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Posts Tagged ‘放射性セシウム’

さて、今回は、2011年9〜10月にかけて、首都圏のホットスポットになってしまった柏市などの千葉県北西部地域における放射性物質による汚染の深刻さが露呈されていく過程をみていこう。このブログでもみたように、すでに、2011年5月頃までに柏市などの汚染状況については認識され、市民の声につきあげられながら、柏市・松戸市・野田市・流山市・我孫子市・鎌ヶ谷市の東葛六市は、千葉県と連携しつつ、独自の放射線量測定や、除染作業を行うようになっていた。

しかし、2011年9〜10月においては、柏市などの放射性物質による汚染の深刻さは、よりあきらかになった。文科省は、9月29日に、埼玉県・千葉県を対象にして9月8〜12日に実施された航空機(ヘリコプター)モニタリングの測定結果を公表した。ここで、千葉県の分を紹介しておこう。

まず、放射線量からみてみたい。千葉県の放射線量は、次のようなものである。

千葉県の放射線量

千葉県の放射線量

千葉県の多くの領域の放射線量は毎時0.2μSv以下で、年間1mSvに達するところは少ない。しかし、千葉県の北西部である、野田市・鎌ヶ谷市・松戸市・柏市・我孫子市・流山市の東葛六市は、野田市と鎌ヶ谷市を除くと、ほぼ全域が、毎時0.2〜0.5μSvの線量を示している。毎時0.23μSv未満でないと年間1mSvはクリアできない。これらの地域の多くが、年間1mSvをこえていると推定できる。福島県でいえば、だいたいいわき市と同程度の線量といえる。なお、浪江町や飯館村はもちろん、福島市・伊達市・二本松市・郡山市などでも、これより放射線量が高い地域が多い。

次に、放射性セシウム(セシウム134・セシウム137)の沈着量をみておこう。

千葉県における放射性セシウムの沈着量

千葉県における放射性セシウムの沈着量

これも、千葉県全体でいえば、放射性セシウムの沈着量はそれほど多くはない。しかし、千葉県北西部の東葛六市では、野田市を除けば、ほぼ全域が3万bq/㎡をこえている。特に、柏市・我孫子市・流山市の沈着量は高く、6万〜10万bq/㎡になっているのである。

チェルノブイリ事故の対応などを勘案して、この線量についてみておこう。柏市などの場合、航空機モニタリングの結果では、チェルノブイリ事故の際の強制避難や希望移住の対象になるほどの汚染ではないといえる。しかし、ほとんどが3万bq/㎡以上である。3万7千Bq/㎡以上であると、通常ならば放射線管理区域とされ、必要のない人の立ち入りは許されず、飲食も許されない。柏市などは、多くの地域が放射線管理区域並みの汚染になってしまったのである。

参考:チェルノブイリの区分

148万Bq/㎡~     (第1) 強制避難区域   直ちに強制避難、立ち入り禁止
55万Bq/㎡~     (第2) 一時移住区域   義務的移住区域
18万5千Bq/㎡~   (第3) 希望移住区域   移住の権利が認められる
3万7千Bq/㎡~    (第4) 放射線管理区域  不必要な被ばくを防止するために設けられる区域

このように、9月に公表された文科省の航空機モニタリングによる測定結果の公表は、柏市などの地域における深刻な汚染状況をあきらかにしたのである。

さらに、10月になると、福島県の警戒区域・計画的避難区域に匹敵するような高線量の汚染度を示す地域が柏市で発見された。朝日新聞朝刊2011年10月22日号の次の記事をみておこう。

柏の空き地、57.5マイクロシーベルト
 
 千葉県柏市は21日、同市根戸の空き地で、地面を30〜40センチ掘った地中で毎時57.5マイクロシーベルトの放射線量が測定されたと発表した。市は線量の高い範囲が局所的なことから、「福島第一原発事故の影響とは考えられない」としている。
 空き地は工業団地と住宅街に挟まれた市有地。半径1メートルの範囲で高い線量が測定された。10メートル離れた場所では、毎時0.3マイクロシーベルト以下だった。千葉県環境財団が採取した土などを分析して原因を調べる。
 線量が高いらしいとの話が住民の間で広まり、自治会の情報を受けて市が調査を始めた。
 市は現場を川砂などで覆い、半径3メートル以内を立ち入り禁止とした。

