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2013年12月6日、経済産業省は、同省の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会を開き、「新しいエネルギー基本計画」の素案を提示した。産経新聞がネット配信した次の記事で概要をみてほしい。

エネルギー基本計画案に当局が「原発再稼働進める」と明記 民主政権のゼロ政策転換
2013.12.6 20:10 [原発・エネルギー政策]
 経済産業省は6日、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会を開き、政府の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示した。原発を「重要なベース電源」と評価したうえで、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発について再稼働を進める」と明記した。

 東日本大震災後に民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換する。

 素案では、原発について「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時に温室効果ガスの排出もない」と評価。その上で「エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベース電源である」とし、安全性の確保を前提に引き続き活用するとの方針を明記した。

 原発の新増設については具体的な記述を見送った。民主党政権が昨年9月にまとめた革新的エネルギー・環境戦略では「新増設は行わない」としていたが、将来的な新増設の可能性については含みを持たせた。

 将来の原発を含む電源の構成比率(総発電量に占める比率)についても明示せず、原発の再稼働状況などを見極めて「速やかに示す」ことを盛り込んだ。

 再生可能エネルギーの拡大などで、エネルギーの原発依存度は「可能な限り低減させる」とした。

 茂木敏充経産相は6日の記者会見で「実現可能でバランスの取れた責任ある計画としてまとめることが必要だ」と強調。12月中旬に計画を策定し、来年1月に閣議決定する方針を示した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131206/plc13120620130028-n1.htm

実際、経済産業省の出した文書でみてみよう。「エネルギー基本計画に対する意見(とりまとめ)」と出された文書(実際には12月6日の素案を基本政策分科会の意見によって修正したものとみられる)において、原発については、次のように指摘されている。

大きく変化する国際的なエネルギー需給構造の中で、深刻なエネルギー制約を抱える我が国が、エネルギー安全保障の強化、経済性のあるエネルギー源の確保、温室効果ガス排出の抑制という重大な課題に対応していくためには、多様かつ柔軟な電源オプションを確保することが必要である。
原子力発電は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源として引き続き活用していく。
原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。
いかなる事情よりも安全性を最優先し、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼動を進める。
また、万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。
さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠である。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/report-1.pdf

原発依存度を低減させるといいながらも、結局のところ、安全性が確認された原発を再稼働させるというところが主要な主張になっている。全体において矛盾した、わかりにくい文章である。詳細な内容については、ご一読してほしい。

さて、同日(12月6日)、2014年1月6日を期限として、エネルギー基本計画策定に向けてパブリックコメントが募集された。正式には「新しい『エネルギー基本計画』策定に向けた御意見の募集について」と題されており、あて名は資源エネルギー庁長官官房総合政策課となっている。募集のサイトについて、下記に示しておこう。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620213015&Mode=0

