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さて、福島第一原発の現状はどうなっているのか。最近は断片的な情報ばかりで、全体を見通すことが難しくなっている。今回は、現時点(2014年2月10日時点)における福島第一原発1号機、2号機、3号機からの冷却水漏れについての情報をまとめておこう。

福島第一原発において、周知のように炉心溶融がおきた1・2・3号機には冷却水が注入されている。しかし、冷却水を注入しても、原子炉格納容器内の水位は上がっておらず、格納容器が損傷して、冷却水が漏れだしていることが指摘されていた。この冷却水は、直接損傷した核燃料に接触しており、高濃度汚染水になっている。しかし、どこから漏れているのは今まで不明だった。

まず、1号機からみてみよう。すでに、2013年11月13日、1号機の格納容器下部から冷却水が漏れ出していることが発見されている。産經新聞の次のネット配信記事をみてほしい。

格納容器下部で汚染水漏洩 事故後初、1号機で2カ所
2013.11.13 23:50 [公害・汚染]

 東京電力は13日、原子炉が損傷した福島第1原発1号機格納容器下部の2カ所で汚染水の漏洩(ろうえい)を確認したと発表した。原発事故で溶け落ちた燃料(デブリ)冷却のため注水が続く1~3号機の格納容器下部から水漏れが実際に確認されたのは初めて。漏洩箇所は特定できなかったが、汚染水対策を進める上で重要な調査結果になるとして、さらに詳しく調べる方針だ。

 調査は格納容器下部の圧力抑制室を収める「トーラス室」と呼ばれる設備に汚染水がたまっている状況を確認するために実施。放射線量が高く人が近づけないため遠隔操作のできるカメラ付きのボートを使った。

 その結果、格納容器下部の外側からトーラス室に通じる細い配管1本が破断して水が漏れていたのを確認。配管の接続部分は塩化ビニール製で、事故当時の熱で溶けた可能性があるという。

 東電によると、破断した配管からは水道の蛇口をひねったような勢いの水が出ているという。東電は原子炉に注水して汚染された冷却水が格納容器の亀裂などから漏れ、配管から流れ出ている可能性もあるとみている。さらに、圧力抑制室の外側でも上部から水が流れ落ちているのを確認したが、漏洩箇所の特定はできなかった。

 調査した場所では毎時約0・9~約1・8シーベルトの極めて高い放射線量が測定されている。この日の調査は、トーラス室の約半分で行われた。残る半分の調査は14日に行われる予定。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131113/dst13111323540013-n1.htm

そして、2014年1月30日、テレビ朝日は次の記事をネット配信している。

冷却水の8割が漏えいか…福島第一原発1号機の汚染水(01/30 22:41)

 福島第一原発の原子炉1号機からの汚染水漏れについて、新たな事実が判明した。「1号機の圧力抑制室付近から、1時間あたり最大で3.4トンの汚染水が漏れていたと推計される」と、30日に東京電力が明らかにした。1号機には溶けた燃料を冷やすために、1時間あたり4.4トン注水している。その水は燃料に触れて、放射性物質を含んだ高濃度の汚染水となり、注水量の約8割が圧力抑制室付近から漏れているとみられるのだ。また、東電は「他の場所からも漏れていることも分かった」とし、引き続き調査する。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000020591.html

圧力抑制室というのは、格納容器下部に付属している部分である。東京電力の電気・電力辞典では次のように説明している。元来、冷却水を保有している場所なのである。そこから、その付近で、最大で、注水分の8割にもあたる毎時3.4トンの冷却水が漏出しているということなのである。後述する読売新聞のネット配信記事によれば、これは11月にみつかった漏水個所からということのようである。さらに、他の場所からも漏水しているということである。

圧力抑制室(S/C)
(あつりょくよくせいしつ)
沸騰水型炉(BWR)だけにある装置で、常時約4,000m3(福島第二2~4号機の場合)の冷却水を保有しており、万一、圧力容器内の冷却水が何らかの事故で減少し、蒸気圧が高くなった場合、この蒸気をベント管等により圧力抑制室に導いて冷却し、圧力容器内の圧力を低下させる設備。また、非常用炉心冷却系(ECCS)の水源としても使用する。
http://www.tepco.co.jp/life/elect-dict/file/a_023-j.html

次に、2号機である。ここでも圧力抑制室に穴が開いており、そこから水漏れしているということである。

福島第一2号機の圧力抑制室に穴…水漏れ

 東京電力は30日、福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室の下部に穴が開いており、外側の「トーラス室」に水が漏れているとの見方を明らかにした。

