍の高さです。私たちに一番身近な放射線はレントゲンですが、レントゲン室の放射線管理区域は、法律で年間5.2ミリシーベルト以下であり、1時間当たりに換算すれば0.6マイクロシーベルトです。ここは、法律により18歳未満の労働は禁じられ、子どもを含む一般人の立ち入りも禁止されています。しかし、私たちはもう6カ月以上も放射線管理区域よりも高い放射線の中に無防備で生活をしています。今後いつまで続くのか、見通しも立っていません。放射能対策は、緊急かつ最重要な課題ですので、質問いたします。
 1、土壌汚染マップと郡山市の汚染状況について。
 文部科学省が放射線量等分布マップ、略称・土壌汚染マップを発表しました。郡山市で118地点の計測結果が出ております。これをチェルノブイリ原発事故時に旧ソ連当局がセシウム137の線量に基づき設定した避難の基準に当てはめますと、移住権利地域は17地点あり、その他ほとんどが放射線管理区域で、区域設定なしは35地点しかありません。今の郡山市は、セシウム137とセシウム134が同程度あり、合計して考えるべきです。そうすると、55万5,000ベクレル/平方メートル以上の義務的避難地域に該当する地点が3地点となり、移住権利地域は49地点にふえます。最大で83万7,340ベクレル/平方メートルと高い汚染濃度となっております。
 そこで伺います。
 1、住民の安全を守る立場の郡山市として、文部科学省によるこのマップをどうとらえているのか、見解を伺います。
 また、この現状の中、どのような対策で市民の命と生活を守ろうとしているのか、あわせて伺います。
 2、教育委員会では通学路放射線量マップを作成したようですが、今後の除染活動において、この土壌汚染マップも参考にしていただきたいが、見解を伺います。
 また、あわせて子どもたちの健康を守る今後の対策を伺います。
 3、内部被曝を防ぐ手だてについて。
 現在、厚生労働省が定める食品の暫定規制値は、野菜、穀類、肉、魚、卵などに含まれる放射性セシウムは500ベクレル/キログラムになっています。一方、チェルノブイリ原発事故で被害を受けたベラルーシの野菜の規制値は100ベクレル、ウクライナでは40ベクレルとなっています。日本の基準で本当に健康は守れるのか心配です。そこで、内部被曝を防ぐ手だてをどう考えているのか、当局の見解を伺います。
 2、こども・妊婦の疎開について。
 子どもは大人より放射能の影響を受けやすいと言われています。また、7月5日の朝刊に、3月下旬に県内の約1,000人の子どもたちの調査で、45%の子どもたちがヨウ素被曝を受けていたと報道されています。世界の歴史の中でも、核実験の後、スリーマイル島及びチェルノブイリ原発事故後に4年から5年で子どもたちの甲状腺がんがふえています。また、勇気ある14人の子どもたちが「1ミリシーベルト以下の安全な場所で学校運営をしてほしい」と郡山市に仮処分の申し入れをしていますが、文部科学省の土壌汚染マップの現状を見れば、子どもたちへの影響がとても心配されますので、伺います。
 1、子どもたちの将来の安全について。
 裁判で郡山市は、文部科学省の言うとおりやれることはやっているので、疎開させるまでもない旨、答弁しています。現在、自主避難等々で小中学生997名が転出している中、このまま子どもたちを郡山市にとどめておいて、将来までも安全だと言えるのかどうか、郡山市の説得力ある見解を伺います。
 2、保健室利用日誌の充実や子どもの健康把握について。
 保健室利用状況を情報開示しましたら、外科系の症状が減り、内科系の症状がふえていました。仔細理由の記載は一部の学校のみでしたが、腹痛、頭痛、発熱、気分不良等々、中には腹痛の欠席、来室者が増加しています等々の記載もありました。原因は、第一には外で遊べない子どもたちのストレスだと思いますが、子どもたちの健康状態が気になります。そこで、今後、保健室利用日誌の充実や子どもの健康把握をどうするのか伺います。
 3、子どもたちの公的主導の疎開について。
 ジャーナリストの広河隆一さんたちは、チェルノブイリの支援で、安全な場所2カ所に寄宿舎を建て、危険な場所に住む子どもたちを学級ごと、何カ月か交代で疎開させているそうです。今回、環境NGOが子どもたちの尿中セシウムの検査をした結果、すべてのお子さんの尿からセシウムが検出されました。もう既に子どもたちは内部被曝をしている現実があります。そのお子さんの尿の検査を9月に再び行ったところ、この夏休みに疎開したお子さんのセシウムは減り、動かなかったお子さんはふえていたという結果が出ています。
 子どもたちは新陳代謝も早いので、疎開は有効な手だてです。チェルノブイリでできることが郡山市でできないはずはありません。姉妹都市との連携等々で、ぜひ公的主導の疎開が実現できないでしょうか、伺います。
 4、妊婦さんへの対策と避難、疎開の現状や生活保障について。
 放射能は遺伝子を傷つけることから、妊婦さんやこれから妊娠出産を予定している皆さんの心配は大きいです。未来を担う子どもを守るのは自治体として大きな責務でありますので、郡山市の妊婦さんへの対応を伺います。
 また、県の助産師会は会津に避難所を設けているようですが、郡山市の妊婦さんの避難、疎開の現状や生活保障について、あわせて伺います。
http://www2.city.koriyama.fukushima.jp/gijiroku/
上記の9月30日定例会会議録より引用。なお、後述する郡山市議会における発言はすべてここから引用。

