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本日(2011年12月19日)、北朝鮮の金正日総書記死去のニュースにかぶり、ほとんど報道されないであろう出来事が、昼、東京の新橋駅前であった。ここで、野田首相が、街頭演説を行う予定だったのだ。

この街頭演説は、少し前から企画されていた。時事通信は、12月15日付で、次のような記事をネット配信している。そして、15~16日に、他のメディアも同様の報道を行った。

野田首相、19日に街頭演説=支持率下落を意識?
 野田佳彦首相は19日に東京都内で街頭演説を行う。消費増税を含む社会保障と税の一体改革を中心に、政権の基本方針を訴えるとみられる。選挙に関わりなく首相が街頭でマイクを握るのは異例。内閣支持率下落の理由として首相の発信不足を指摘する声があることも意識しているようだ。 
 支持率下落に関し、首相は15日付の首相官邸のブログ「官邸かわら版」で、「国民の皆さんが、野田政権に向けている視線に厳しさが増していることを感じる」と指摘。「私自身にも閣僚にも、期待に応えられていない部分がある。心を正し、改めるべき点はしっかり改め、課題に一つ一つ答えを出し、使命を果たしていくしかない」とした。(2011/12/15-21:15)http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011121501022

この報道からみると、野田首相は、内閣支持率低下にかんがみ、街頭で「消費増税を含む社会保障と税の一体改革を中心に、政権の基本方針を訴える」ことをしたかったようである。財務相就任まで、ほぼ平日はかかさず、千葉の選挙区で街頭演説をしてきたという野田首相らしい考えだといえる。

確かに、毎日街頭演説をしているのはつらいだろう。選挙期間中、立候補者が駅前で演説しているのをみたことがあるが、朝などは通勤時間で、ほぼ聞いてくれない。ほんの少しの言葉が耳に入るのもまれなくらいだ。そのような「街頭演説」を毎日にこなして、支持率をあげ、選挙戦を勝ち抜いてきた野田首相だからの発想だといえる。「異例」というが、選挙期間中でもない限り、確かに今までの首相は、街頭で演説などあまりしてこなかった。

そして、19日午前、テレビ朝日は次のような記事をネット配信した。野田首相は、「昼休みに集まる多くのサラリーマン」をターゲットとして、「消費税増税」などの世論形成をしようとしていたとテレビ朝日は観測している。

菅政権で入閣するまで20年以上にわたって、駅前での演説を日課にしていた野田総理大臣。内閣支持率が急落し、発信力不足が問われるなか、今週から消費税の議論が本格化することから、現職の総理としては異例の街頭演説を行います。「どじょう演説」でトップの座を射止めた野田総理の反転攻勢となるのでしょうか。

19日午前から、民主党議員による演説が始まっています。オフィス街の新橋で、野田総理がターゲットにしているのは昼休みで集まる多くのサラリーマンです。この後、現職総理として選挙遊説以外では異例の街頭演説を行います。国会や記者会見でも主張してきた消費税増税の必要性などについて世論の支持を得ようと、今度は得意の街頭演説で直接国民に訴える作戦です。消費税増税をめぐっては、民主党幹部からは「まとまらなければ年明けに先送りもあり得る」との声が強くなっています。世論に訴えながら、何とか年内にまとめたい野田総理とのせめぎ合いが激しくなっています。
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/211219013.html

新橋駅前で演説する民主党の議員たち(2011年12月19日撮影)

新橋駅前で演説する民主党の議員たち(2011年12月19日撮影)

たまたま、時間があいたので、私も、演説会場にいってみた。新橋駅前のSL広場で行われていたのだが、それほど広い広場ではない。そこが全体的にうまっていたとはいえる。しかし、「サラリーマン」が多く集まっていたか。もちろん、いないわけではない。しかし、そこで目立つのは、「民主党政権退陣」の横断幕やプラカードだった。

どのような人びとによって、そのような横断幕はかかげられたのか。横断幕やプラカードをみていただけではわからなかった。ただ、それらに加えて、日の丸が打ち振られ、「売国奴」みたいに民主党政権を批判する声がずっとあげられていたので、右翼的な人びとがいたことは確かである。

新橋演説会場で広げられる日の丸(2011年12月11日撮影)

新橋演説会場で広げられる日の丸(2011年12月11日撮影)

右翼的な人びとが、TPP他いろんな意味で民主党政権に対して批判的になっていることは承知していた。彼らが抗議にくることは理解できる。ただ、これは、全く気分の問題でしかないが、現職首相を「歓迎」するのではなく、「抗議」するという意味で、日の丸が振り回されてことには、結構驚いた。

そのうち、演説を行っていた宣伝カーの上で動きがあった。現職閣僚である蓮舫が宣伝カーから去った。そして、残った議員より、北朝鮮の金正日総書記が死去し、安全保障会議が開催されることになったので、演説会に向っていた野田首相は、急遽官邸に引き返したと発表があった(後で、テレビでみてみると、この発表がひどいもので、「韓国の」とか「金正日主席」といっていた。それだけ混乱しているのである。)

そうなると、俄然、会場全体が騒然となった。実は、宣伝カー一番近いところに陣取った人びとの多くは「脱原発」グループだったのだ。「脱原発」のプラカードが急遽とりだされ、多くの人が頭上でうちふった。そして、「脱原発デモ」でよくいわれる「原発いらない」などの掛け声がそれぞれ発せられたのである。

「脱原発」プラカード(2011年12月19日撮影)

「脱原発」プラカード(2011年12月19日撮影)

脱原発のプラカードに直面する民主党議員たち(2011年12月19日撮影)

脱原発のプラカードに直面する民主党議員たち(2011年12月19日撮影)

蓮舫などの「前座」が演説していた際には、比較的静かであった。たぶんに、野田首相の演説時に出して、最大の効果をあげようとした戦術だったと考えられる。

一方、「脱原発」グループの存在に気づいた右翼的な人びとは、今度は、「脱原発」グループに攻撃対象をかえた。「おまえたちこそいらない」「脱原発では不景気になる!」などなど。そして、対抗して「日の丸」が振り回された。最後までみなかったのだが、「脱原発」グループへの対抗の場にもなったといえる。

とにかく、野田首相が世論形成をしようとした新橋の演説会場は、「脱原発」グループと右翼的な人びとが野田政権への抗議の意をアピールする場になったのである。

私は、こう思う。「こんなの当たり前ではないか。TPPにせよ、福島第一原発事故収束宣言にせよ、許せないという人はたくさんいる。右にせよ左にせよデモが増えている中、抗議に来る人がいることは予測できたはずだ」と。

しかし、野田首相サイドは、そう思わなかったようだ。それこそ、3.11以前の選挙の経験則を振り回して、街頭演説で増税を誠実に主張すれば、世論形成できると思っていたようだ。確かに、自民党も民主党も政策的にはそれほど違いがなく、その中で選挙戦で勝ち抜くのは、利益でなければ人柄・雄弁であったのかもしれない。しかし、今や、そのことは通用しないのだ。ある意味では、「選挙」ではなく、直接的な意思表示が意味をなす時代への転換への第一歩をなす出来事だったのかもしれない。

今後、野田は街頭演説を続けるのだろうか。そして、そのたびに抗議行動が続けられるのであろうか。注視していきたいと思う。

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