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福島第一原発の汚染水問題は、どうなるのだろうか。テレビ朝日は、4月19日に次のような記事をネット配信した。それによると、地下水を海に流したり凍土壁を作るなど、汚染水を増やさない対策が実施できない「最悪」のケースになった場合、2年後、建設した全てのタンクに汚染水が入りきらなくなるとされている。

2年後の福島原発は?…“最悪のケース”初試算(04/19 17:42)

 東京電力は、福島第一原発で汚染水が増え続け、2年後にも敷地内のタンクに入りきらなくなる“最悪のケース”を初めて試算し、その結果を原子力規制委員会に報告しました。

 東京電力は、タンクに汚染水を最大90万tまで入れられるよう計画し、タンクを海上輸送するなど建設を急いでいます。しかし、規制委員会から、地下水を海に流したり原子炉建屋の周りの地面を凍らせる「凍土壁」など、汚染水を増やさない対策が実施できない最悪のケースも試算するよう求められました。試算の結果、建設したすべてのタンクに汚染水を入れても、2年後に入りきらなくなるということです。規制委員会は、これまでに打ち出した汚染水対策で期待する効果が出るか確認するよう指示しました。http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000025403.html

もちろん、このことは由々しき事態である。しかし、連日、汚染水漏れやALPS(多核種除去設備)の作動停止などの報道がなされ(あまりに多くて不感症になってしまうほどである)、汚染水処理のコントロールが不全になっている有様を目にすると、この「最悪」のケースが一番現実的なのではないかと考えてしまう。多少うまくいったとしても、せいぜい2年という期限が伸びるだけなのではなかろうか。

そして、さらに指摘しなくてはならないことは、これが「最悪」とすら言い切れないことである。現在、原子炉内部に入った高濃度汚染水については、放射性セシウムや放射性ストロンチウムなどの放射性物質をALPSなどで除染することになっている。しかし、ALPSは、放射性のトリチウムは除染できない。結局、現在の計画では、トリチウムが残存したままで除染処理後の汚染水を放出することになっている。

現在、原子炉建屋に流れ込む前の地下水をくみあげ、それを海に直接流すことで、原子炉建屋で発生する汚染水を量的に減少させる事業を行おうとしている。しかし、福島第一原発事故やその後の汚染水漏れで、対象の地下水自体がトリチウムなどによって汚染されてしまっている。それでも、トリチウムで放出基準値1リットルあたり1500ベクレル以下の場合は放出することにされている。この事業が軌道にのり、ALPSが本格稼働(現状では、いつになるか、神のみぞ知るということなのだが)すれば、原子炉内部で発生した高濃度汚染水についても、トリチウムが残存した形で、海などに放出することになろう。結局、福島第一原発周辺の環境は、これからも放射性物質で汚染され続けることになるのである。

そして、このトリチウムの全体量が半端なものではないのである。4月24日、毎日新聞がネット配信した次の記事をみてほしい。

福島第1原発:放射性トリチウムは推計3400兆ベクレル
毎日新聞 2014年04月24日 20時43分

 東京電力は24日、福島第1原発1〜4号機にある放射性トリチウム(三重水素)の総量は、推計で約3400兆ベクレルに上ると発表した。国が定める1基当たりの年間放出基準(3.7兆ベクレル)の900倍以上に相当する。

 政府のトリチウム対策を考える部会で試算を報告した。内訳は、溶けた核燃料などに約2500兆ベクレル▽敷地内に貯蔵されている汚染水に834兆ベクレル▽原子炉建屋やタービン建屋内の滞留水に約50兆ベクレル▽建屋地下から護岸につながるトレンチ(配管などが通る地下トンネル)の水に約46兆ベクレル−−が含まれる。

 汚染水に含まれるトリチウムの量は1月の報告より約17兆ベクレル増加した。溶けた核燃料を冷却する水にトリチウムが溶け出ていることが懸念される。この点について、東電は部会で「事故直後に比べて濃度は下がっており、核燃料から大量に溶け出ている状況ではない」と説明した。

 トリチウムは62種類の放射性物質を取り除ける多核種除去装置「ALPS(アルプス)」でも汚染水から取り除くことができず、海洋放出や水蒸気化、地下埋設などの対策が検討されている。【鳥井真平】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140425k0000m040085000c.html

すでに、福島第一原発には3400兆ベクレルのトリチウムが存在しており、1基あたりの年間放出基準3.7兆ベクレルの900倍ーつまり900年分あるということになる。そして、1月から4月までの間だけで17兆ベクレル増えたというのである。この分だけで、4.5年分にあたることになるだろう。かなり緩いと考えられるトリチウムの年間放出基準をもとにかんがえても、トリチウムの放出に900年かかることになる。

つまり、トリチウム除去をせずに汚染水の放流を続けると、大規模な環境汚染を惹起するか、ほぼ1000年近くかけて放流するかという二つの選択肢しかなくなるのである。その上、現在でもトリチウム汚染は拡大している。結局、東電などがいう「最悪」のケースを回避したとしても、「最悪」という状態は変わらないのである。これを「危機」とよばずして、何を「危機」とよべばいいのだろうか。