毎時57.5μSvとは、かなり高い線量である。これほどの高い線量は、福島県でもさほどなく、福島第一原発が所在している大熊町などで同程度の空間線量が記録されている。

そして、これが、市民が独自に測定した情報に基づいていることにも注目しておきたい。柏市の行政サイドが発見したわけではないのである。その上、最初、柏市は福島第一原発の影響であることを否定したことも忘れてはならない。

しかし、とにかく、柏市の行政サイドが調査、対策に乗り出した。また、文科省も専門家を派遣することになった。朝日新聞朝刊2011年10月23日号は、次のように伝えている

土から高濃度セシウム 柏の高線量地点 原発由来? 特徴類似

 千葉県柏市の市有地で毎時57.5マイクロシーベルトの高い空間放射線量が測定された問題で、市は22日、現場の地下30センチの土壌から27万6千ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。濃度の高さを重くみた文部科学省は、23日に現地に専門家らを派遣し、土壌の状態や周囲の状況、他にも高い線量の場所があるかどうかなどを調べる。
 文科省によると、今回採取された土壌中のセシウム134と137の比率は東京電力福島第一原発事故で汚染された土壌と似ているという。ただ、原発から大気中に放出されたセシウムが自然に降り積もったと考えるには濃度が高すぎることなどから、汚染土壌が外部から持ち込まれた可能性もあるとみている。
 市は21日、高い放射線量が確認された半径1メートル付近の地表部分と地表から30センチ下の2ヵ所の計3ヵ所から土を採取。30センチ下の土から27万6千ベクレルと19万2千ベクレル、地表の土から15万5300ベクレルを検出したという。
 市によると、現場は空き地で、十数年前まで市営住宅が立っていた。現在は、ときおり町内会がゲートボールなどのレクリエーションで利用しているという。
 柏市を含む千葉県北西部では放射線量が局所的に高いホットスポットが見つかっている。文科省の航空機調査では、柏市にはセシウム134と137の合計で1平方メートルあたり6万〜10万ベクレルの高い蓄積量の地域があることがわかっているが、今回検出された土壌は単純計算で、これより100倍以上高いという。
 市は現場を約50センチの厚さの土で覆い、防水シートをかぶせている。10メートル離れたところでは周辺地域とほぼ同じ毎時0.3マイクロシーベルトまで空間放射線量は下がっているという。

放射性セシウムが土壌1kgあたり27万6千bqあったというが、これは、非常に高い数値である。ほぼ、福島県では、大熊町や飯館村の土壌に匹敵する数値である。この量に65をかけると1㎡あたりの量がでるが、そうすると1794万bqとなる。航空機モニタリング調査では高くても10万bq以下とされているので、100倍どころの話ではないのである。チェルノブイリ事故の強制避難区域は148万bq以上とされているが、その数値すらも10倍以上こえているのである。

しかも、そういうところで、居住していたわけでないにせよ、町内会のゲートボールなども行われていた。今、この記事を読んでみるとかなり衝撃を受ける。ほとんど福島の警戒区域や計画的避難区域に匹敵するような高線量の場所が首都圏にも存在し、しかも、何の警告も受けないまま、人びとは生活していたのである

そして、文科省は、23日に調査し、「近くの破損した側溝から雨水が地中に浸透しているとみられる」「東京電力福島第一原発事故によって汚染された可能性が高い」(朝日新聞朝刊2011年10月24日号)と発表した。文科省によると、側溝がこわれ、そこから雨水が漏れ出し、半年以上かけて土壌中にセシウムが蓄積されたとしているのである。

たぶん、この説明は正しいのであろう。しかし、このような形で雨水が漏れ出し、放射性セシウムが蓄積しやすいところは、他にもあるかもしれないのである。

この、高濃度地点の発見は、行政サイドではなく、市民側の自主的な測定による通報の結果であった。私たちは、行政に依拠せず、自らを守らなくてはならないのである。もちろん、正確な測定や大規模な除染は、行政でなくてはできない。しかし、行政に対して、自己主張しなければ、行政自体は動かない。この、高濃度地点の発見は、その一例であるといえる。次回以降、機会をみて、自主的に放射能対策を実施した、この地域の常総生活協同組合の営為をみていきたいと思う。

