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Posts Tagged ‘中間貯蔵施設’

昨日(11月23日)、3.11以後初めて福島県楢葉町に足を踏み入れた。福島第二原発の門前に行ってしまい、そこで検問されるというハプニングはあったが(特定秘密保護法があったら、どうなっていたかわからない)、昨年8月10日に警戒区域が解除されて避難指示解除準備区域となった楢葉町に立ち入ることは可能になったようである。

楢葉町で印象づけられるのは、除染作業の進行と、放射性廃棄物と思われる黒いビニール袋の山である。町中、いたるところ、農地や道路、常磐線の線路、民家の軒先などに、黒いビニール袋が山積みされていた。林野の中の空き地や、津波被災によって空き地になったところにも、沢山の黒いビニール袋が積み上げられていた。そして、「楢葉除染」というステッカーをはった車が行き交っていた、そして、除染作業者関係の建物が建設されていた。楢葉町で見かけた人たちの多くは除染作業員であった。次の写真は、下繁岡というところから撮影したものだ。厳密にいえば井出川という川の対岸なので、井出というところかもしれない。このような景況は、町の全域でみられる。

楢葉町における除染作業(2013年11月23日)

楢葉町における除染作業(2013年11月23日)

海岸部には、いまだ津波被災の跡がみられる。といっても、ほとんどの瓦礫は片付いていたが。次の写真も下繁岡で撮影したものである。

楢葉町の津波被災(2013年11月23日)

楢葉町の津波被災(2013年11月23日)

ただ、海岸部を除けば、民家にせよ、道路にせよ、3.11の爪痕はあまりみえなかった。3.11直後は、福島市などでも瓦が落ちた家などが頻繁にみられたが、そういうものはみられない。屋根修繕などはすでに完了しているようである。しかし、民家の多くの窓は閉められ、洗濯物もみられず、住民の行き来もほとんどない。避難指示解除準備区域では、立ち入りは可能だが、居住は原則的に制限されている。住民はまだ帰還できないのである。その中で、前述したように、除染作業と、積み上げられた黒いビニール袋にいれられた廃棄物の山ばかりが目立つのである。

除染作業の効果は限定的であり、一度の作業で年間1mSv以下の線量になるとは限らない。しかし、とりあえず、一般的には生活領域の線量低減にはつながるとはいえよう。しかし、この楢葉町では、そうとはいえないかもしれない。楢葉町は福島県の中間貯蔵施設の建設候補地の一つとされていて、県内の放射性廃棄物を受け入れることが想定されているのだ。

近隣の広野町やいわき市では、それほど放射性廃棄物の山は目立たない。楢葉町の場合、もちろん除染作業中ということもあるが、いたるところで放射性廃棄物の山がみられるのである。すでに、既成事実作りが先行されているのもかもしれない。

さて、この楢葉町に所在している木戸川というところは、3.11以前、鮭の放流事業で有名であった。3.11以前行ったことはないが、今回、木戸川にいってみた。

木戸川河畔のプレート(2013年11月23日)

木戸川河畔のプレート(2013年11月23日)

たぶん、ここに、遡上してきた鮭をつかまえる簗場が設置されていたのだろう。この前に木戸川漁協があり、鮭の慰霊塔などが建設されていた。

木戸川漁協前の記念碑(2013年11月23日)

木戸川漁協前の記念碑(2013年11月23日)

実際、木戸川には鮭が遡上してきていた。次の写真で水しぶきをあげているのが鮭である。

木戸川を遡上する鮭(2013年11月23日)

木戸川を遡上する鮭(2013年11月23日)

しかし、遡上できず、力つきた鮭もいた。この周辺では、肥料のような異臭がただよっていた。そして、たくさんのカモメがまっていた。

木戸川で力つきた鮭(2013年11月23日)

木戸川で力つきた鮭(2013年11月23日)

この鮭の遡上には、なんというか微妙な気持にさせられた。鮭からすれば「自然」の摂理にしたがっただけであり、「健気」としかいいようがない。しかし、放流した人間の側は、それを利用できないのである。

それでも、地元で鮭の放流を再開しようという動きがあることが報道されている。福島民報は10月9日に次の記事をネット配信している。

28年目標サケ放流再開 木戸川漁協、ふ化場整備急ぐ

 楢葉町の木戸川漁協(松本秀夫組合長)は、東京電力福島第一原発事故に伴い中止していたサケの稚魚放流を平成28年春を目標に再開する。8日までに仮事務所を置くいわき市で理事会を開き決めた。
 町内に3カ所あったサケふ化場が東日本大震災の津波で被災しており、松本組合長は「町の協力を得て改修などを行い、施設再開の見通しが早まれば一年でも前倒しして放流事業を始めたい」などと期待を込めた。
 同漁協はサケふ化場で育てた稚魚を震災と原発事故前は年一回、平均1400万~1500万匹を放流していたという。同漁協によると26~27年度は稚魚を他の施設から購入し、年間5千~1万匹を試験的に放流。27年度に施設を再開させ稚魚増殖を再スタートし、28年春、6年ぶりに本格的な放流を始める計画だ。
 今後は遡上(そじょう)するサケや水質のモニタリング、河川の除染などが課題になる。松本組合長は「サケは町の観光面でも大きな比重を占めていた。雇用の受け皿としても町の復興を後押したい」と話し第二次町復興計画と連動させることを強調する。
 同漁協は昨年度からサケのモニタリングを開始した。捕獲した約100匹全てで放射性セシウムは検出下限値未満だったという。今年は20日から12月18日まで全10回にわたり300匹を調査する予定。

( 2013/10/09 11:30 カテゴリー:主要 )http://www.minpo.jp/news/detail/2013100911406

この記事自体、微妙な感慨を持たざるをえない。その必死さは了解せざるをえないのだが、住民が家にもどっての鮭の放流事業ではないだろうか。人が住めるところであるということが、農業にせよ、水産業にせよ、工業にせよ、産業の前提になるのではないだろうか。

そして、この記事でも河川の除染が問題になっている。それは、上流部の山林の除染ということにも関連しているのである。楢葉町においては中間貯蔵施設の設置が想定されている。放射性廃棄物が集められるということと除染はやはり微妙な関係があるだろう。

楢葉町の木戸川に鮭は戻り、それを放流してきた住民たちはまだ戻れない。それが、楢葉町の現状といえるのかもしれない。

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2013年1月23日、福島第一原発の地元である、福島県双葉郡双葉町の井戸川克隆町長が辞職した。このブログでもこれまでの経緯を述べているが、ここでは、背景事情も詳しく報道している、福島民報2013年1月24日付ネット記事をあげておく。

