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Posts Tagged ‘観測用井戸’

最近、福島第一原発について、前ほど報道されなくなっている。しかし、それだからといって、福島第一原発の状況が好転しているわけではない。むしろ、関心が薄まっている中で、とんでもないことがおきている。

その一つが、この事件だ。東電は、これまで、福島第一原発の護岸近くの観測用井戸から、ストロンチウム90を含むすべてのベータ線を発生する放射性物質の濃度を最大1リットルあたり90万ベクレルと説明してきた。しかし、実際はストロンチウム90だけで最大500万ベクレルであったと、2月6日に発表した。そして、予想では、ベータ線を出す全ての放射性物質濃度は、1000万ベクレルになる可能性が出てきたのである。現状では、ストロンチウム90だけでも、法定基準の16万倍以上なのである。次の河北新報のネット配信記事をみてほしい。

福島第1・放射性物質濃度 東電、測定ミス公表せず

 東京電力は6日、福島第1原発の護岸近くの観測用井戸の地下水から採取したベータ線を出す放射性物質(全ベータ)の濃度測定に誤りがあったと発表した。
 東電によると、全ベータの一部にすぎない放射性ストロンチウム90の検出濃度が全ベータの濃度を上回る矛盾した状態が遅くとも昨年10月から続いていた。同社はストロンチウム90の測定は分析中で、全ベータの最大濃度は1リットル当たり90万ベクレルと説明してきた。ところが、ストロンチウム90の測定がほぼ正確で全ベータの測定が誤りだったことが判明。東電が6日に公表したストロンチウム90(昨年7月採取)の最大濃度は500万ベクレル(法定基準30ベクレル)で、全ベータの推定濃度は「1000万ベクレル程度に跳ね上がる可能性がある」(同社)という。
 東電は昨年10月、全ベータの測定法のミスを認識し、測定法を変更。その後4カ月間、測定ミスを公表しなかった。東電福島広報部は「(測定ミス隠しは)意図的でなかったが、誤解を招きかねないことに思いが至らなかったと反省している」と話した。

2014年02月07日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2014/02/20140207t63020.htm

この測定ミスの原因について、TBSは次のような記事を2月8日にネット配信している。

東京電力の説明によりますと、放射線の計測器は、1リットルあたり数十万ベクレルなどの高い濃度の水の場合、測定しきれずに実際よりも低い数値を出すことがあります。これを避けるため、濃度が高い場合は水で薄めて測定し、数値を補正する方法が採られます。

 東京電力は、去年10月に、濃度が高い場合は水で薄める手順を社内で定めましたが、それ以前は、大量のデータを速く処理する必要があったため、水で薄める手順を省いていたということです。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140208-00000014-jnn-soci

簡単にいえば、放射性物質濃度があまりに高い場合は、放射線計測器ではかれない場合があるので、水で薄めて計るべきであったが、「大量のデータを速く処理する必要があった」ので、それを省略していたということなのである。

これは、単なるミスではない。朝日新聞のネット配信記事(2月6日)によると「ストロンチウムの値がベータ線を出す放射性物質全体の値より高く出て矛盾が生じたため、東電は昨年6~11月に採取した海水や地下水など約140件分の値を公表せず、計測もやめていた」とある。すでに計測時から矛盾は出ており、TBSの報道のように、すでに10月には、水で薄める必要性があることは東電内部でも了解されていた。となれば、本来、それまでの計測結果についても疑わなくてならない。しかし、東電は、再計測しないまま、これまで放置したのである。「(測定ミス隠しは)意図的でなかったが、誤解を招きかねないことに思いが至らなかった」と東電は述べているが、これが「意図的でない」なら、なんなのだろうか。結局、低い濃度が出たので、あえて「寝た子は起こさない」つもりで放置したのであろう。

そして、2014年1月9日に、読売新聞は次のような記事をネット配信し、ストロンチウム90の測定方法が誤っている可能性を指摘した。しかし、それでも、東電は「測定結果に誤りがある可能性があり、公表できない」と述べ、「旧装置と異なる分析結果になった原因を詳しく解明してから、新たな装置による結果を公表したい」としたが、その時以降も自主的に公表する姿勢をみせなかったのである。

東電、ストロンチウム濃度公表せず…測定誤り?

 東京電力は8日、福島第一原子力発電所の港湾や井戸で海水や地下水を採取して調べている放射性ストロンチウムの濃度について、「測定結果に誤りがある可能性があり、公表できない」と発表した。

 海水などは定期的に採取して汚染状況を監視することになっており、放射性セシウムなどは毎週、濃度を分析して公表している。しかし、汚染水に含まれる主要な放射性物質の一つであるストロンチウムは、毎月分析することになっているが、昨年6月に採取した海水などの分析結果を最後に、半年近くも公表していなかった。

 東電によると、昨年夏まで使っていた装置の分析結果にばらつきがあり、信頼性に乏しかった。同9月に新たな装置を導入し、信頼性が向上したが、「旧装置と異なる分析結果になった原因を詳しく解明してから、新たな装置による結果を公表したい」と説明している。

