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山本太郎参院議員が園遊会において福島原発事故について訴えた手紙を天皇に手渡した「事件」の決着が11月8日についた。そのことを伝える毎日新聞のネット配信記事をみておこう。

山本太郎氏処分:天皇の「政治利用」議論深まらず 
毎日新聞 2013年11月08日 23時49分(最終更新 11月08日 23時56分)

 秋の園遊会で山本太郎参院議員(無所属)が天皇陛下に原発事故の現状を訴える手紙を手渡した問題は8日、山崎正昭参院議長が山本氏を厳重注意し、皇室行事の出席を禁止する処分を伝え、ひとまず決着した。与野党は前例のない山本氏の行動を「非常識な行為」と位置付けたものの、調整は「懲罰」に傾き、政治的に中立な天皇の「政治利用」に関する論議は深まらなかった。

 「参院議員として自覚を持ち、院の体面を汚すことがないよう肝に銘じて行動してほしい」

 山崎氏は8日昼、国会内に山本氏を呼び、こう諭した。山本氏は「猛省している」と陳謝した。これまでに山本氏は手紙を手渡した理由として、福島第1原発事故に関して「子供たちの健康被害、原発作業員の労働環境の実情を伝えたかった」と述べ、「政治利用ではない」と釈明していた。

 憲法は国民主権を原則としており、4条で「天皇は国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定めている。しかし、山本氏の行動は原発事故対応という政治課題に天皇陛下を巻き込んだともいえ、「文書を手交すること自体が政治利用ではないか」(石破茂自民党幹事長)との批判が浮上。自民党からは自発的辞職を求める強硬論も出ていた。

 ただ、前例のない事態のため、政治利用に該当するかどうかまで踏み込んだ議論に至らないまま、結論までに1週間を要した。参院議院運営委員会の理事会では「憲法などに照らして懲罰には値しない」(共産党)として、厳罰処分には慎重な意見もあった。

 皇室の政治利用を巡っては、これまでも議論が続いてきた。高円宮妃久子さまの9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会への出席や、天皇陛下が出席する形で4月に安倍政権が開いた「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」は、いずれも政権の意向や要望に沿ったもので、野党側は「政治利用に当たる」と批判している。

 昭和史や皇室の歴史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康さんは「山本氏の行動は国会議員の資質に欠けるが、政治利用というのは一定勢力による行為を言い、今回は違う」と指摘。その上で「一部で処分を議論するより、皇室と政治のあり方について山本氏に所信を述べさせるなど、国会全体で議論すべきだった」と話した。【影山哲也、飼手勇介】http://mainichi.jp/select/news/20131109k0000m010130000c.html

結局のところ、「皇室行事への参加禁止」ということになった。そもそも、国政の権能を有さない天皇に対して国政上のことを記した手紙を国会議員が手渡すこと自体が不適当であるが、「園遊会」自体が憲法上の公的儀式ではないともいえる。私自身は、山本太郎の行為は明白な違法性はなく、そのことについて特別のペナルティーを課すべきではなかったと思う。すでに、このブログで述べたように、2004年の園遊会において「政治利用」的発言をした東京都教育委員の米長邦雄は、与野党とも責任を問う声は全くなく、朝日新聞が「政治利用」にあたるのではないかと社説で批判したが、ペナルティーが必要とまでは論じていない。1901年の田中正造の「直訴」も、すでに議員は辞職しており、不敬罪にあたるのでないかという声もあったが、意志においても行為においても不敬にはあたらないとして、結局無罪であった。

結局、山本太郎の「皇室行事への参加禁止」ということになったが、そのことの「不当性」はともかくとして、自民党を中心とした山本太郎を批判した政治家たちの「気分」をうまく現したものだと考える。

彼らの主張である、憲法の規定にしたがって天皇の政治利用をすべきではないということは、元々は彼らが言ってきたことではない。たとえば、2004年の米長邦雄発言に対する朝日新聞の批判のような、彼らが「対峙」していると思っている側の論理をかりたものでしかないのである。主権回復の日式典への天皇出席やIOC総会における高円宮妃出席など、政権与党は合法的に「政治利用」してきた。そして、また、2004年の米長発言に対しては、内閣とは無関係であったにもかかわらず、与野党とも批判すらしていなかった。「天皇の政治利用」について、自分たちの側が行う限り、批判することはなかったのである。

