Feeds:
投稿
コメント

Posts Tagged ‘地下水’

福島第一原発の汚染水問題は、どうなるのだろうか。テレビ朝日は、4月19日に次のような記事をネット配信した。それによると、地下水を海に流したり凍土壁を作るなど、汚染水を増やさない対策が実施できない「最悪」のケースになった場合、2年後、建設した全てのタンクに汚染水が入りきらなくなるとされている。

2年後の福島原発は?…“最悪のケース”初試算(04/19 17:42)

 東京電力は、福島第一原発で汚染水が増え続け、2年後にも敷地内のタンクに入りきらなくなる“最悪のケース”を初めて試算し、その結果を原子力規制委員会に報告しました。

 東京電力は、タンクに汚染水を最大90万tまで入れられるよう計画し、タンクを海上輸送するなど建設を急いでいます。しかし、規制委員会から、地下水を海に流したり原子炉建屋の周りの地面を凍らせる「凍土壁」など、汚染水を増やさない対策が実施できない最悪のケースも試算するよう求められました。試算の結果、建設したすべてのタンクに汚染水を入れても、2年後に入りきらなくなるということです。規制委員会は、これまでに打ち出した汚染水対策で期待する効果が出るか確認するよう指示しました。http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000025403.html

もちろん、このことは由々しき事態である。しかし、連日、汚染水漏れやALPS(多核種除去設備)の作動停止などの報道がなされ(あまりに多くて不感症になってしまうほどである)、汚染水処理のコントロールが不全になっている有様を目にすると、この「最悪」のケースが一番現実的なのではないかと考えてしまう。多少うまくいったとしても、せいぜい2年という期限が伸びるだけなのではなかろうか。

そして、さらに指摘しなくてはならないことは、これが「最悪」とすら言い切れないことである。現在、原子炉内部に入った高濃度汚染水については、放射性セシウムや放射性ストロンチウムなどの放射性物質をALPSなどで除染することになっている。しかし、ALPSは、放射性のトリチウムは除染できない。結局、現在の計画では、トリチウムが残存したままで除染処理後の汚染水を放出することになっている。

現在、原子炉建屋に流れ込む前の地下水をくみあげ、それを海に直接流すことで、原子炉建屋で発生する汚染水を量的に減少させる事業を行おうとしている。しかし、福島第一原発事故やその後の汚染水漏れで、対象の地下水自体がトリチウムなどによって汚染されてしまっている。それでも、トリチウムで放出基準値1リットルあたり1500ベクレル以下の場合は放出することにされている。この事業が軌道にのり、ALPSが本格稼働(現状では、いつになるか、神のみぞ知るということなのだが)すれば、原子炉内部で発生した高濃度汚染水についても、トリチウムが残存した形で、海などに放出することになろう。結局、福島第一原発周辺の環境は、これからも放射性物質で汚染され続けることになるのである。

そして、このトリチウムの全体量が半端なものではないのである。4月24日、毎日新聞がネット配信した次の記事をみてほしい。

福島第1原発:放射性トリチウムは推計3400兆ベクレル
毎日新聞 2014年04月24日 20時43分

 東京電力は24日、福島第1原発1〜4号機にある放射性トリチウム(三重水素)の総量は、推計で約3400兆ベクレルに上ると発表した。国が定める1基当たりの年間放出基準(3.7兆ベクレル)の900倍以上に相当する。

 政府のトリチウム対策を考える部会で試算を報告した。内訳は、溶けた核燃料などに約2500兆ベクレル▽敷地内に貯蔵されている汚染水に834兆ベクレル▽原子炉建屋やタービン建屋内の滞留水に約50兆ベクレル▽建屋地下から護岸につながるトレンチ(配管などが通る地下トンネル)の水に約46兆ベクレル−−が含まれる。

 汚染水に含まれるトリチウムの量は1月の報告より約17兆ベクレル増加した。溶けた核燃料を冷却する水にトリチウムが溶け出ていることが懸念される。この点について、東電は部会で「事故直後に比べて濃度は下がっており、核燃料から大量に溶け出ている状況ではない」と説明した。

 トリチウムは62種類の放射性物質を取り除ける多核種除去装置「ALPS(アルプス)」でも汚染水から取り除くことができず、海洋放出や水蒸気化、地下埋設などの対策が検討されている。【鳥井真平】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140425k0000m040085000c.html

すでに、福島第一原発には3400兆ベクレルのトリチウムが存在しており、1基あたりの年間放出基準3.7兆ベクレルの900倍ーつまり900年分あるということになる。そして、1月から4月までの間だけで17兆ベクレル増えたというのである。この分だけで、4.5年分にあたることになるだろう。かなり緩いと考えられるトリチウムの年間放出基準をもとにかんがえても、トリチウムの放出に900年かかることになる。

つまり、トリチウム除去をせずに汚染水の放流を続けると、大規模な環境汚染を惹起するか、ほぼ1000年近くかけて放流するかという二つの選択肢しかなくなるのである。その上、現在でもトリチウム汚染は拡大している。結局、東電などがいう「最悪」のケースを回避したとしても、「最悪」という状態は変わらないのである。これを「危機」とよばずして、何を「危機」とよべばいいのだろうか。

広告

Read Full Post »

さて、福島第一原発の現状はどうなっているのか。最近は断片的な情報ばかりで、全体を見通すことが難しくなっている。今回は、現時点(2014年2月10日時点)における福島第一原発1号機、2号機、3号機からの冷却水漏れについての情報をまとめておこう。

福島第一原発において、周知のように炉心溶融がおきた1・2・3号機には冷却水が注入されている。しかし、冷却水を注入しても、原子炉格納容器内の水位は上がっておらず、格納容器が損傷して、冷却水が漏れだしていることが指摘されていた。この冷却水は、直接損傷した核燃料に接触しており、高濃度汚染水になっている。しかし、どこから漏れているのは今まで不明だった。

まず、1号機からみてみよう。すでに、2013年11月13日、1号機の格納容器下部から冷却水が漏れ出していることが発見されている。産經新聞の次のネット配信記事をみてほしい。

格納容器下部で汚染水漏洩 事故後初、1号機で2カ所
2013.11.13 23:50 [公害・汚染]

 東京電力は13日、原子炉が損傷した福島第1原発1号機格納容器下部の2カ所で汚染水の漏洩(ろうえい)を確認したと発表した。原発事故で溶け落ちた燃料(デブリ)冷却のため注水が続く1~3号機の格納容器下部から水漏れが実際に確認されたのは初めて。漏洩箇所は特定できなかったが、汚染水対策を進める上で重要な調査結果になるとして、さらに詳しく調べる方針だ。

 調査は格納容器下部の圧力抑制室を収める「トーラス室」と呼ばれる設備に汚染水がたまっている状況を確認するために実施。放射線量が高く人が近づけないため遠隔操作のできるカメラ付きのボートを使った。

 その結果、格納容器下部の外側からトーラス室に通じる細い配管1本が破断して水が漏れていたのを確認。配管の接続部分は塩化ビニール製で、事故当時の熱で溶けた可能性があるという。

