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この前、3月18日に発生した福島第一原発の停電事故について紹介し、電源二重化などの「多重防護」がとられていないことを批判した。

この停電事故の原因についての報道を聞いて、一驚した。まず、次のNHKがネット配信した、次の記事を紹介しておきたい。

冷却トラブル 小動物接触しショートか
3月20日 18時43分

福島第一原子力発電所で使用済み燃料プールの冷却システムなどが止まったトラブルで、東京電力が調べた結果、仮設の配電盤の端子などに焦げ跡が見つかり、近くでネズミのような小動物が死んでいました。
東京電力は、小動物が端子に接触し、ショートなどが起きた可能性があるとみて、原因を調べています。

福島第一原発では18日夜、外部から電気を受けている3つの配電盤が停止して停電が発生し、1号機と3号機それに4号機の使用済み燃料プールや、使用済み燃料を専用に保管する共用プールの冷却システムなど、合わせて9の設備で同時に機能が停止しました。
すべての冷却システムが復旧したのは、発生からおよそ29時間ぶりとなる20日午前0時すぎで、おととしの原発事故のあと、これだけ長時間、複数の冷却システムが止まったトラブルは初めてです。
東京電力は、20日朝から本格的な原因の調査を始め、停止した配電盤のうち仮設のものの内部を詳しく調べたところ、20日午後0時半すぎに、電気が流れる端子とそばの壁に焦げ跡があるのを見つけ、近くで体長15センチほどのネズミのような小動物が死んでいました。
このため東京電力は、仮設の配電盤で小動物が端子に接触しショートなどが起きたうえで、配電盤につながるほかの電源設備が異常を検知して停止し、大規模なトラブルに広がった可能性があるとみて、原因を調べています。

配電盤の状況は
問題の配電盤は、停止した3つのうち唯一、外のトラックの荷台の上に置かれた仮設のもので、箱型をしています。
箱の表面には、5つの窓が縦に2列並んでいて、窓ごとに電源ケーブルをつなげる個別の電源盤があり、焦げ跡が見つかったのは、上の段の1つの電源盤です。
焦げ跡は、ケーブルがつながった部分の上にある端子付近で、黒くすすけているのが分かります。
また、そのすぐ横の壁にも焦げ跡がついていました。
さらに電源盤の下で体長15センチほどのねずみのような小動物の死骸も見つかりました。
東京電力は、原因はまだ特定できていないとしていますが、小動物が端子の間に挟まりショートするなどして配電盤が停止した可能性もあるとみて、さらに詳しく調べています。
東京電力によりますと、この仮設の配電盤は、事故直後のおととし5月に設置され、夏までに建物内にある配電盤に切り替える予定になっていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130320/t10013336491000.html

もちろん、この、配電盤へのネズミ侵入が停電事故の原因という断定は東電もしていない。直前に実施した二号機燃料プール冷却装置の電源二重化工事の影響ではないかと指摘する次のサイトもある。

http://ameblo.jp/kennkou1/entry-11495219795.html

しかし、それにしても、事故後2年もたっていながら、配電盤がトラックの荷台に置かれた仮設のものであり、ネズミ侵入を阻止する手だても講じられていないことには、まったくあきれた。「多重防護」以前の問題であろう。河北新報は、次のように、東電の責任を論じている。

福島第1停電 事故の教訓生かせず バックアップ設備なし

福島第1原発の停電で、原因究明のため仮設配電盤を調べる作業員=20日(東京電力提供)

 使用済み核燃料の冷却が29時間にもわたって停止した東京電力福島第1原発の停電。屋外の仮設配電盤にネズミが入り込んでショートさせた可能性が原因として浮上した。仮設の設備に万が一の際のバックアップ設備はなかった。今回の冷却停止問題は、2年前の事故の教訓を生かせない東電の判断の甘さをあらためて印象づけた。
 停電は18日午後7時前に発生。東電は配電盤ごとに異常の有無を調べていき、共用プールや3、4号機の冷却システムが接続された仮設配電盤に行き着いた。当初は修理を試みたが不具合の原因を特定できず、停止した設備を別の配電盤につなぎ替える応急措置で全面復旧にこぎつけた。
 ネズミとみられる小動物の死骸がみつかった仮設配電盤は事故後の2011年5月、4号機近くの屋外に止めたトラックの荷台に設けられた。使用済み燃料の冷却設備がつながる重要な配電盤にもかかわらず、バックアップ設備はなかった。
 仮設配電盤には複数の電線が接続されており、隙間が生じてネズミなどの小動物が入り込む恐れが十分に予測できたのに、東電は対策を講じていなかった。
 理由は、プール内の燃料が一定程度冷やされているため、原子炉内の燃料に比べ、冷却機能を失っても危機的状況に陥るまでに時間的余裕があるからだ。
 しかし今回の冷却停止は、住民の不安や安全性への不信を招いた。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理も「判断や対応の甘さを指摘されれば否定はできない」と、非を認めている。

2013年03月21日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/03/20130321t65009.htm

東電が、福島第一原発において、ほとんどまともな安全対策を講じないのは、単に怠慢というだけでなく、営利企業としての「体質」によるものと考えられる。営利企業は利潤を獲得することを目的にして投資するのである。原発の安全対策も、電力生産設備を維持することを目的としているといえよう。

しかし、福島第一原発1〜4号機は、もはや「廃炉」が決定している。もちろん、福島第一原発5・6号機を稼働させることはできよう。しかし、周辺住民が避難せざるをえなくなっている中で、稼働させることは非常に困難であろう。

その意味で、福島第一原発は、もはや電力を生産できず、東電にとって利潤を生まない。しかも、炉心溶融・爆発などで破壊され、高線量の中にある福島第一原発の廃炉作業のコストは莫大なものとなろう。

2012年6月に1兆円の公的融資をうけ、7月に実質的に国有化されたといっても、基本的に営利企業としての「体質」は変わらないであろう。もちろん、利潤にならなくても廃炉作業を行なわなくてはならないということはかわらない。そして、現場の人びとは、責任をもって作業をしているとも思う。しかし、東電全体としては、なるべく、コストはかけたくないであろう。そのため、コストのかかる安全対策は先延ばしになっていくと考えられる。そのことが、今回の停電事故の背景にあったといえよう。

そうなると、40年もかかり、さらには作業用ロボットの製作からはじめなくてはならないとされている福島第一原発の廃炉作業を、営利企業である東電にまかせてよいのだろうかという気持ちになってくる。やはり、東電は解体し、その財産すべてを福島第一原発の廃炉作業と福島第一原発事故の補償金や除染費用にあて、福島第一原発の廃炉作業は、公的機関によってなすべきなのではなかろうか。

そして、また、廃炉作業を考慮にいれると、営利企業である電力会社が原発を運転しているという体制自体が福島第一原発に限らず危ういものに思える。利潤の上がらない廃炉作業に、営利企業である電力会社が、安全対策を含めて、コストを十全に負担するものなのだろうか。

こうなってくると、営利企業の限界ということがみえてくるだろう。福島第一原発の廃炉作業は、日本列島にすむ人びとーいや、日本列島に住む人びとに限るものではないがーの大きな関心事である。しかし、営利企業である東電においては、利潤にならない廃炉作業のコストを縮減することが、会社の存続のためにはからなくてはならないことなのである。このような東電に、これから40年もかかるとされる福島第一原発の廃炉作業をまかせてよいのだろうか。そのような問いが惹起されるのである。

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