井戸川双葉町長が辞職届 「信念曲げて続けられない」 3月末までに町長選
 双葉町の井戸川克隆町長(66)は23日、埼玉県加須市の町埼玉支所で臨時庁議を開き、2期目の任期途中での辞職を表明した。町議会事務局に辞職届を提出した。福島民報社の取材に対し「放射線量などの問題で信念を曲げてまで町長を続けるつもりはない」と理由を述べた。地方自治法に基づき、2月12日午前零時で失職する。3月末までに町長選が行われる見通しだが、立候補しない意向を示した。町議会の不信任決議案可決を受け、井戸川町長が解散した町議会の議員選挙は予定通り24日に告示される。
 井戸川町長は体調不良を訴え、20日から郡山市の病院に入院していた。町によると、23日午前に退院し、午後3時ごろから加須市の支所で決済などの公務をこなした。午後4時半ごろから臨時庁議を開き、辞職の意向を示したという。
 井戸川町長は同日夜、支所で福島民報社の取材に応じ、「町民の健康と町を守りたいという思いだけで取り組んできた。悔しい気持ちもあるが、潮時だと思った」と話した。町長選には立候補しない意向を示した。
 井戸川町長の現任期は12月7日まで。地方自治法では、町長が辞職する場合、20日前までに町議会議長に届け出ると規定されている。町議会の解散に伴い、議長が不在のため、井戸川町長は町議会事務局に届け出た。23日から20日後の2月12日午前零時で失職する。その場合、町は、12日から新町長が就任するまで井上一芳副町長が町長の職務代理者を務める。ただ、町議選後に議会が辞職に同意すれば、町長の辞職が早まる可能性がある。公選法では、辞職から50日以内に町長選を行う。投票日を日曜日とすると3月末までに町長選が行われる見通しだ。
 東京電力福島第一原発事故で、双葉町は全町民が避難生活を送っている。井戸川町長は汚染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、昨年11月に佐藤雄平知事と双葉郡7町村長が現地調査受け入れを決めた際の会議を欠席した。
 昨年6月と9月の町議会に井戸川町長の不信任決議案が提出されたが、いずれも否決。会議の欠席を受けた12月議会は全会一致で可決された。これに対して井戸川町長は辞職せず、同月26日に議会を解散した。
 24日告示の町議選には前職の8人が立候補し、無投票当選する公算が大きくなっている。町議選後の臨時議会では、あらためて井戸川町長の不信任決議案が提出され、町長が失職する可能性が高まっていた。

( 2013/01/24 09:15 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201301246195

なお、井戸川町長は、2013年1月の年頭挨拶で「双葉町の道しるべ」というメッセージを双葉町のサイトに出し、井戸川町長自身が考える双葉町の今後のあり方を提示した。後任の双葉町長が、このメッセージを抹消する恐れもあり、ここでは、歴史に残る資料として、全文を掲げておく。

双葉町の道しるべ
双葉町の道しるべを申し上げます。
1.双葉町・町民は国、福島県、東京電力と協力し、双葉町民の一日も早いふるさとへの帰還を目指します。
(1) 双葉町・町民のふるさとへの帰還にあたっては、人の健康の観点から国、福島県、東京電力と協力し、徹底した放射能の除去に取り組みます。
(2) 双葉町・町民がふるさとに帰還するにあたっての放射能除去の目標値は、国際放射能防護委員会(ICRP「2007年勧告」)の示す一般住民の年間積算被ばく線量の上限1ミリシーベルトとします。
2.双葉町・町民は国、福島県、東京電力と協力し、双葉町・町民の一日も早いふるさとへの帰還を目指し、以下の取り組みをします。
(1) 双葉町・町民のふるさとと双葉町への帰還の目標を暫定的に30年後とし(汚染物質である放射性セシウムの半減期が約30年であることから、双葉町への帰還居住は暫定的に30年後とする)その期間中、2011年3月11日以前の生活保障に取り組みます。
(2) ここで言う生活保障とは以下のことを指します。
イ.家族の営みや生活を成り立たせる仕事及び住居
ロ.健康な生活、就学、医療の手当てなどが保障される生活環境
ハ.ふるさとを奪われた過酷な状況の中での生活文化の継承
3.双葉町・町民は国、福島県、東京電力と協力し、2011年12月16日に事故の収束が宣言された東京電力福島第一原子力発電所事故について、人の健康の観点から徹底した事実解明に努めます。
(1) 双葉町・町民、国、福島県、東京電力は福島原発事故の全ての情報を共有します。
(2) 東京電力及び国は、福島原発事故の収束を宣言したことに基づき、双葉町・町民が原子炉からの新たな放射性物質漏出に脅かされないことを確約する。
(3) 東京電力及び国は、2011年3月11日より後に漏出した放射性物質が福島原発事故の収束宣言した東電福島第一原発敷地内に存在する場合には、帰還する双葉町・町民の健康の観点から速やかに撤去する。
以上について取り組みます。
 
 平成25年1月4日
双葉町長 井戸川 克隆
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20130107.html/

このメッセージで重要なことは、双葉町民の被曝線量限度を年間1mSvととし、国、福島県、東京電力の除染には協力するものの、双葉町民の帰還時期を、セシウム137の半減期である30年後としていることである。そして、それまでの間の生活保障に努力するとしている。つまりは、政府や福島県が年間20mSvを基準として住民の帰還を進めることに真っ向から反対しているのである。

そして、辞職した1月23日、井戸川町長は、「双葉町は永遠に」というメッセージを出した。これも、全文を掲載しておく。

双葉町は永遠に
 私たちは前例の無い避難という過酷な状況に置かれています。いつまでも海原を漂流するわけにはいきません。早く上陸地を国が準備して、再興できる日を求めてきました。しかし、時間が足りませんでした。
 放射能のないところで平和な、皆が集える町ができることを祈り町民の安寧を願って、私は本日、双葉町長の辞職申し出をしました。
 私の今までの取り組みから次のことを申し上げたいと存じます。