 東電によると、破断した配管からは水道の蛇口をひねったような勢いの水が出ているという。東電は原子炉に注水して汚染された冷却水が格納容器の亀裂などから漏れ、配管から流れ出ている可能性もあるとみている。さらに、圧力抑制室の外側でも上部から水が流れ落ちているのを確認したが、漏洩箇所の特定はできなかった。

 調査した場所では毎時約0・9~約1・8シーベルトの極めて高い放射線量が測定されている。この日の調査は、トーラス室の約半分で行われた。残る半分の調査は14日に行われる予定。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131113/dst13111323540013-n1.htm

そして、2014年1月30日、テレビ朝日は次の記事をネット配信している。

冷却水の8割が漏えいか…福島第一原発1号機の汚染水(01/30 22:41)

 福島第一原発の原子炉1号機からの汚染水漏れについて、新たな事実が判明した。「1号機の圧力抑制室付近から、1時間あたり最大で3.4トンの汚染水が漏れていたと推計される」と、30日に東京電力が明らかにした。1号機には溶けた燃料を冷やすために、1時間あたり4.4トン注水している。その水は燃料に触れて、放射性物質を含んだ高濃度の汚染水となり、注水量の約8割が圧力抑制室付近から漏れているとみられるのだ。また、東電は「他の場所からも漏れていることも分かった」とし、引き続き調査する。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000020591.html

圧力抑制室というのは、格納容器下部に付属している部分である。東京電力の電気・電力辞典では次のように説明している。元来、冷却水を保有している場所なのである。そこから、その付近で、最大で、注水分の8割にもあたる毎時3.4トンの冷却水が漏出しているということなのである。後述する読売新聞のネット配信記事によれば、これは11月にみつかった漏水個所からということのようである。さらに、他の場所からも漏水しているということである。

圧力抑制室(S/C)
(あつりょくよくせいしつ)
沸騰水型炉(BWR)だけにある装置で、常時約4,000m3(福島第二2~4号機の場合)の冷却水を保有しており、万一、圧力容器内の冷却水が何らかの事故で減少し、蒸気圧が高くなった場合、この蒸気をベント管等により圧力抑制室に導いて冷却し、圧力容器内の圧力を低下させる設備。また、非常用炉心冷却系(ECCS)の水源としても使用する。
http://www.tepco.co.jp/life/elect-dict/file/a_023-j.html

次に、2号機である。ここでも圧力抑制室に穴が開いており、そこから水漏れしているということである。

福島第一2号機の圧力抑制室に穴…水漏れ

 東京電力は30日、福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室の下部に穴が開いており、外側の「トーラス室」に水が漏れているとの見方を明らかにした。

 両室の水位差を超音波で測定した結果から、穴は合計で8~10平方センチと推計した。

 また、1号機で昨年11月に見つかった水漏れ箇所については、その漏水量が1時間当たり0・89~3・35トンに上るとの推定値を発表した。格納容器本体と圧力抑制室をつなぐ「ベント管」付近の2か所で、ロボットが撮った流れ落ちる水の映像から推定した。

 3号機でも今月、原子炉建屋の1階で水漏れが初めて確認されている。ただ、これらの箇所で推定された漏水量は注水量より少ないため、東電は「3基ともまだ他に漏水箇所がある」とみている。

(2014年1月31日10時50分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140131-OYT1T00241.htm

さて、次は3号機である。2014年1月18日に、「主蒸気隔離弁室」という部屋の近くから建屋地下につながる排水口にかけて冷却水の流れが発見された。「主蒸気管」というのは、原子炉からタービンに蒸気を導く管である。1〜2号機のように圧力抑制室付近ではなく、どちらかといえば上部の配管といえるだろう。しかし、これも毎時1.5トンの流出にすぎず、注入した冷却水毎時5.5トンの他の部分は、他から漏水しているとされている。次の共同通信が1月27日に出した記事をみてほしい。

福島第1原発の現状】 配管貫通部から漏えいか 第1原発3号機の注水

 東京電力福島第1原発3号機の原子炉建屋1階の床面で、汚染水の流れが見つかった。溶けた核燃料を冷却するため原子炉に注入した水が、格納容器の配管貫通部から漏れている可能性が高い。格納容器を水で満たして溶融燃料を取り出す工程を描く東電は、水漏れ箇所の特定と補修を急ぐが、現場の放射線量が高く容易ではない。
 水の流れが見つかったのは、格納容器内部への配管が通る「主蒸気隔離弁室」と呼ばれる部屋の近く。建屋地下につながる排水口に約30センチの幅で流れ込む様子が、遠隔操作のロボットで18日に確認された。
 放射性セシウムが1リットル当たり240万ベクレル、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が2400万ベクレルと高濃度で検出され、燃料冷却後の水とみられている。
 主蒸気隔離弁室の配管貫通部は、事故後の格納容器圧力の異常上昇や水素爆発の影響で破損した可能性がある。東電は格納容器内の水位や配管の位置から水漏れ箇所の一つとみる。
 ただ、漏えい箇所を特定して漏れを止めるのは簡単ではない。現場周辺は毎時30ミリシーベルトと非常に高線量で、作業員が直接調べることは難しい。上の階から、室内にカメラをつり下げる調査方法を検討しているが「まだアイデア段階」(東電担当者)で、具体的な調査時期のめども立っていない。
 漏えい箇所はほかにもある。3号機の原子炉への注水量は毎時5・5トンだが、今回見つかった水漏れの流量は毎時1・5トンと推計され、残る4トン分は別の場所から漏れている計算だ。
 東電は1、2号機でも、原子炉建屋地下にある圧力抑制室の周囲に遠隔操作ロボットを入れ、水漏れの状況や水位の把握を進めているが、漏えい箇所の特定には至っていない。
(共同通信)
2014/01/27 17:38
http://www.47news.jp/47topics/e/249752.php

東電が、1〜3号機の各機に毎時どれほどの冷却水を注入し、どれほど回収しているのか、今の所、よくわからない。しかし、かなりの冷却水が格納容器外部に漏水しているには違いない。そして、原子炉建屋に入ってくる地下水とまざりあうことになる。そして、結局、原子炉外に高濃度汚染水が流出していく。結局、高濃度汚染水の源は原子炉各部から漏水した冷却水なのであり、陸側から流入してくる地下水ではないといえる。今、陸側の地下水を汲み上げて汚染水を少なくしようとしているが、これは、全くの対処措置にすぎない。

現状の東電の計画では、格納容器を水で満たして溶融燃料を取り出すことにしているが、そもそも水漏れを放置しておくならば、単に環境汚染が継続するだけでなく、それ自身が絵に描いた餅となる。そうとはいっても、それぞれの格納容器内部は放射線量が高く、現状では人が入ることはできず、調査すら難しく、補修などはより困難である。

そこで、最近は、空気で冷却する「空冷」方式にしようという動きがあるようだ。しかし、日本では類例のない「空冷」方式を開発するということは、かなり大変であろう。福島第一原発事故だけでもなく、高速増殖炉「もんじゅ」にせよ、六ヶ所村の核燃料再処理工場にせよ、また多核種除去装置ALPSにせよ、理論上設計し製造することは可能だが、恒常的・安定的に稼働しないものが多く存在するように思われる。といって、格納容器の修理を行うにおいても、ロボット技術その他、現在には存在しない科学技術を想定しなくてはならない。廃炉40年というが、それ自体が予測できない「未来」にかかっているのである。

