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2012年6月22日、読売新聞は次の記事をネット配信した。

関電 クラゲ大量発生で火力発電所運転を抑制
 関西電力は22日、火力発電所の取水口付近にクラゲが大量発生したため、出力を落として運転すると発表した。姫路第二火力発電所(兵庫県姫路市)など2か所で、最大90万キロ・ワット(午前10時時点)の供給力が失われる。

 22日の電力需給は、最大需要2030万キロ・ワット(午後2時~3時)に対し、供給力は2420万キロ・ワット確保できる見通しで、使用率は83%と安定した状況になる見通しだ。クラゲは、例年7月中旬頃までには減少するといい、関電は、節電要請期間(7月2日~9月7日)の需給には大きな影響は出ないと見ている。

 関電によると、今月15日頃からミズクラゲが大量発生し、出力を調整しながら運転している。クラゲの被害を受けているのは、姫路第2火力4号機(出力45万キロ・ワット)、5号機(出力55万キロ・ワット)で抑制分は計20万キロ・ワット、南港火力発電所(大阪市住之江区)2、3号機(ともに出力60万キロ・ワット)が計70万キロ・ワットという。

 クラゲは、冷却水として使う海水の取水口付近に押し寄せており、十分に取水できなくなると発電用タービンを回した蒸気を冷却できなくなる。

(2012年6月22日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120622-OYO1T00600.htm?from=main2

つまり、クラゲが襲来して火力発電所が出力低下し、最大90万キロワットの電力が抑制されたという。90万キロワットとはかなり大きな電力である。大飯原発が1基分で117.5万キロワットであり、ほぼ、原発1基分に相当するといってよい。

しかし、関西電力は、7月中旬までにはクラゲの影響はなくなるとして、7月2日〜9月7日の節電要請期間には電力需給に大きな影響はないとしている。少なくとも7月2日においては、大飯原発は再稼働できないはずで、その電力合計235万キロワットはまだ供給されていないと考えられる。その上、90もしくは70万キロワットの電力が供給されていない。最大限325万キロワットの電力不足のはずなのである。

大飯原発が稼働されない場合、関西電力管内では、14.9%電力不足になると試算されていた。次の日本経済新聞のネット配信記事はそれを示している。

節電頼みの夏、関電なお14.9%不足 強制措置は不可避
2012/5/8 0:08

 政府は7日、関西電力管内の電力が猛暑の場合、8月のピーク時に14.9%不足するとの試算を示した。節電効果の上積みなどでこれまでの16.3%より改善したが、需給安定には遠い。大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の時期が見通せない中、節電頼みでは夏場の電力に不安が残る。政府は週内に需給見直しをまとめるが、強制的な節電策の実施が現実味を帯びてきた。

 電力各社の今夏の需給見通しを検証する需給検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)で、原発の稼働ゼロを前提とした試算を示した。最大需要に対する供給の不足度合いは、北海道電力も3.1%から1.9%へ、九州電力も3.7%から2.2%へ改善した。東京電力など供給余力が3%を上回る4社の見通しは見直さなかった。

 電力不足が突出する関電。大飯原発の再稼働を織り込めない中で、検証委が目を付けたのが、節電効果の積み増しだ。

 「なぜ関電の節電効果は少ないのか」(松村敏弘東大教授)。関電が4月23日に見通した節電効果は102万キロワット。節電要請が出た昨夏(190万キロワット)の5割強にすぎず、7割を見込んだ東電や、昨年実績と同程度を見込んだ九電に比べ、見劣りしていた。

 ただ節電を継続する家庭を9割と見込んでも、ひねり出せるのは15万キロワット。電力会社が企業と個別に契約し、電力の不足時に使用を控えてもらう制度や、夜間電力を使って水をくみ上げて昼間発電する揚水発電の上積みも盛り込んだ。しかし3000万キロワット超に及ぶ8月の最大電力需要に対して、需給改善は50万キロワットにとどまった。

 検証委では関電に限らず「さらなる需給改善は厳しい」との見方が大勢を占めつつある。7月から固定価格での買い取りが始まる再生可能エネルギーのうち、風力はピーク需要に合わせた発電が難しく、供給力に盛り込まなかった。他の電力会社からの融通分も、夏が近づかないと気温などを正確に把握できず、融通の増加は難しい。

 大飯原発が再稼働すれば「不足率が5%以下になる可能性がある」。4日の大阪府市エネルギー戦略会議で、関電の岩根茂樹副社長はこう指摘したが、政府は再稼働への道筋を描けていない。

 検証委は週内に今夏の電力需給見通しをまとめる方針。関電管内を中心に、計画停電や電力使用制限令など強制的な需要抑制策が避けられない情勢。藤村修官房長官は7日午後の記者会見で、「節電がそれなりに必要であることは明らかだ。閣僚会合で詰めていきたい」と述べ、来週にも関係閣僚会議で企業や家庭向けに節電要請などの対策を決める考えを示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC0700E_X00C12A5NN8000/