1 事故に負けない
 原発事故で負けるということは、今のまま、何もしないことである。
 双葉町民には負けてほしくない。勝ってそれぞれ生き抜いてもらいたい。今はそれぞれの地に離れて住もうとも、廃炉が完了して故郷から放射能の危険が去り、自然と共生出来るようになったら再結集しよう。
 我が子どもたちへ、この悔しさを忘れることなく、何としても生き抜いて何倍も幸せな双葉町を再建していただきたい。そのためにも負けないで学び、求められる人になれ。世界の雄になってもらいたい。
(1) 負けないということは以下のことを忘れないこと
①避難してくださいと国から頼まれたこと。
②東電と国は事故を絶対起こさないと言っていたこと。
③町と県と東電には安全協定があること。
④事故は我々が起こしたものではないこと。
⑤正式な謝罪と見舞いがないこと。(形のあるものではないこと)
⑥自分の権利は自分以外に行使できないこと。
⑦被ばくさせられたこと。
⑧放射能の片付けをさせられること。
⑨20msv/yで町へ帰ること。(一般公衆の限度は1msv/y以下)
(2) 勝つためには何をしなければならないか
①事故の原因者を確定すること。
②我々の受けた損害のメニュー作成すること。
③損害の積算をすること。
④回復の請求をすること。
⑤回復の限界と代替を請求すること。(仮の町、借りの町)
⑥立証責任の不存在を共有すること。
⑦気づくこと。
⑧水俣の住民の苦難を学ぶこと。
⑨広島・長崎の住民の方に聞くこと。
⑩避難先の皆さんの恩を忘れないこと。
⑪多くの町民が健全な遺伝子を保つこと。
⑫ウクライナの現実を確認して同じテツを踏まないこと。
(3) 町民の力を結集すること
①役割分担をすること。
 ・汚染調査 ・除染問題 ・賠償問題
 ・住居問題 ・職場問題 ・健康問題
 ・墓地問題 ・学校問題 ・中間貯蔵施設問題
 などの調査研究する組織をつくり町民の不利益を解消すること。
②事故調査委員会をつくること
 事故の報告書には避難を強制された住民の実態が語られていない。外部に任せていたらいい加減に処理されてしまうので、委員会を町独自に構成して正しい記録を残さなければならない。
2 主張する権利を行使する
①見守り隊の組織
②法律家の組織
③文書学事の組織
④ボランティア活動組織
⑤被ばく被害者団体の組織
などを組織して国民の主権と被害者の復権を勝ち取らなければならない。
3 この世には先人の教えがある
(1) 温故知新
 歴史から新しい発想が出てくる。自分が直面している問題について語られています。遠くは私たちの祖先である標葉藩が相馬に滅ぼされたこと、会津藩が長州に負けたこと。しかし、負けても滅びる事もなく私たちは生きてきました。先人達に感謝し、これからは私たちが町の存続を引き継ぎ後世に繋がなければなりません。今度の事故は前例がありません。今は子どもたちを放射能の影響によるDNAの損傷を避けて暮らし、幾多の困難に負けずに 双葉町の再興に向かって、生き延びましょう。
(2) 人生に五計あり
 中国、宋時代の朱新仲が教訓として伝えた人生の処世訓とされるものです。生計、身計、家計、老計、終計があり、生き抜く考えが記されています。
(3) 八正道と言う道
 昔、釈迦がインドで行われていた求道について、新しい道があることを説いたとされています。
正見  : 正しい物の見方
正思惟 : 正しい思考
正語  : 偽りのない言葉
正業  : 正しい行為
正命  : 正しい職業
正精進 : 正しい努力
正念  : 正しい集中力
正定  : 正しい精神統一

 今の私たちにはこのような精神にはなれません。この言葉は東電と国あるいはこの事故を被害者の人権を無視して矮小化しようとしている勢力に猛省を促す言葉として捉えてほしい。願わくば、双葉町の子どもたちに人生の教訓の一部として、心に刻んでほしい。

 この事故で学んだことは多い。我国でも人命軽視をするのだと言うことがわかった。国は避難指示と言う宣戦布告を私たちに出した。武器も、手段も、権限もない我々はどうして戦えるだろうか。

 白河市にアウシュヴィッツ博物館がある。ナチスがユダヤ人を毒ガスで虐殺したことは衆目の事実だ。福島県内では放射能という毒で県民のDNAを痛めつけている。後先が逆だ。この状態から一刻も早く避難をさせること以外に、健康の保証は無い。その後に十分時間をかけて除染をやれば良い。
 人工放射能に安全の基準を言う実績が少ない。20msv/yで住めると言う人が家族と一緒に住んで示すことが先だろう。その安全が確認出来たら福島県民は戻ればいい。これ以上モルモットにするのは、外国の暴君が国民にミサイルを撃つのと変わり無い。
 福島の復興なくして日本の再生はないとは、人口減少の今、将来の担い手を痛めつけていては、真に福島の復興には繋がらないと心配している県民は少なくないと思う。双葉町は原発を誘致して町に住めなくされた。原発関連の交付金で造った物はすべて町に置いてきました。

 原発の誘致は町だけで出来ない、県が大きく関わってはじめて可能となる。私たちは全国の人たちから、「お前たちが原発を誘致しておいて被害者面するな」という批判を受けている。私たちはどこにいても本当の居場所がない今、苦悩に負けそうになりながら必死に生きている。子どもたち、高齢者、家計を支えなければならないお父さん、お母さんたちの悲鳴を最初に菅総理に訴えた。変わらなかった。そのために私は野田総理に国民としての待遇を訴えたのです。しかし、今の町民の皆さんは限界を超えています。何とか国には町民の窮状を訴え、町民には叱られ役をやり、マスコミに出されるようにしてきました。

 県にも窮状を訴えています。最近も質問をしました。回答は具体的な内容ではなく失望しました。知事は福島の復興のために双葉町に中間貯蔵施設を造れと言うので、双葉町の復興はどうするのですか、と聞くと答えてくれません。そこで、踏み込んで私に町をくださいと言いましたがやはり答えませんでした。これでは話し合いになりません。

 環境省の局長にどうして双葉に二つの場所を決めたのですかと聞いたら、分かりませんと言いました。では会議録をみせてくださいと聞いたら、後日ありませんと言う返事でした。このようなことで、調査だけで建設はしないからと言われて、ハイいいですよとは言えません。
 町には古くから先人が築いてきた歴史や資産があります。歴史を理解していない人に中間貯蔵施設を造れとは言われたくありません。町民の皆さんが十分議論した後に方向を決めていただきたい。若い人に決めてもらうようにしてほしい。

 今まで支えていただきました町民の皆様、双葉地方各町村をはじめ福島県内各市町村の皆様、国及び福島県そして事故発生時から避難救済にご支援いただきました国民の皆様、国会議員の皆様、全国の自治体の皆様、埼玉県と埼玉県議会の皆様、県民の皆様、加須市と加須市議会の皆様、市民の皆様、さくら市の皆様、医療界の皆様、福祉関係の皆様、貴重な情報の提供された方、最後に国内並びに世界中からボランティアのご支援をいただきました皆様、この避難を契機にご支援いただきました多くの皆様に支えられて、ここまで来ることができました。心から感謝を申し上げまして、退任のご挨拶に代えさせていただきます。
 長い間誠にありがとうございました。
 