駒崎の質問の趣旨は明解だ。文部科学省の発表した土壌汚染マップによれば、セシウム137だけでも郡山市の多くの地域は放射線管理区域(3万7千Bq/㎡~)なみの汚染を示しており、さらに、チェルノブイリ事故時に移住の権利が認められた区域(18万5千Bq/㎡~)のところも17箇所あると、駒崎は指摘する。さらに、半減期約2年のセシウム134を合算するならば、「義務的避難地域(55万Bq/㎡~)に該当する地点が3地点となり、移住権利地域は49地点にふえます」と、駒崎は主張しているのである。

私自身も先に、本ブログの「福島・宮城・栃木三県における放射性セシウム汚染の状況ー東日本大震災の歴史的位置」(2011年8月10日)の中で、同様のことを指摘した。その際、私自身もチェルノブイリの区分を参考としている。ここで再びあげておこう。

参考:チェルノブイリの区分

148万Bq/㎡~     (第1) 強制避難区域   直ちに強制避難、立ち入り禁止
55万Bq/㎡~     (第2) 一時移住区域   義務的移住区域
18万5千Bq/㎡~   (第3) 希望移住区域   移住の権利が認められる
3万7千Bq/㎡~    (第4) 放射線管理区域  不必要な被ばくを防止するために設けられる区域

駒崎は、このような状況下において、チェルノブイリ事故の教訓にかんがみ、放射線に対してより感受性が強いと思われる子どもと妊婦を郡山市より避難させるべきではないかと訴えたのである。

この駒崎の問いに対し、郡山市役所の高田繁総務部長は、このような答弁をした。

○大内嘉明議長 次に、項目1、土壌汚染マップと郡山市の汚染状況について、当局の答弁を求めます。高田総務部長。
    〔高田繁総務部長 登壇〕
◎高田繁総務部長 土壌汚染マップについてでありますが、チェルノブイリではセシウム137のみの数値であり、測定時期も事故から約4年後であることなど単純な比較はできないものと考えております。
 今後につきましても、放射性物質の除染を積極的に進め、年間総被曝量1ミリシーベルト以下にすることを目指してまいります。
 以上、答弁といたします。

