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東京新聞2012年12月11・12・13日付け朝刊に「衆院選東京小選挙区候補者アンケート」という記事が掲載された。これは、東京の小選挙区の衆院選の各候補者たちに、原発、消費税増税、憲法9条改正という三つの項目についてアンケート調査を実施し、その結果を各選挙区別に(地図などもいれて)掲載したものだ。原発問題ではかなり細かく選択肢が用意されている。「ただちに原発稼働をゼロにする」「2030年代よりも前倒ししてゼロにする」「2030年代にゼロにする」「原発は減らすがゼロにはしない」「現状を維持する」「原発を増やす」というのが、その選択肢である。消費税増税と憲法9条改正は賛成・反対のみである。

それをみていて、気づいたことがある。自民党・日本維新の会から出ている候補者たちの多くが「2030年代にゼロ」「減らす」などの回答をよせていることである。彼らの原発問題の回答を抜き出して、表にしてみた。

東京における自民・維新各候補者の原発問題への態度

より詳しく述べておこう。東京の小選挙区は25区であるが、東京12区は公明党から立候補しており、自民党の立候補者は24人である。さすがに「ただちにゼロ」という候補者はいない。しかし、自民党では、「2030年代にゼロ」が6人、「減らす」が11人いる。無回答は7人だが、その内の6人は「前職」である。つまり、選挙に強い人たちなのだ。逆にいえば、相対的に選挙に自信のない人たちが、より「脱原発依存」という回答をよせているといえよう。

一方、日本維新の会からは19人が立候補しているが、その内「前倒しにゼロ」が2人、「2030年代にゼロ」が9人、「減らす」が2人、「無回答」が6人となっている。自民党よりも「脱原発依存」志向が強いといえる。

現状、民主党、日本未来の党、社会民主党、共産党など多くの政党は、いわゆる「脱原発依存」を主張している。といっても、民主党のいう「2030年代にゼロ」というのと、共産党・社会民主党などの主張する「ただちにゼロ」というのは大きく違っているが。日本未来の党の「卒原発」というのは「前倒しにゼロ」にあたるといえるが、両者の中間にあるといえるだろう。いずれにせよ、「脱原発依存」志向とはいえる。

ここでは紹介できなかったが、民主党、日本未来の党、共産党などの候補者は、広い意味での「脱原発」を主張しているのである。これは、当然のことである。

他方、自民党の政権公約では、次のようにいわれている。

 

いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期します。
 当面は、再生可能エネルギーの最大限の導入と省エネの最大限の推進を図り、原発については、福島第一原発事故の反省を踏まえ、「安全第一主義」をもって対処し、3 年以内に再稼働の結論を出すことを目指します。
 中長期的には、10 年以内に新たなエネルギーの安定供給構造を確立します。
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf

いわば、「エネルギー需給の安定」に重点があり、「脱原発」などは主張していない。この文面だけでは、「脱原発」かどうかもいえないのであるが、例えば、民主党の公約が次のように述べていることから比較すれば、自民党の公約の意味は明瞭となるといえる。

原発ゼロで生まれ変わる日本
2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入。
電力の安定確保など、様々な課題を乗り越え、着実に目標へ近づいて、「原発ゼロ」を必ず実現します。
結論先送りのなし崩し的な原発維持も、実現可能性を無視した即時原発ゼロも、同じように無責任です。
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2012.txt

一方、日本維新の会の公約「骨太2013ー2016」では「先進国をリードする脱原発依存体制の構築」と言われている。しかし、東京新聞が次のように報道しているように、代表である石原慎太郎自身がそれを否定している。

原発ゼロ 目指さない 維新・石原代表が方針

2012年11月27日 朝刊

 日本維新の会の石原慎太郎代表は二十六日、本紙などのインタビューで、現時点で「原発ゼロ」を目指す考えがないことを明らかにした。
 橋下徹代表代行(大阪市長)が「原発ゼロに向けてやる」と主張していることについて石原氏は「個人的な発言だと理解している」と、党方針ではないとの考えを示した。
 原発を含むエネルギー政策については「どういう産業をどうやって盛り上げていくか考えなければ、(原発を)何パーセント残す、残さないという議論にならない。綿密な経済のシミュレーションをやった上で、(火力や水力との)エネルギーの配分を決めていくのが妥当だ」と述べた。
 衆院選の対応については「自民、公明両党に過半数を取らさないように強力な『第二極』をつくらないといけない」と、自公の過半数獲得阻止を目指す考えを強調。その上で「強力なキャスチングボートを持ちたい。肝心なことを決めるのに過半数が要るなら協力する」と自民党と連携する可能性に言及した。
 みんなの党との小選挙区の候補者調整が難航していることについては「(みんなの渡辺喜美代表は)視野狭窄(きょうさく)と自己過信がある」と批判。河村たかし名古屋市長の合流が実現しなかったことについて「大阪側に拒否反応があった。減税という名前も良くない。(名古屋市で)市民税の減税に成功したから他の自治体で通用するわけではない」と指摘した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012112702000126.html

つまり、あいまいであるが、日本維新の会は政党全体として脱「脱原発依存」といえるのである。

自民党・日本維新の会は総体として脱「脱原発依存」ということになる。しかし、両党所属の東京の候補者たちの多くは、原発について「2030年代にゼロ」「減らす」などと回答しているのである。これは、たぶん、東京新聞へのアンケート回答にとどまるものではないだろう。有権者たちに問われれば、そのように答えているのであろう。選挙演説でもそのように話しているのかもしれない。

これは、いわば、「争点隠し」といえよう。政党全体をよく検討すればいわば脱「脱原発依存」なのだが、ある意味ではあいまいでもあり、それを利用して、自分の反対党である民主党・日本未来の党・共産党などの主張する「脱原発」を自民党などの候補者は主張しているのである。そのような形で、「脱原発」は争点から隠されるのである。

ただ、「争点隠し」であることをふまえて、もう一ついえば、自民党などの候補者たちも、有権者たちに踏み込めば踏み込むほど、「脱原発」を主張せざるをえなくなったともいえる。自民党の場合、新人や元職など、選挙に相対的に弱く、より有権者に密着する必要のある候補者たちが、より強く「脱原発」を主張している。元々地盤のない日本維新の会はなおさらである。その意味で、選挙に強い「前職」の衆議院議員たちを中心として作ったと考えられる「政権公約」とは、ニュアンスを異にせざるを得なくなった考えられる。このことは、自民党や日本維新の会に投票するような保守的な人びとも「脱原発」を強く意識するようになったことをあらわしているとみることができよう。

*なお、ここで、自民党・民主党・日本維新の会の公約を一部とりあげたが、これは例示のためであり、選挙における支持とは全く無関係であることを付記しておく。

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