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Posts Tagged ‘国際廃炉研究開発機構’

最近、ほとんど整理できないほど、福島第一原発事故の異常事態が、主要メディアでも伝えられている。たとえば、共同通信はトレンチから1リットル当たり23億5000万bqの放射性セシウムに汚染された水が検出されたと報じ、「汚染水対策は事実上破綻」と批判した。

【福島第1原発の現状】 汚染水対策は事実上破綻  海洋流出防げるか不透明

 福島第1原発からの汚染水の海洋流出を受け、東京電力は護岸の地盤改良など流出防止策を急ぐが、対策の効果は不透明だ。加えて敷地内の汚染水は1日400トンのペースで増え続け、抜本的な解決策もない。廃炉に向け当面の最重要課題とされた汚染水対策は事実上、破綻している。
 「1リットル当たり23億5千万ベクレル」。原子力規制委員会が汚染水の漏えい源と疑う敷地海側のトレンチ(地下道)にたまっていた水の放射性セシウム濃度だ。東電が27日、発表した。トレンチが通る2号機タービン建屋東側の一帯では5月以降、観測用井戸で高濃度汚染水の検出が相次いでいる。
 東電は4月、港湾内で長さ約780メートルにわたって鋼管約600本を壁のように打ち込む「海側遮水壁」の工事を始めた。完成は来年9月ごろで、汚染水が海に漏れ出さないよう“念のため”の措置だった。
 ところがわずか約2カ月後、敷地海側や港湾内の海水で高濃度汚染水の検出が相次ぐと、水ガラスという薬液で護岸などの地層を固める「土の壁」の工事に着手せざるを得なくなった。
 トレンチには事故直後に流れ込んだ極めて高濃度の汚染水がたまっている。2011年4月に2号機取水口近くで汚染水漏れがあったことを受け、継ぎ目部分の縦穴を埋めて水の流れを遮断しているが、本来は配管や電源ケーブルを通すためのトレンチに、防水処理は施されていない。
 東電は早期に汚染水を抜き取ってトレンチを埋める計画だが、ここが汚染源だとすれば、完了までは高濃度の汚染水が漏れ続ける。今月26日に記者会見した 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長は「もっと早くやるべきだった」と悔やんだ。
 一方、汚染水をどう減らすのかも重要な課題だ。建屋に流れ込む前の地下水を井戸でくみ上げて海に出す「地下水バイパス」計画は地元の強い反発でめどが立たない。1~4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」は15年の完成を目指すが、世界的に例のない取り組みで効果は未知数だ。「まずは流入量を減らさないとだめだが、抜本策は挙げられない」と広瀬社長は苦悩をにじませている。
(共同通信)
2013/07/29 12:2
http://www.47news.jp/47topics/e/244207.php

そして、結局、原子力規制委員会も、東電頼みでデータをとるのではなく、自らの分析チームを7月29日に設置した。そのことを伝える毎日新聞のネット記事を下に掲載しておく。

福島第1原発:汚染水問題 規制委、分析チームを設置
毎日新聞 2013年07月29日 11時20分(最終更新 07月29日 12時33分)

 東京電力福島第1原発から出た放射性汚染水が海洋に流出している問題を受け、原子力規制委員会は29日、第1原発の収束作業が適切に実施されているかをチェックする「特定原子力施設監視・評価検討会」の会合を開いた。規制委は、汚染水について分析する作業チームを設置することを決めた。現在は「東電任せ」になっている放射性物質のデータ採取・分析について、客観性を確保するのが狙い。

 検討会は、東電が汚染水の海洋流出を公表して以降、初めての開催となる。作業チームは、原子力規制庁や産業技術総合研究所などで構成し、東電も加わる。規制委の更田(ふけた)豊志委員は「地下水や地層、土木の専門性がある職員を結集し、より実質的な分析を進めたい」と述べた。汚染水が海へ流出している現状を受け、海のモニタリング態勢を強化する検討チームも別に作る。

 一方、規制委は東電から汚染水の現状をヒアリングした結果、2号機海側の電源ケーブル用トレンチ(トンネル)下部の砕石層(砂利)が汚染水の通り道になっているとの見方を強め、早期の対策実施を求めた。http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130729k0000e040153000c.html

また、以上の問題と関連するかどうか不明だが、8月1日、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織「国際廃炉研究開発機構」が設置された。