結局のところ、山本太郎という、反原発派であり自分たちの対極にあると考えられる議員が、「天皇の政治利用」と目される行為をしたということに憤激したといえるのではなかろうか。そして、彼らとしては、山本の「自発的辞職」を期待したが、そうはならなかった。しかし、正式に懲罰動議にかけるとなると、「天皇の政治利用」自体が懲罰理由になりうるという先例を残してしまう。それゆえ、正式な懲罰ではなく、ほとんど法的根拠が希薄な「皇室行事への参加禁止」という措置になったのだと思う。

そして、また、山本太郎個人への「皇室行事への参加禁止」ということは、山本太郎に批判的な議員の本音をよく現しているといえる。つまり、天皇に近付いて、「政治利用」をするなと、山本太郎個人に命じたのであって、「政治利用」自体は禁止されてはいないのである。そういう意味をもった「皇室行事への参加禁止」なのである。

そして、「皇室行事への参加禁止」ということは、たぶん直接には山本太郎の参院議員としての職務遂行には影響しないことであるといえる。園遊会などは、もちろん国政ではないが、さりとて憲法上の国事行為でもない。そういうことは、本来の「政治」ではないのである。このことが、帝国憲法とは違った日本国憲法体制の特質を語っているといえる。

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さて、前回のブログで、2012年6月20日、原子力規制委員会設置法の付則というかたちで、原子力基本法も法改正され、原子力三原則に「前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」という文言が追加されたことを、原子力三原則の歴史的経緯からみてきた。簡単にいえば、被爆国ということを前提にした「原子力の平和利用」に限定するための方針である原子力三原則の精神に相反する改変であるといえる。

では、具体的には、どのような経緯で、原子力基本法は改変されたのか。ここでは、その経過をみていこう。

まず、どのような形になったのか。改正された原子力基本法の冒頭部分の改変個所を確認しておくことにしよう。「 」のところが改変された部分である。なお、原子力基本法は原子力安全委員会のことなども規定しており、そのようなことも、原子力規制委員会設置法で定められている。

(目的)
第一条
 この法律は、原子力の研究、開発及び利用(「以下『原子力利用』という」と付け加えられる)を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。
(基本方針)
第二条
 「原子力利用」(「原子力の研究、開発及び利用」を修正)は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。
「2 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」

民主党内閣は、「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」及び「原子力安全調査委員会設置法案」を国会に提出することを2012年1月31日に閣議決定したが、その中には、「安全保障に資する」などの規定はない。この2法案は、内閣府にある原子力安全委員会や経産省にある原子力安全・保安院などを、今回設置する環境省の外局としての原子力規制庁に一元化し、規制庁内部に「原子力安全調査委員会」に置くなど、原子力の安全性を保障する体制を確立することをめざしたものである。そこには「原子炉原則40年廃炉」という方針も設けられた。しかし、原子力基本法に対する姿勢は、今回の法改正とは全く違うものである。

具体的には、「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」の第三条には、このような改正を規定している。

第三条 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
  第一条中「利用」の下に「(以下「原子力利用」という。)」を加える。
  第二条中「原子力の研究、開発及び利用」を「原子力利用」に改め、同条に次の一項を加える。
 2 前項の安全の確保については、これに関する国際的動向を踏まえつつ、原子力利用に起因する放射線による有害な影響から人の健康及び環境を保護することを目的として、行うものとする。
(後略)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm

現在の改定部分は、政府原案では、「前項の安全の確保については、これに関する国際的動向を踏まえつつ、原子力利用に起因する放射線による有害な影響から人の健康及び環境を保護することを目的として、行うものとする」とされていたのである。いわば、原子力基本法の「安全」規定を、「放射線による有害な影響」から健康や環境を保護することと、より詳細に決めている。これ自体も、原子力三原則の改変であるが、原子力三原則の精神に相反するものではないといえる。