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さて、増えつづける福島第一原発の汚染水処理の切り札として、ストロンチウム他多くの放射性物質を除去できる設備として、ALPS(多核種除去設備)が設置された。この設備ではトリチウムは除去できないが、その他の62種類の放射性物質は除去できるとされている。

しかし、現実はどうだったのだろうか。福島民報では、3月17日に次のように回想している。

汚染水処理期待外れ ALPS試運転1年
 東京電力が福島第一原発の汚染水処理の切り札として導入した「多核種除去設備(ALPS)」は試運転開始から30日で1年を迎える。一日平均の処理量は11日現在、約180トン。相次ぐトラブルによる停止などで、一日に発生する汚染水約400トンの半分にも満たない。東電は増設で、平成26年度内にタンクに貯蔵している汚染水約34万トンの浄化完了を目指している。だが、トラブルが起きないことが前提で、計画通りに進むかどうかは不透明だ。

■増え続けるタンク
 東電は昨年3月30日、3系統のALPSのうち、「A」と呼ばれる1系統で試運転を開始した。同年6月中旬に「B」、同9月末に「C」と呼ばれる系統の試運転を始めた。今年2月12日には初めて3系統同時の試運転がスタートした。
 ALPSの汚染水処理のイメージは【図上】の通り。一日当たりの1系統の処理能力は250トンで、3系統が稼働すれば750トンの処理が可能だ。しかし、試運転開始後にトラブルが相次ぎ、11日現在までに処理した汚染水の総量は6万2792トンにとどまる。一日当たりの処理量に換算すると平均約180トンで、一日に発生する汚染水約400トンの半分にも達していないのが現状だ。
 高濃度の汚染水を保管する地上タンクは増え続けており、16日現在、約1100基、貯蔵量は約34万トンに上る。東電は平成26年度内に全てのタンクの汚染水を浄化させる目標を掲げている。だが、目標達成には一日当たりの処理能力を1960トンまで上げる必要があり、処理能力の向上が急務だ。

■増設頼み
 東電は4月以降、試運転から本格運転に切り替え、3系統を常時稼働させる。10月に3系統を増設する。さらに政府は同時期に一日当たり500トンの処理能力を持つ高性能ALPS1系統を整備する。
 現在の処理態勢と10月以降の見通しは【図下】の通り。東電のALPS6系統と、政府が新設する高性能ALPS一系統がフル稼働すれば、最大で一日2000トンの汚染水を処理できると見込んでいる。
 ただ、あくまでもトラブルによる停止がないことが前提だ。ALPSでは、試運転開始から作業員のミスなどが原因での停止が相次いでいる。特に、昨年9月下旬には作業員がタンク内部に作業で使用したゴム製シートを置き忘れる人為ミスも起きている。増設後、順調に汚染水処理を進めるには、作業員のミスが原因のトラブルを防ぐ対策が不可欠だ。

( 2014/03/17 08:36 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/2014031714538

要約すると、このようにいえるだろう。現在、ALPSは3系統あり、その処理能力の合計は1日あたり750トンあることになっている。汚染水は1日あたり400トン発生しており、それらタンクに貯められた汚染水は34万トンに上っている。東電は2014年度中にすべての汚染水を処理する計画をたてており、そのために、現状のALPSを増設して1日1500トンの処理能力をもたせるとともに、国が1日あたり500トンの処理能力を有する高性能ALPSを設置し、総計1日約2000トンの汚染水処理を行おうとしているのである。

しかし、現実には、ALPSのトラブルによる停止が相次ぎ、結局1日あたり180トンしか処理できていないのが現状である。ALPSを増設しても、実際にはどれほどの汚染水処理ができるのだろうか。

皮肉なことに、このネット記事が配信された翌日の18日、トラブルによるALPSの運転停止が発表された。朝日新聞がネット配信した次の記事をみておこう。

福島第一のALPSまた停止 一部で浄化能力失う不具合
2014年3月19日01時10分

 東京電力は18日、福島第一原発で発生する汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で、試運転中の3系統のうち1系統で処理ができなくなっていたと発表した。汚染水が十分浄化されないままタンクに移されたことを確認した。

 ALPSは、汚染水から62種類の放射性物質を取り除くとされる装置。東電によると、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質全体の濃度を10万分の1程度まで下げる能力がある。だが17日に3系統あるうちの「B」と呼ぶ系統の処理後の水を調べたところ1リットルあたり1千万ベクレル程度残っていた。14日には異常はなかったという。

 東電はB系統で処理ができなくなったと判断。三つの系統で処理された水は一つに集めて貯蔵タンクに移すため、装置全体を止めた。東電はB系統の異常がいつから起きたのか調べているが、浄化されなかった汚染水が貯蔵タンクに移された可能性がある。