このパブリックコメントに、本日(2014年1月2日)に応じてみた。その内容を次に示しておこう。

骨子:エネルギー供給減としての原子力発電は即刻廃止すべきである。

2013年3月11日の福島第一原発事故は、原子力発電の危険性を如実に示した。それまでも、放射能もれ、被曝労働、実現性のない核燃料サイクル計画や放射性廃棄物処分など、原子力発電の問題性は露呈していたが、福島第一原発事故は、原子力発電における過酷事故が、周辺地域社会全体の存立を脅かし、さらには国家や地球全体にも多大な影響を与えることを提示した。原子力発電によって得られるとされるいかなるリターンも、想定される過酷事故のリスクには見合わない。さらに、原子力発電は、実際に原子力発電に携わる労働者や立地している地域社会への構造的差別の上に成り立っている。ゆえに、エネルギー供給としての原子力発電は廃止し、それに携わってきた人員・施設・予算は、福島第一原発事故の処理を中心として、今までの原子力発電によってもたらされきた問題の解決へ振り向けられるべきである。以下、原子力発電の問題性を箇条書きで示しておく。
1、現在のエネルギー基本計画案の基調は「経済負担の最小化を図りつつ、エネルギーの安定供給と環境負荷の低減を実現していくことは、既存の事業拠点を国内に留め、我が国が更なる経済成長を実現していく上での前提条件となる」(「エネルギー基本計画に対する意見」)という観点が中心となっていると考えられる。つまり経済成長のためには多くのエネルギーを供給しなくてはならないとする高度経済成長期と変わらない意識が前提とされているといえる。それゆえに、原子力発電も必要とされることになっている。しかし、前述してきたように、原子力発電のリスクは、どのような経済成長の可能性でも補えないものである。これは、単に、原子力発電だけではない。中国におけるPM2.5による大気汚染のように、経済成長のためにやみくもにエネルギーを確保することは、深刻な環境破壊をひき起こし、人間社会を破壊することになるだろう。それは、地球温暖化全体がそうである。新しいエネルギー基本計画の基調は、環境破壊を惹起しない程度のエネルギー供給はどの程度であるかを示し、それに見合った省エネルギー的な経済成長を促進していくということでなくてはならないと考える。
2、「エネルギー基本計画についての意見」では、「シェール革命 」によって低コストのエネルギー源が見いだされる可能性に言及しながらも、海外依存率を低めるという名目のもと、現在輸入済み核燃料があまっているとして「準国産」のエネルギー源として原子力発電を推奨している。長期的にいえば、ほとんど輸入に頼っているウランを燃料としている原子力発電は「国産」とよぶことはできない。短期的には、低コストとされるシェールガスにエネルギー源を転換しつつ、中長期的には再生可能エネルギーによる供給をめざすべきであろう。
3、核燃料サイクル計画は、その核である高速増殖炉もんじゅは事故によってほとんど稼働せず、六ヶ所村核燃料再処理工場の竣工も遅れている状況であり、頓挫しているといえる。高速増殖炉開発については世界のほとんどの国で断念されており、その場合、再処理工場が本格稼働しても、ウラン燃料よりもコストが高く、核兵器への転用のおそれがあるプルトニウムが蓄積されるだけになるだろう。すでに破たんした核燃料サイクル計画は他に先駆けて廃止し、それらに費やしてきた予算・人員・施設・技術は、福島第一原発事故処理などに転用すべきである。
4、高レベル放射性廃棄物処分については、現在、地層処分をもっとも有効なものとして検討されている。しかし、地層処分の安全性について十分信頼されているとはいえず、特に、日本においては、万年単位で安全な地層が得られる保証は得られない。現時点における高レベル放射性廃棄物は当然なんらかの形で処分されなくてはならないが、原発の再稼働によりより放射性廃棄物を増やすべきではない。
5、原子力発電は、従事する労働者や立地する地域社会に対する構造的差別の上で成り立っている。原子力発電において、なんらかの被ばく労働はさけられないが、それらの被ばく労働は、長期的に働く社員ではなく、待遇の悪い下請け労働者や日雇労働者によってなされている。また、原発は、近代的産業の中心地ではなく、人口が少ない地域に立地されており、事故の際には、立地地域の人びとの犠牲によって社会的・経済的影響を小さくさせている。労働者や地域間における構造的差別を是正していくことはエネルギー対策の観点からのみできることではないが、原子力発電を維持することで、このような構造的差別を温存・助長すべきではないと考える。

このパブリックコメントは2000字が限度とされている。私のコメントは1900字を超えているので、分量的には限界に近い。「エネルギー基本計画に対する意見」へのコメントであり、その内容ついて項目ごとに反論していく手法もあるとは思ったが、字数が限られており、さらに、かなり専門的内容に反論していくことは、かなり困難だと考えた。そして、結局、「骨子:エネルギー供給減としての原子力発電は即刻廃止すべきである」として、その理由をあげていくことにした。今考えると、他にも書くことがあったなと思ったりもする。ご参考になれば幸いである。