しかし、この政府案に対抗して出された、自民党・公明党の「原子力規制委員会設置法案」は、全く相反した原子力基本法改変の提案を行っている。自公案は、政府案において首相が緊急時の対応において「原子力災害対策本部」より原子炉関係の指示することを嫌って、独立した形で「原子力規制委員会」を設置し、平時も緊急時もその委員会から安全対策を行うとするものである。政府案と自公案の考え方の違いは、福島第一原発事故への対応において、どこが問題になったかということへの見方の違いに起因している。政府案は、原子力安全・保安院や東電が十分な対応できず、政府側が指揮権を発動せざるをえないというところから構想している。他方、自民党側は、政府側が現場をーといっても東電や原子力安全・保安院ということになるがー振り回したことが事故の原因であるとし、ゆえに、政府から独立している「原子力規制委員会」に、緊急時の最終的指揮権を与えることを意図したものである。どちらもどちらであるが、政府案であれば、選挙の結果成立したまともな政府ー民主党政権ではないがーのもとであれば、より適切な事故対応が行われる可能性があるが、自公案であれば、専門家ーいわば「原子力ムラ」の人びとーから構成される「原子力規制委員会」にまかさざるをえないということになるだろう。

この自公案の「原子力規制委員会設置法案」では、第三条において、次のように規定している。

第三条 原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ることを任務とする。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm

ここで、「安全保障」という文言が出ているのである。そして、付則第十一条において、このように規定しているのである。

(原子力基本法の一部改正)
第十一条 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
  第一条中「利用」の下に「(以下「原子力利用」という。)」を加える。
  第二条中「原子力の研究、開発及び利用」を「原子力利用」に改め、同条に次の一項を加える。
 2 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
(後略)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm

このように、あきらかに原子力規制委員会設置法案に引きずられた形で、原子力基本法を改変することがめざされているのである。そして、この原子力基本法の改定案は、実際に、この形で改変されたのである。

ある意味では、政府案と自公案は、原子力基本法の改変においても、全く違う姿勢をとっていた。それが、自公案をもとに改変されることになった。このことは、民主党・自民党・公明党の三党合意によるものといえる。次にかかげる毎日新聞のネット記事のように、6月14日、原子力規制委員会設置法案に関しての三党合意が成立した。ここでは、あまり強調されていないが、原子力規制委員会が原子力安全対策の要になることなど、民主党政権が、自公案にすりよったものといえる。そして、ほとんど報道されていないが、この中で、原子力三原則の改変も盛り込まれたのである。

<原子力>規制組織、3党最終合意…「原子力防災会議」新設
毎日新聞 6月14日(木)13時11分配信
 民主、自民、公明3党は14日午前、原子力の安全規制を担う新組織の設置法案の修正内容で最終合意した。首相をトップに全閣僚で構成する常設の「原子力防災会議」を新設。専門家らの「原子力規制委員会」が策定する原子力防災指針に基づき、原発敷地外での平時の防災計画や訓練などを推進し、関係各省庁、自治体との調整などの実務を行う。

 同会議は議長を首相が務め、副議長に官房長官と規制委員長、環境相を充てる。事務局は内閣府に置き、環境相を事務局長とする。3党は原子力基本法を改正し、同会議の設置を盛り込む方針だ。

 13日の3党実務者の修正協議で、原発敷地外の規制委、国、自治体の連携のあり方が最後の論点として持ち越されていた。

 14日午前に国会内で民主党の仙谷由人政調会長代行、自民党の林芳正政調会長代理、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行が協議し、新法案の全容が固まった。新法案は今国会で成立する見通しだ。【岡崎大輔】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120614-00000037-mai-pol

しかし、この後の経過はひどいものである。6月15日に、政府案・自公案はともに撤回され、環境委員長名で「原子力規制委員会設置法案」が提案され、即日環境委員会での審議を終えることを強要された。法案の趣旨説明もされたが、そこでは、原子力基本法の改正には言及されていなかった。共産党所属の吉井英勝衆議院議員の環境委員会における発言を、ここでは紹介しておく。

吉井議員 質疑時間の中で意見も表明してくれという話なんで、今から意見を申し上げておきたいと思います。

 昨年の三・一一福島第一原発事故は、全電源喪失によるメルトダウンとその後の水素爆発によって大量の放射性物質を大気中に飛散させ、汚染水を海洋に流出させるなど、チェルノブイリに並ぶ史上最悪の原発事故となりました。