 ALPSは昨年3月に試運転を始めたが、装置内で汚染水が漏れるなどのトラブルが相次ぎ、この1カ月間にも電気系統の不具合が2度発生。その度に一部の系統で処理を止めている。
http://www.asahi.com/articles/ASG3L5JM3G3LULBJ00P.html?iref=comtop_list_nat_n01

これは、単に停止というだけでなく、ALPSの除去能力が一部稼働せず、汚染水が未処理のまま、タンクに移されたことを意味する。しかも、この記事にあるように、それ以前の1カ月間に2度も停止しているのである。

そして、24日にようやく、故障が特定され、一部の運転が再開された。朝日新聞の次のネット配信記事をみてみよう。

福島第一のALPS故障、原因はフィルター 運転を再開
2014年3月24日17時42分

 東京電力福島第一原発で汚染水を処理する多核種除去設備ALPS(アルプス)が故障した問題で、東電は24日、3系統あるうち1系統のフィルターが働かず、放射性物質を含む泥が取れていなかったと発表した。残り2系統は問題ないとして同日午後、運転を再開した。

 ALPSは、高濃度の汚染水からストロンチウムなど62種類の放射性物質を取り除くとされる設備。前処理として、薬品を入れて吸着を妨げる物質を泥状にしてフィルターでこし取った後、吸着材で放射性物質を取り除く仕組み。東電によると、フィルターが機能せず、泥がそのまま吸着材に流れ込んでいたという。

 その結果、処理できなかった汚染水がタンク21基に送られた。タンクの汚染を調べたところ、このうち9基分で6300トン分が汚染されたという。

 このほか、ALPSとタンクをつなぐ配管も汚染された。このため、東電は運転再開した2系統で処理した水を配管などに流し、汚染を洗い流せるかどうか調べる。配管を通した水は、汚染された9基のタンクにためるという。
http://www.asahi.com/articles/ASG3S4RGLG3SULBJ00J.html

しかし、トラブルの原因が特定されたからよかった、というものではない。共同通信は、24日のネット配信記事で、次のように指摘している。

試運転中の東京電力福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」が、汚染水から放射性物質を取り除けないトラブルで停止、東電が目指す4月中の本格運転は厳しい状況になった。敷地内の地上タンクにたまり続ける汚染水の浄化を来年3月までに完了するとの目標達成も一層困難になってきた。
 ALPSはトリチウム以外の62種類の放射性物質を除去でき、汚染水対策の切り札とされる。18日に発覚したトラブルでは、3系統のうち1系統の出口で17日に採取した水から、ベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最高1400万ベクレル検出。本来なら、数億ベクレル程度の汚染水が数百ベクレル程度まで浄化されるはずだった。
 (中略)
 敷地内の汚染水を来年3月までに浄化するとの目標は、昨年9月に安倍晋三首相が第1原発を視察した際に、東電の 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長が表明した。達成には汚染水を1日当たり1960トン処理しなければならない計算で、ハードルは極めて高い。
 (中略)
  尾野昌之 (おの・まさゆき) 原子力・立地本部長代理は「改善点を新しい設備に反映させる。今回の件が、ただちに計画に影響を与えるとは思わない」とする。だが今回のトラブルの原因究明や、設備の洗浄などにかかる時間は不明で、本格運転の見通しは立たない。
 3設備を合わせても処理量は1日約2千トンで、1960トンを維持するには綱渡りが続く。いったん今回のようなトラブルが起きれば、計画は破綻しかねない。
(共同通信)
2014/03/24 13:57
http://www.47news.jp/47topics/e/251668.php

つまり、現状のALPSの本格運転自体が難しいのである。2014年度中に汚染水処理を完了するというのは、東京オリンピック誘致時に東電が表明した方針であった。つまりは、安倍首相の「アンダーコントロール」というのは、2014年度末にすら達成は困難であるということなのである。

ALPSは、そもそもトリチウムを除去できないという構造的欠陥をもっている。しかし、それにしても、トラブル続きで、まともに汚染水処理をこなすことができないという現状は、いったい何なのだろうか。このALPSの惨状には、もんじゅや六カ所村再処理工場と同じようなにおいを感じる。軽水炉本体のようなマニュアルのあるものはそれなりに作れるといえるのだが、独自技術をうまく実用化することができない。そして、日々トラブルにみまわれた結果の反省というものを見いだすことができない。福島第一原発事故自体に反省がないのである。そして、有益かどうかわからない技術に多額の資金が費やされ、さらに作業員も被ばくせざるをえなくなっている。そして、このような惨状を放置したまま、文字通りの「机上の計算」にもとづき、トップダウンで汚染水処理計画が設定され、その計画に基づいて、東京オリンピック招致が正当化されているのである。

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さて、福島第一原発の現状はどうなっているのか。最近は断片的な情報ばかりで、全体を見通すことが難しくなっている。今回は、現時点(2014年2月10日時点)における福島第一原発1号機、2号機、3号機からの冷却水漏れについての情報をまとめておこう。