 平成25年1月23日
双葉町長 井戸川 克隆
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20130123.html/

このメッセージについて、今の私には全体を論評することはできない。「歴史から新しい発想が出てくる。自分が直面している問題について語られています。遠くは私たちの祖先である標葉藩が相馬に滅ぼされたこと、会津藩が長州に負けたこと。しかし、負けても滅びる事もなく私たちは生きてきました。先人達に感謝し、これからは私たちが町の存続を引き継ぎ後世に繋がなければなりません。」などと、さかんに「歴史」から、今後を展望しようとする論理がみられることだけ指摘しておこう。現時点では、それぞれの人が味読してほしい。

また、1月24日に、ouraplanet-tvが井戸川町長にインタビューした動画が残されている。

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F1518

これを視聴していると、新聞報道やメッセージで表面化していない事情も語られていることがわかる。例えば、双葉町長選に再出馬しないかという問いに対し、井戸川氏は、「この問題は大きな問題で、双葉町の問題ではなく、福島県、日本の問題である、双葉町の首長をやっていると、限られたところしか活動できない、悩んでいる人びとは福島県にいっぱいいる、その人たちと連携をはかって、今後どうするのかということもでてくると思う、県内で不満をもっている人たちと連携をはかりつつ、この事故はこれで終りではないし、これで終わらせてはならない、これは大きな犯罪であるから、どうやって立証立件できるかということに努力しなくてはならないと思う、ものすごく忙しくなると思う」と語っていることが印象的であった。井戸川氏は、むしろ、この辞職を契機として、より多くの人びととともに、原発問題に立ち向かおうとしているのである。井戸川氏も、他の人も、このことで意気消沈する暇はないのだ。このことが感想として、強く思ったことである。

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さて、朝日新聞が、福島県の中間貯蔵施設候補地(双葉町、大熊町、楢葉町)の住民に、その是非をめぐってアンケート調査を行い、その結果を2012年12月31日付朝刊に掲載した。まず、1面に掲載されたアンケート結果を総括する記事を解説してみよう。まず、この記事の見出しでは、中間貯蔵施設建設にアンケートに答えた住民の7割が「理解」を示したことを強調している。

中間貯蔵施設の調査候補地住民 7割「建設計画に理解」 本社アンケート305人回答

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出る汚染土を保管する中間貯蔵施設をめぐり、国が調査候補地にしている場所の住民に朝日新聞がアンケートを行ったところ、回答者の76%が施設の建設計画に理解を示した。多くの人が「避難先から戻るのが難しい」ことを理由に挙げた。新たな土地での生活再建を望む人が多い実態がわかった。▶31面=住民「もう帰れないなら」

続いて、アンケート方法について、この記事は記述している。中間貯蔵施設において想定される放射性物質のリスクは、いわゆる「風評」も含めて、それぞれの町内の広い範囲に及ぶと考えられるが、ここでは「近隣」程度に絞っていることに注目しておかねばならない。いうなれば、中間貯蔵施設建設によって土地などが買い上げ対象となり、リターンを得る可能性がある住民に限定しているといってよいだろう。しかも、郵送アンケートとはいえ、回答率は39%である。6割以上の人たちが回答していないのである。

 

アンケートは、環境省が示した福島県双葉、大熊、楢葉3町の調査候補地の地図から対象を絞り、近隣を含む住民に実施。12月上旬、788人に用紙を郵送し、305人から回答を得た(回答率39%)。ほぼ全員が自宅を離れている。

その上で、「理解できる」理由などを述べている。「理解」が76%で、「理解できない」が24%である。そして、「理解」の理由については、多くが「元に戻って暮らすことが難しい」「ほかの地域と比べて放射線量が高い」をあげている。つまり、元に戻って暮らすことのあきらめが、「理解」の理由になっているといえる。そして、「土地を買い取ってもらうことで生活再建を早めたい」ということも理由に多くあげられている。これは、東日本大震災、福島第一原発事故後の、この地域の住民の生活再建が遅れていることが背景として存在しているといえる。ゆえに、中間貯蔵施設の建設条件も、避難生活の解消や生活再建支援、さらに土地の買い取り価格であり、施設の安全性は二の次にされていることに注目しなくてはならない。
 

自宅やその周辺に中間貯蔵施設を建設する計画について「理解できる」「どちらかというと理解できる」と答えたのは76%。「理解できない」「どちらかというと理解できない」が24%だった。理解できる理由(複数回答)として82%が「元に戻って暮らすことが難しい」、62%が「ほかの地域と比べて放射線量が高い」を選んだ。「土地を買い取ってもらうことで生活再建を早めたい」が58%。「県内全体の除染を進めることが大事」も52%いた。
 ただ、理解できる人でもアンケートの自由記述では、戻れない現実に対するあきらめや、復興の遅れへのあせりを訴えている。
 建設する場合の条件を複数回答で尋ねたところ、70%が「避難生活の解消や生活再建への継続的な支援」、67%が「納得できる土地の買い取り価格」、63%が「施設の安全性の確保」を挙げた。

そして、中間貯蔵施設建設について「理解できない」と回答した人たちの約三分の一が「理解」に傾く場合もあることを報道している。このことによって、中間貯蔵施設への「理解」は増えることをより強調しているのである。そして、「理解できない」理由について、記事本文ではふれられず、付表(記事本文では棒グラフ)で述べている。

 

理解できない人に、条件が満たされた場合「理解」に傾く可能性があるか尋ねたところ、33%が「ある」と回答。条件に、複数回答で50%が「満足できる買い取り条件の提示」を挙げ、「最終処分場の決定」「生活再建への支援策の提示」が各36%。「どんな条件でも考えは変わらない」は19%だった。

付表「理解できない」「どちらかというと理解できない」理由は?
(複数回答、小数点以下は四捨五入)
最終処分場が決まっていないから           56%
説明が不足しているから               54%
施設の安全性に不安があるから            44%
土地の買い上げ条件が分からないから         43%
将来戻って暮らすつもりだから            31%

(木原貴之、木村俊介)

31面には、アンケートに回答してくれた人びとに対して取材して得られた「住民の声」が掲載されている。しかし、ここでも、強調しておかねばならないが、この「住民の声」は、まず、中間貯蔵施設建設で何らかのリターンがある可能性を有する人たちを中心としているのである。そして、「見出し」からはじまるこの記事の約三分の二は、中間貯蔵施設建設に「理解」を示した人たちの声でしめられている。

もう帰れないなら 中間貯蔵施設 住民の声

 東京電力福島第一原発の事故に伴う除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設。国による調査の候補地や周辺に自宅がある住民には、「もう帰れない」というあきらめや苦悩と、自立や再建を望む気持ちが同居する。 ▶1面参照