 あれだけ大きな被害を受け、今も約十六万人の人々が避難生活を強いられているときに、事故の深い原因究明と責任、教訓を明らかにして、本来、特別委員会を設置して各党が十分な議論を尽くしてよい法律をつくるべきであるのに、環境委員会という一つの常任委員会での審議で、しかも、三党修正協議がきょう出てきていきなり質疑、採決というやり方は、議会制民主主義に反する暴挙であり、民主、自民、公明三党修正協議と法案審議のあり方そのものについて、まず強く抗議をしておきたいと思います。

 その上で私は、原子力規制委員会設置法案に対し、反対の意見を述べます。

 このような事態を招いた政府と東京電力の責任は極めて重大です。事故を完全に収束させ、放射能汚染の被害から国民の生命と暮らしを守り、二度とこのような事故を起こすことのないように事故原因の徹底究明が不可欠であり、本法案の大前提となるものです。

 ところが、政府や国会の事故調の事故原因の究明が途上であるにもかかわらず、加害者である東京電力は、想定外の津波が原因で、人災でないと責任回避を続けております。野田政権もまた、津波、浸水が事故原因で、地震の影響はなかったという驚くべき断定を行いました。

 これは、再び新しい安全神話を復活させ、大飯三、四号機を初め、原発再稼働に進み、原発輸出戦略の条件づくりであり、断じて容認できません。

 この点でまた、事故の被害を拡大した当時の官邸の混乱のみを菅リスクと過大に問題にすることは、事態を一面的に描くものです。

 これと同時に、三・一一以前の歴代自民党政権の原子力行政のゆがみを徹底的に検証しなければなりません。

 反対理由の第一は、昨年の三・一一福島第一原発の事故原因と教訓を全面的に踏まえた法案となっていないからであります。

 特に、原子炉等規制法で根拠も実証試験もなく、老朽原発の四十年、例外六十年制限としたところ、本法案ではさらに事実上青天井とし、半永久的稼働を容認したことは、政府案を一層改悪するものであり、認められません。

 第二に、原子力規制組織をいわゆる三条委員会としていますが、推進と規制の分離、独立性を確保すべき原子力委員会を環境省のもとに置くとしていることは容認できません。

 環境省は、歴史的にも基本政策の上でも原発推進の一翼を担ってきた官庁であり、今国会に提出している地球温暖化対策基本法案で、温室効果ガスの排出抑制のため原発推進を条文上も明記したままです。これの削除と根本的な反省なしに真の独立は担保されません。当然、電促税を財源とする財源面でも問題であります。

 第三に、原子力基本法を改め、原子力利用の目的について「我が国の安全保障に資する」としたことは、いわゆる原子力平和利用三原則にも抵触するものです。

 また、国際的動向を踏まえた放射線対策と称して、内外の批判の強いICRP、国際放射線防護委員会の線量基準などを持ち込もうとしていることも認められません。

 最後に、我が国の原発政策の根幹をなす日米原子力協定と電源三法のもとで、原発安全神話をつくり上げ、地域住民の反対を押し切って原発を推進してきた歴代自民党政権の、政財官学の癒着した一体構造そのものにメスを入れる必要があります。

 地域独占体制と総括原価方式に守られた、電力会社を中心とする、原発メーカー、鉄鋼、セメント、ゼネコン、銀行など財界中枢で構成する原発利益共同体ともいうべき利益構造を解体することと、そして、再生可能エネルギーの爆発的普及とその仕事を地域経済の再生に結びつけ、エネルギーでも地域経済でも原発に依存しない日本社会への発展の道こそ、政治的決断をするべきものであります。

 以上申し述べて、私の発言を終わります。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

また、6月15日の衆議院議院運営委員会でも、共産党の佐々木憲昭議員が、次のような抗議を行っている。

○佐々木(憲)委員 原子力規制委員会設置法案に対して、意見表明をいたします。

 この法案は、民主、自民、公明の三党によって緊急上程されようとしておりますが、断固反対です。

 法案は、昨夜十九時の時点で、でき上がっていなかったのであります。示されたのは、A4の紙一枚の、未定稿の要綱のみであります。きょうになって法案が示され、それを、まともな審議もせず、どうして採択できるでしょうか。しかも、本会議での討論も行わないなど、到底認められません。