福島第一原発において、周知のように炉心溶融がおきた1・2・3号機には冷却水が注入されている。しかし、冷却水を注入しても、原子炉格納容器内の水位は上がっておらず、格納容器が損傷して、冷却水が漏れだしていることが指摘されていた。この冷却水は、直接損傷した核燃料に接触しており、高濃度汚染水になっている。しかし、どこから漏れているのは今まで不明だった。

まず、1号機からみてみよう。すでに、2013年11月13日、1号機の格納容器下部から冷却水が漏れ出していることが発見されている。産經新聞の次のネット配信記事をみてほしい。

格納容器下部で汚染水漏洩 事故後初、1号機で2カ所
2013.11.13 23:50 [公害・汚染]

 東京電力は13日、原子炉が損傷した福島第1原発1号機格納容器下部の2カ所で汚染水の漏洩(ろうえい)を確認したと発表した。原発事故で溶け落ちた燃料(デブリ)冷却のため注水が続く1~3号機の格納容器下部から水漏れが実際に確認されたのは初めて。漏洩箇所は特定できなかったが、汚染水対策を進める上で重要な調査結果になるとして、さらに詳しく調べる方針だ。

 調査は格納容器下部の圧力抑制室を収める「トーラス室」と呼ばれる設備に汚染水がたまっている状況を確認するために実施。放射線量が高く人が近づけないため遠隔操作のできるカメラ付きのボートを使った。

 その結果、格納容器下部の外側からトーラス室に通じる細い配管1本が破断して水が漏れていたのを確認。配管の接続部分は塩化ビニール製で、事故当時の熱で溶けた可能性があるという。

 東電によると、破断した配管からは水道の蛇口をひねったような勢いの水が出ているという。東電は原子炉に注水して汚染された冷却水が格納容器の亀裂などから漏れ、配管から流れ出ている可能性もあるとみている。さらに、圧力抑制室の外側でも上部から水が流れ落ちているのを確認したが、漏洩箇所の特定はできなかった。

 調査した場所では毎時約0・9~約1・8シーベルトの極めて高い放射線量が測定されている。この日の調査は、トーラス室の約半分で行われた。残る半分の調査は14日に行われる予定。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131113/dst13111323540013-n1.htm

そして、2014年1月30日、テレビ朝日は次の記事をネット配信している。

冷却水の8割が漏えいか…福島第一原発1号機の汚染水(01/30 22:41)

 福島第一原発の原子炉1号機からの汚染水漏れについて、新たな事実が判明した。「1号機の圧力抑制室付近から、1時間あたり最大で3.4トンの汚染水が漏れていたと推計される」と、30日に東京電力が明らかにした。1号機には溶けた燃料を冷やすために、1時間あたり4.4トン注水している。その水は燃料に触れて、放射性物質を含んだ高濃度の汚染水となり、注水量の約8割が圧力抑制室付近から漏れているとみられるのだ。また、東電は「他の場所からも漏れていることも分かった」とし、引き続き調査する。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000020591.html

圧力抑制室というのは、格納容器下部に付属している部分である。東京電力の電気・電力辞典では次のように説明している。元来、冷却水を保有している場所なのである。そこから、その付近で、最大で、注水分の8割にもあたる毎時3.4トンの冷却水が漏出しているということなのである。後述する読売新聞のネット配信記事によれば、これは11月にみつかった漏水個所からということのようである。さらに、他の場所からも漏水しているということである。

圧力抑制室(S/C)
(あつりょくよくせいしつ)
沸騰水型炉(BWR)だけにある装置で、常時約4,000m3(福島第二2~4号機の場合)の冷却水を保有しており、万一、圧力容器内の冷却水が何らかの事故で減少し、蒸気圧が高くなった場合、この蒸気をベント管等により圧力抑制室に導いて冷却し、圧力容器内の圧力を低下させる設備。また、非常用炉心冷却系(ECCS)の水源としても使用する。
http://www.tepco.co.jp/life/elect-dict/file/a_023-j.html

次に、2号機である。ここでも圧力抑制室に穴が開いており、そこから水漏れしているということである。

福島第一2号機の圧力抑制室に穴…水漏れ

 東京電力は30日、福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室の下部に穴が開いており、外側の「トーラス室」に水が漏れているとの見方を明らかにした。

 両室の水位差を超音波で測定した結果から、穴は合計で8~10平方センチと推計した。

 また、1号機で昨年11月に見つかった水漏れ箇所については、その漏水量が1時間当たり0・89~3・35トンに上るとの推定値を発表した。格納容器本体と圧力抑制室をつなぐ「ベント管」付近の2か所で、ロボットが撮った流れ落ちる水の映像から推定した。

 3号機でも今月、原子炉建屋の1階で水漏れが初めて確認されている。ただ、これらの箇所で推定された漏水量は注水量より少ないため、東電は「3基ともまだ他に漏水箇所がある」とみている。