(2014年1月9日07時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140108-OYT1T01055.htm

東電のあまりの隠蔽体質については、監督機関の原子力規制委員会がクレームをつけた。1月24日に開かれた原子力規制委員会の作業部会では、次のような声があがっていた。福島民報が1月24日にネット配信した記事をみてほしい。ここで、すでに、原子力規制委員会の更田豊志委員は、「汚染水に含まれる放射性物質の検査結果に疑義があったのに東電の調査報告が遅過ぎる」として「今後の姿勢や改革が実行できるかに関わる。きちんと分析して経緯を報告してほしい」とし、「解釈しづらい分析結果であっても公表すべきだ」と指摘していたのである。

タービン建屋も汚染源か 第一原発の汚染水拡散 規制委指摘
 原子力規制委員会は24日、東京電力福島第一原発の汚染水対策を検討する作業部会を開いた。福島第一原発の東側護岸の地下に汚染水が広がっている問題で、1号機タービン建屋地下にたまった高濃度汚染水が漏れている可能性を指摘する意見が相次いだ。
 担当の更田豊志委員は作業部会に提出された資料から「(汚染水は)タービン建屋に起源がありそうだ。もともと水をためるものではないから、ある程度疑うのは自然だ」と指摘した。
 また更田委員は、汚染水に含まれる放射性物質の検査結果に疑義があったのに東電の調査報告が遅過ぎるとして「今後の姿勢や改革が実行できるかに関わる。きちんと分析して経緯を報告してほしい」と注文を付けた。
 汚染水からはストロンチウム90を含むベータ線を出す放射性物質が検出されているが、東電が昨年6月以降に採取した試料の測定でストロンチウムの濃度がベータ線を出す放射性物質全体の濃度を上回る結果が相次いだ。
 東電によると、同7月には社内で測定方法に問題があるのではないかと意見が出たが、相次ぐ汚染水問題への対応で原因調査が遅れ、現在も解明できていない。規制委への状況報告も今月にずれ込んだ。
 更田委員は「解釈しづらい分析結果であっても公表すべきだ」と指摘。会合に同席した東電の姉川尚史常務執行役は「マネジメントが徹底できておらず申し訳ない」と陳謝した。

( 2014/01/25 10:11 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/2014012513502

結局、以前あった原発事故隠しと同じなのである。さすがに、監督機関の原子力規制委員会まで籠絡できる状態ではないが、不都合な情報は隠蔽し、調査もせず、少しでも時間稼ぎをして、やり過ごそうとしたのである。これが「意図的でない」のなら、東電の運営能力自体を疑うべきであろう。

そして、これは、福島第一原発の護岸そばの観測用井戸だけの問題ではなくなってきた。タンクから漏洩していた汚染水も、ベータ線を出す放射性物質の濃度を過小評価していた可能性が浮上してきたのである。次の時事新報のネット配信記事をみてほしい。

300トン漏えいでも過小評価か=汚染水濃度、実態より低く―東電
時事通信 2月7日(金)18時13分配信

 東京電力福島第1原発で放射能汚染水の濃度が過小評価されていた問題で、東電は7日、昨年8月に判明したタンクから約300トンの汚染水が漏えいしたケースでも、濃度が実態より低い値で公表された疑いがあることを明らかにした。
 原子力規制委員会は東電が公表した濃度などを基に、国際原子力事故評価尺度(INES)で8段階のうち重い方から5番目の「レベル3」(重大な異常事象)と暫定評価したが、根拠が揺らぎかねない事態だ。
 事務局の原子力規制庁は「公表された濃度が実態よりも大幅に低かった場合は評価の見直しにつながり得る」と述べ、再引き上げの可能性に言及。一方、「評価の信頼性に関わるので慎重に対応しなければならない。東電の計測方法は以前から信ぴょう性が低く、最終的な評価結果が固まるには時間がかかる」との見通しを示した。
 東電によると、昨年10月まで同原発で用いられたストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質の濃度の測定方法は、1リットル当たり数十万ベクレルを超す汚染水では計測対象となる放射線が多いため正確に把握できず、実態よりも低い値が出る傾向にあった。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140207-00000139-jij-soci

これは、重大な問題である。記事にある通り、汚染水の濃度が過小評価されている場合、環境に流失した放射性物質の総量は大きくなるはずで、事故尺度を引き上げ、さらに、それに見合った対策が講じられなくてはならない。前年、安倍晋三は、「福島第一原発は完全にコントロールしている」と述べたが、いまや原子炉や放射性物質をコントロールしているどころか、これらの対処にあたるべき東電という機構のコントロールもできないでいるのだ。

そして、この記事で、原子力規制庁は「東電の計測方法は以前から信ぴょう性が低く」と他人事のように指摘している。放射性物質測定という、いわばルーティンワークですら、東電はまともにこなすことができない。原発再稼働に向けての安全審査などに時間・人員を費やすのではなく、福島第一原発の管理こそ、東電にまかせず、最優先にとりくむべきことなのである。

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