大熊は好き でも離れなければならない
 住民の考えを尋ねたアンケートの用紙には、施設や復興、避難生活に対する思いがつづられている。
 《大熊は好き。でも離れなければならない》
 福島県大熊町から避難し、同県いわき市で暮らす女性(64)はこう書いた。 自宅は第一原発から約3キロで、放射線量が高い。
 《誰が何と言っても帰れない》
 新しい生活の場所を探そうと、いわき市内で10カ所近くの物件を見て回り、気に入った土地を買った。元の家について東電から払われる賠償金では足りない。一日も早く、納得できる買い取りを国にしてもらいたいと訴える。
 《生まれ育った土地に汚された土が置かれるのは正直なところ嫌。でも、ほかにどこに持って行くのか。生活再建のために、いっそ買い上げてもらう方がいい》
 双葉町の男性(52)は戻ることをあきらめている。長年、原発関連の仕事をしてきた。事故後、避難先のいわき市から第一原発に向かう時、人の住まない土地が荒れていくのをながめていて気がめいった。
 《あと5年もすれば、誰も帰ると言わなくなる。もしかすると、国は住民があきらめるのを待っているかもしれない》
 男性はそう思う。

もう2年。待ちくたびれた 早く生活立て直して
 先の見えない避難生活へのいらだちも目立つ。
 《がまんの限界。はやく決着をつけてほしい》
 コメ農家だった楢葉町の四家徳美さん(53)は悩んだ末、中間貯蔵施設に「理解」と回答した。
 「本心は、成田闘争のように体を張って最後まで抵抗したい。でも、ほとんどの人が帰るのをあきらめている。一人の反対でずるずると長引かせたくない」と話す。
 《ただ日々が過ぎていくだけで、待ちくたびれた。もうじき2年。国で『こう』と決めてもらい、一日も早く生活を立て直して》
 双葉町の40代女性はこう書いた。

ここであげられている「住民の声」で強調されていることは、元の土地に戻って生活することへのあきらめである。そして、何らかの形で「生活再建」をしたいということへの欲求である。中間貯蔵施設の候補地の住民にとって、土地買い上げがその手段となっているといえる。しかし、このような人びとにおいても、はしばしに中間貯蔵施設建設への不満、不安が表明されているのである。

この記事の残りの三分の一は、中間貯蔵施設建設を「理解できない」という人びと(一部違うが)の声が紹介されている。見事に、「アンケート」結果の比率に適合した形で紙面作りがされているといえる。ここでは、「代表者」しか協議していないことへの不満、最終処分場未決定への不安、「故郷の再生」と「施設」とは共存できないという指摘がなされているのである。

故郷再生と施設は共存無理 町を捨てていいのか
 施設をめぐる国の進め方に疑問を抱く声もある。
 《代表者だけで話し合われ、決まった後でしか住民に情報が来ない。どこまで我慢すればいいのか。人間の心をくみ取った対応をしてほしい》
 大熊町の40代女性はそう訴える。
 汚染土を30年後までに県外の最終処分先に出すとの国の説明を疑う人も多い。
 《地元で最終処分もできるよう考えるべきだ》
 こう書いた埼玉県に避難中の大熊町の女性(56)は、「故郷が奪われる悲しい気持ちは私たちだけでいい」と話した。
 《故郷の再生と施設建設は共存できない》
 施設に「理解できない」と答えた大熊町の男性(63)はこう書いた。「受け入れを認める人の意見も分かるが、こういう施設が集中する町に復興はない。本当に町を捨てていいのか」
(木原貴之、木村俊介)

この朝日新聞の「アンケート」報道は、二つの意味で問題を抱えているといえる。まず、中間貯蔵施設建設候補地の住民にアンケート対象をしぼったことである。この人びとは、中間貯蔵施設建設に伴う土地買い上げによってリターンを得る可能性を有しているのである。しかし、全ての町内の土地が中間貯蔵施設用地になるわけではないのであり、中間貯蔵施設に保管される放射性物質によるリスクは、リターンを得る人びとだけでなく、それぞれの町内の広い範囲に及ぶ。それゆえ、中間貯蔵施設建設によりリターンを得る人びとの声は、リスクをこうむる可能性をもつ「住民」の声一般ではない。これは、原子力発電所自体の建設でもそうであり、原発敷地などの地権者の得るリターンは、直接には原発建設によってリスクをこうむる可能性がある町内一般の住民の得るリターンではない。それでも、原発建設ならば、雇用などの形で、地権者以外の住民も間接的にリターンを享受することが想定できた。しかし、中間貯蔵施設の場合、周辺に居住することすら難しく、雇用といっても被ばく労働が強要されることになるのである。

ある程度、中間貯蔵施設建設により、それぞれの自治体に国から補助金が出るということはあるだろう。しかし、それも、中間貯蔵施設建設のリスクを引き受けなくてはならない住民への直接的なリターンとはならないのである。

さらに、朝日新聞のアンケート報道においては、中間貯蔵施設建設については、建設候補地の人びとにおいても「あきらめている」のであって、そのことを「理解」として報道していることの問題性を指摘しなくてはならない。リターンを得る可能性があるといっても、この人びとは中間貯蔵施設建設を「快く理解」しているわけではない。生まれ育った土地で暮らすことへの「あきらめ」と、生活再建への遅れへの「いらだち」が、中間貯蔵施設建設を「容認」させる要因となっているといえるのである。それは、「理解」といえるのか。「しょうもない」ということは、不満、不安がないということと同義ではない。もし、「中間貯蔵施設建設に対する不満、不安があるか」という質問があれば、「理解している」という人びともそのように回答したのではないかと思う。いわば、中間貯蔵施設建設への「理解」は、「あきらめ」と「いらだち」を抱えた人びとの弱みにつけ込んだものであるといえるのである

この「あきらめ」と「いらだち」は、建設候補地以外の住民ももちろん共有しているだろう。しかし、中間貯蔵施設建設によるリターンは、町内住民一般に及ぶものではない。住民一般の生活再建は、井戸川克隆双葉町長のいうように、東京電力が住民被害を正当に補償することがまず第一に求められることである。それが難しい場合でも、国なり県なりが町民総体の生活再建に乗り出すべきであって、中間貯蔵施設建設とは別次元であるはずといえるのである。