前述したように、期限は1月6日である。こんなに長文でなくても、ほんの少しの文章でもかまわないそうである。なるべく、コメントしてほしいと思う。

なお、本パブリックコメントを呼びかけているサイトを最後に紹介しておきたい。

http://publiccomment.wordpress.com/

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福島第一原発の危機が拡大している。汚染水については、連日報道され、整理することも難しいほどだ。そんな中、ウォールストリートジャーナルが8月7日付で的確な整理を行っているので、まず、紹介したい。

2013年 8月 07日 11:55 JST
福島第1原発、汚染水封じこめで苦闘

東京電力は福島第1原発で、隔壁やポンプ、それに土壌を固める化学品などを使って、放射性物質に汚染された地下水が海に流出するのを防ごうとしている。

 同社は今週、最も高濃度の汚染水が見つかった場所を新たな一連の措置で封鎖しようとしているが、一部の専門家や規制当局者は、汚染水を原発敷地に完全に封じ込める闘いに勝つのは難しいかもしれないとみている。

 シーシュポスの神話のような果てしない苦闘を続ける東電は先週、汚染された水のレベルが上昇しており、わずか1カ月前に工事が始まったばかりで完了が今週末の予定となっている地中の「遮水壁」を既に越えている可能性があると発表した。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は先週の記者会見で、汚染水を汲み上げて貯蔵するといった東電の汚染水対策は一時的な解決策にすぎないとし、最終的には、処理をして放出濃度基準以下にした汚染水を海に捨てることが必要になるとの見解を示した。

 東電は5日、電子メールで、汚染水があふれている最近の問題に対処するため「いつかの措置を取りつつある」とし、「原発近くの水域の海水と魚介類への影響の監視を強化し続け、諸措置のあとに(汚染水の)廃棄について判断する」と述べた。

 2011年3月の東日本大震災で同原発が電源喪失状態となり、稼働中だった3つの原子炉がコントロール不能に陥ってから、東電は汚染水の管理に苦しんでいる。溶けた燃料炉心を冷やすために毎日約400トンの水―そのほとんどはリサイクルされているが―が使われている。より大きな問題は、これとは別に山々から下りてくる400トンの地下水が発電所敷地の下を流れ、海に注いでいることだ。

 東電はこの2年間、放射線濃度の高い原子炉建屋から水を汲み出し、敷地内のタンクにこれを詰めて汚染を封じようとしてきた。しかし、数カ月前には、原子炉付近で採取した地下水から高濃度の放射性物質が検出されて、その努力も実を結んでいないことが分かった。その理由は明らかではない。さらに、東電はこの水が海に漏れ出ている公算が大きいと明らかにしたのだ。

 放射能漏えいに関し同社の情報に透明性が欠けていることなど、原子炉敷地での問題が続いていることから、規制当局の批判を招いている。2日には、成果の上がらない除染作業で政府の役割を拡大するために設けられた原子力規制委員会の対策検討会が初会合を開いた。同検討会は東電に対して、国民の原発への反対が強まっているとして、コミュニケーションと信頼性を改善するよう要求した。

 東電は7月、緊急措置として、護岸に近い土壌に化学品を注入してこれを固め、地下隔壁とする作業を始めた。しかし、その後、この場所の地下水が隔壁にぶつかって水位が急速に上昇した。水位は地下1メートルのところまで来ており、地下1.8メートルから始まる隔壁を既に越えているようだ。

 同社は今、隔壁の手前にたまっている水の一部を汲み上げ、これまでと同様に貯蔵することを計画している。同社はまた、最も高濃度に汚染されている護岸周辺を隔壁で囲む準備もしている。さらに、隔壁で囲った部分を砂利とアスファルトでふたをし、何も漏れ出ないようにすることを提案している。同社は隔壁部分の作業を10月までに終えたい考えだ。

