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Posts Tagged ‘民衆運動’

前回のブログで、6月30日から7月2日にかけて行われた大飯原発前再稼働反対抗議行動の経過をみてきた。抗議行動全体を説明すれば、関西電力大飯発電所敷地を公道から区分するために関電自身が設置していたバリケードを占拠し、その内側と外側において、機動隊と対峙していたといえる。

それでは、どういう形で行われたのか。次の動画をみてほしい。

動画に説明がないが、これは、たぶん、7月1日の夕方、バリケードの内側と外側にかけられた機動隊の攻勢の時期に撮影されたものと推測される。バリケードの外側では、ダイ・インしていた反対派を機動隊が一人一人ごぼう抜きで排除したが、内側では反対派の人びとの壁に盾をもった機動隊の隊列をぶつけて排除しようとした。この動画は、内側での攻防を撮影したものとみることができよう。

動画を説明していけば、反対派人びとの壁に、黒いヘルメットを着け、強化プラスチックの盾をもった機動隊が二列横隊でぶつかっていく。その後ろには、関電関係者とおぼしき作業着姿の人びとがいる。そもそも、ここは、関電の敷地内なので公道ではなく、この排除は、関電が敷地から退去せよと通告し、それにこたえて機動隊が排除を開始している。私は、法律問題には詳しくないが、私営駐車場に不法駐車した際も、警察は直接レッカー移動せず、裁判所に出訴しなければ強制排除は難しいそうである。手続き的にはいろいろ問題があるのではないか。いずれにせよ、警察は、ここでは関電という私企業の警備員もしくは私兵として行動しているといえよう。

人びとは、両手をあげて「非暴力」を誇示し、「暴力反対」などを個々に叫びながら、その場から動かないことで、機動隊に抵抗しているのである。暴力はしないが、その場所に居続けることで抵抗するのである。

そのうち、やや後方にあるドラムが打ち鳴らされ、リズムが刻まれる。人びとは踊りだし、手をあげて拍手し、全体のリズムがあっていく。そして、「再稼働反対」などのかけ声もそろってくる。反対派の集団は、命令ではなく、リズムによって統率され、一体として行動していく。機動隊側も何か命令しているようだが、全く聞こえない。

そして、たぶん男根(もしかして違うのかもしれない。違っていたら訂正したい。ただ、ここでこのように表現したのは、批判するつもりではなく、土俗的なエネルギーを評価することを意図している)を模したと思われる「御神体」を乗せた神輿が登場し、機動隊を威嚇する。しかし、だれが、どういう発想で、このような土俗的なものを持ち出すことを考えたのだろうか。やや後になると、この神輿に拡声器をもった女性(と思しき人物)が乗り、シュプレヒコールを機動隊に向かって叫ぶ。ドラクロアなら「民衆を導く自由の女神」といったであろう。まさに、抗議行動ではあるが、まさに祝祭の場と化してくる。この動画ではないが、別の動画で、参加者たちが、幕末に多くの民衆が踊ることで民衆の力を示した「ええじゃないか」とこの抗議行動を重ね合わす発言をしていた。

このような、ドラムをたたき、「再稼働反対」をシャウトし、踊り狂う人びとの「抵抗」に直面して、機動隊も思ったほど前進できず、あせりの色が濃くなる。警察は、より軽装備の特別部隊を編成し、機動隊の列の内側に送り込み、この部隊は直接に手を使って人びとの排除を始めた。逮捕者や重傷者が今まで報告されていないことに鑑み、電敷地内、独立系メディアの監視などの理由で、警察はおおっぴらな弾圧を抑制していたのではないかと結果的には思うが、この挑発に応戦すれば、より激しい弾圧もありえたと思う。反対派の人びとは混乱し、一時期ドラムもその混乱に巻き込まれた。

しかし、すぐにドラムは再びリズムを刻み始め、人びとは立ち直った。ドラムにあわせて人びとは踊りだし、「暴力反対」と叫び、警官に直接対面する人びとは、両手を上にあげて「非暴力」をアピールしつつ、警官を押し返していく。

たぶん、こういうことが何度も繰り返されたのであろうと推察する。全くの「非暴力」でありながら、人びとは、ドラムのリズムにあわせて「再稼働反対」「暴力反対」と叫びながら踊り狂い、土俗的・祝祭的な熱狂を創出することで、機動隊に抵抗し続けたのである。このような、ドラムなどのリズムによって人びとが高揚していくことは、昨年来の東京を中心にして行われた脱原発デモにおいてもしばしばみられ、本ブログでも2.3紹介した。ドラムのリズムによって人びとが高揚していくことが、非暴力として抵抗のスタイルになることを、この大飯原発前の再稼働反対抗議行動が示したといえるだろう。そして、それは、民衆運動における新たな政治文化の息吹といえるのだ。

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