(2014年1月31日10時50分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140131-OYT1T00241.htm

さて、次は3号機である。2014年1月18日に、「主蒸気隔離弁室」という部屋の近くから建屋地下につながる排水口にかけて冷却水の流れが発見された。「主蒸気管」というのは、原子炉からタービンに蒸気を導く管である。1〜2号機のように圧力抑制室付近ではなく、どちらかといえば上部の配管といえるだろう。しかし、これも毎時1.5トンの流出にすぎず、注入した冷却水毎時5.5トンの他の部分は、他から漏水しているとされている。次の共同通信が1月27日に出した記事をみてほしい。

福島第1原発の現状】 配管貫通部から漏えいか 第1原発3号機の注水

 東京電力福島第1原発3号機の原子炉建屋1階の床面で、汚染水の流れが見つかった。溶けた核燃料を冷却するため原子炉に注入した水が、格納容器の配管貫通部から漏れている可能性が高い。格納容器を水で満たして溶融燃料を取り出す工程を描く東電は、水漏れ箇所の特定と補修を急ぐが、現場の放射線量が高く容易ではない。
 水の流れが見つかったのは、格納容器内部への配管が通る「主蒸気隔離弁室」と呼ばれる部屋の近く。建屋地下につながる排水口に約30センチの幅で流れ込む様子が、遠隔操作のロボットで18日に確認された。
 放射性セシウムが1リットル当たり240万ベクレル、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が2400万ベクレルと高濃度で検出され、燃料冷却後の水とみられている。
 主蒸気隔離弁室の配管貫通部は、事故後の格納容器圧力の異常上昇や水素爆発の影響で破損した可能性がある。東電は格納容器内の水位や配管の位置から水漏れ箇所の一つとみる。
 ただ、漏えい箇所を特定して漏れを止めるのは簡単ではない。現場周辺は毎時30ミリシーベルトと非常に高線量で、作業員が直接調べることは難しい。上の階から、室内にカメラをつり下げる調査方法を検討しているが「まだアイデア段階」(東電担当者)で、具体的な調査時期のめども立っていない。
 漏えい箇所はほかにもある。3号機の原子炉への注水量は毎時5・5トンだが、今回見つかった水漏れの流量は毎時1・5トンと推計され、残る4トン分は別の場所から漏れている計算だ。
 東電は1、2号機でも、原子炉建屋地下にある圧力抑制室の周囲に遠隔操作ロボットを入れ、水漏れの状況や水位の把握を進めているが、漏えい箇所の特定には至っていない。
(共同通信)
2014/01/27 17:38
http://www.47news.jp/47topics/e/249752.php

東電が、1〜3号機の各機に毎時どれほどの冷却水を注入し、どれほど回収しているのか、今の所、よくわからない。しかし、かなりの冷却水が格納容器外部に漏水しているには違いない。そして、原子炉建屋に入ってくる地下水とまざりあうことになる。そして、結局、原子炉外に高濃度汚染水が流出していく。結局、高濃度汚染水の源は原子炉各部から漏水した冷却水なのであり、陸側から流入してくる地下水ではないといえる。今、陸側の地下水を汲み上げて汚染水を少なくしようとしているが、これは、全くの対処措置にすぎない。

現状の東電の計画では、格納容器を水で満たして溶融燃料を取り出すことにしているが、そもそも水漏れを放置しておくならば、単に環境汚染が継続するだけでなく、それ自身が絵に描いた餅となる。そうとはいっても、それぞれの格納容器内部は放射線量が高く、現状では人が入ることはできず、調査すら難しく、補修などはより困難である。

そこで、最近は、空気で冷却する「空冷」方式にしようという動きがあるようだ。しかし、日本では類例のない「空冷」方式を開発するということは、かなり大変であろう。福島第一原発事故だけでもなく、高速増殖炉「もんじゅ」にせよ、六ヶ所村の核燃料再処理工場にせよ、また多核種除去装置ALPSにせよ、理論上設計し製造することは可能だが、恒常的・安定的に稼働しないものが多く存在するように思われる。といって、格納容器の修理を行うにおいても、ロボット技術その他、現在には存在しない科学技術を想定しなくてはならない。廃炉40年というが、それ自体が予測できない「未来」にかかっているのである。

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日本のマスコミは、世界各国で日本人が活躍していることを探し出し、称揚することにやっきになっているようにみえる。オリンピック、サッカーW杯、スポーツ選手、ノーベル賞受賞候補者、アメリカアカデミー賞ノミネートなど、枚挙に暇がない。そんな中、世界各国で上映され、評価も得ているのに、日本国内ではまったく報道も上映もされなかったアニメがある。3.11以後の福島の状況を描いたアニメ「Abita」である。あまり長いものではないので、まずはみてほしい。