 同社はこのほかにも、原子炉建屋を凍土で囲うなど、いくつかの実験的構想も持っている。

 しかし、資源エネルギー庁の新川達也・原子力発電所事故収束対応室長は7月の記者会見で、このやり方では地下水の流れを変えてしまう恐れがあると述べた。また、水が大量にたまり、地盤を軟らかくして、原子炉建屋を倒壊させる可能性があると指摘した。東電は水が染み出している公算が大きい建屋内のひびをロボットを使って修理するといった方法も試してみるべきだとしている。

 埼玉大学の渡部邦夫地質学教授は、凍土にも問題があると述べた。同教授は、トンネル掘削で使われるこの技術は汚染地域に入ってくる地下水の量を減らせるかもしれないが、コストが高いとし、「システムを構築するには数億円が必要だ。この氷の壁を維持するのには大量の電力も必要だ」と語った。

 田中委員長は、東電は全ての水を処理することは不可能であるとし、許容水準内の汚染水を海に捨てる準備をすべきだと述べた。しかし、現地の漁業協同組合は依然として、かつてのように漁に出られるようになることを望んでいる。地元漁業者は昨年6月以降、放射能テストで一貫して低い値しか検出されないタコなどをとっている。相馬双葉漁協の遠藤和則氏は、最近汚染水が海中に流れ込んでいることについて、困惑しているとし、消費者が同地の魚を拒否し始めることへの懸念を示した。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324513804578652903693994978.html

つまり、壊れた原子炉に地下水が流れ込んでいて、それが汚染水となり、海洋に流れ出しているのである。東電としては、応急措置として、海側の地下に隔壁を設け、海洋に流れ出さないようにしようとしたが、かえってせき止められた汚染地下水の水位が上がり、隔壁をこえてしまったという。そこで、この汚染地下水をくみあげて貯蔵する計画をたてているということである。

その上、東電と規制委委員長は、汚染水(何らかの処理をすることを前提としているようだが)を海洋廃棄することを検討しているというのである。このことに対しては、周辺の漁協が反発しているということである。

さらに、東電が中長期的な措置として「凍土」で原子炉建屋を囲う構想をもっていることを報じている。

まず、このような大枠の理解のもとに、最近の報道をみてみたい。

最早、東電にせよ、それを監督する経産省の資源エネルギー庁にせよ、汚染水について十分な対策はとっていない。結局、規制側の原子力規制委員会が、東電や資源エネルギー庁に不満をもちながらも、陣頭指揮をとらざるをえなくなった。8月7日の河北新報はそれを次のように伝えている。

福島第1原発の汚染水流出 規制委、異例の陣頭指揮

 福島第1原発の汚染水の海洋流出問題で、原子力規制委員会が異例の陣頭指揮を執っている。汚染水対策など廃炉作業の監督は本来、経済産業省の役割だが、海洋流出に対する動きは鈍い。規制委の突出ぶりは、事態の深刻さへの焦りと対応が後手に回る東京電力へのいら立ちの裏返しと言えそうだ。(東京支社・若林雅人)

 「規制機関が踏み出すべき領域かどうか疑問もあるが、リスクが高まっている」
 規制委が2日に開いた汚染水対策作業部会の初会合。座長役の更田豊志委員は開催理由をこう説明し、早速東電から聴取を始めた。東電が「調査する」「検討する」と答えた事項について「次回、耳をそろえて持ってきてほしい」と強い口調で要求した。
 春先に地下貯水槽での汚染水漏れが発覚し、汚染水の貯蔵が問題となって以降、政府は廃炉対策推進会議の下に汚染水処理対策委員会を設置。経産省資源エネルギー庁が事務局となり、5月末に地下水流入の抑制策を柱とした報告書をまとめた。
 報告書に対し、規制委は「高濃度汚染水が滞留する海側トレンチ(作業用トンネル)からの漏えいリスクが高い」との見解を表明。海水や地下水から高濃度の放射性物質が検出され始めた6月下旬にはトレンチから海に流出した可能性を指摘したが、東電は7月下旬まで流出を否定し続けた。
 規制委の再三の警告にもかかわらず、エネ庁や対策委に目立った動きはなかった。エネ庁事故収束対応室は「汚染水対策のマネジメントはエネ庁だが、放射性物質の外部流出など安全管理は規制委が担う」と役割分担を理由に挙げた上で、「対策委が今後どう関わっていくべきか検討している」と説明する。
 規制委の会合では「緊急対策が必要な際に国の関与が明確でない」と、エネ庁を念頭に置いた苦言も出た。規制委事務局の原子力規制庁事故対策室は「規制委で対策を検討しても東電に実行させるのはエネ庁。責任の大きさは分かっているはずだ」と自覚を促す。
 福島県の内堀雅雄副知事は6日、規制庁と経産省を訪ね、国が前面に立った対処と監視を要望した。赤羽一嘉経産副大臣との会談後、内堀副知事は「経産省は廃炉対策の所管省庁。東電と一体でしっかり対応してほしい」とくぎを刺した。
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/08/20130807t63010.htm

