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Posts Tagged ‘仙台市’

前回は、宮城県が実施しようとする都市計画・区画整理・住宅地高台移転につき、現状の政治状況で、どれだけ財政的に実現可能性を有しているのかということを検討してみた。今回は、区画整理事業にしぼって、その問題性をみてみよう。

土地区画整理事業について、土地区画整理法(1954年制定)では、「この法律において「土地区画整理事業」とは、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従つて行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業をいう。」と規定している。都市計画の手法の一つであり、主に、市街地の区画を整理し、街路を設置もしくは拡張し、広場・小学校用地などの公共施設を創設するものである。例えば、農地を宅地とする際とか、まがりくねった路地しかない既存の市街地に大きな街路を通し、区画を整理する際などに行われている。

特徴的なことは、原則的には、公に土地を買い上げるというのではなく、区画整理の該当用地の地権者が、それぞれ道路を中心とする公共用地にするためと区画整理事業費にあてるために、一定の割合で平等に土地を供出し(減歩)、道路などを設置した後で、それぞれの地権者が有していた面積に応じてその区画で土地を割り当てる(換地)というやりかたをしていることである。詳しくは、次に、ウィキペディアによる「土地区画整理事業」の項目を一部抜粋するので、それをみてほしい。

制度の仕組み [編集]

施行者 [編集]
土地区画整理事業を施行する者(施行者)は、以下の通り法定されている。
宅地について所有権若しくは借地権を有する者 – 個人施行者
宅地について所有権若しくは借地権を有する者の同意を得た者 – 同意施行者(都市再生機構、地方住宅供給公社など)
土地区画整理組合
区画整理会社
都道府県及び市町村
国土交通大臣
都市再生機構
地方住宅供給公社
土地区画整理組合は、土地所有者または借地権者7人以上からなり、都道府県知事の認可を必要とする。
区画整理会社は、土地区画整理事業の施行を主たる目的とした株式会社であり、都道府県知事の認可を必要とする。
換地計画 [編集]
施行者は、施行地区内の宅地について換地処分を行うため、換地計画(かんちけいかく)において以下の事項を定めなければならない。
換地設計
各筆換地明細
各筆各権利別清算金明細
保留地その他の特別の定をする土地の明細
その他国土交通省令で定める事項
清算金は、従前の宅地と換地の不均衡を清算する金銭をいう。
保留地は、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、換地として定めない一定の土地をいう。
仮換地の指定 [編集]
施行者は、換地処分を行う前において、工事または換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。
仮換地が指定された場合、従前の土地の使用収益権者は、換地処分の公告があるまで仮換地の使用収益ができるようになり、従前の土地の使用収益権を失う。
換地処分 [編集]
換地処分は、関係権利者に換地計画において定められた関係事項を通知してするものとする。そのうえで、都道府県(または国土交通大臣)が公告をおこなう。
換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、所有権等が移転し、清算金が確定する。また、保留地を施行者が取得する。
減歩 [編集]
道路、公園などの公共施設の整備のために必要な公共用地と、事業費を生み出すために必要な保留地は、地権者から土地の一部を提供させることにより確保する。これにより土地が減少する事を減歩(げんぶ)と呼ぶ。(ただし土地区画整理法には、下記の照応の原則を定めるのみで、減歩という用語自体は無い。)
減歩には、公共用地のための減歩(公共減歩)、保留地のための減歩(保留地減歩)があり、両者を合計したものを合算減歩と呼ぶ。土地収用の場合と異なり、減歩そのものに対する金銭による補償はない。(下記の精算金・減価補償金は減歩そのものに対するものではない。)これは、事業のために減歩を課されて土地の評価(土地の経済的価値ではなく施工者が算出した評価点)が地積の減少したぶん下がっても、事業の完成による「土地利用の増進」があるので、結果としては事業前と同じ評価となって財産権を侵害しないという考え方による。
換地 [編集]
換地は、換地とその従前地(施行前の宅地)の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならないとされている。これを照応の原則と呼ぶ。ただし、この照応とは、各諸事情を総合勘案して、換地とその従前地が大体同一条件にあり、換地相互が概ね公平に定められることをいうものと解釈されており、全くの同一条件で換地するという意味ではない。ここから、照応していれば地積が減少することもあり得るところから、土地区画整理法上の明文の規定は無くとも減歩を課すことは可能とされている。
清算金 [編集]
換地を定める際に、計算上の換地面積(権利地積)どおりに換地を過不足なく配置することは技術的には不可能であり、換地相互に多少の不均衡が生じる。その不均衡の是正は、実際に換地した土地の評価と計算上交付すべき土地の評価の差を金額換算した清算金の徴収または交付によって行われる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E5%8C%BA%E7%94%BB%E6%95%B4%E7%90%86%E4%BA%8B%E6%A5%AD

このように、区画整理は、地権者が土地を供出することによって、道路などの公共用地を取得し、さらには事業費までねん出できるものなのである。この場合、地権者だけが一方的に負担を強制されているようにみえる。しかし、区画整理された以後の土地は、それ以前の土地と比べて価値が高くなっている。例えば、農地を宅地にすることを考えてみよう。農地の一部を削って道路とすると、その分だけ土地所有面積は少なくなる。しかし、宅地にすることによって、その土地の使用価値も高まり、ひいては地価も上昇することが予想される。そのため、地権者も潤うことになるのである。区画整理事業は、そのような発想に基づいている。

