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Posts Tagged ‘官邸’

フランスの新聞 “Le Monde”は、2012年7月30日に、レンヌ大学教授Marc Humert(立命館大学留学中)執筆による「日本人のトランペットは原子力の要塞に打ち勝つだろうか?」という記事をネット配信した。このことは、フェイスブックを通じて、フランスに留学している友人から教えてもらった。この記事は、現在行われている官邸前抗議行動や国会大包囲などの反原発の抗議行動を論評したものだ。その冒頭の文は「福島事故以来1年半以上たった日本における民衆の結集は、一見親しげで温和にみえるが、ジェリコのトランペットの様相を帯びている」としている。(なお、翻訳には自信がないので、フランス語を解する人は、http://www.lemonde.fr/idees/article/2012/07/30/les-trompettes-japonaises-auront-elles-raison-de-la-citadelle-du-nucleaire_1739039_3232.htmlを参照してほしい)

「ジェリコのトランペット」とは何だろうか。これは、旧約聖書のヨシュア記にある、「エリコ(ジェリコのこと)の戦い」から想起されたものである。ウィキペディアに、「エリコの戦い」がこのように概括されている。

エリコの戦い

ヨシュア5:13
エリコの戦い(エリコのたたかい、英:Battle of Jericho)は、ヨシュア記6:1-27にあるイスラエルの戦闘。エリコの周囲をめぐりながら吹き鳴らされた角笛が有名である。イスラエルの指導者である預言者モーセの後継者、ヨシュアの最初の戦闘。
イスラエルの神、主は約束の地を与えるとヨシュアに告げる。 「わが僕モーセは已に死り然ば汝いま此すべての民とともに起てこのヨルダンを濟り我がイスラエルの子孫に與ふる地にゆけ」(ヨシュア1:2[1]) 「我なんぢに命ぜしにあらずや心を強くしかつ勇め汝の凡て往く處にて汝の神 主偕に在せば懼るる勿れ戰慄なかれ」(ヨシュア1:9[1])
ヨシュアは斥候を遣わし、ラハブという遊女の家に潜伏する。イスラエルの勝利を見て取った売春婦ラハブは、「父、母、兄弟、姉妹、また、すべて彼らに属する者」(ヨシュア2:12-13[2])と自分のいのちの助命を懇願し、認められる。斥候はヨシュアに報告した。「誠に主この國をことごとく我らの手に付したまへりこの國の民は皆我らの前に消うせんと」(ヨシュア2:24[1])。
エリコに近づいたヨシュアの前に、抜き身の剣を持った主の軍の将が現れ、告げた。[2]「主の軍旅の將ヨシユアに言けるは 汝の履を足より脱され汝が立をる處は聖きなりと ヨシユア然なしぬ」(ヨシュア5:13-15[1])
城塞都市エリコは城門を閉ざした。主なる神に命じられた通り、イスラエルの民は契約の箱を担ぎ、7人の祭司が、7つの角笛をもって、主の箱の前を行き、6日間町の周囲を一回まわり、7日目だけは7回まわった。
民がときの声をあげ、角笛を吹き鳴らすと、城壁が崩れ落ちたので、イスラエルは主の命令に従ってエリコを聖絶した。ラハブとその家族、親戚のいのちは助けられた。(ヨシュア6:20-25[2])
ヨシュアは呪いを宣言する。「ヨシユアその時人衆に誓ひて命じ言けるは凡そ起てこのヱリコの邑を建る者は主の前に詛はるべし 其石礎をすゑなば長子を失ひその門を建なば季子を失はんと」(ヨシュア6:26[1])。これは周囲に知れ渡った。「主、ヨシユアとともに在してヨシユアの名あまねく此地に聞ゆ」(ヨシュア6:27[1])。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

概括すると、モーゼの後継者であるイスラエル人の指導者ヨシュアが城塞都市ジェリコを攻撃したが、その際、イスラエルの民のときの声と祭司たちの吹き鳴らす角笛(トランペットを含む金管楽器の源流)によって城壁が崩れ落ちたというのである。それを念頭に「日本人のトランペットは原子力の要塞に打ち勝つだろうか?」としているのである。ユダヤ・キリスト教の素養が一般的ではない日本においては思いつかない比喩である。

しかし、この比喩は的をついていると思う。脱原発デモや官邸前の抗議行動においては、ドラムや吹奏楽器などがリズムを刻みながら、人びとは「再稼働反対」「原発いらない」などとリズミカルにコールしている。このような、サウンドとコールの一体化は、20世紀の日本のデモにはみられなかったものだ。そして、そこに人びとは集まり、踊りながら、より大きな声で発していくのである。もう一度、旧約聖書をみておこう。

角笛が鳴り渡ると、民は鬨の声をあげた。民が角笛の音を聞いて、一斉に鬨の声をあげると、城壁が崩れ落ち、民はそれぞれ、その場から突入し、この町を占領した。

実際、6月29日も7月29日も、人びとがたくさん寄り集まったというだけで、車道にいれまいとした警察の規制線は崩壊したのである。そして、解放された車道でも、人びとはトランペットを吹き鳴らし、ドラムをたたき、踊りながら、「再稼働反対」などとコールした。次の動画において、人びとがこの出来事にいかに熱狂したかということを見て取ることができる。

多くの人びとの声とトランペットの音は、少しづつであるが、官邸や国会などという「原子力の要塞」を壊しつつあるとも思えるのだ。

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