Read Full Post »

福島第一原発の危機が拡大している。汚染水については、連日報道され、整理することも難しいほどだ。そんな中、ウォールストリートジャーナルが8月7日付で的確な整理を行っているので、まず、紹介したい。

2013年 8月 07日 11:55 JST
福島第1原発、汚染水封じこめで苦闘

東京電力は福島第1原発で、隔壁やポンプ、それに土壌を固める化学品などを使って、放射性物質に汚染された地下水が海に流出するのを防ごうとしている。

 同社は今週、最も高濃度の汚染水が見つかった場所を新たな一連の措置で封鎖しようとしているが、一部の専門家や規制当局者は、汚染水を原発敷地に完全に封じ込める闘いに勝つのは難しいかもしれないとみている。

 シーシュポスの神話のような果てしない苦闘を続ける東電は先週、汚染された水のレベルが上昇しており、わずか1カ月前に工事が始まったばかりで完了が今週末の予定となっている地中の「遮水壁」を既に越えている可能性があると発表した。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は先週の記者会見で、汚染水を汲み上げて貯蔵するといった東電の汚染水対策は一時的な解決策にすぎないとし、最終的には、処理をして放出濃度基準以下にした汚染水を海に捨てることが必要になるとの見解を示した。

 東電は5日、電子メールで、汚染水があふれている最近の問題に対処するため「いつかの措置を取りつつある」とし、「原発近くの水域の海水と魚介類への影響の監視を強化し続け、諸措置のあとに(汚染水の)廃棄について判断する」と述べた。

 2011年3月の東日本大震災で同原発が電源喪失状態となり、稼働中だった3つの原子炉がコントロール不能に陥ってから、東電は汚染水の管理に苦しんでいる。溶けた燃料炉心を冷やすために毎日約400トンの水―そのほとんどはリサイクルされているが―が使われている。より大きな問題は、これとは別に山々から下りてくる400トンの地下水が発電所敷地の下を流れ、海に注いでいることだ。

 東電はこの2年間、放射線濃度の高い原子炉建屋から水を汲み出し、敷地内のタンクにこれを詰めて汚染を封じようとしてきた。しかし、数カ月前には、原子炉付近で採取した地下水から高濃度の放射性物質が検出されて、その努力も実を結んでいないことが分かった。その理由は明らかではない。さらに、東電はこの水が海に漏れ出ている公算が大きいと明らかにしたのだ。

 放射能漏えいに関し同社の情報に透明性が欠けていることなど、原子炉敷地での問題が続いていることから、規制当局の批判を招いている。2日には、成果の上がらない除染作業で政府の役割を拡大するために設けられた原子力規制委員会の対策検討会が初会合を開いた。同検討会は東電に対して、国民の原発への反対が強まっているとして、コミュニケーションと信頼性を改善するよう要求した。

 東電は7月、緊急措置として、護岸に近い土壌に化学品を注入してこれを固め、地下隔壁とする作業を始めた。しかし、その後、この場所の地下水が隔壁にぶつかって水位が急速に上昇した。水位は地下1メートルのところまで来ており、地下1.8メートルから始まる隔壁を既に越えているようだ。

 同社は今、隔壁の手前にたまっている水の一部を汲み上げ、これまでと同様に貯蔵することを計画している。同社はまた、最も高濃度に汚染されている護岸周辺を隔壁で囲む準備もしている。さらに、隔壁で囲った部分を砂利とアスファルトでふたをし、何も漏れ出ないようにすることを提案している。同社は隔壁部分の作業を10月までに終えたい考えだ。

 同社はこのほかにも、原子炉建屋を凍土で囲うなど、いくつかの実験的構想も持っている。

 しかし、資源エネルギー庁の新川達也・原子力発電所事故収束対応室長は7月の記者会見で、このやり方では地下水の流れを変えてしまう恐れがあると述べた。また、水が大量にたまり、地盤を軟らかくして、原子炉建屋を倒壊させる可能性があると指摘した。東電は水が染み出している公算が大きい建屋内のひびをロボットを使って修理するといった方法も試してみるべきだとしている。

 埼玉大学の渡部邦夫地質学教授は、凍土にも問題があると述べた。同教授は、トンネル掘削で使われるこの技術は汚染地域に入ってくる地下水の量を減らせるかもしれないが、コストが高いとし、「システムを構築するには数億円が必要だ。この氷の壁を維持するのには大量の電力も必要だ」と語った。

 田中委員長は、東電は全ての水を処理することは不可能であるとし、許容水準内の汚染水を海に捨てる準備をすべきだと述べた。しかし、現地の漁業協同組合は依然として、かつてのように漁に出られるようになることを望んでいる。地元漁業者は昨年6月以降、放射能テストで一貫して低い値しか検出されないタコなどをとっている。相馬双葉漁協の遠藤和則氏は、最近汚染水が海中に流れ込んでいることについて、困惑しているとし、消費者が同地の魚を拒否し始めることへの懸念を示した。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324513804578652903693994978.html

つまり、壊れた原子炉に地下水が流れ込んでいて、それが汚染水となり、海洋に流れ出しているのである。東電としては、応急措置として、海側の地下に隔壁を設け、海洋に流れ出さないようにしようとしたが、かえってせき止められた汚染地下水の水位が上がり、隔壁をこえてしまったという。そこで、この汚染地下水をくみあげて貯蔵する計画をたてているということである。

その上、東電と規制委委員長は、汚染水(何らかの処理をすることを前提としているようだが)を海洋廃棄することを検討しているというのである。このことに対しては、周辺の漁協が反発しているということである。

さらに、東電が中長期的な措置として「凍土」で原子炉建屋を囲う構想をもっていることを報じている。

まず、このような大枠の理解のもとに、最近の報道をみてみたい。

最早、東電にせよ、それを監督する経産省の資源エネルギー庁にせよ、汚染水について十分な対策はとっていない。結局、規制側の原子力規制委員会が、東電や資源エネルギー庁に不満をもちながらも、陣頭指揮をとらざるをえなくなった。8月7日の河北新報はそれを次のように伝えている。

福島第1原発の汚染水流出 規制委、異例の陣頭指揮

 福島第1原発の汚染水の海洋流出問題で、原子力規制委員会が異例の陣頭指揮を執っている。汚染水対策など廃炉作業の監督は本来、経済産業省の役割だが、海洋流出に対する動きは鈍い。規制委の突出ぶりは、事態の深刻さへの焦りと対応が後手に回る東京電力へのいら立ちの裏返しと言えそうだ。(東京支社・若林雅人)