このアニメは、次のことをテーマにしている。題名の「Abita」はラテン語で暮らしとか生命とかを意味するそうである(なお、
後で 辞書にて確認してみたところ、「abita」は、イタリア語動詞の「abitare」の直説法現在三人称単数であるようである。「住む」「暮らす」「棲息する」という意味であった。また、日本語の「(放射能を)浴びた」とかけているのではないかと友人から指摘があった)。

福島の子供たちが、放射能のため外で遊ぶことができない。
彼らの夢と現実について。

内容は、テーマそのものである。水墨画のタッチで描かれた画面のなかで、家に籠もっている少女はお絵描きをしながら福島の山林を飛び回ることを夢見ている。しかし、一歩外に出てみると、福島の山林は放射性物質で汚染されており、少女は飛び回ることはできず、防護服を着用した大人に連れ戻され、マスクを強制される「現実」があった。

この作品は、Shoko Haraという在独日本人学生がPaul Brennerという学生とともに、バーデン=ヴュルテンベルク・デュアルシステム大学レーヴェンスブルグ校の卒業作品として制作したものである。海外では、次の二つの賞を受けた。

Best Animated Film, International Uranium Filmfestival, Rio de Janeiro, 2013
Special Mention, Back-up Filmfestival, Weimar, 2013

上記のうち、国際ウラニウムフィルムフェスティバルは、核問題を焦点にしたものであるといえる。バックアップ・フィルムフェスティバルは、ドイツのバウハウス大学が主催するものである。

このアニメは、世界各地で上映された。下記は、上映リストである。

Screenings:
International Festival of Animated Film ITFS 2013, BW-Rolle
Japanese Symposium, Bonn, 2013
Nippon Connection, 2013
International Uranium Filmfestival, Rio de Janeiro, 2013
International Uranium Filmfestival, Munich, 2013
International Uranium Filmfestival, New Mexico, 2013
International Uranium Filmfestival, Arizona, 2013
International Uranium Filmfestival, Washington DC, 2013
International Uranium Filmfestival, New York City, 2013
Back-up Filmfestival, Weimar, 2013
Mediafestival, Tübingen, 2013
zwergWERK – Oldenburg Short Film Days, 2013
Konstanzer Filmfestspiele, 2013
Green Citizen’s Action Alliance GCAA, Taipei, Taiwan, 2013
Stuttgart Night, Cinema, 2013
Yerevan, Armenien, ReAnimania, 2013
Minshar for Art, The Israel Animation College, Tel Aviv, Israel, 2013
IAD, Warschau, Gdansk, Wroclaw/Polen, 2013
IAD (BW-Rolle, Best of IC, Best of TFK) Sofia, Bulgarien, 2013
05. November 2013: Stuttgart Stadtbibliothek (BW-Rolle) , 2013
PISAF Puchon, Southkorea, (BW-Rolle, Best of IC, Best of TFK) , 2013
Freiburg, Trickfilm-Abend im Kommunalen Kino (BW-Rolle), Freiburg, 2013
Zimbabwe, ZIMFAIA (BW-Rolle, Best of IC, Best of TFK), Zimbabwe, 2013

Upcoming Screenings:
18. Dezember 2013: Böblingen – Kunstverein Böblingen (BW-Rolle)
21.-22. Dezember 2013: Schorndorf – Kino Kleine Fluchten (BW-Rolle, Best of IC, Best of TFK)
27. August 2014: Künzelsau – Galerie am Kocher (BW-Rolle)
Movie Night for the anniversary of the Fukushima desaster,Zurich, 2014

このリストでは、ドイツの地名が多い。アメリカのワシントンやニューヨークなどでも、国際ウラニウムフィルムフェスティバルが開催された関係で上映されている。アルメニア・ポーランド・イスラエル・ジンバブエも上映地である。台湾や韓国でも上映されている。しかし、日本では一回も上映されていないのである(Japanese Symposium, Bonn, 2013はボンで開催されており、Nippon Connection, 2013は、フランクフルトで開催されたドイツの日本映画祭である)。

通常であれば、「日本人学生の快挙!」などといって報道しているだろう。しかし、このアニメに関しては、報道もされていないし、映画祭などに招待して上映することもなかったのである。そして、このアニメに関する限り、日本の人びとよりも、ドイツ・アメリカ・韓国・台湾の人びとのほうがより認識するようになったといえる。

背景には、原発再稼働をねらう政財界の動向があるだろう。ただ、それ以上に、3.11はなかったことにしたいという一般的な意識があるといえる。アニメであるがゆえに直接的な表現ではないが、3.11直後、福島だけでなく、放射性物質が拡散されたとされる東北・関東地方において、子どもたちが外で遊ぶことは避けられていた。その後、「復興」の名の下に、放射性物質の影響はないものとされ、福島において、今度はマスクを着用することが避けられるようになった。そして、福島第一原発事故は克服されるべき課題というよりも、日本の弱さをさらけだす直視しがたいものとして意識されてきているのである。そのような中、福島第一原発事故における子どもの問題を扱っているこのアニメについては、報道も紹介もされないことになってしまったといえる。結局、日本人の活動であっても、日本の弱さを現していると考えられるものは「見たくない」のである。現状の政治動向の裏側には、そのような日本社会の意識があるだろう。