いわば、朝日新聞は、「客観報道」の形をとって、中間貯蔵施設建設に対する「住民」の「理解」を「創出」しようとしたといえるのである。

ただ、朝日新聞の批判だけでなく、私たち自身が考えることとして、このような人びとの「あきらめ」と「いらだち」によって、このような権力の施策に従属させていくことを、どこかで断ち切っていかねばならないとも思うのである。これは、別に中間貯蔵施設建設問題に直面した双葉郡内の人びとだけの問題ではない。このようなことは、日本社会のどこだってある。たぶん、東日本大震災の被害地の多くでも抱えていることだと思う。私自身の個人的な生もこのような問題を内包しているといえる。そのために何ができるのか。そのことこそ考えなくてはならない課題であるといえる。

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さて、12月20日に双葉町議会で全会一致で不信任決議された井戸川克隆双葉町長であるが、結局、26日に町議会の解散を行った。それを伝える12月27日の河北新報のネット配信記事を下記に掲載する。

不信任の双葉町長、議会解散 「町政、中断させぬ」

町議会を解散し、埼玉県加須市の仮役場で記者会見する井戸川双葉町長
 福島第1原発事故の対応をめぐり、20日に町議会から全会一致で不信任を決議された福島県双葉町の井戸川克隆町長(66)が26日、地方自治法に基づき、議会(定数8)を解散した。40日以内に町議選が行われる。
 井戸川町長は避難している埼玉県加須市の仮役場で記者会見。辞職せずに議会を解散した理由について「自治体の長として誠実に公務を行い、先を見据えた災害対応をしてきた。町政を中断させるわけにはいかない」と説明した。
 決議に対しては「重く受け止める」と述べたが、「町長は町業務全ての責任者。町民に迷惑を掛けないように粉骨砕身で取り組む」と続投に理解を求めた。議会を解散した上で自らも辞職して信を問う町長選と町議選のダブル選挙の可能性に関しては「今答える段階ではない」と明言を避け、含みを持たせた。
 地方自治法では選挙後の初議会で再び不信任決議案が提出され、過半数が賛成した場合、町長は失職する。井戸川町長は町議選に向け、町政に理解を示す候補者の擁立を模索していることも認めた。
 町選管は年明けにも委員会を開き、町議選の日程を協議する。県外避難者が不在者投票を利用しやすくするため、選挙期間は昨年11月の町議選と同様に10日間を確保する見通し。来年1月24日告示、2月3日投票を軸に調整が進むとみられる。

2012年12月27日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121227t61013.htm

なお、河北新報では、さらに次の記事をネット配信している。

「辞めるのは町長が先」 双葉町議会反発

 福島第1原発事故で深刻な放射能汚染を受けた福島県双葉町。事故対応をめぐり町議会から不信任決議を突き付けられた井戸川克隆町長が選択したのは議会解散だった。「辞めるのは町長が先。せめて一緒に審判を受けるべきだ」。26日の解散で失職した町議からは一斉に不満や疑問が噴出した。
 「町長が辞職して町民に信を問えば、議会も理解するし、町政も早く正常化する。町議選の後、不信任案が再可決されれば町長選で二度手間になる」と残念がるのは白岩寿夫前議員。不信任決議は町議8人が全員賛成で、議会側から解散決定を支持する声は聞こえてこない。
 清川泰弘元議長は「町長には相談相手がいないのだろう。辞職が少し延びただけ」と町長の判断を厳しく批判する。「足踏みしてもいられない」と早速、選挙準備に入るという。現職の多くは立候補に意欲的で年末年始にも準備が本格化する。
 「町議選の争点は、双葉郡の他町村や県と一緒に双葉町が進むのか、それとも孤立を続けるのか」と指摘するのは菅野博紀前議員。6月と9月の定例会にも不信任案を提出し、井戸川町長に路線転換を求めてきた。
 佐々木清一前議員は議長として、埼玉県加須市の仮役場で井戸川町長から解散通知を受け取った。「お世話になった」と話す町長には「分かりました」と短く返しただけで諦めの表情がにじむ。報道陣に「町民に迷惑を掛けないよう、12月定例会で必要な予算は通した」と述べた。
 福島市であった県の会議に出席していた同町幹部は議会解散の連絡を受け、「政治の混乱で最も影響を受けるのは住民だ」と困惑した様子で語った。

[井戸川双葉町長一問一答]

 井戸川克隆双葉町長が26日開いた記者会見での主な主張と一問一答は次の通り。
 「議会解散は断腸の思い。原発事故さえなければ平和な町だった。町には重要な課題が山積している。不信任決議の理由は真実とは言い難い」
 -議会解散を選択した理由は。
 「喫緊の課題が山積している。避難区域再編や賠償の議論を中断させるわけにはいかない」
 -町民との意見交換がないと批判されている。
 「時間をつくり積極的に対応したい。中間貯蔵施設など諸課題について町民説明会を速やかに開きたい」
 -議会の主張で納得できない点は。
 「町民との懇談会を一度も開いていないというのは真実と違う。仮設住宅を回り、できる限り話を聞いている。それが理解されていない」
 -不信任再可決を防ぐには町長支持派が8議員中4人必要。候補擁立の動きがあるが、事実か。
 「はい」
 -不信任可決後、町民からの反応は。
 「激励の言葉をいっぱい束でもらった」
 -度重なる不信任案提出をどう思うか。
 「精いっぱい仕事をしていたのに割り切れないし、残念。事故の原因者がきちんと対応してくれていれば、これほどの苦労もなく、町民も我慢しなくて済んだ」

2012年12月27日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121227t61018.htm

なお、町議会を解散しても、記事中にあるように、もし反町長派が議会の多数をしめれば、今度は過半数で町長は失職させられるのである。これまでの町議会とは違った勢力で町議会の過半数をしめることは容易ではないだろうと考えられ、井戸川町長側の不利は否めない。記事の中で、井戸川町長自身が辞職して出直し選挙する可能性が示唆されているが、そのためだと思われる。

この双葉町議会議員選挙は、福島県が「復興」を旗印にして、「中間貯蔵施設」建設という形で双葉郡地域を犠牲にすることを、双葉郡の各自治体自体が認めてしまうことへの「住民投票」という意義をもっているといえる。衆議院議員選挙、東京都知事選挙では、脱原発という争点はあいまいにされてしまった。ここでも「復興」という言葉で争点があいまいにされるかもしれない。井戸川町長のいうように中間貯蔵施設建設は、全く立地自治体の復興と逆行するものであるといえる。そのことを中心に、この問題は注視されるべきと思う。そして、この双葉町議会選挙には、双葉町だけでなく、福島県、いや日本全国の未来がかけられているといえるのである。

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さて、ここで、新聞報道ではなく、双葉町のサイトでどのように井戸川克隆双葉町長が自身の辞任要求問題を語っているかをみておこう。