しかし、実際には5%程度の不足ではないかという試算も出されていた。共同通信が2012年5月15日ネット配信した記事は、それを示している。

関電、電力不足5%に低下も 他社の融通など前提で 

 関西電力は15日、大阪府と大阪市の府市エネルギー戦略会議で、他の電力会社の節電を踏まえた融通などを前提に最大300万キロワット程度の需給改善を見込むことができるとの試算を明らかにした。政府の需給検証委員会は、原発が再稼働しなければ管内でピーク時の需要に対し14・9%(445万キロワット)不足すると予測したが、試算で示した改善が実現すれば、不足は5%程度まで低下する。

 大阪市で開かれた戦略会議に出席した、関電の岩根茂樹副社長らが明らかにした。ただ他の電力4社からの融通分は減少する可能性もあり、岩根副社長は「今の段階で確実に見込める数値ではない」と強調。
http://www.47news.jp/CN/201205/CN2012051501001525.html

関西電力における電力需要はピーク時で3000万キロワット超とされている。大飯原発が再稼働されない場合、不足分が14.5%であれば445万キロワット不足するのだが、300万キロワット程度電力を他社から融通を受ければ、不足分は5%程度になるとするのである。計算すると145万キロワットである。

大飯原発が再稼働せず、火力発電所が出力抑制している7月2日時点について考えてみよう。原発が稼働しないで445万キロワットー14.9%の電力不足とするならば、クラゲの襲来で火力発電所が90万キロワット出力低下せざるをえないとすると、535万キロワット不足ということになる。ピーク時の電力需要を3000万キロワットとするならば、約17.8%の電力不足である。大飯原発3号機が本格的に再稼働する予定の7月8日までは15%の節電が要請されているが(なお、7月4日から3号機は稼働されるようだが)、さらに上乗せして節電するとなると、火力発電所の出力抑制が電力需給に影響しないわけはない。

もし、原発が再稼働しなくても、145万キロワットー5%しか電力不足にならないとしてみよう。火発が90万キロワット出力抑制しても、235万キロワット、7.8%の電力不足にとどまる。大飯原発3号機が本格的に再稼働するまでは15%の節電が要請されており、その意味では「需給に影響がない」はずだ。

関西電力の対応は、後者の想定に従っているといえよう。つまりは、大飯原発が再稼働しない場合でも、5%程度しか電力不足にならないという想定が内部的にあり、15%の節電要請があれば、需給に影響がないと考えられるのである。たぶん、よりランニングコストが高い火発の運転をしたくないという気持ちもあろう。

しかし、いずれにせよ、関西電力の電力不足は過大に発表されていたといえる。こういう話をあげていればきりがないのだが、このことが、大飯原発再稼働の理由になったのである。火力発電所へのクラゲの襲来が、このような欺瞞をあばいたといえよう。

付記:このブログは、今でも東日本大震災によって引き起こされた物事、そして平行して存在しつつ東日本大震災に影響された物事を主たる対象としている。それ自身は変わらない。この記事もまたそうである。しかし、直接には東日本大震災を対象としていないことを扱うこともあり、その場合は、従来副題としていた「東日本大震災の歴史的位置」を外すことにした。

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先週、上関原発反対運動と省エレルギー型社会をめざしたスウェーデンの試みを対照させた鎌仲ひとみ監督の映画『ミツバチの羽音と地球の自転』を紹介した。

この紹介において、スウェーデン第二の都市エーテボリにおける、工場の廃棄エレルギーを熱エネルギーとして供給する試みをみてみた。そして、同様の試みを実現した会社として、東京電力をあげた。もう少し、詳細がわかるので、より詳しくみておこう。

まず、この試みとは、どのようなものであろうか。msn産経ニュースは、2011年2月25日付で、次のようなニュースを伝えている。

温暖化防止など地球環境問題の解決に熱心に取り組む企業や団体などを表彰するフジサンケイグループ主催の第20回「地球環境大賞」。制度創設20年目の今回は115件の応募の中から、東京電力がグランプリに輝いた。

 今回の受賞理由は、同社川崎火力発電所(川崎市川崎区)に隣接する工場を新設の配管で結び、発電時に発生した蒸気を各工場に供給、熱源として再利用できる仕組みを構築し大幅な省エネを実現した点。審査委員からは「既存のシステムを変えて省エネを図るものであり、大変効果的だ」(合志陽一・筑波大学監事)、「企業の境界線を超えた面的な省エネ活動の好事例」(椋田哲史・日本経団連常務理事)など、周辺地域を視野に入れた取り組みが高く評価された。(http://sankei.jp.msn.com/life/news/110225/trd11022505010002-n1.htm)