その結果、汚染地下水汲み上げの前倒し実施がなされることになったといえる。NHKは、8月6日、原子力規制委員会の指摘を受けて、今月末に行うとしていた汚染地下水の汲み上げを前倒しして、今週中から開始するとした。東電の措置では、高濃度汚染水の大規模な海洋流出がさけられないとみての規制委員会の判断なのであろう。東電は、ここでも、当事者能力のなさを露呈したといえる。

福島第一原発 汚染水くみ上げ急きょ今週から
8月6日 5時56分

福島第一原発 汚染水くみ上げ急きょ今週から
福島第一原子力発電所で汚染された地下水が海に流出している問題で、流出を防ぐために行っている工事で地下水位が上昇していることから、東京電力は急きょ、地下水のくみ上げを、今週中に始めることにしました。
一方、観測用の井戸では新たに放射性物質の濃度が上昇していることが分かり、汚染水対策は手探りの対応が続いています。

福島第一原発では、汚染水の流出対策として、護岸沿いに地中を壁のように固める工事を進めていますが、せき止められて上昇した地下水がすでに壁を乗り越えているおそれがあることが先週、明らかになりました。
このため東京電力は急きょ、小規模な井戸を掘って、今週中にくみ上げを始め、くみ上げた地下水は、一時、地下の施設に保管した後、敷地内のタンクにためることにしました。
当初、東京電力は今月末から地下水をくみ上げるとしていましたが、国の原子力規制委員会から一刻も早く始めるよう指摘を受け、対応を早めることになりました。
一方、高濃度の汚染水がたまっている2号機のタービン建屋に最も近い観測用の井戸で、5日採取した地下水では先月31日に比べて放射性セシウムの濃度が14倍あまり、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す物質の合計の濃度が46倍あまりといずれも上昇していることが分かりました。
東京電力は濃度が上昇した原因は分からず、今後詳しく調べるとしています。
汚染水を巡っては、事故から2年4か月がたった今も流出の具体的な状況や影響の広がりをつかめず、手探りの対応が続いています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130806/k10013569671000.html

そして、政府もまた、東電の計画していた凍土による地下水遮水壁設置に国費投入を決定した。8月7日の毎日新聞は、次のように伝えている。

福島第1原発:汚染水対策に国費投入…政府検討
毎日新聞 2013年08月07日 13時01分(最終更新 08月07日 13時02分)

 政府は7日、東京電力福島第1原発の放射性汚染水問題をめぐり、対策費用の一部を国費で補助する検討に入った。経済産業省が2014年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。これまでも廃炉や事故収束に関係する研究開発費用は国が支援していたが、汚染水対策への補助が決まれば、国による初めての直接支援となる。国がより踏み込んだ対策を取る方針を明確に示して、処理対策を確実に進める構えだ。【大久保渉】

 ◇遮水壁設置で

 経産省は5月、原子炉建屋への地下水流入を防ぐため、周囲の土を凍らせる遮水壁の設置を東電に指示。設置には数百億円の費用が見込まれるが、経営再建中の東電には資金的な余裕が乏しいのが現状だ。

 菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で「これだけの大規模な遮水壁は世界でも例がなく、設置に当たっては国として一歩前に出て支援する。予算は、経産省において現在検討中と聞いている」と説明。7日午後の原子力災害対策本部会議で、安倍晋三首相が茂木敏充経産相に対し、早急に対策を行うように指示する予定であることを明らかにした。

 汚染水対策を含めた廃炉の費用について政府は「東電による負担が原則」としてきたため、国費の投入には「東電救済とみられないか」との慎重論があった。しかし、福島第1原発の汚染水を巡っては、7月に海洋流出が明らかになるなど、東電任せによる対策には限界が指摘されている。

凍土による遮水壁は、長期にわたって使用された例がなく、東電は技術的な検討を進めた上で今年度中に実現可能かどうか判断するとしていた。
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130807k0000e010192000c2.html

結局、費用においても、すでに東電では調達できない。その意味で、原子力規制委員会の「陣頭指揮」にせよ、汚染対策への国費投入にせよ、遅ればせながら、公的機関がイニシアチブをとらなければ福島原発の廃炉作業が不可能なことを明示しているといえよう。

しかしながら、これらは、そもそも東電の計画だったことにも注目しておかねばならない。そもそも、場当たりの対応しかできなかった東電が構想した計画であり、その前倒しやバックアップにすぎない。汚染地下水の汲み上げにせよ、凍土による地下水遮水壁の設置にせよ、応急措置にすぎない。資源エネルギー庁で議論されていたようだが、ロボット装置などによる原子炉建屋の点検・修理が、廃炉作業を進める上でも不可欠のはずだが、そのようなことは具体化されていないのである。

しかも、汲み上げた汚染地下水もどんどんたまっていくだろう。凍土による地下水遮水壁設置については、そもそも効果自体に疑問があるのだが、それ以上に、2014年度概算要求の対象であり、つまりは、翌年からしか建設されないのである。現状の汚染水危機には即応するものではないのである。

すでに、東電も原子力規制委員会も、汚染水の海洋廃棄を検討していることは述べた。もはや、政府も、当面の措置として汚染水の海洋廃棄の検討を開始している。8月8日、読売新聞は、次のような記事をネット配信している。

福島第一の基準値以下の地下水、海洋放出検討へ

特集 福島原発
 茂木経済産業相は8日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所でたまった基準値以下の放射性物質を含む地下水について、「海への放出の可能性も含め、早急に検討して対策を具体化していきたい」と述べ、海洋放出を視野に入れた水の処理を検討することを明らかにした。

 同日午後に開かれる有識者らによる汚染水処理対策委員会で話し合う。この水は、原子炉建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げたもの。この水の海洋放出を巡っては、安全性などについて地元の漁業関係者の理解は得られておらず、具体的なめどは立っていない。

 7日に開かれた原子力災害対策本部の会議を受け、茂木経産相は、基準値以上の汚染水についても「国が主導して、絶対に漏らさない状況を作るということを進めたい」と話し、東電任せにせずに対策を進めることを強調した。そのうえで、海側の地中に薬剤を注入して地盤を固める工事や、1~4号機の地中を凍土の壁で囲うなどの対策を行う。

 経産省が7日に公表した、1日当たりの汚染水の流出量(300トン)について、茂木経産相は「汚染の度合いは違うにしても、汚染されている可能性は否定できない」と説明した。

(2013年8月8日14時13分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130808-OYT1T00613.htm?fb_action_ids=511507698928519%2C511427535603202&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_object_map=%7B%22511507698928519%22%3A152528584952987%2C%22511427535603202%22%3A622735257759194%7D&action_type_map=%7B%22511507698928519%22%3A%22og.recommends%22%2C%22511427535603202%22%3A%22og.recommends%22%7D&action_ref_map=%5B%5D

つまり、最早、福島第一原発の汚染水(もちろん、ある程度の処理をしてことだろうが)の海洋廃棄がさけられないとされてきているのである。

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