他方で、世界各国の日本についての関心は、福島第一原発事故へのそれが大きな部分をしめている。このアニメが制作されたドイツだけでなく、欧米、アジア、アフリカの各地では、日本については福島第一原発事故から考えようとしている。それゆえに、このアニメが国際的に評価・紹介されることになったといえる。このような日本の内と外との認識のギャップは、福島第一原発事故だけではなく、靖国参拝や従軍慰安婦問題でもみることができる。

そして、2014年時点でみると、福島第一原発事故における子どもの問題は、より複雑で、深刻さをましている。確かに、2011年時点からみれば、相対的に放射線量は下がっている。しかし、除染については、学校・住宅地・農地などが主であり、効果自体が限定的である。山林を面的に除染する試みはなく、結局、自然の減衰・流出をまつしかない。そのような中、マスク着用すら忌避された福島の子どもたちの半分程度は甲状腺に異常があり、通常よりも多く、甲状腺がんが発生する状況になっている。福島の子どもたちの悲惨を描いた本アニメよりも厳しい状況なのである。

*制作者側の情報については、下記サイトによった。

*なお、本アニメについては、下記サイトに紹介されている。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-1519.html

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福島第一原発については、相変わらず、放射能汚染水漏れが相次いでいる。しかし、現在報じられている汚染水漏れは、いわゆる汚染水処理装置や汚染水タンクから汚染水漏れがあったということとは次元が違うようなのである。

まず、毎日新聞夕刊2013年6月19日付に出された記事からみていこう。

福島第1原発:高濃度汚染水を検出 2号機、観測用の井戸から
毎日新聞 2013年06月19日 東京夕刊

 東京電力は19日、福島第1原発2号機タービン建屋と海の間に設けた観測用の井戸から、1リットル当たりトリチウム(三重水素)が最高50万ベクレル、ストロンチウム90が同1000ベクレルなど、高濃度の放射性物質を含む汚染水が検出されたと発表した。

 東電は、事故直後の2011年4月に2号機の取水口付近で放射性汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた影響だと説明。海水中の濃度に変化はないとして、新たな海洋汚染の可能性を否定した。東電は3日に異常を認識していたが、発表は16日後に遅れた。

 ストロンチウム90は放出基準の約33倍、トリチウムは8倍以上。東電によると、井戸は2号機東側の海から27メートル地点。放射性物質の海への流出を調べるため設置され、昨年12月には基準値以下だったが、5月24日に採水した2回目の検査で高濃度汚染を確認した。

 東電は、建屋から漏れた可能性について、汚染水が漏れ出ないよう閉じ込めの対策をしており、可能性は低いと説明。放射性セシウムは土壌が吸着しているとした。一方で、完全に海に漏れ出ない構造ではないため、近く護岸付近に薬剤を注入して地盤改良する。

 放射性汚染水の対策で、東電は汚染される前の地下水をくみ上げ、海へ放出する計画を立てているが、地下貯水槽の汚染水漏れなどトラブルが頻発。風評被害を懸念する漁協の反対で計画は進んでいない。【鳥井真平、河内敏康】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130619dde001040027000c.html

つまりは、福島第第一原発2号機建屋と海岸の間に設置された井戸から、放射性物質であるトリチウム(三重水素)が50万bq(基準の8倍以上)、ストロンチウム90が1000bq(基準の33倍)検出されたというのである。昨年12月には検出されていなかったが、5月24日の採取分から検出されたという。しかも、東電は6月3日には異常を認識していたが、発表は6月19日になってやっと行われたのである。

6月19日時点の発表では、海洋汚染はないと東電は発表していた。しかし、6月24日には、海水のトリチウム濃度が上昇していることが報道された。毎日新聞が2013年6月24日のネット配信した記事をみておこう。

福島第1原発:井戸近くのトリチウム濃度上昇傾向
毎日新聞 2013年06月24日 20時18分(最終更新 06月24日 20時41分)

 福島第1原発2号機と海の間に設置した観測用井戸から高濃度のトリチウム(三重水素)とストロンチウム90が検出された問題で、東京電力は24日、この井戸に近い港湾内の海水に含まれるトリチウムの濃度が、上昇傾向にあると発表した。放射性物質の海への漏えいが懸念されるが、東電は「海水を継続調査し、海への漏出の有無を判断したい」としている。

 東電によると、濃度の上昇傾向が見られたのは、1号機取水口の北側の海水。21日の採取分から、1リットル当たり1100ベクレル(前回10日採取分は500ベクレル)を検出した。この検査地点のトリチウム濃度は、2011年10月10日の920ベクレルがこれまでの最高値だった。

 また、1、2号機取水口の間から21日に採取した海水からも910ベクレル(同600ベクレル)が検出され、上昇傾向を示した。【鳥井真平】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130625k0000m040053000c.html

