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9月27日、長野県・岐阜県の県境にある木曽御嶽山が水蒸気噴火し、登山客を中心にして47人以上(10月4日現在)の犠牲者が出て、戦後最悪の噴火災害となった。

この噴火直前の9月には、火山性地震の増加が観測されていた。今になってみれば、前兆といえるだろう。しかし、結局、噴火予知はなされず、事前の対策はとりえなかった。火山噴火予知の難しさが浮き彫りになったといえる。

そして、この御嶽山噴火によって、川内原発再稼働にも今まで以上に不安の声がなげかけられるようになった。川内原発が所在している南九州は、木曽御嶽山や富士山もおよびもつかない阿蘇カルデラ、加久藤・小林カルデラ(霧島山周辺)、姶良カルデラ(桜島周辺)、阿多カルデラ(開聞岳周辺)、鬼界カルデラ(薩摩硫黄島周辺)と巨大カルデラ火山が5個も存在している。この川内原発周辺の火山噴火のリスクについて、時事新報は2014年7月16日のネット配信記事で次のように伝えている。

巨大噴火「予知困難」=火山学者、審査疑問視-160キロ圏カルデラ五つ・川内原発
※記事などの内容は2014年7月16日掲載時のものです
 原子力規制委員会が審査書案をまとめた九州電力川内原発(鹿児島県)が立地する南九州には、過去に巨大噴火を起こした火山が複数ある。規制委や九電は噴火の兆候を監視すれば対応できるとの立場だが、火山学者からは「予知は困難」と疑問の声が上がっている。
 噴火によって火砕流が原発に到達すれば、設備の損壊や作業員の死傷につながりかねない。降灰でも機器が故障したり、交通網がまひしたりする恐れがある。
 原発の規制基準は半径160キロ圏内の火山を検討対象としている。川内原発では巨大噴火があったことを示すカルデラ(大きなくぼ地)が主なものだけで五つある。九電はうち三つについて、火砕流が川内原発がある場所に達した可能性を認めている。
 規制委はカルデラでマグマの量が増えれば地表付近に変化があるとの前提に立ち、九電に観測場所を増やすよう求めた。
 だが、日本大の高橋正樹教授は「噴火の時期や規模の予測は不可能」と苦言を呈する。
 日本では、巨大噴火は1万年に1回程度の割合で発生している。高橋教授は、前回の巨大噴火は約7300年前で、近い将来再び噴火する可能性も否定できないと話す。  また、東京大地震研究所の中田節也教授は「地震対策で活断層を13万年前までさかのぼって調べるなら、1万年に1回という頻度の巨大噴火対策はより厳しくないといけない」と指摘する。
 規制委の審査では、火山の専門家が九電の対策に直接意見を述べる機会がなかった。首都大学東京の町田洋名誉教授は巨大噴火の発生頻度が低いことを認めつつ、「自然は人の思うようには動かない」と強調。鹿児島大の井村隆介准教授も「近くのカルデラで、既にマグマが多量にたまっている可能性も否定できない」と懸念している。
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_energy-genpatsu-sendai20140716j-02-w330

1万年に一回の頻度で起きている九州の巨大カルデラ火山噴火の規模はすさまじい。火砕流は川内原発を含む南九州一帯に及び、火山灰は日本全国に達する。7300年前におきたとされている鬼界カルデラ火山噴火は、南九州の縄文社会を一時途絶させたとされている。おきてしまえばどうしようもないのだが、原子力規制委員会や九州電力は、「予知」した対策を講じることができるとして川内原発再稼働をすすめている。しかし、火山の専門家たちは「予知」は困難であるという懸念を示している。

そんな時におきたのが、御嶽山噴火であった。原子力規制委員長田中俊一は、次のように述べている

原子力規制委員長:「御嶽山と一緒に議論は非科学的」
毎日新聞 2014年10月01日 20時44分(最終更新 10月01日 20時56分)

 御嶽山が大きな予兆なく水蒸気噴火し、原発の噴火リスクが改めて注目されている。再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の噴火対策について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は1日の記者会見で「(御嶽山の)水蒸気噴火と、(川内原発で想定される)巨大噴火では起こる現象が違う。一緒に議論するのは非科学的だ」と述べ、審査の妥当性を強調した。

 火山噴火予知連絡会によると、御嶽山の総噴出物は100万トン程度で、小規模噴火と分類した。一方、規制委が考慮する巨大噴火の規模はケタ違いで、噴出物は今回の100万倍に相当し、火砕流は100キロを超える地点まで到達する。もし、運転中の原発を襲えば、対処不能に陥る。