駒崎は納得しない。再質問となった。

○大内嘉明議長 土壌汚染マップと郡山市の汚染状況について、駒崎ゆき子議員の再質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 再質問いたします。
 今、土壌汚染については、単純に比較ができないということでしたが、それは4年過ぎてみないと、郡山の4年後と比較してみないと比較できないとおっしゃっているのか、そこのところを再度、もう少し詳しく説明お願いします。
○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。高田総務部長。
◎高田繁総務部長 再質問にお答えします。
 先ほど、単純には比較できないものという答弁を申し上げましたけれども、その比較できない要因でございますが、チェルノブイリの事故のベクレルにつきましては、土壌表面のセシウム137だけで148万ベクレル、妊婦、子どもに対しては55万5,000ベクレルでございますが、郡山市の場合については、セシウム137と134を合わせますと55万5,000を超えているところがありますので、片方はセシウム137だけ、片方はセシウム137と134ということで、その1つと、さらには合計といったところが違います。さらには測定時点が、先ほどの4年と現時点という時点がございますので、その点が比較できないというところでございます。
 以上、答弁といたします。

チェルノブイリとは比較できないーそれも測定方法の次元においてというのが、高田総務部長の答えなのである。駒崎は、「今の答弁ですと、やはり郡山市内は今とても危険だという状況には立っていないように思うのです」と言わざるをえなかった。

○大内嘉明議長 駒崎ゆき子議員の再々質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 では、再々質問をさせていただきますが、今の答弁ですと、やはり郡山市内は今とても危険だという状況には立っていないように思うのです。歴史的にも、過去のチェルノブイリ事故の後とか、本当に子どもたちに甲状腺がんがふえたりしているわけですから、過去の間違いを私たちはしないように、今から予防的対応をとらなければならないと思っているのですが、そこのところがまだ認識がちょっと違うように思うのですが、子どもたちについては、今でも、この郡山市で安全だとお考えなのかどうか、再々質問いたします。
○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。高田総務部長。
◎高田繁総務部長 再々質問にお答えをいたします。
 子どもに対する取り扱いは安全なのかというような再々質問でございますが、やはり将来を担う子どもの健康は大事でございますので、そういったことから、大人とは違った、子どもは半分のベクレルというところで、先ほどチェルノブイリでいう148万に対して55万5,000でございますが、本市につきましては、そういった取り組みの中で少しでも子どもの線量を低くするための取り組みということで、表土除去とかいろいろやっております。
 今後につきましても、放射性物質の除染をもっともっと積極的に進めまして、年間総被曝量を1ミリシーベルト以下に持っていきたいというような考えで取り組んでいるところでございます。
 以上、答弁といたします。

駒崎の懸念について、高田は、除染すれば大丈夫だという答弁をしたということができよう。ここでは紹介していないが、市長自身も、除染に積極的な姿勢を示していた。そして、その積極的な除染というものが、結局、かなり問題がある、町内会などを中心として行われた「市民自らの除染」ということになっていくということができよう。

さて、子ども・妊婦の疎開については、木村孝雄教育長が答えることになった。

○大内嘉明議長 次に、項目2、こども・妊婦の疎開について、当局の答弁を求めます。木村教育長。
    〔木村孝雄教育長 登壇〕
◎木村孝雄教育長 初めに、子どもたちの将来の安全についてでありますが、低放射線量と健康被害との関係については、専門家でも判断が分かれるところであります。また、8月26日には文部科学省が、学校で児童生徒が受ける線量は年間1ミリシーベルト以下、毎時1マイクロシーベルト未満を目安とする指針を定めたところであります。
 本市においては、子どもたちの健康と安全を最優先に、除染活動や屋外活動の時間制限、健康チェックや安全・安心な食材の確保など今できることを一つ一つ行っているところであります。
 次に、保健室利用日誌の充実や子どもの健康状態の把握についてでありますが、子どもたちの震災の影響による健康状態を的確に把握する必要があることから、きめ細やかな健康観察、校内の教育相談の充実、保護者との情報の共有などと合わせて、常に個人と全体の把握ができる学校保健日誌の記載のあり方について、管理主事の全校訪問等で指導しているところであります。
 今後も、学校保健日誌を充実させ、全職員で有効活用しながら、心のケアを中心に子どもの健康管理に万全を期してまいる考えであります。
 次に、子どもたちの公的主導の疎開についてでありますが、本市は国が示す警戒区域・緊急時避難準備区域等に指定されておりません。また、疎開による生活不適応からくる子どもたちの心身の影響等の課題もあることから、市主導の疎開は考えておりません。
 以上、答弁といたします。