 両室の水位差を超音波で測定した結果から、穴は合計で8~10平方センチと推計した。

 また、1号機で昨年11月に見つかった水漏れ箇所については、その漏水量が1時間当たり0・89~3・35トンに上るとの推定値を発表した。格納容器本体と圧力抑制室をつなぐ「ベント管」付近の2か所で、ロボットが撮った流れ落ちる水の映像から推定した。

 3号機でも今月、原子炉建屋の1階で水漏れが初めて確認されている。ただ、これらの箇所で推定された漏水量は注水量より少ないため、東電は「3基ともまだ他に漏水箇所がある」とみている。

(2014年1月31日10時50分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140131-OYT1T00241.htm

さて、次は3号機である。2014年1月18日に、「主蒸気隔離弁室」という部屋の近くから建屋地下につながる排水口にかけて冷却水の流れが発見された。「主蒸気管」というのは、原子炉からタービンに蒸気を導く管である。1〜2号機のように圧力抑制室付近ではなく、どちらかといえば上部の配管といえるだろう。しかし、これも毎時1.5トンの流出にすぎず、注入した冷却水毎時5.5トンの他の部分は、他から漏水しているとされている。次の共同通信が1月27日に出した記事をみてほしい。

福島第1原発の現状】 配管貫通部から漏えいか 第1原発3号機の注水

 東京電力福島第1原発3号機の原子炉建屋1階の床面で、汚染水の流れが見つかった。溶けた核燃料を冷却するため原子炉に注入した水が、格納容器の配管貫通部から漏れている可能性が高い。格納容器を水で満たして溶融燃料を取り出す工程を描く東電は、水漏れ箇所の特定と補修を急ぐが、現場の放射線量が高く容易ではない。
 水の流れが見つかったのは、格納容器内部への配管が通る「主蒸気隔離弁室」と呼ばれる部屋の近く。建屋地下につながる排水口に約30センチの幅で流れ込む様子が、遠隔操作のロボットで18日に確認された。
 放射性セシウムが1リットル当たり240万ベクレル、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が2400万ベクレルと高濃度で検出され、燃料冷却後の水とみられている。
 主蒸気隔離弁室の配管貫通部は、事故後の格納容器圧力の異常上昇や水素爆発の影響で破損した可能性がある。東電は格納容器内の水位や配管の位置から水漏れ箇所の一つとみる。
 ただ、漏えい箇所を特定して漏れを止めるのは簡単ではない。現場周辺は毎時30ミリシーベルトと非常に高線量で、作業員が直接調べることは難しい。上の階から、室内にカメラをつり下げる調査方法を検討しているが「まだアイデア段階」(東電担当者)で、具体的な調査時期のめども立っていない。
 漏えい箇所はほかにもある。3号機の原子炉への注水量は毎時5・5トンだが、今回見つかった水漏れの流量は毎時1・5トンと推計され、残る4トン分は別の場所から漏れている計算だ。
 東電は1、2号機でも、原子炉建屋地下にある圧力抑制室の周囲に遠隔操作ロボットを入れ、水漏れの状況や水位の把握を進めているが、漏えい箇所の特定には至っていない。
(共同通信)
2014/01/27 17:38
http://www.47news.jp/47topics/e/249752.php

東電が、1〜3号機の各機に毎時どれほどの冷却水を注入し、どれほど回収しているのか、今の所、よくわからない。しかし、かなりの冷却水が格納容器外部に漏水しているには違いない。そして、原子炉建屋に入ってくる地下水とまざりあうことになる。そして、結局、原子炉外に高濃度汚染水が流出していく。結局、高濃度汚染水の源は原子炉各部から漏水した冷却水なのであり、陸側から流入してくる地下水ではないといえる。今、陸側の地下水を汲み上げて汚染水を少なくしようとしているが、これは、全くの対処措置にすぎない。

現状の東電の計画では、格納容器を水で満たして溶融燃料を取り出すことにしているが、そもそも水漏れを放置しておくならば、単に環境汚染が継続するだけでなく、それ自身が絵に描いた餅となる。そうとはいっても、それぞれの格納容器内部は放射線量が高く、現状では人が入ることはできず、調査すら難しく、補修などはより困難である。

そこで、最近は、空気で冷却する「空冷」方式にしようという動きがあるようだ。しかし、日本では類例のない「空冷」方式を開発するということは、かなり大変であろう。福島第一原発事故だけでもなく、高速増殖炉「もんじゅ」にせよ、六ヶ所村の核燃料再処理工場にせよ、また多核種除去装置ALPSにせよ、理論上設計し製造することは可能だが、恒常的・安定的に稼働しないものが多く存在するように思われる。といって、格納容器の修理を行うにおいても、ロボット技術その他、現在には存在しない科学技術を想定しなくてはならない。廃炉40年というが、それ自体が予測できない「未来」にかかっているのである。

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