 このため、規制委は、火山の監視を強化し、巨大噴火の兆候が観測されれば原子炉を停止したり、核燃料を搬出したりするなどの対策を取ることにしている。

 九電は、川内原発から半径160キロ以内の14火山を「将来活動性がある」「活動性を否定できない」と評価。たとえ噴火しても「敷地への影響はない」とし、火山灰の影響は、桜島の噴火で敷地内に15センチ積もる場合を想定して対策を講じた。規制委はこれらの結果を妥当と結論づけた。田中委員長は「御嶽山より大きい噴火が起きても影響はないと評価した」と話した。

 しかし、巨大噴火は1万年に1回程度しか起こらず、研究は進んでいない。規制委は火山学者を集めた検討会を作り、観測態勢やどのような現象を噴火の兆候と考えるかの指針作りに着手。検討会で火山学者から「現在の火山学では巨大噴火の予測は困難」「巨大噴火の兆候とする判断基準がない」など疑問の声が相次ぎ、判断基準は今後の検討課題となっている。

 田中委員長は「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない」と述べた。http://mainichi.jp/select/news/20141002k0000m040102000c.html

田中は、御嶽山の水蒸気噴火と巨大カルデラ火山噴火は現象が違うので、予知できるとしている。しかし、そもそも、一万年に一回程度しかおこらない九州のカルデラ火山噴火については研究が進んでいない。どういう前兆があり、どういうメカニズムで起こるということについて、経験した知見がないのである。御嶽山でも異常現象はあったが、噴火の前兆としては認識されなかった。巨大噴火の際、前兆現象があるかどうかすらわからないが、あったとしても、それが噴火の前兆として認識されるかどうかも不明なのである。

そして、「予知」がなされたとしても、有効な対策をとる時間があるのだろうか。ロイターは、次のような記事をネット配信している。

アングル:予知困難な火山噴火、川内原発再稼動で住民心理に影響も
2014年 09月 29日 19:02

 9月29日、御嶽山が27日に噴火し、多数の犠牲者が出たことで、噴火予知の技術的な能力や態勢面などで困難な要因が山積していることを印象づけた。

 東大地震研究所の中田節也教授は、8月25日に規制委が開いた「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム」の会合で、「巨大噴火の時期や規模を予測することは、現在の火山学では極めて困難」と指摘した。

中田教授はカルデラ噴火の前兆を捉えることができるとする点については否定しない。同教授は5月下旬、ロイターの取材に対し「数カ月前、数週間前なら確実に異常は捉えられると思う。大きな噴火なら、もうすこし長めに(前兆が)起こると思う」と述べる一方で、「それ(前兆)が数年前に起こるとか、数年前に理解できるものではない」とも語った。

原発施設に高温の火砕流が飛んでくるようなカルデラ噴火が発生するならば、核燃料を原子炉から取り出して火砕流が届かない安全な場所に搬出する必要があるが、数カ月間では終わらない作業だ。

規制委の田中俊一委員長は、核燃料を原子炉から取り出して輸送キャスクに入れて外部に搬出できるまでの期間について「通常の輸送は、5年程度は(川内原発など加圧水型では格納容器横の燃料ピットで)冷やしてから」(9月10日の会見)と述べている。
http://mainichi.jp/select/news/20141002k0000m040102000c.html

東大地震研究所の中田節也は、数ヶ月もしくは数週間前に異常は把握できるだろう、巨大噴火ならばもう少し前からおきるだろうと述べつつも、その前兆そのものを数年前から理解できるというものではないとしている。しかし、核燃料搬出は5年程度冷却しなくてはできないと田中俊一自身が認めている。噴火予知は5年前にしないと間に合わないのだ。

なんらかの前兆があって、5年後に噴火するかもしれないという報告があったとして、その報告がまともにとりあげるのだろうか。福島第一原発の場合でも建設時に想定されているよりも大きな津波が来るという報告があっても、対策はされなかったのである。

九州の巨大カルデラ火山噴火は、人類が九州に居住している限り、深刻なカタストロフィーになるだろう。しかし、川内原発がそれにまきこまれることは、放射性物質汚染をプラスすることになるのだ。その点は、東日本大震災と福島第一原発と同様である。

原子力規制委員長田中俊一は「御嶽山と一緒に議論は非科学的」といった。しかし、そもそも巨大カルデラ火山噴火自体が科学的に研究されていない。現状では、「数年前に予知」するということのほうが非科学的であろう。彼は、「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない」といった。この言葉が示すように、サイエンスではなくビジネスが問題なのである。

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