 「規制機関が踏み出すべき領域かどうか疑問もあるが、リスクが高まっている」
 規制委が2日に開いた汚染水対策作業部会の初会合。座長役の更田豊志委員は開催理由をこう説明し、早速東電から聴取を始めた。東電が「調査する」「検討する」と答えた事項について「次回、耳をそろえて持ってきてほしい」と強い口調で要求した。
 春先に地下貯水槽での汚染水漏れが発覚し、汚染水の貯蔵が問題となって以降、政府は廃炉対策推進会議の下に汚染水処理対策委員会を設置。経産省資源エネルギー庁が事務局となり、5月末に地下水流入の抑制策を柱とした報告書をまとめた。
 報告書に対し、規制委は「高濃度汚染水が滞留する海側トレンチ(作業用トンネル)からの漏えいリスクが高い」との見解を表明。海水や地下水から高濃度の放射性物質が検出され始めた6月下旬にはトレンチから海に流出した可能性を指摘したが、東電は7月下旬まで流出を否定し続けた。
 規制委の再三の警告にもかかわらず、エネ庁や対策委に目立った動きはなかった。エネ庁事故収束対応室は「汚染水対策のマネジメントはエネ庁だが、放射性物質の外部流出など安全管理は規制委が担う」と役割分担を理由に挙げた上で、「対策委が今後どう関わっていくべきか検討している」と説明する。
 規制委の会合では「緊急対策が必要な際に国の関与が明確でない」と、エネ庁を念頭に置いた苦言も出た。規制委事務局の原子力規制庁事故対策室は「規制委で対策を検討しても東電に実行させるのはエネ庁。責任の大きさは分かっているはずだ」と自覚を促す。
 福島県の内堀雅雄副知事は6日、規制庁と経産省を訪ね、国が前面に立った対処と監視を要望した。赤羽一嘉経産副大臣との会談後、内堀副知事は「経産省は廃炉対策の所管省庁。東電と一体でしっかり対応してほしい」とくぎを刺した。
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/08/20130807t63010.htm

その結果、汚染地下水汲み上げの前倒し実施がなされることになったといえる。NHKは、8月6日、原子力規制委員会の指摘を受けて、今月末に行うとしていた汚染地下水の汲み上げを前倒しして、今週中から開始するとした。東電の措置では、高濃度汚染水の大規模な海洋流出がさけられないとみての規制委員会の判断なのであろう。東電は、ここでも、当事者能力のなさを露呈したといえる。

福島第一原発 汚染水くみ上げ急きょ今週から
8月6日 5時56分

福島第一原発 汚染水くみ上げ急きょ今週から
福島第一原子力発電所で汚染された地下水が海に流出している問題で、流出を防ぐために行っている工事で地下水位が上昇していることから、東京電力は急きょ、地下水のくみ上げを、今週中に始めることにしました。
一方、観測用の井戸では新たに放射性物質の濃度が上昇していることが分かり、汚染水対策は手探りの対応が続いています。

福島第一原発では、汚染水の流出対策として、護岸沿いに地中を壁のように固める工事を進めていますが、せき止められて上昇した地下水がすでに壁を乗り越えているおそれがあることが先週、明らかになりました。
このため東京電力は急きょ、小規模な井戸を掘って、今週中にくみ上げを始め、くみ上げた地下水は、一時、地下の施設に保管した後、敷地内のタンクにためることにしました。
当初、東京電力は今月末から地下水をくみ上げるとしていましたが、国の原子力規制委員会から一刻も早く始めるよう指摘を受け、対応を早めることになりました。
一方、高濃度の汚染水がたまっている2号機のタービン建屋に最も近い観測用の井戸で、5日採取した地下水では先月31日に比べて放射性セシウムの濃度が14倍あまり、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す物質の合計の濃度が46倍あまりといずれも上昇していることが分かりました。
東京電力は濃度が上昇した原因は分からず、今後詳しく調べるとしています。
汚染水を巡っては、事故から2年4か月がたった今も流出の具体的な状況や影響の広がりをつかめず、手探りの対応が続いています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130806/k10013569671000.html

そして、政府もまた、東電の計画していた凍土による地下水遮水壁設置に国費投入を決定した。8月7日の毎日新聞は、次のように伝えている。

福島第1原発:汚染水対策に国費投入…政府検討
毎日新聞 2013年08月07日 13時01分(最終更新 08月07日 13時02分)

 政府は7日、東京電力福島第1原発の放射性汚染水問題をめぐり、対策費用の一部を国費で補助する検討に入った。経済産業省が2014年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。これまでも廃炉や事故収束に関係する研究開発費用は国が支援していたが、汚染水対策への補助が決まれば、国による初めての直接支援となる。国がより踏み込んだ対策を取る方針を明確に示して、処理対策を確実に進める構えだ。【大久保渉】

 ◇遮水壁設置で

 経産省は5月、原子炉建屋への地下水流入を防ぐため、周囲の土を凍らせる遮水壁の設置を東電に指示。設置には数百億円の費用が見込まれるが、経営再建中の東電には資金的な余裕が乏しいのが現状だ。

 菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で「これだけの大規模な遮水壁は世界でも例がなく、設置に当たっては国として一歩前に出て支援する。予算は、経産省において現在検討中と聞いている」と説明。7日午後の原子力災害対策本部会議で、安倍晋三首相が茂木敏充経産相に対し、早急に対策を行うように指示する予定であることを明らかにした。

 汚染水対策を含めた廃炉の費用について政府は「東電による負担が原則」としてきたため、国費の投入には「東電救済とみられないか」との慎重論があった。しかし、福島第1原発の汚染水を巡っては、7月に海洋流出が明らかになるなど、東電任せによる対策には限界が指摘されている。

凍土による遮水壁は、長期にわたって使用された例がなく、東電は技術的な検討を進めた上で今年度中に実現可能かどうか判断するとしていた。
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130807k0000e010192000c2.html

結局、費用においても、すでに東電では調達できない。その意味で、原子力規制委員会の「陣頭指揮」にせよ、汚染対策への国費投入にせよ、遅ればせながら、公的機関がイニシアチブをとらなければ福島原発の廃炉作業が不可能なことを明示しているといえよう。

しかしながら、これらは、そもそも東電の計画だったことにも注目しておかねばならない。そもそも、場当たりの対応しかできなかった東電が構想した計画であり、その前倒しやバックアップにすぎない。汚染地下水の汲み上げにせよ、凍土による地下水遮水壁の設置にせよ、応急措置にすぎない。資源エネルギー庁で議論されていたようだが、ロボット装置などによる原子炉建屋の点検・修理が、廃炉作業を進める上でも不可欠のはずだが、そのようなことは具体化されていないのである。

しかも、汲み上げた汚染地下水もどんどんたまっていくだろう。凍土による地下水遮水壁設置については、そもそも効果自体に疑問があるのだが、それ以上に、2014年度概算要求の対象であり、つまりは、翌年からしか建設されないのである。現状の汚染水危機には即応するものではないのである。

すでに、東電も原子力規制委員会も、汚染水の海洋廃棄を検討していることは述べた。もはや、政府も、当面の措置として汚染水の海洋廃棄の検討を開始している。8月8日、読売新聞は、次のような記事をネット配信している。

福島第一の基準値以下の地下水、海洋放出検討へ

特集 福島原発
 茂木経済産業相は8日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所でたまった基準値以下の放射性物質を含む地下水について、「海への放出の可能性も含め、早急に検討して対策を具体化していきたい」と述べ、海洋放出を視野に入れた水の処理を検討することを明らかにした。