福島第一原発廃炉で新組織
8月1日 14時46分

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織が設立され、1日、茂木経済産業大臣から認可書が交付されました。

新たに設立されるのは「国際廃炉研究開発機構」で、原発の製造メーカーや電力会社など17の企業や政府系の研究機関から500人以上が参加します。
茂木経済産業大臣が、1日、機構の理事長を務める京都大学原子炉実験所の山名元教授に対し「福島県民や国民の期待は高く、関係者が一丸となって、すばらしい成果を挙げていただきたい」と述べて認可書を手渡しました。
福島第一原発の廃炉は、世界でも例のない技術的に難しい作業で、最長で40年に及ぶとされています。
機構では、廃炉作業が順調に進むよう、溶け落ちた核燃料を取り出す技術の確立や、放射線量が高い場所でも遠隔で操作できるロボットの開発など、幅広い分野の研究開発を共同で行うことにしています。
山名理事長は「オールジャパンで技術を結集し、海外からも積極的にアイデアを募って、できるかぎり早く廃炉技術を育てたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130801/k10013460401000.html

東電自体が、もはや当事者能力がなく、物事を先送り、その場しのぎの対応をしているのは、すでに広く理解されていることである。東電側からすれば、福島第一原発の廃炉作業に資金・人員・技術をつぎこんでも利益にはならない。柏崎刈谷原発の再稼働にむけて、政府・自民党に協力したほうが、より利益にはなるだろう。これは、営利会社として当然の論理である。結局、東電の存続を許し、事実上国有化したにもかかわらず、民間会社の形態をとらせることで、安上がりな「廃炉」をしようとしていた政府こそ、一番責任を負わなくてならない。

その意味で、政府機関である規制委員会が、分析だけにせよ独自の体制を組んだことは、遅きに失しているし、全く不十分ではあるが、国の責任で廃炉作業をしなくてならないことを暗示させているものといえる。しかし、結局、実行部隊ではない。廃炉作業の研究開発をする「国際廃炉研究開発機構」も、結局は、「原発の製造メーカーや電力会社など17の企業」が中心になっているようである。廃炉作業を契機とした企業グループの形成というべきか。

この廃炉作業は、資本が投下して利潤を上げられる事業ではない。しかし、ボランティアでできるようなものではない。福島第一原発の廃炉作業は、現状では採算を度外視してすすめるしかないのではなかろうか。

それにしても、東電ではない体制をとるにせよ、その核になるかもしれない原子力規制委員会自体が心もとない。田中俊一委員長が排出基準値以下の汚染水を将来的に海に放流するしかないと発言したことは、本ブログでも伝えたが、案の定、周辺の漁協から反発された。

原子力規制委に福島県漁連が反発 汚染水の排出めぐり

 原子力規制委員会の田中俊一委員長が、東京電力福島第一原発の処理済みの放射能汚染水を海に排出することを認めた発言を受け、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は26日、「県漁連としては排出を認めない。発言の真意を規制委に確認している」と述べた。

 福島市で開いた県漁連の組合長会議で語った。会議では、ある組合長から「汚染が薄まったとしても海への排出は認められない」と反発の声が上がった。

 田中委員長は24日の記者会見で、原発敷地のタンクにたまる一方の汚染水について、「きちんと処理して(国の排出)基準以下になった汚染水を海に排出することは避けられない」と発言した。
http://www.asahi.com/national/update/0726/TKY201307260276.html

東電はもはや福島第一原発を管理することができない。それは、良心の問題というよりも営利会社という体質の問題である。そして、こうなると、責任を負うのは、株主である国なのだが、その中核となるべきと考えられる原子力規制委員会は、体制が不十分であるとともに、社会から信頼を得ていない。そして、また、廃炉作業にむけての企業グループがつくられようとしている。しかし、資本を投下しても利潤を得られない廃炉作業に、どれほど営利会社が関心をもつだろうか。結局、公的資金で行う事業の「下請け」でしかなかろう。

資本主義と国民国家、この二つの共犯関係の上で、現在の日本社会はよくも悪くも運営されてきた。しかし、福島第一原発の廃炉作業は、今までの体制ではできそうもない。チェルノブイリ事故がおこり、そればかりが原因ではないが、ソビエト連邦は解体した。日本社会もまた、そのような危機が眼前にあるといえる。

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