福島県知事との中間貯蔵施設建設調査受け入れについての双葉地方町村長たちとの協議会を11月28日に欠席した件については、12月11日付の「中間貯蔵施設についてのご報告」で、次のように述べている。

中間貯蔵施設についてのご報告
 中間貯蔵施設についてご報告申し上げます。
 この施設の名前はご存じだと思いますが、大変危険なものです。
 したがって、国には以前から数々の質問をしてきましたが、納得いく回答はありませんでした。今なおありません。何を質問したかは、町ホームページに掲載しましたのでご参照ください。(中間貯蔵施設の現地調査に係る質問事項について)

 双葉町は「東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定書」(下記参照)を福島県知事(甲)、双葉町長、大熊町長(乙)、東京電力株式会社取締役社長(丙)との間で結んでいます。第12条には「発電所の保守運営に起因して地域住民に損害を与えた場合は、丙は誠意をもって補償するものとする。」、第16条には「この協定の実施に関し必要な事項及びこの協定に定めのない事項については甲、乙及び丙が協議して別に定めることができるものとする。」となっています。
 皆さん、ここまで来ると変だと気づきませんか。今私たちに交渉しているのは協定の対象とされていない方であり、その彼らが我々に不都合なことを要求しています。

 前置きが長くなりましたが、私は、避難のさせ方、避難生活全般、除染、中間貯蔵施設など全ての協議に東京電力と立地町が入るべきだと言い続けてきました。賠償協議に私たちは入っていません。国・県の災害対策協議に町が入らないのはおかしいと事あるごとに話しています。町民の皆さんの意見が言えるのは役場、マスコミしかありません。改善を要求しています。
 区域の見直し、財物の賠償についてはもう少しで国から報告があります。

 11月28日の会議を欠席した理由について申し上げます。この会議は各町村が環境省から説明を受けてから再開することになっていました。そこで町としては、環境省には話し合いの席上、いつも質問をしていますが、これまで答えずにいますので答えを先に聞くために、11月16日に町から質問書を送付しています。この回答書を見て、納得してから町、町議会、そして、町民の皆さんに現地調査の説明をするよう国には伝えていたのですが、11月21日、突然、町長、副町長不在の時、環境副大臣が来て回答書と説明書を置いて行っただけです。
 最終処分場にされてしまうのではないかと心配しているのに、このような扱いです。そこで、町としては、まだ説明されていないため、28日の会議には出席できないと県に話しをしています。順序良くやらない会議に出て、町民の皆さんの意見を聞いていない私は良いとか悪いとか話せませんし、まだそこまでは皆さんの権利を預かっていません。
 調査だから工事はしないと言いながら、用地買収班が福島にできるそうですが何のためでしょうか。工事をしないのであれば用地はいらないはずです。
 公共の予算科目は普通、大項目に中間貯蔵施設の工事の記載があって、小項目に調査費が出てきます。目的のない単独の調査費はありえません。調査を認めれば必ず仕事、すなわち中間貯蔵施設の着工したことになります。

 六ヶ所村の放射性廃棄物貯蔵施設と人形峠の残土置き場は、人家から2キロメートル以上離れています。双葉町に置き換えると町主要部(下記参照)がほとんど入ってしまいます。いますぐ、帰れないとしてもいつかはと思う希望を奪ってしまいます。
 この場合は新たな迷惑施設としての交渉が先だと思いませんか。後で、言うことが出来なくされても良いのですか。子供たちの意見を聞かずに決めて良いのですか。私はじっくりと考え、帰れるまでの住居や職場、学校、健康施設などを備えた町を造ってもらい、被ばくを受けた皆さんの賠償、生活費の補償など期限を設けずに補償してもらい、以前の生活に早く戻したいと考えます。

 まだまだありますが、まだ、見えない不具合についてもあります。
 原発を誘致して今何を思いますか、もう二度とこのような苦しみは、したくないと皆さん思っているのではないですか。私は皆さんと同じ気持ちです。
 町がこれ以上、壊れるのを見たくありません。財政再建は何とか目途をつけました。

 皆さん、冷静に考えてください。会議に出て多数決で無理やり決められたら良かったと思いますか。中間貯蔵施設は福島の復興のためと言われていますが、双葉町民の救済を急げとは聞いたことがありません。私たちはこの現状から抜け出したいのです。脱出したいのです。そして、先人が何百年もかかって築き上げてきた郷土、文化を捨てるわけにはいかないのです。
 平成24年12月11日
双葉町長 井戸川 克隆http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20121211.html/

ある程度、要点をまとめておこう。まず、中間貯蔵施設受け入れについてさまざまな疑念をもっていた井戸川町長は、11月16日、次のような質問を環境省に送った。その項目を以下にあげておく。

1、事故の責任がないのに、なぜ双葉町が受け入れなければならないのか。理由を立証すること

2、東電の無主物の考えに納得できない、誰が事故の責任を取るのか。

3、最終処分場はどのようになっているか。同時進行で実施すること。

4、双葉郡内のバランスが良くない。

5、賠償が片付いていないのに片方だけを進めるのはおかしい。

6、30年後の姿を図絵に示すこと。

7、双葉町を人の住めない町にできない。

8、双葉町がこの事故で苦しんでいることをどう思っているのか。

http://www.town.futaba.fukushima.jp/file.jsp?id=2326より

この質問に対して、環境副大臣(生方幸夫)が、21日に町長不在のまま、回答書などを置いていったのである。双葉町のサイトに回答書が載せられているが、その内容もかなり問題のあるといえる。「1、事故の責任がないのに、なぜ双葉町が受け入れなければならないのか。」については、「線量の高い地域で発生したものを線量の低い地域に運び込むことは、困難であると考えています。結果として、最もご苦労されている地域に除去土壌等を搬入することになり、大変心苦しいですが、福島の復興を推進するためには、中間貯蔵施設の設置が必要不可欠である」と述べている。そして、「双葉町の復興の道を閉ざすことがないよう」としつつも、双葉町の将来計画については「時間がかかることになります」としている。つまり、中間貯蔵施設建設は、福島県の復興が目的であって、立地町の復興などは「将来の計画」でしかないのである。

「3、最終処分場はどのようになっているか。」の質問については、技術開発などに時間がかかるとしながら、「中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了する旨を福島県復興再生基本方針(閣議決定)で明記するとともに、この担保を更に強めるため、法制化することとしています。」と述べている。結局30年は放射性廃棄物を貯蔵しなくてはならないのである。

そして「7、双葉町を人の住めない町にできない。」という問いについては「中間貯蔵施設の整備に当っては、徹底的な除染を行った上で工事を行うこととなりますので、施設敷地においては、むしろ放射線量が下がることになると考えます」と、ほとんど虚偽としか思えない回答をしている。