 同日午後に開かれる有識者らによる汚染水処理対策委員会で話し合う。この水は、原子炉建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げたもの。この水の海洋放出を巡っては、安全性などについて地元の漁業関係者の理解は得られておらず、具体的なめどは立っていない。

 7日に開かれた原子力災害対策本部の会議を受け、茂木経産相は、基準値以上の汚染水についても「国が主導して、絶対に漏らさない状況を作るということを進めたい」と話し、東電任せにせずに対策を進めることを強調した。そのうえで、海側の地中に薬剤を注入して地盤を固める工事や、1~4号機の地中を凍土の壁で囲うなどの対策を行う。

 経産省が7日に公表した、1日当たりの汚染水の流出量(300トン)について、茂木経産相は「汚染の度合いは違うにしても、汚染されている可能性は否定できない」と説明した。

(2013年8月8日14時13分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130808-OYT1T00613.htm?fb_action_ids=511507698928519%2C511427535603202&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_object_map=%7B%22511507698928519%22%3A152528584952987%2C%22511427535603202%22%3A622735257759194%7D&action_type_map=%7B%22511507698928519%22%3A%22og.recommends%22%2C%22511427535603202%22%3A%22og.recommends%22%7D&action_ref_map=%5B%5D

つまり、最早、福島第一原発の汚染水(もちろん、ある程度の処理をしてことだろうが)の海洋廃棄がさけられないとされてきているのである。

Read Full Post »

最近、ほとんど整理できないほど、福島第一原発事故の異常事態が、主要メディアでも伝えられている。たとえば、共同通信はトレンチから1リットル当たり23億5000万bqの放射性セシウムに汚染された水が検出されたと報じ、「汚染水対策は事実上破綻」と批判した。

【福島第1原発の現状】 汚染水対策は事実上破綻  海洋流出防げるか不透明

 福島第1原発からの汚染水の海洋流出を受け、東京電力は護岸の地盤改良など流出防止策を急ぐが、対策の効果は不透明だ。加えて敷地内の汚染水は1日400トンのペースで増え続け、抜本的な解決策もない。廃炉に向け当面の最重要課題とされた汚染水対策は事実上、破綻している。
 「1リットル当たり23億5千万ベクレル」。原子力規制委員会が汚染水の漏えい源と疑う敷地海側のトレンチ(地下道)にたまっていた水の放射性セシウム濃度だ。東電が27日、発表した。トレンチが通る2号機タービン建屋東側の一帯では5月以降、観測用井戸で高濃度汚染水の検出が相次いでいる。
 東電は4月、港湾内で長さ約780メートルにわたって鋼管約600本を壁のように打ち込む「海側遮水壁」の工事を始めた。完成は来年9月ごろで、汚染水が海に漏れ出さないよう“念のため”の措置だった。
 ところがわずか約2カ月後、敷地海側や港湾内の海水で高濃度汚染水の検出が相次ぐと、水ガラスという薬液で護岸などの地層を固める「土の壁」の工事に着手せざるを得なくなった。
 トレンチには事故直後に流れ込んだ極めて高濃度の汚染水がたまっている。2011年4月に2号機取水口近くで汚染水漏れがあったことを受け、継ぎ目部分の縦穴を埋めて水の流れを遮断しているが、本来は配管や電源ケーブルを通すためのトレンチに、防水処理は施されていない。
 東電は早期に汚染水を抜き取ってトレンチを埋める計画だが、ここが汚染源だとすれば、完了までは高濃度の汚染水が漏れ続ける。今月26日に記者会見した 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長は「もっと早くやるべきだった」と悔やんだ。
 一方、汚染水をどう減らすのかも重要な課題だ。建屋に流れ込む前の地下水を井戸でくみ上げて海に出す「地下水バイパス」計画は地元の強い反発でめどが立たない。1~4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」は15年の完成を目指すが、世界的に例のない取り組みで効果は未知数だ。「まずは流入量を減らさないとだめだが、抜本策は挙げられない」と広瀬社長は苦悩をにじませている。
(共同通信)
2013/07/29 12:2
http://www.47news.jp/47topics/e/244207.php

そして、結局、原子力規制委員会も、東電頼みでデータをとるのではなく、自らの分析チームを7月29日に設置した。そのことを伝える毎日新聞のネット記事を下に掲載しておく。

福島第1原発:汚染水問題 規制委、分析チームを設置
毎日新聞 2013年07月29日 11時20分(最終更新 07月29日 12時33分)

 東京電力福島第1原発から出た放射性汚染水が海洋に流出している問題を受け、原子力規制委員会は29日、第1原発の収束作業が適切に実施されているかをチェックする「特定原子力施設監視・評価検討会」の会合を開いた。規制委は、汚染水について分析する作業チームを設置することを決めた。現在は「東電任せ」になっている放射性物質のデータ採取・分析について、客観性を確保するのが狙い。

 検討会は、東電が汚染水の海洋流出を公表して以降、初めての開催となる。作業チームは、原子力規制庁や産業技術総合研究所などで構成し、東電も加わる。規制委の更田(ふけた)豊志委員は「地下水や地層、土木の専門性がある職員を結集し、より実質的な分析を進めたい」と述べた。汚染水が海へ流出している現状を受け、海のモニタリング態勢を強化する検討チームも別に作る。

 一方、規制委は東電から汚染水の現状をヒアリングした結果、2号機海側の電源ケーブル用トレンチ(トンネル)下部の砕石層(砂利)が汚染水の通り道になっているとの見方を強め、早期の対策実施を求めた。http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130729k0000e040153000c.html

また、以上の問題と関連するかどうか不明だが、8月1日、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織「国際廃炉研究開発機構」が設置された。

福島第一原発廃炉で新組織
8月1日 14時46分

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織が設立され、1日、茂木経済産業大臣から認可書が交付されました。

新たに設立されるのは「国際廃炉研究開発機構」で、原発の製造メーカーや電力会社など17の企業や政府系の研究機関から500人以上が参加します。
茂木経済産業大臣が、1日、機構の理事長を務める京都大学原子炉実験所の山名元教授に対し「福島県民や国民の期待は高く、関係者が一丸となって、すばらしい成果を挙げていただきたい」と述べて認可書を手渡しました。
福島第一原発の廃炉は、世界でも例のない技術的に難しい作業で、最長で40年に及ぶとされています。
機構では、廃炉作業が順調に進むよう、溶け落ちた核燃料を取り出す技術の確立や、放射線量が高い場所でも遠隔で操作できるロボットの開発など、幅広い分野の研究開発を共同で行うことにしています。
山名理事長は「オールジャパンで技術を結集し、海外からも積極的にアイデアを募って、できるかぎり早く廃炉技術を育てたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130801/k10013460401000.html

東電自体が、もはや当事者能力がなく、物事を先送り、その場しのぎの対応をしているのは、すでに広く理解されていることである。東電側からすれば、福島第一原発の廃炉作業に資金・人員・技術をつぎこんでも利益にはならない。柏崎刈谷原発の再稼働にむけて、政府・自民党に協力したほうが、より利益にはなるだろう。これは、営利会社として当然の論理である。結局、東電の存続を許し、事実上国有化したにもかかわらず、民間会社の形態をとらせることで、安上がりな「廃炉」をしようとしていた政府こそ、一番責任を負わなくてならない。