 もともと、法案は、環境省の所管を超える広範な領域を含む原子力行政全般にかかわるものであり、全ての政党が参加し、充実した審議を行うにふさわしい委員会に付託すべきでありました。本会議では、重要広範議案として扱われ、総理も出席して質疑が行われたのであります。

 ところが、三党は、特定の範囲しか扱わない環境委員会に原子力規制委員会設置法案を付託するという暴挙を行ったのであります。

 私たちが抗議すると、与党は、議運理事会で、環境委員会に付託するかわり、審議には日本共産党、社民党、みんなの党などを常時出席させて審議を行わせ、理事会にも出席させるという言明がありました。

 しかし、審議時間は極めて短く、きょうを入れてわずか二回しか行われず、連合審査は一回だけでありました。理事会では、陪席さえ許されず、単なる傍聴扱いでありました。委員会での総理出席の審議も行われておりません。なぜ、これほど拙速な形で法案を通さなければならないのでしょうか。

 この法案には重大な問題が含まれております。

 第一は、昨年の三月十一日福島第一原発の事故原因と教訓を全面的に踏まえた法案となっていないのであります。

 特に、原子炉等規制法で、根拠も実証試験もなく、老朽原発の四十年、例外六十年制限としていたところ、本法案で、さらに、事実上、青天井とし、半永久的稼働を容認したことは、政府案を一層改悪するものであります。

 第二は、原子力規制組織について、推進と規制の分離、独立性を確保すべき規制委員会を環境省のもとに置くこととしていることであります。

 環境省は、歴史的にも、基本政策の上でも、原発推進の一翼を担ってきた官庁であり、今国会に提案している地球温暖化対策基本法案で、温室効果ガスの排出抑制のため、原発推進を条文上も明記したままであります。この削除と抜本的反省なしに、真の独立性は担保されません。

 第三に、原子力基本法を改め、原子力利用の目的について、「我が国の安全保障に資する」としたことは、いわゆる原子力平和利用三原則にも抵触するものであります。

 最後に、我が国の原発政策の根幹をなす日米原子力協定と電源三法のもとで、安全神話をつくり上げ、地域住民の反対を押し切って原発を推進してきた歴代政権の政財官学の構造そのものにメスを入れることが必要であります。原発再稼働など論外であります。

 このことを指摘し、意見表明といたします。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

しかし、同法案は、衆議院本会議におくられ、そのまま可決されてしまったのである。

参議院においては、いまだ会議録が公開されておらず、確定した情報はない。ただ、この法案には4日間しか審議期間がなかったことは報じられている。15日は金曜日であるから、たぶん、17・18・19・20日の4日間であろう。民主党議員も含めて、それなりの議論はあり、環境委員会での付帯決議も可決されたと伝えられている。そして、最終的に、20日の参議院本会議で、同法案は可決され、原子力三原則の改変がなされてしまったのである。

原子力三原則の影響については、また別個に記しておきたい。ただ、いえることは、この原子力規制委員会設置法による原子力三原則の改変は、16日に民・自・公が合意した消費増税法案の成立過程と平行して行われており、それと同様の問題をはらんでいるということだ。消費増税案と同様に、原子力規制委員会設置法案でも、ほとんど自公案の骨子を民主党が受け入れる形で民・自・公の合意が成立した。この合意は、公開の場である国会審議を無視した形で行われ、人びとの目にふれない形で、このようなことがなされてしまったのである。民・自・公という大政党が「合意」すれば、公開の原則すら蹂躙される。

他方、民主党議員でも、このような改変には疑問をもった人びとはおり、参議院環境委員会でも議論はあったようである。しかしながら、参議院本会議での採決結果をみると、ほとんど民主党議員は同法案に賛成しているのである。消費増税法案と同様に党議拘束がかかっているのである。ある意味で、一部議員個人の意識すら相反した形で、この改変はなされたのである。

ある意味で、衆議院・参議院ともに多数を獲得するという意味でおこなわれた、民・自・公合意の危険性が、消費増税だけではなく、原子力三原則の改変過程でも表出されたといえる。

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