木村の答弁によると、低放射線量と健康被害との関係は、専門家でも判断が分かれるとし、結局は国の基準に従いつつ、「子どもたちの健康と安全を最優先に、除染活動や屋外活動の時間制限、健康チェックや安全・安心な食材の確保など今できることを一つ一つ行っているところであります」としているのである。その上で、国が避難を強制している区域ではないし、「疎開による生活不適応からくる子どもたちの心身の影響等の課題もある」として、市主導の疎開は考えていないと木村教育長は述べたのである。

もちろん、駒崎は、ここでも納得しない。再質問を行った。

○大内嘉明議長 こども・妊婦の疎開について、駒崎ゆき子議員の再質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 再質問をさせていただきます。
 疎開については考えていないというお話でしたけれども、私の知っている若いお母さんたちが、自分も仕事を辞め、そしてお父さんをこちらに置き、2人のお子さんを連れて郡山市を離れました。その理由は、行政の対応を待っていたら子どもの命は救えないという本当に切実な思いで離れたのです。
 ですから、もう少し、そこの心情をしっかり考えていただきたいと思います。今の郡山市の対策、それからホールボディカウンターだって、あと半年後なんですよ。でも、私たちは毎日毎日、被曝をしているわけですので、そういう意味から、ぜひ考えていただきたいし、また郡山市を離れたいと思っても、いろいろな事情で離れられない親子さんも多くいます。条件とか環境によって命に格差が生まれてはいけないと思うのです。やはりそのためには、公的な避難、公的な疎開、そこをぜひさせたいと思うのですが、再度お伺いいたします。

駒崎は、郡山市から自主的に疎開した母子の例をあげて、郡山市の当局者を追求した。

それに対して、木村教育長は、このように答えた。

○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。木村教育長。
◎木村孝雄教育長 再質問にお答えいたします。
 公的主導の疎開についての考えについてでありますが、本市は、国が示す避難区域等に指定されておりません。
 市が一方的に疎開を行う権限も有しておりません。
 3点目は、疎開により自分の家を離れることは、子どもたちや保護者に大きなストレスを与えることになり、心身への影響等を考える必要があると考えます。
 4点目は、現在、放射線量が減少傾向にあります。今後、除染が進むこと、以上のことから、現時点では疎開が必要な状況にはないと考えております。
 特に、教育の原点は家庭でございます。成長過程で生ずるさまざまな不安や悩み、受けとめてくれるのはやはり家庭です。人格形成の基礎には何よりも家庭、そしてなれ親しんだ地域、教師、友人が欠かすことができないものと認識しております。その意味でも、ふるさとを離れている子どもたちが一日も早く戻れるような除染活動に、どの子も健康で思う存分学べる環境づくりに、例えば除染、内部被曝の軽減、健康診断、情報公開等に今後も取り組んでいく所存であります。
 以上、答弁といたします。

木村は、まず、国が避難区域に指定していない、市が疎開を行う権限はないと答えた。さらに、疎開は、子どもや保護者にストレスをあたえるとした。加えて、放射線量が低下傾向にあるとも述べた。その上で、木村は、教育の原点は家庭である、家庭や、なれ親しんだ地域・教師・友人などのところに子どもが戻れるように、除染などに努力すると述べたのである。