その意味で、政府機関である規制委員会が、分析だけにせよ独自の体制を組んだことは、遅きに失しているし、全く不十分ではあるが、国の責任で廃炉作業をしなくてならないことを暗示させているものといえる。しかし、結局、実行部隊ではない。廃炉作業の研究開発をする「国際廃炉研究開発機構」も、結局は、「原発の製造メーカーや電力会社など17の企業」が中心になっているようである。廃炉作業を契機とした企業グループの形成というべきか。

この廃炉作業は、資本が投下して利潤を上げられる事業ではない。しかし、ボランティアでできるようなものではない。福島第一原発の廃炉作業は、現状では採算を度外視してすすめるしかないのではなかろうか。

それにしても、東電ではない体制をとるにせよ、その核になるかもしれない原子力規制委員会自体が心もとない。田中俊一委員長が排出基準値以下の汚染水を将来的に海に放流するしかないと発言したことは、本ブログでも伝えたが、案の定、周辺の漁協から反発された。

原子力規制委に福島県漁連が反発 汚染水の排出めぐり

 原子力規制委員会の田中俊一委員長が、東京電力福島第一原発の処理済みの放射能汚染水を海に排出することを認めた発言を受け、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は26日、「県漁連としては排出を認めない。発言の真意を規制委に確認している」と述べた。

 福島市で開いた県漁連の組合長会議で語った。会議では、ある組合長から「汚染が薄まったとしても海への排出は認められない」と反発の声が上がった。

 田中委員長は24日の記者会見で、原発敷地のタンクにたまる一方の汚染水について、「きちんと処理して(国の排出)基準以下になった汚染水を海に排出することは避けられない」と発言した。
http://www.asahi.com/national/update/0726/TKY201307260276.html

東電はもはや福島第一原発を管理することができない。それは、良心の問題というよりも営利会社という体質の問題である。そして、こうなると、責任を負うのは、株主である国なのだが、その中核となるべきと考えられる原子力規制委員会は、体制が不十分であるとともに、社会から信頼を得ていない。そして、また、廃炉作業にむけての企業グループがつくられようとしている。しかし、資本を投下しても利潤を得られない廃炉作業に、どれほど営利会社が関心をもつだろうか。結局、公的資金で行う事業の「下請け」でしかなかろう。

資本主義と国民国家、この二つの共犯関係の上で、現在の日本社会はよくも悪くも運営されてきた。しかし、福島第一原発の廃炉作業は、今までの体制ではできそうもない。チェルノブイリ事故がおこり、そればかりが原因ではないが、ソビエト連邦は解体した。日本社会もまた、そのような危機が眼前にあるといえる。

Read Full Post »

さて、最近、異常事態が頻発している福島第一原発につき、東電の管理責任を問う声は少ない。それぞれの事態についての報道はあるものの、それらをトータルに把握して、東電の責任を問う報道はあまりない。そして、東電が実質的に国有化されており、東電の営為は、福島第一原発事故対策だけでなく、除染費用支払いや補償金支払いに至るまで国の責任でもあることを指摘した報道はほとんど見受けられない。

原子力規制委員会は、福島第一原発について、東電に問題点を指摘し、その結果、あきらかになったこともある。それなりに仕事はしている。しかし、7月24日、時事通信は、原子力規制委員長の最終的には基準レベルでの汚染水の海洋放出は避けられないとする発言について、次のように報道している。

低濃度水「捨てられるように」=福島第1の汚染水増加で-規制委員長
 東京電力福島第1原発で放射能汚染水が増え続けている問題に関し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の定例会見で、「(放射性物質の)濃度が十分低いものは捨てられるようにしないと、にっちもさっちも行かなくなる」と述べ、海洋放出も視野に入れる必要があるとの認識を示した。
 田中委員長は第1原発の敷地内を「水だらけ」と表現。「きちっと処理して、排水レベル(基準値)以下になったものは排出することは避けられないというのが、私の率直な気持ち」と述べた。(2013/07/24-16:23)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013072400669

この発言は、結局のところ、現状の東電の措置を「追認」してしまっていることになろう。東電の管理能力では、そもそも基準値レベルまで放射能汚染を安定的に下げること自体に疑問符がつく。ろくに除染もせず、大量の水で稀釈するだけなのではなかろうか。

そして、東電は、現在、原子炉内に流入してくる前の、汚染されていない地下水(東電はそう称している)を、原子炉の上手でくみあげて、海洋に放出する計画を策定し、周辺漁協の合意を求めているところである。このような発言は、東電の交渉にも影響があるだろう。

つまり、原子力規制委員会も、東電程度の対策しか考えていないことになるといえる。流入・流出する地下水をおさえ、再び、原子炉の気密性を確保する、いずれにせよ、これが、せめてもの第一歩であろう。その方策を本格的に検討しないまま、場当たりなその場しのぎをして、最終的に放射能汚染を拡大することしかないというのが現状といえよう。

Read Full Post »

福島第一原発の状況が日々悪化している。ネットや新聞などを注視していると、連日、さまざまな方面から異常事態の報告がなされている。このブログでそれらを書いても、すぐに改訂版を出さなくてならないほどだ。しかし、これらの異常事態は大々的にはあまり報道されず、さまざまな異常事態を関連づけて考察するような報道は見られない。東電が出してくる情報をただ流している(それも十分ではなく)という状況なのだ。

前回のブログで、7月18日に3号機から「湯気」が発生しているということを書いた。そのことを東電から報道機関に伝えたメールでは、ホウ酸水注入の用意ができていることも述べられている。ホウ酸水注入は原子炉の臨界を防ぐための手段である。この時点で、東電は「再臨界」も覚悟していたといえる。

報道関係各位一斉メール 2013年

福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋5階中央部近傍(機器貯蔵プール側)で湯気らしきものの確認について(続報2)
平成25年7月18日
東京電力株式会社

 本日(7月18日)、3号機原子炉建屋5階中央部近傍(機器貯蔵プール側)より、湯気らしきものが漂っていることを確認したことについての続報です。

 現在(午後1時時点)も湯気らしきものが漂っている状況は継続しております。午後1時のプラント状況について以下のとおり確認するとともに、午後1時15分に未臨界維持を確認しております。
 
 ・原子炉注水、使用済燃料プール冷却   :安定的に継続
 ・モニタリングポスト、連続ダストモニタ :有意な変化なし
 ・圧力容器、格納容器温度        :有意な変化なし
 ・希ガスモニタ             :有意な変化なし
 ・格納容器窒素封入           :有意な変化なし

 また、3号機原子炉建屋使用済燃料プール養生上部の雰囲気線量の測定結果については、毎日作業前に実施している線量測定値と比較して大きな変動はありませんでした。

 なお、未臨界維持を確認しておりますが、念のために、ほう酸水注入については、いつでも開始できる体制を整えております。

 引き続き、状況を注視してまいります。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2013/1229044_5117.html