都市計画をする官庁からいえば、コストなしで道路などを取得でき、さらには事業費も賄うという点で、コストをあまりかけない開発が可能となる。地権者側では、決して反対がなくはないが、最終的により高度な土地利用ができれば、むしろ利益になる。そのように、公私ともども利益になるといえる。そして、関東大震災や阪神大震災の市街地復興において、区画整理の手法は全面的に使われてきた。

しかし、この手法は、現代においては大きな問題をかかえている。先ほどのウィキペディアの記事は、的確な指摘をしている。

最近の事業の動向 [編集]

戦後からバブル期までの土地区画整理事業は、特に組合施行においては、日本の高度経済成長という社会情勢下で、純粋な事業効果よりも社会全体のインフレーションに伴う地価上昇に依存した安定した事業運営と権利者の利益傍受への期待から来るモチベーションにより発展してきたと言える。
しかしながら、バブル期以降の低成長期においては、デフレーションによる地価下落や保留地販売の不振の影響により、事業採算が確保しづらい状況となった組合もあり、経営破綻に陥った例もある。 これら組合においては、地権者からの賦課金徴収などの再建策が採られる場合があるが、実際の徴収は困難な場合が多く、特定調停や民事再生などの法的整理を申請した組合もある。 ただし、すべての組合が破綻しているわけではなく、適正な事業運営を行っている組合や昨今の地価回復傾向の影響により順調に進められている事業もまた多い。 いずれにしても、土地区画整理事業(特に組合施行)は、外的経済の影響を受けやすい収支構造を持っていると言え、低成長型の経済情勢下において、事業の仕組みを構築する転換期となっていると考えられる。
資産価値に対する影響 [編集]
施行者側からは「減歩により土地の面積は減っても、周辺の基盤整備が行われて土地の利用価値が増し、土地の価格も上昇するため、資産価値は減少しない。」という説明がなされる場合が多い。 しかしながら、事業外要因であるデフレーションなどにより、土地価格が下落し結果的に資産価値が減少する場合がある。 一方、事業内要因のみによっても整理後の宅地全体の資産価値が、整理前と比べて減少するケースもある(事業後も地価の上昇が見込めない地区の場合)。この場合、土地区画整理法第109条の規定により減価補償金を支払うことになるが、実務上、減価補償金で整理前において減価補償金を交付することに代えて、宅地を先買いする手法が使われる。先買いすることで各宅地の減歩は緩和でき、整理後の宅地の資産価値が、整理前より減少しないようにできると考えられている。

いってしまえば、区画整理事業は、将来の地価上昇があってはじめて引き合う事業となるのである。現状において、デフレが進行する中で、区画整理事業後、むしろ地価が下がることが予想される。そうなると、区画整理事業費ねん出のために売り出す予定であった土地が売れなくなる。さらには、地権者には「減価補償金」を支払うケースも想定されるのである。

ある意味では、いまだ土地・家屋の需要がある、東京や神戸のような大都市においては、区画整理は有効といってよいだろう。また、私のみた仙台市やその周辺の多賀城市などの衛星都市群においても、このような区画整理はいまだに有効なのではないかと考えられる。しかし、震災前から、例えば三陸地方など東北の各地域は、過疎に苦しんでいた。過疎ということは、人口が流出しているということであり、その結果、土地や家屋が過剰となっていることを意味するであろう。そうなると、地価は下降傾向となる。その中で、区画整理事業を行うということは、コストが都市計画を行う官庁や地権者にかかってくるということになりかねないのである。

津波被災後復興にむかう多賀城市(2011年7月25日)

津波被災後復興にむかう多賀城市(2011年7月25日)

震災後は、より深刻な状況なのではないかと考える。津波被災地よりの人口流出は、震災以前よりも激しくなっているといえる。住居も生業の場も失った人びとが、他地域に移転していくことは、簡単には押しとどめられないであろう。そうなると、地価は下がり、土地を売却することすら難しくなってくると考えられる。

復興が遅れている女川町(2011年7月26日)

復興が遅れている女川町(2011年7月26日)

岩手県や福島県が、あまり積極的に建築制限をかけないのは、そのような観点もあるだろう。

宮城県の場合、大都市仙台を擁しているということで、大きな違いがある。しかし、かなり過疎地であることが想定される、気仙沼市・女川町・南三陸町・石巻市(もちろん、部分的には区画整理が有効なところもあると思うが)にまで建築制限をかけたことは、かなりの問題であると思われる。もちろん、理想的な都市を構築することはどこの町(東京においても)課題なのであるが。

私は、むしろ、人口流出を押しとどめ、津波被災地の再定住化をはかるということが、区画整理を実施するにも必要なことなのだろうと思う。そのような見通しがないと、区画整理をしても、自治体や地権者が多大な負担と背負うことになってしまう。それに、宮城県知事の主張するように、その負担を国が背負ったとしても、それによる地方利益は一時的なものにすぎないと考えられる。原発と同じだ。当たり前のことであるが、津波被災地に、人びとを呼び戻すこと、それが基本なのではなかろうか。

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