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このブログで前述したように、2012年12月25日、市民団体の調査によって、茨城県取手市の小学1年生、中学2年生の間で、心臓疾患のおそれがある児童・生徒が増加していることが発表された。

この茨城県取手市というところは、茨城県南部に所在し、福島第一原発からかなり離れたところにある。しかしながら、福島第一原発事故当時、多くの放射性物質が降下し、高い放射線量を示したところであった。

ここで、文部科学省が2011年8月31日に修正発表した、「文部科学省及び茨城県による 航空機モニタリングの測定結果」をみてみよう。まず、放射性セシウム(セシウム134、セシウム137の合計)沈着量をみておこう。

茨城県における放射性セシウム沈着量

茨城県における放射性セシウム沈着量


http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/5000/4933/24/1940_0831.pdfより

みてわかるように、福島県境にある北茨城市、大子町に放射性セシウムが大量に沈着した地域があるが、県南部の、霞ヶ浦と利根川にはさまれたはるかに広大な地域において放射性セシウムが大量に沈着しているのである。その中心は阿見町、牛久市であり、その地域では、放射性セシウムの沈着量が10〜6万bq/㎡となっている。そして、そのまわりの、かすみがうら市、土浦市、つくば市、つくばみらい市、守谷市、龍ケ崎市、利根町、稲敷市、美浦村には、6〜3万bq/㎡の地帯が広がっている。

取手市は、この県南部の一角にある。ほぼ全域が、6〜3万bq/㎡の放射性セシウムが沈着している。しかも、取手市内部には放射性セシウム沈着量が10〜6万bq/㎡のところも存在しているのである。以前、ここで、千葉県柏市の放射線量を紹介したことがあったが、取手市の対岸にある、利根川南岸の千葉県我孫子市、柏市、流山市も同様の放射性セシウム沈着量を示している。取手市もまた、首都圏のホットスポットの一つなのである。

実は、放射性管理区域の基準は3万7000bq/㎡ということになっている。その基準でいくならば、ここであげた地域のかなりの部分は放射性管理区域になってしまうのである。

取手市を含む、茨城県南部の空間線量も同様に高い。下図をみてみよう。

茨城県の空間線量

茨城県の空間線量


http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/5000/4933/24/1940_0831.pdfより

現在の基準である年間1mSv未満に被曝量を抑えるためには、空間線量は毎時0.23μSv以下でなくてはならないとされている。もちろん、両基準とも信用できるかどうかはわからないが、一応の目安にはなるだろう。その基準でみても、取手市内の多くの地域が毎時0.2μSv以上となっていて、多くの地点で基準以上の空間線量を示しているといえよう。

取手市のみの空間線量マップをみておこう。それもまた、同じ傾向を示しているのである。ざっとみて、市内の半分くらいが、毎時0.23μSvを超えた空間線量を示しているといえる。

取手市の空間線量

取手市の空間線量


http://www.city.toride.ibaraki.jp/index.cfm/8,15622,c,html/15622/20121206-162655.pdfより

取手市では、2011年5月13日から、小中学校、保育所、幼稚園の放射線量測定を始めたが、かなり高いところが続出した。毎時0.23μSvをこえるところはかなり多い。一番高いところは、0.449μSv(高さ1m)であった。2011年7月13日よりは市内の緑地・公園でも放射線量の測定を行なっているが、一番高いところでは毎時0.48μSv(高さ1m)であった(取手市のサイトより)。取手市の空間線量マップでも一番高いところが0.4μSvなので、大体一致している。

もちろん、現在(2012年12月)は、除染などの効果もあって、小中学校や保育所などの空間放射線量は毎時0.23μSv以下になっている。公園・緑地などでもおおむね毎時0.23μSv以下になっているが、いまだ0.39μSv(1m)などの高い線量を示すところも部分的にはあるようである(取手市のサイトより)。

このように、現在はかなり下がったようであるが、福島第一原発事故直後、隣接する茨城県南部や千葉県西北部と同様に、取手市でも放射性セシウムが多く降下し、この地域は首都圏におけるホットスポットの一つとなった。ゆえに、この地域の住民はかなり高い空間線量にさらされたのである。その意味でも、取手市の小中学生に健康被害が増加している可能性があるというニュースは懸念すべきものなのである。

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