そして、7月27日の東京新聞朝刊は、3号機の湯気が、単に雨水が加熱されて蒸発されただけではなく、原子炉格納容器内部に注入された窒素がもれ、それとともに外に出た水蒸気に起因する可能性があることを報道した。次に掲げておく。

湯気 格納容器から漏出 福島第一3号機 上部損傷?注入窒素も外へ

2013年7月27日 朝刊

 東京電力福島第一原発3号機の原子炉建屋五階から発生する湯気は、雨水の蒸発だけではなく、格納容器内の水蒸気が外部に漏れたものである可能性が高いことが分かった。
 格納容器には、爆発の危険がある水素を内部から追い出すため、窒素が継続的に注入されている。東電が窒素の注入量と回収量を調べたところ、回収量の方が一時間当たり三立方メートル少ないことが分かった。
 事故発生当初、格納容器内は長時間、高温高圧にさらされ、容器上部のふた周辺部が損傷している可能性がある。
 窒素注入による勢いに押され、格納容器内にこもる水蒸気が容器外に漏れている可能性が高いという。
 格納容器内はおびただしい放射線量とみられるが、容器内から回収した気体に含まれていた水の放射性セシウム濃度は一ミリリットル当たり九〇ベクレルと意外なほど低い値だった。
 東電は当初、建屋五階からしたたり落ちた雨水が、四〇度前後の熱がある格納容器のふたに触れて、水蒸気になり、冷たい空気によって湯気が発生したと説明していた。
 格納容器内からの漏出について、東電の今泉典之原子力・立地本部長代理は「福島第一からの放射性物質の放出量を継続的に見直しているが、その量に影響していない」と、放出量は少ないとの見方を示している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072702000118.html

この報道は著しくわかりにくい。雨水の蒸発による水蒸気と格納容器内部の水蒸気と、原因が両論併記されている。ただ、格納容器内部に注入された窒素が外部に漏れていることは確実である。つまり、格納容器はもはやその内部の物質を封じ込めることができなくなっているのである。そして、もし雨水もまた湯気発生の原因であるならば、格納容器自体も熱を帯びるようになっているのである。

さらに、2011年4月当時に2号機から漏れ出した1リットル当たり23億bqの汚染水が地下の配管用トンネルであるトレンチにたまっていることが27日に東電より公表された。

福島第1原発:汚染水流出 トレンチで23億ベクレル 震災直後と同水準、「漏えい源」強まる
毎日新聞 2013年07月27日 東京夕刊

 福島第1原発の敷地内から海へ放射性物質を含む地下水が流出している問題で、東京電力は27日、汚染水の漏えい源とみられる敷地海側のトレンチ(地下の配管用トンネル)にたまっている水から、1リットル当たり23億5000万ベクレルの高濃度で放射性セシウムを検出したと発表した。

 放射性セシウムの内訳は、放射性物質の量が半分になる「半減期」が約2年のセシウム134が1リットル当たり7億5000万ベクレル、約30年のセシウム137が同16億ベクレルだった。またストロンチウムなどが出す放射線の一種のベータ線測定から算出した放射性物質は、同7億5000万ベクレルだった。

 同原発2号機で原発事故直後の2011年4月に、取水口付近などで高濃度汚染水が漏れ、その際1リットル当たり36億ベクレルの放射性セシウムが検出されている。トレンチには、その際の汚染水が滞留し、海への漏えい源の疑いがあるため、東電が調査した。東電はトレンチ内の汚染水について、9月から浄化作業を始める予定としている。【野田武】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130727dde001040029000c.html

これは、最近判明した、2号機周辺の地下水が汚染され、海洋に流出しているということと関連しているかどうかはっきりしない。いずれにしても、最早2年も経過しているのに、調査すらしていなかったことになる。そして、東電は9月から浄化作業にかかるといっている。準備に時間がかかることは理解できるし、あまりに不備な状態で作業にかかると無用の被曝を招くだけだが、悠長なことである。

そして、ややさかのぼるが、7月25日には、6号機の原子炉冷却が一時停止されたことが報じられた。朝日新聞のネット配信記事をみておこう。

2013年7月25日13時13分

福島第一6号機、原子炉冷却が一時停止 電気系統が故障

 東京電力は25日、福島第一原発6号機で原子炉の冷却が電気系統のトラブルで一時停止したと発表した。約2時間後に復旧し、周辺の放射線測定値などに異常はないという。

 東電によると、25日午前10時20分ごろ、6号機の非常用ディーゼル発電機の起動試験をしていたところ、原子炉の冷却システムが停止した。復旧し冷却を再開したのは午後0時6分。原因を調べている。

 6号機の原子炉内には764体の燃料集合体が入っている。冷却の一時停止で原子炉の水温は0・5度上昇し、27・6度だった。

 使用済み核燃料プールの冷却は別システムで稼働は継続していた。

 原子力規制委員会は「冷温停止状態は維持されているので安全上問題となるものではない」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0725/TKY201307250095.html

2号機周辺の地下水汚染とそれによる海洋汚染、3号機の「湯気発生」、2号機周辺のトレンチにおける高濃度汚染水滞留の発覚、6号機の原子炉冷却の一時停止と、さまざまな異常事態が現在の福島第一原発ではおきている。参院選を考慮して公表を遅らしたものもあることを考えても、ひどい状況である。それぞれに、東電は「影響は小さい」などととコメントしている。そのこと自体疑わざるをえない。他方で、もし、そうだとしても、これほど立て続けに異常事態が頻発していて、福島第一原発全体の管理は大丈夫かとも思う。そして、単に事故が起きないように管理しているだけではすまないはずである。廃炉作業を進めていかなくてはならないのである。東京電力の当事者能力の有無を疑わざるをえない。さらに、東電は、2012年7月31日に原子力損害賠償支援機構が50%余の株式を取得し、そのことによって実質的に国有化された。その意味で、東電の失敗は、国の責任でもある。

Read Full Post »

福島第一原発については、相変わらず、放射能汚染水漏れが相次いでいる。しかし、現在報じられている汚染水漏れは、いわゆる汚染水処理装置や汚染水タンクから汚染水漏れがあったということとは次元が違うようなのである。

まず、毎日新聞夕刊2013年6月19日付に出された記事からみていこう。

福島第1原発:高濃度汚染水を検出 2号機、観測用の井戸から
毎日新聞 2013年06月19日 東京夕刊

 東京電力は19日、福島第1原発2号機タービン建屋と海の間に設けた観測用の井戸から、1リットル当たりトリチウム(三重水素)が最高50万ベクレル、ストロンチウム90が同1000ベクレルなど、高濃度の放射性物質を含む汚染水が検出されたと発表した。

 東電は、事故直後の2011年4月に2号機の取水口付近で放射性汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた影響だと説明。海水中の濃度に変化はないとして、新たな海洋汚染の可能性を否定した。東電は3日に異常を認識していたが、発表は16日後に遅れた。

 ストロンチウム90は放出基準の約33倍、トリチウムは8倍以上。東電によると、井戸は2号機東側の海から27メートル地点。放射性物質の海への流出を調べるため設置され、昨年12月には基準値以下だったが、5月24日に採水した2回目の検査で高濃度汚染を確認した。