この記事を読んでいる限り、2011年10月時点よりも2013年6月21日採取分のほうがトリチウム濃度が上がっているということになる。しかも、6月10日採取分よりも2倍前後増えているのである。つまり、この海水の放射能汚染は、前からのものではなく、直近のものなのであるといえよう。

たぶん、東電の「建屋からもれた可能性は低い」という説明は成り立たないだろうといえる。今まで、福島第一原発には大量の地下水が侵入し、そのため、大量の汚染水が生じ、それをすべて回収し、汚染処理した後、汚染水タンクに貯めているというように説明がされていた。今回、地下水ー海水から放射性物質が検出されたということは、そもそも汚染水の管理自体が完全ではないことを示しているといえよう。

そもそも、福島第一原発ーとりわけ2号機の原子炉がどれほど破壊されているかということはわかっていない。そして、万全であれば、地下水が侵入すること自体がないのである。

東電としては、次のような方策を考えているとされている。産經新聞が6月11日にネット配信した記事をみておこう。

バスの中からは地下水をくみ上げる井戸も公開された。汚染水自体を減らすために東電が率先して取り組んでいる方法だ。原子炉建屋に流れ込む前の汚染されていない水をくみ上げて、海に放流する。

 しかし漁協などに対しこれまで開いた説明会では「安全だったら飲んでみろよ」などと怒号の交じった質問が繰り返され、両者の溝は埋まりそうにない。

 地下水のくみ上げに理解が得られたとしても、1日100トンしか汚染水を減らすことができず、1日400トン発生する汚染水の抜本的な対策にはならない。

 そこで政府が飛びついた“奇策”が、4基の原子炉を取り囲むように土を凍らせて水の流入を完全に防ぐ「凍土壁方式」だった。今月中にも設計に取りかかるが、世界に前例がなく、常に冷却しなければならないという電源リスクがある。

 とはいっても、「ためる方式」はすでに限界がきているのは明らかだ。敷地内にタンクは約1千基(容量33万トン)あり、行き場のない汚染水のために80万トンまで拡充する計画がある。

 取材に応じた第1原発の高橋毅(たけし)所長は「無限に汚染水を蓄えることはできない」と、試運転中の多核種除去装置(ALPS)の稼働に期待を寄せている。26日付での異動が決まっている高橋所長。「反省すべき点はあるが放射線量は確実に減っており、できたことがあることも事実」と1年半の任務を振り返った。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130611/dst13061121540011-n2.htm

つまり、①原子炉に流入する以前に地下水をくみ上げ、海に放流する、②「凍土壁」を設けて地下水流入を防止する、③汚染水タンクの拡充、④多核種除去装置の稼働、という四つが考えられているといえる。

まず、①については、そもそも、原子炉流入以前の地下水にも放射性セシウムが微量含まれていることが6月3日に発表されており、今回の新たな海水への汚染発覚で漁業者の一層の反発を買うことが予想される。しかし、東電としては「国」の責任で強行的に押し切ろうという姿勢を示している。産經新聞が6月24日にネット配信した記事をみてみよう。

「国の判断必要」と東電 福島原発の地下水放出
2013.6.24 21:45
 東京電力福島第1原発事故で、汚染水を減らすため、地下水を井戸でくみ上げ海に放出する「地下水バイパス」計画について、東電の新妻常正常務は24日「最終的には、漁業関係者の反応をしっかり受け止めて国に説明し、国にご判断いただくことが必要だ」と述べた。

 福島県いわき市で開かれた福島県漁業協同組合連合会(県漁連)の組合長会議に出席し、終了後、記者団の質問に答えた。

 新妻常務は「(出席者から)漁業関係者が結論を下し、責任を負うことがいいのかという意見があった」と語った。さらに「まずは地下水と汚染水は違うということを丁寧に説明していく」として、県内の漁業関係者に説明を続け「説明会後に国に報告する」との考えを示した。

 県漁連の野崎哲会長も会議終了後「地下水の流入を抑制しないといけないという共通認識はある」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130624/fks13062422060000-n1.htm

これが実現しても流入する汚染水の四分の一が減少できるにすぎない。③の汚染タンクの拡充、④の多核種除去装置の稼働は、いずれにしても弥縫策にすぎない。となると、まったくの新技術である②の「凍土壁」設置によって地下水侵入を阻止することしか、決め手にならない。

しかも、今回の地下水ー海水への放射能汚染は、単に流入してくる地下水を防ぐだけでは不十分であることを示している。現実的に福島第一原発を廃炉にする作業過程においては、原子炉内部を水にみたして核燃料をとりだすことが想定されているが、地下水が侵入し汚染水として流出する状態ではそれは難しい。

結局、弥縫策を繰り返して、なんとかもたせているというのが現状であるといえるのである。もちろん、現状維持も全く意味がないわけではない。しかし、その中で、放射能汚染は拡大し、事態収束の筋道すらみえなくなっている。これが福島第一原発の現状といえよう。

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