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福島第一原発については、相変わらず、放射能汚染水漏れが相次いでいる。しかし、現在報じられている汚染水漏れは、いわゆる汚染水処理装置や汚染水タンクから汚染水漏れがあったということとは次元が違うようなのである。

まず、毎日新聞夕刊2013年6月19日付に出された記事からみていこう。

福島第1原発:高濃度汚染水を検出 2号機、観測用の井戸から
毎日新聞 2013年06月19日 東京夕刊

 東京電力は19日、福島第1原発2号機タービン建屋と海の間に設けた観測用の井戸から、1リットル当たりトリチウム(三重水素)が最高50万ベクレル、ストロンチウム90が同1000ベクレルなど、高濃度の放射性物質を含む汚染水が検出されたと発表した。

 東電は、事故直後の2011年4月に2号機の取水口付近で放射性汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた影響だと説明。海水中の濃度に変化はないとして、新たな海洋汚染の可能性を否定した。東電は3日に異常を認識していたが、発表は16日後に遅れた。

 ストロンチウム90は放出基準の約33倍、トリチウムは8倍以上。東電によると、井戸は2号機東側の海から27メートル地点。放射性物質の海への流出を調べるため設置され、昨年12月には基準値以下だったが、5月24日に採水した2回目の検査で高濃度汚染を確認した。

 東電は、建屋から漏れた可能性について、汚染水が漏れ出ないよう閉じ込めの対策をしており、可能性は低いと説明。放射性セシウムは土壌が吸着しているとした。一方で、完全に海に漏れ出ない構造ではないため、近く護岸付近に薬剤を注入して地盤改良する。

 放射性汚染水の対策で、東電は汚染される前の地下水をくみ上げ、海へ放出する計画を立てているが、地下貯水槽の汚染水漏れなどトラブルが頻発。風評被害を懸念する漁協の反対で計画は進んでいない。【鳥井真平、河内敏康】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130619dde001040027000c.html

つまりは、福島第第一原発2号機建屋と海岸の間に設置された井戸から、放射性物質であるトリチウム(三重水素)が50万bq(基準の8倍以上)、ストロンチウム90が1000bq(基準の33倍)検出されたというのである。昨年12月には検出されていなかったが、5月24日の採取分から検出されたという。しかも、東電は6月3日には異常を認識していたが、発表は6月19日になってやっと行われたのである。

6月19日時点の発表では、海洋汚染はないと東電は発表していた。しかし、6月24日には、海水のトリチウム濃度が上昇していることが報道された。毎日新聞が2013年6月24日のネット配信した記事をみておこう。

福島第1原発:井戸近くのトリチウム濃度上昇傾向
毎日新聞 2013年06月24日 20時18分(最終更新 06月24日 20時41分)

 福島第1原発2号機と海の間に設置した観測用井戸から高濃度のトリチウム(三重水素)とストロンチウム90が検出された問題で、東京電力は24日、この井戸に近い港湾内の海水に含まれるトリチウムの濃度が、上昇傾向にあると発表した。放射性物質の海への漏えいが懸念されるが、東電は「海水を継続調査し、海への漏出の有無を判断したい」としている。

 東電によると、濃度の上昇傾向が見られたのは、1号機取水口の北側の海水。21日の採取分から、1リットル当たり1100ベクレル(前回10日採取分は500ベクレル)を検出した。この検査地点のトリチウム濃度は、2011年10月10日の920ベクレルがこれまでの最高値だった。

 また、1、2号機取水口の間から21日に採取した海水からも910ベクレル(同600ベクレル)が検出され、上昇傾向を示した。【鳥井真平】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130625k0000m040053000c.html

この記事を読んでいる限り、2011年10月時点よりも2013年6月21日採取分のほうがトリチウム濃度が上がっているということになる。しかも、6月10日採取分よりも2倍前後増えているのである。つまり、この海水の放射能汚染は、前からのものではなく、直近のものなのであるといえよう。

たぶん、東電の「建屋からもれた可能性は低い」という説明は成り立たないだろうといえる。今まで、福島第一原発には大量の地下水が侵入し、そのため、大量の汚染水が生じ、それをすべて回収し、汚染処理した後、汚染水タンクに貯めているというように説明がされていた。今回、地下水ー海水から放射性物質が検出されたということは、そもそも汚染水の管理自体が完全ではないことを示しているといえよう。