 東電は、建屋から漏れた可能性について、汚染水が漏れ出ないよう閉じ込めの対策をしており、可能性は低いと説明。放射性セシウムは土壌が吸着しているとした。一方で、完全に海に漏れ出ない構造ではないため、近く護岸付近に薬剤を注入して地盤改良する。

 放射性汚染水の対策で、東電は汚染される前の地下水をくみ上げ、海へ放出する計画を立てているが、地下貯水槽の汚染水漏れなどトラブルが頻発。風評被害を懸念する漁協の反対で計画は進んでいない。【鳥井真平、河内敏康】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130619dde001040027000c.html

つまりは、福島第第一原発2号機建屋と海岸の間に設置された井戸から、放射性物質であるトリチウム(三重水素)が50万bq(基準の8倍以上)、ストロンチウム90が1000bq(基準の33倍)検出されたというのである。昨年12月には検出されていなかったが、5月24日の採取分から検出されたという。しかも、東電は6月3日には異常を認識していたが、発表は6月19日になってやっと行われたのである。

6月19日時点の発表では、海洋汚染はないと東電は発表していた。しかし、6月24日には、海水のトリチウム濃度が上昇していることが報道された。毎日新聞が2013年6月24日のネット配信した記事をみておこう。

福島第1原発:井戸近くのトリチウム濃度上昇傾向
毎日新聞 2013年06月24日 20時18分(最終更新 06月24日 20時41分)

 福島第1原発2号機と海の間に設置した観測用井戸から高濃度のトリチウム(三重水素)とストロンチウム90が検出された問題で、東京電力は24日、この井戸に近い港湾内の海水に含まれるトリチウムの濃度が、上昇傾向にあると発表した。放射性物質の海への漏えいが懸念されるが、東電は「海水を継続調査し、海への漏出の有無を判断したい」としている。

 東電によると、濃度の上昇傾向が見られたのは、1号機取水口の北側の海水。21日の採取分から、1リットル当たり1100ベクレル(前回10日採取分は500ベクレル)を検出した。この検査地点のトリチウム濃度は、2011年10月10日の920ベクレルがこれまでの最高値だった。

 また、1、2号機取水口の間から21日に採取した海水からも910ベクレル(同600ベクレル)が検出され、上昇傾向を示した。【鳥井真平】
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130625k0000m040053000c.html

この記事を読んでいる限り、2011年10月時点よりも2013年6月21日採取分のほうがトリチウム濃度が上がっているということになる。しかも、6月10日採取分よりも2倍前後増えているのである。つまり、この海水の放射能汚染は、前からのものではなく、直近のものなのであるといえよう。

たぶん、東電の「建屋からもれた可能性は低い」という説明は成り立たないだろうといえる。今まで、福島第一原発には大量の地下水が侵入し、そのため、大量の汚染水が生じ、それをすべて回収し、汚染処理した後、汚染水タンクに貯めているというように説明がされていた。今回、地下水ー海水から放射性物質が検出されたということは、そもそも汚染水の管理自体が完全ではないことを示しているといえよう。

そもそも、福島第一原発ーとりわけ2号機の原子炉がどれほど破壊されているかということはわかっていない。そして、万全であれば、地下水が侵入すること自体がないのである。

東電としては、次のような方策を考えているとされている。産經新聞が6月11日にネット配信した記事をみておこう。

バスの中からは地下水をくみ上げる井戸も公開された。汚染水自体を減らすために東電が率先して取り組んでいる方法だ。原子炉建屋に流れ込む前の汚染されていない水をくみ上げて、海に放流する。

 しかし漁協などに対しこれまで開いた説明会では「安全だったら飲んでみろよ」などと怒号の交じった質問が繰り返され、両者の溝は埋まりそうにない。

 地下水のくみ上げに理解が得られたとしても、1日100トンしか汚染水を減らすことができず、1日400トン発生する汚染水の抜本的な対策にはならない。

 そこで政府が飛びついた“奇策”が、4基の原子炉を取り囲むように土を凍らせて水の流入を完全に防ぐ「凍土壁方式」だった。今月中にも設計に取りかかるが、世界に前例がなく、常に冷却しなければならないという電源リスクがある。

 とはいっても、「ためる方式」はすでに限界がきているのは明らかだ。敷地内にタンクは約1千基(容量33万トン)あり、行き場のない汚染水のために80万トンまで拡充する計画がある。

 取材に応じた第1原発の高橋毅(たけし)所長は「無限に汚染水を蓄えることはできない」と、試運転中の多核種除去装置(ALPS)の稼働に期待を寄せている。26日付での異動が決まっている高橋所長。「反省すべき点はあるが放射線量は確実に減っており、できたことがあることも事実」と1年半の任務を振り返った。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130611/dst13061121540011-n2.htm

つまり、①原子炉に流入する以前に地下水をくみ上げ、海に放流する、②「凍土壁」を設けて地下水流入を防止する、③汚染水タンクの拡充、④多核種除去装置の稼働、という四つが考えられているといえる。

まず、①については、そもそも、原子炉流入以前の地下水にも放射性セシウムが微量含まれていることが6月3日に発表されており、今回の新たな海水への汚染発覚で漁業者の一層の反発を買うことが予想される。しかし、東電としては「国」の責任で強行的に押し切ろうという姿勢を示している。産經新聞が6月24日にネット配信した記事をみてみよう。

「国の判断必要」と東電 福島原発の地下水放出
2013.6.24 21:45
 東京電力福島第1原発事故で、汚染水を減らすため、地下水を井戸でくみ上げ海に放出する「地下水バイパス」計画について、東電の新妻常正常務は24日「最終的には、漁業関係者の反応をしっかり受け止めて国に説明し、国にご判断いただくことが必要だ」と述べた。

 福島県いわき市で開かれた福島県漁業協同組合連合会(県漁連)の組合長会議に出席し、終了後、記者団の質問に答えた。

 新妻常務は「(出席者から)漁業関係者が結論を下し、責任を負うことがいいのかという意見があった」と語った。さらに「まずは地下水と汚染水は違うということを丁寧に説明していく」として、県内の漁業関係者に説明を続け「説明会後に国に報告する」との考えを示した。

 県漁連の野崎哲会長も会議終了後「地下水の流入を抑制しないといけないという共通認識はある」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130624/fks13062422060000-n1.htm

これが実現しても流入する汚染水の四分の一が減少できるにすぎない。③の汚染タンクの拡充、④の多核種除去装置の稼働は、いずれにしても弥縫策にすぎない。となると、まったくの新技術である②の「凍土壁」設置によって地下水侵入を阻止することしか、決め手にならない。

しかも、今回の地下水ー海水への放射能汚染は、単に流入してくる地下水を防ぐだけでは不十分であることを示している。現実的に福島第一原発を廃炉にする作業過程においては、原子炉内部を水にみたして核燃料をとりだすことが想定されているが、地下水が侵入し汚染水として流出する状態ではそれは難しい。

結局、弥縫策を繰り返して、なんとかもたせているというのが現状であるといえるのである。もちろん、現状維持も全く意味がないわけではない。しかし、その中で、放射能汚染は拡大し、事態収束の筋道すらみえなくなっている。これが福島第一原発の現状といえよう。

Read Full Post »