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もはや、旧聞に属するが……。2012年5月5日、泊原発が定期点検のため運転停止となり、大飯原発他、定期点検が終了した原発も、世論の反発にあって、野田政権のもくろみに反して再稼働できず、結果的に国内において原発がすべて停止することになった。

その日、私は芝公園からの出発したデモの中にいた。このデモは、鎌田慧・澤地久枝・落合恵子氏などがよびかけ人になっているが、参加者のもつ幟からみると、労働組合、生協、社民党などの人たちが多く参加しているようだった。最近、デモに出てみると、ミュージシャンが大音量のサウンドを響かせる「サウンド・デモ」や、参加者自体がドラムなどの打楽器を打ち鳴らす「ドラム・デモ」などが多く、いずれにせよ、サウンドの大きさに圧倒されることが多い。しかし、この芝公園からのデモは、全体では静かなデモだった。シュプレヒコールのリズムも、旧来のデモの様式にそった形で行なっていた。参加者の年齢層も、比較的高いような印象があった。「子どもの日」ということで、「こいのぼり」がイメージアイテムになっていた。

ただ、その中でも異色なグループがいた。このグループだけが打楽器をうちならし、踊りながら、「みんなの力で 原発とめたぞ」「子どもを守ろう」などととかけ声をかけていた。のぼりをみると「●●非正規ユニオン」などとあって、たぶん全員ではないのだろうが、その関係者が多かったようだ。皆かなり若い。中には「不当解雇反対」「労働組合が ストライキで 原発とめよう」「ともに闘い ともに生きよう」「革命」などと、ドラムデモなどでよくみられるリズムにのってかけ声をかけていた。まさに。このグループの「自己主張」が打ち出されていたといえよう。まさに「デモの中のデモ」という印象がある。

芝公園(2012年5月5日)

芝公園(2012年5月5日)

脱原発といっても、このデモの一般的参加者と、このグループとは、かなり違っているといえよう。この芝公園のデモ全体は、すでに述べたように、ある程度、年齢が高く、安定した生活を送っている人びとが中心になっていたといえる。その意味で、「労働組合が ストライキで 原発とめよう」という発想は、このデモの参加者一般のものではないと思う。他方で、「不当解雇」の圧力に日常的に接している「●●非正規ユニオン」の人びとにとっては、単に原発を止めるだけではなく、それこそ、「みんなの力」で「労働組合が ストライキで 原発とめよう」ということ、つまりは、自らの力を自覚し、解放への道筋をつけていくことも課題なのだ。そして、あのドラムの響きも、そのためのメッセージなのだといえる。

もちろん、年長で安定した生活を送っている人たちだって、「解放願望」はあるだろう。しかし、それは、自らの所属している政党・組合・生協などが構成している日常的な秩序を前提としながら、それを脅かすと想定されている国家権力からの解放をメインにしていると考えられる。その意味で、まさに「政治的な解放」を希求しているのである。そして、ドラムやサウンドなどが、ある意味で、自らの力を具現化するパーフォマンスとしてとらえられていることには気づかないのではないかと思った。

ただ、このように異質な人びとが、少なくとも互いの存在に気づくためには、ある種の共通項が必要であった。それが、「脱原発」という旗印なのである。もちろん、原発をなくすという意味での「脱原発」だけでは、不十分である。福島第一原発事故の放射能汚染や、被曝労働問題も、それだけでは解決しない。さらに、脱原発デモの中に表明されている多様な解放願望も、「脱原発」だけでは満たされない。しかし、それでも、「脱原発」ということを共通項として、それぞれの解放願望を知り合えることはできるだろう。まさしく、「脱原発」は「糸口」にすぎないが、しかし、これを通じて、多様な「解放」を希求していくことができると思われるのである。

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