火力発電所で発生した蒸気をタービンを回すだけでなく、直接熱エネルギーとして、近隣の工場に回すというのである。

このことについては、東電自身がプレスリリースとしてより詳細に発表している。

第20回「地球環境大賞」において『大賞』を受賞

~当社の蒸気供給事業が評価され、電力会社として初めて受賞~
                             平成23年2月25日
                             東京電力株式会社

 当社は、このたび、川崎スチームネット株式会社と川崎市千鳥・夜光地区におい
て共同で取り組む蒸気供給事業が評価され、第20回「地球環境大賞」において『大
賞』を、電力会社として初めて受賞いたしました。

 「地球環境大賞」は、フジサンケイグループが主催し、持続可能な循環型社会の
実現に寄与する製品・商品・サービス・技術などの開発や、環境保全活動・事業の
推進などの面で顕著な成果を上げ、社会の模範となる功績を収めた企業、自治体、
学校、市民グループなどを表彰する顕彰制度として、平成4年に創設されたもので
す。

 当社は、同大賞第1回目となる平成4年に『フジテレビジョン賞』、平成14年
(第11回)に『地球環境会議が選ぶ優秀企業賞』、平成21年(第18回)に『日本経
済団体連合会会長賞』をそれぞれ受賞しておりますが、このたび受賞した『大賞』
は、「地球環境大賞」の最高賞にあたるもので、川崎市千鳥・夜光地区で当社が取
り組む蒸気供給事業により同地区全体の省エネルギー・CO2排出量削減を実現し
たことが評価されたものです。

 具体的には、最新のコンバインドサイクル発電設備(MACC)を採用した当社
川崎火力発電所1号系列の発電に使用された後の蒸気を再利用し、川崎市千鳥・夜
光地区コンビナート内の10社に供給することにより、同地区全体で、年間、原油換
算で約1.1万kl(一般家庭9,500世帯分)の燃料削減による省エネルギーの実現と約
2.5万t(一般家庭4,700世帯分)のCO2排出量削減効果が見込まれております。

 表彰式は平成23年4月5日(火)13時20分より、明治記念館(東京都港区)にお
いて行われる予定で、当社からは、取締役社長の清水正孝[しみず まさたか]が
出席いたします。

 当社は、本事業を通じ、同地区の低炭素化に引き続き貢献していくとともに、地
球温暖化対策に関するさらなる取り組みを進めてまいります。

                                  以上
(http://www.tepco.co.jp/cc/press/11022501-j.html)

東電は、より具体的に、この事業を説明している。次の資料をみてほしい。

蒸気供給事業の概要

蒸気供給事業の概要

(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110225b.pdf)

具体的には、東電の川崎火力発電所は、川崎市千鳥・夜光地区の石油コンビナートに所在する東京油槽・日油(日本油脂)・日本ポリエチレン・昭和電工・川崎化成工業・日本乳化剤・日本ポリエチレン・日本触媒・大同特殊鋼・旭化成ケミカルズ・日本ゼオンの10社に熱エネルギーとしての蒸気を年間30万tを供給することになっている。

この蒸気供給は、蒸気供給を行うために設立された川崎スチームネット株式会社を介して行うとされている。すでにJX日鉱日石エネルギーの二工場を既設蒸気配管で連結されている。このシステムに東電が参入したといえると思う。ただ、この東電の参入において、このシステムは格段に拡充されたといえる。

この火力発電所は、液化天然ガスを燃料としたコンパインドサイクルである。火力発電所の中では、最も効率がよいとされている。二酸化炭素の排出は伴うが、それでも、この蒸気供給事業によって、全体の効率はよくなるといえる。

前も言ったことだが、東電でもやればできるのである。スウェーデンのような取り組みは、日本でも全く技術的には可能なのである。確かに、短期的には間に合わない部分もあるかもしれない。しかし、中期的には原発よりも効率のよい火発のシステムは可能なのである。

そして、長期的には再生可能なエネルギーによる発電を構想できるといえよう。

つまり、「ただ、やらなかっただけ」なのだ。

ちなみに、この地球環境大賞受賞は、このようになった。

東京電力が受賞辞退 第20回地球環境大賞 
2011.4.20 18:50
 第20回「地球環境大賞」(主催・フジサンケイグループ)で、大賞に決定していた東京電力から受賞辞退の申し出があり、同審査委員会と顕彰制度委員会はこの申し出を受け入れることを決めた。東日本大震災による福島原発事故の発生に伴うもの。

 地球環境大賞は、「産業の発展と地球環境との共生」を基本理念に、環境活動に熱心に取り組む企業や団体を表彰する制度。東京電力は、川崎火力発電所(神奈川県)に隣接する工場を新設の配管で結び、発電時に発生した蒸気を各工場に供給、熱源として再利用することで大幅な省エネとCO2排出削減を実現したことが評価され、今年2月に第20回の大賞に選ばれていた。(http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110420/biz11042018510038-n1.htm)

皮肉にも、福島第一原発事故により、東電は受賞を辞退したのである。

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