結局、駒崎と木村の論戦は、平行線のままだった。

○大内嘉明議長 駒崎ゆき子議員の再々質問を許します。駒崎ゆき子議員。
    〔1番 駒崎ゆき子議員 登台〕
◆駒崎ゆき子議員 再々質問をいたします。
 確かに教育長のおっしゃるとおりストレスがとても大変なんです。でも、それを防ぐには行政が主導していく避難だと思うのです。そこなので、もう少し考えていただきたいと思います。---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ぜひ今回のこの子どもたちを救うという目的から、公的な避難や疎開をぜひご検討いただきたいと思いますので、市長にお答えいただきたいと思います。
○大内嘉明議長 当局の答弁を求めます。木村教育長。
◎木村孝雄教育長 再々質問にお答えいたします。
 さらに疎開について具体的に考えていけないのかという質問でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、今、実現可能な方策を一つ一つプライオリティをつけながら、行政の責任、大人の責任で精いっぱい取り組んでまいります。
 子どもの10年先、20年先の健康リスクはだれも予想できない、それだけは認識しております。そういう意味で、これからも実現可能な方策を順次取り組んでまいりますが、なお、9月28日現在で60名以上の生徒が戻ってきております。再転入してきており、その人数が増加傾向にあります。いろいろな多くの問い合わせがございます。
 再転入の主な理由を、ほとんどの保護者からアンケートをとりました。
 第1点目は、放射線量が下がり、学習環境が改善されたため。それが1番多かった。
 第2点目に多かったのは、郡山市の教育や取り巻く環境がすぐれていると認識したため。これは2番目に多かったです。
 3点目が、他地域での学習や居住に不都合があった。
 4点目が、災害復興が進み、生活環境が整ったなどであります。
 また、2学期になり、郡山に避難している方からの情報を受けて、県内外から新たに9月だけで7避難家族が市内に転入してきております。
 そういうものをしっかり受けとめながら、今後可能な限り子どもたちの安全を、命を守ることを最優先に努力してまいります。
 以上、答弁といたします。

駒崎は、ストレスを防ぐためには行政主導の避難をすべきだとする。しかし、木村は、すでに子どもたちは戻ってきている、他地域では不便であり、郡山市の教育環境が優れていることが再認識させられたのだと述べているのである。

私個人の意見をいえば、駒崎の意見に近いといえる。低放射線量の健康への影響は、確かに実証されていないのだが、影響がないともいえない。それゆえ、日常において、例えばレントゲン診断の時など低線量といえども照射される際は、なんらかの放射線防護を行っている。郡山市の多くの地点が放射線管理区画なみであるならば、妊婦・子どもだけでも特別な措置が必要ではなかろうかとも考えるのである。

ただ、木村孝雄教育長の言葉についても、多少考えてみよう。避難などについては国の基準以上は必要ないという主張については、中央追随ではないかとみられるのはしかたがないだろう。しかし、たぶん、それだけではないとも思う。

木村は、避難している子どもたちにつき、ストレスを懸念しているといえる。目に見えない放射線による被害よりも、確かに目に見える避難によるストレスのほうを心配しているのだ。ある意味では、放射線被曝の影響を軽視しているといえる。それゆえ、駒崎などからの批判は免れえないのであるが、木村の正当性の根拠となるのが、低線量被曝による健康被害が実証されていないということを前提にした、国の避難基準なのである。

その上で、木村は、避難している子どもたちが郡山市に戻ってきてほしいと願っているといえる。木村によれば、避難しているストレスによる被害の方が、放射線被曝の害よりも大きいのだ。ふるさとに戻るということが、木村のいう教育の原点である家庭に戻るということでもあるとしている。彼にとっては、目に見えない放射線被曝による健康被害を恐れて、市が積極的に妊婦・子どものふるさとや家庭からの離脱を意味する避難を勧奨するということは、たぶんに理解できないことなのであろう。

もちろん、木村も、放射線被曝を防ぐ措置が全く無用としているわけではない。彼にとっても、除染は必要な課題なのだ。しかし、彼にとって、放射線被曝のリスクは、避難時のストレスのリスクよりも小さいのであり、除染による放射線被曝のリスクの低減は、実質的なものというよりも、避難している子どもたちを呼びかえらせるという意味で心理的なものでもよいのではなかったのかとも考えるのである。

現時点で、あまり一方的なことはいえない。とりあえず、2011年9月の時点において、郡山の地域社会は、放射線被曝の害を懸念して子どもたちを避難させるか、避難している子どもたちのストレスを懸念して、除染などにより呼びかえらすことを指向するかというジレンマをかかえていたことを、ここでは確認しておこう。そして、その場合、チェルノブイリ事故の経験を重くみるか、国の基準を信奉するかということも問題になっていたことを忘れてはならないだろう。

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