そもそも、福島第一原発ーとりわけ2号機の原子炉がどれほど破壊されているかということはわかっていない。そして、万全であれば、地下水が侵入すること自体がないのである。

東電としては、次のような方策を考えているとされている。産經新聞が6月11日にネット配信した記事をみておこう。

バスの中からは地下水をくみ上げる井戸も公開された。汚染水自体を減らすために東電が率先して取り組んでいる方法だ。原子炉建屋に流れ込む前の汚染されていない水をくみ上げて、海に放流する。

 しかし漁協などに対しこれまで開いた説明会では「安全だったら飲んでみろよ」などと怒号の交じった質問が繰り返され、両者の溝は埋まりそうにない。

 地下水のくみ上げに理解が得られたとしても、1日100トンしか汚染水を減らすことができず、1日400トン発生する汚染水の抜本的な対策にはならない。

 そこで政府が飛びついた“奇策”が、4基の原子炉を取り囲むように土を凍らせて水の流入を完全に防ぐ「凍土壁方式」だった。今月中にも設計に取りかかるが、世界に前例がなく、常に冷却しなければならないという電源リスクがある。

 とはいっても、「ためる方式」はすでに限界がきているのは明らかだ。敷地内にタンクは約1千基(容量33万トン)あり、行き場のない汚染水のために80万トンまで拡充する計画がある。

 取材に応じた第1原発の高橋毅(たけし)所長は「無限に汚染水を蓄えることはできない」と、試運転中の多核種除去装置(ALPS)の稼働に期待を寄せている。26日付での異動が決まっている高橋所長。「反省すべき点はあるが放射線量は確実に減っており、できたことがあることも事実」と1年半の任務を振り返った。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130611/dst13061121540011-n2.htm

つまり、①原子炉に流入する以前に地下水をくみ上げ、海に放流する、②「凍土壁」を設けて地下水流入を防止する、③汚染水タンクの拡充、④多核種除去装置の稼働、という四つが考えられているといえる。

まず、①については、そもそも、原子炉流入以前の地下水にも放射性セシウムが微量含まれていることが6月3日に発表されており、今回の新たな海水への汚染発覚で漁業者の一層の反発を買うことが予想される。しかし、東電としては「国」の責任で強行的に押し切ろうという姿勢を示している。産經新聞が6月24日にネット配信した記事をみてみよう。

「国の判断必要」と東電 福島原発の地下水放出
2013.6.24 21:45
 東京電力福島第1原発事故で、汚染水を減らすため、地下水を井戸でくみ上げ海に放出する「地下水バイパス」計画について、東電の新妻常正常務は24日「最終的には、漁業関係者の反応をしっかり受け止めて国に説明し、国にご判断いただくことが必要だ」と述べた。

 福島県いわき市で開かれた福島県漁業協同組合連合会(県漁連)の組合長会議に出席し、終了後、記者団の質問に答えた。

 新妻常務は「(出席者から)漁業関係者が結論を下し、責任を負うことがいいのかという意見があった」と語った。さらに「まずは地下水と汚染水は違うということを丁寧に説明していく」として、県内の漁業関係者に説明を続け「説明会後に国に報告する」との考えを示した。

 県漁連の野崎哲会長も会議終了後「地下水の流入を抑制しないといけないという共通認識はある」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130624/fks13062422060000-n1.htm

これが実現しても流入する汚染水の四分の一が減少できるにすぎない。③の汚染タンクの拡充、④の多核種除去装置の稼働は、いずれにしても弥縫策にすぎない。となると、まったくの新技術である②の「凍土壁」設置によって地下水侵入を阻止することしか、決め手にならない。

しかも、今回の地下水ー海水への放射能汚染は、単に流入してくる地下水を防ぐだけでは不十分であることを示している。現実的に福島第一原発を廃炉にする作業過程においては、原子炉内部を水にみたして核燃料をとりだすことが想定されているが、地下水が侵入し汚染水として流出する状態ではそれは難しい。

結局、弥縫策を繰り返して、なんとかもたせているというのが現状であるといえるのである。もちろん、現状維持も全く意味がないわけではない。しかし、その中で、放射能汚染は拡大し、事態収束の筋道すらみえなくなっている。これが福島第一原発の現状といえよう。

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