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Posts Tagged ‘官邸対策室’

最早、かなり多くの人が月日はうろおぼえだろうが(私もその一人であった)、2012年12月26日は、安倍晋三衆議院議員が首相に就任した日であった。その日に開かれた就任記者会見の中で、安倍首相は次のように述べている。

国家、国民のために目前の危機を打ち破っていくという覚悟において、本日、危機突破内閣を組織いたしました。総裁や代表経験者あるいは次世代を担うリーダー候補に入閣をしていただきました。人物重視、実力重視の人事を行いました。危機突破のために十分にその力を発揮していただきたいと思います。

 この危機突破内閣の発足に当たって、全ての閣僚に対しまして、経済再生、復興、危機管理の3つに全力で取り組むよう、指示をいたしました。特に危機管理に対しましては、現在も北日本の日本海側では劇的な大雪となっており、大きな被害の発生も懸念されます。先ほど内閣危機管理監に対して、人命の保護を第一に警戒対応に万全を尽くし、今後の大雪対策に万全を期すべく、対策室の設置を指示いたしました。政権を担うことになった以上、その瞬間から、油断することなく、全力で危機管理に当たる責任があります。そのことを閣僚全員に徹底をいたしました。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2012/1226kaiken.html

安倍首相は自分の内閣を「国家、国民のために目前の危機を打ち破っていく」という意味で「危機突破内閣」と名づけた。そして、危機管理上の第一の課題として、北日本の日本海側の「劇的な大雪」への対策をあげた。安倍首相は、人命保護を第一にし、今後の大雪対策に万全を期すべく、内閣危機管理監に対策室(官邸対策室)の設置を指示し、さらに油断なく全力で危機管理にあたる責任があることを閣僚全員に指示したと述べた。この就任記者会見で具体的な政策として次にあげられているのが東日本大震災からの復興、さらにその次がデフレ脱却である。この就任会見では、内閣の第一の課題は大雪対策であったのである。

今になって回想してみると、2012〜2013年の冬は「平成25年豪雪」(Wikipedia)とよばれるほど大雪がふった。例えば青森市酸ヶ湯で歴代1位の566センチ(2013年2月26日)の積雪を観測した。とはいえ、各地域の最大積雪は2013年1〜2月に観測されており、2012年12月の段階では、まだそれほど中央のマスコミは報道していなかった。例えば、読売新聞夕刊2012年12月26日付では次のように報道しているが、みればわかる通り、非常に小さい扱いである。あまり中央のマスコミが報道していなかったことを、安倍首相は内閣の重要課題に位置づけていたのである。

 

北海道で大雪
 強い冬型の気圧配置と寒気の影響で、日本列島は26日、北日本を中心に大雪や強風に見舞われた。北海道は前夜から、ほぼ全域で暴風雪となり、幹線道路の通行止めや列車の運休などが続いた。気象庁は、この冬型の気圧配置は28日頃まで続くとしており、猛吹雪による交通機関の乱れや高波などに警戒するように呼びかけている。
 24時間の降雪量は、青森、山形、福島県で50センチ以上を記録した。

北日本の大雪に対処するために官邸対策室を設置したことにつき、多くのマスコミは関心を示していなかったようであるが、産經新聞はこのことをネット配信した(なお、現在、この記事はネットから削除されている)。そして、この記事を引用しながら、安倍晋三首相の支持者たちは、民主党政権にはみられない、素早い災害対応だと大いに評価していた(そのようなサイトは、検索すれば現在でもすぐに発見できる)。

さて、それから1年余たって、産經新聞は次のような記事をネット配信している。

記録的大雪、政府初動遅れ 除雪障害、車撤去へ法改正を検討
産経新聞 2月18日(火)7時55分配信

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は17日の記者会見で、大雪で道路に立ち往生した車が除雪の障害となり孤立するドライバーや集落が相次いだことを受け、災害緊急時に車両などを行政側が排除できるよう災害対策基本法改正に着手する意向を表明した。

 菅氏は「(除雪のため)車両所有者の意向確認や車両を損壊した場合の損失補償など法的根拠がない」と指摘した上で、「早急に検討する必要がある」と強調した。この方針は17日昼の政府与党協議会でも確認している。

 政府は、今回の大雪への対応について、降雪が本格化する前の14日に災害警戒会議を開き、国民に警戒を呼びかけたほか、関係省庁には除雪態勢の確保や交通障害への対応を指示。15、16両日は山梨や長野などの各県知事から要請を受け、自衛隊を災害派遣したと強調している。

 しかし、予想を上回る大雪で、死傷者数など被害状況の把握は難航した。山梨県に亀岡偉民内閣府政務官を団長とする政府調査団を派遣したのも17日になってから。片側1車線の道路などで取り残された車両が道路をふさぎ、除雪車が入れないケースも目立った。

 政府の対応が後手に回ったことは否めない。

 民主党の松原仁国対委員長は17日の記者会見で、安倍晋三首相が16日夜に支援者と天ぷら料理店で会食していたことから、「緊張感が乏しい。16日の段階で雪の中で孤立している集落や車があった。残念だ」と批判。海江田万里代表も会見で「初動が遅れたというそしりを免れない」と指摘した。

 こうした状況を受け、安倍首相は17日の衆院予算委員会で、「関係自治体と連携を密にし、関係省庁一体となって国民の生命、財産を守るため、対応に万全を期す」と強調した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140218-00000093-san-pol

産經新聞は、安倍政権を支持する姿勢が強い。1年前、大雪対策の官邸対策室設置を報道したのも、その一環であろう。しかし、そんな産經新聞ですら「政府の対応が後手に回ったことは否めない」といわざるをえないのが、今回の安倍内閣の大雪対策なのである。

1年前、マスコミがあまり報道していなかった大雪対策につき官邸対策室をいち早く設置し、あまつさえ内閣の重要課題としたことは何だったのだろうか。そして、なぜ、「後手に回った」のだろうか。その時の安倍内閣と、今の安倍内閣、この二つは違っているのかいないのか。「政権を担うことになった以上、その瞬間から、油断することなく、全力で危機管理に当たる責任」はどこにあるのだろうか。とにかく、微妙な思いにかられるのである。

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