こういう回答をうけて、井戸川町長は、中間貯蔵施設建設調査受け入れを決めようとした県知事との協議会を欠席したと述べている。彼は「順序良くやらない会議に出て、町民の皆さんの意見を聞いていない私は良いとか悪いとか話せませんし、まだそこまでは皆さんの権利を預かっていません。」「会議に出て多数決で無理やり決められたら良かったと思いますか。中間貯蔵施設は福島の復興のためと言われていますが、双葉町民の救済を急げとは聞いたことがありません。」と述べている。

井戸川町長としては、東電側の賠償責任も明確にならないまま、国や県に理不尽な中間貯蔵施設建設という負担を強いられることへの憤懣があったといえる。さらに、「六ヶ所村の放射性廃棄物貯蔵施設と人形峠の残土置き場は、人家から2キロメートル以上離れています。双葉町に置き換えると町主要部(下記参照)がほとんど入ってしまいます。いますぐ、帰れないとしてもいつかはと思う希望を奪ってしまいます。この場合は新たな迷惑施設としての交渉が先だと思いませんか。後で、言うことが出来なくされても良いのですか。」という思いがある。実際、双葉町のサイトにある、双葉町の中間貯蔵施設候補予定地の地図をみて、私も驚いた。まず、みていただきたい。

双葉町の中間貯蔵施設候補地

双葉町の中間貯蔵施設候補地

日本においては、いかに過疎地といえども、人跡未踏の地などない。その意味で、どの地域に作っても、住民への影響は出てくるだろう。といっても、この候補地は、双葉町役場やJR双葉駅などがある双葉町の中心部にあまりにも近接しているのである。

「中間貯蔵施設は福島の復興のためと言われていますが、双葉町民の救済を急げとは聞いたことがありません。」ということなのである。

このような位置に中間貯蔵施設建設を受け入れることを、福島県も双葉町議会もなぜ容認するのか。そのような問いが惹起される。

そして、井戸川町長は、「私はじっくりと考え、帰れるまでの住居や職場、学校、健康施設などを備えた町を造ってもらい、被ばくを受けた皆さんの賠償、生活費の補償など期限を設けずに補償してもらい、以前の生活に早く戻したいと考えます。…私たちはこの現状から抜け出したいのです。脱出したいのです。そして、先人が何百年もかかって築き上げてきた郷土、文化を捨てるわけにはいかないのです。」と主張しているのである。

しかし、この訴えを全く耳をかさず、双葉町議会は12日に井戸川町長へ辞職を要求した。そして、20日には全会一致で不信任案を可決したのである。しかも、その理由が、中間貯蔵施設建設の是非というよりも、県知事との協議会に欠席したことなのである。事大主義としかいえない。どちらをむいて議場にいるのだろう。

そして、12月21日付で、井戸川町長は、次のようなメッセージを双葉町のサイトに掲載した。

町民の皆様へ
 町民の皆様、皆様の苦しみは計り知れないものです。毎日、皆様と話し合いができれば良いのですが、なかなか叶えられませんことをお詫び申し上げます。

 私が一番に取り組んでいますのが、一日も早く安定した生活に戻ることです。双葉町はすぐには住めませんが、どこかに仮に(借りに)住むところを準備しなければなりません。そこで、国と意見が合わないのは避難基準です。国は年間放射線量20mSvを基準にしていますが、チェルノブイリでは悲惨な経験から年間5mSv以上は移住の義務と言う制度を作りました。
 私たちは、この事故で最大の被ばくをさせられました、町民の皆様の健康と家系の継承を守るために、国に基準の見直しを求めています。この基準がすべてです。仮に住む場合は安全でなければなりません。子供たちには、これ以上被ばくはさせられませんし、子どもたちが受ける生涯の放射線量は大きなものになります。事故から25年が経ったウクライナの子供たちには働くことができないブラブラ病が多く発生しているそうです。
 私はこのようなことが一番心配です。町は絶対に事故を起こさないと言われて原発と共生してきました。しかし、今は廃虚にさせられ、町民関係も壊されました。自然も、生活も、生きがい、希望やその他すべてを壊されました。一方どうでしょう。これほど苦しんでいる私たちの思いは、皆さんが納得いくものになっていないのです。これを解決するのが先だと訴えています。

 私が皆さんに多くの情報を出さないと叱られていることは十分承知しています。出したくても出せないのです。納得のいくような情報を国に求めていますが、出してこないのです。国とは隠し事のない交渉をすることを求め続けてきています。町民の皆様を裏切ることは決していたしません。これから多くの情報を出していきます。

 放射線の基準に戻りますが、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告を採用していると国では言いますが、国際的に採用している訳ではありません。ヨーロッパには独自の基準があり、アメリカでも自国の基準を作って国民を守っています。最近のICRP勧告では日本を非難しています。もう1~20mSvを採用しなさいと言っています。これは大変なことで、区域見直しも賠償の基準も変わってきます。
 このような中で冷静にと言っても無理かもしれません。このような環境に置かれているのだから、皆さんの要望を常に政府、与党には伝えてきました。政争に振り回されて進んでいません。
 福島県内に避難している町民を県外に移動してもらう努力はしましたが、関係機関の協力は得られずにいます。しかも盛んに県内に戻す政策が進行しています。県に理由を聞いても納得のいく返事は来ません。町民(県民)の希望を国に強く発信して頂きたいと思います。

 町民の皆さん、損をしないでください。財産には目に見えるものと見えないものが有りますので、区別しなければなりません。目に見えるものは形や重みのあるもの価値が直ぐに判断できるものです。見えないものは未来です。一番心配なのは健康で、被ばくによる障がいであります。ウクライナでは障がいに要する費用が国家の財政を破綻させるような事態になっています。今のウクライナが25年後の日本であってはならないのです。子供に障がいが出ればとんでもない損害です。この見えない、まだ見えていない損害を十分に伝えきれていないもどかしさがあります。まだ発症していないからとか、発症したとしても被ばくとは関係がないと言われる恐れがあります。水俣病のように長い年月をかけて裁判で決着するような経験を町民の皆さんにはさせたくありません。
 昨年の早い時期から町民の皆さんの被ばく検査を国、東電、福島県にお願いし、被ばく防止も合わせてお願いしてきました。しかし、思うようになっていません、原発事故による放射能の影響下に住むことについて拒むべきです。

 損について一部しか言いきれていませんが、一番大きなこと、何年で帰れるかについて申し上げます。今は世界一の事故の大きさのレベル7のままだということ。溶けた核燃料の持ち出し終了が見通せないこと。処理水をどうするのか、核物質の最終処分はどのようにいつまで終わるのかなど多くの要因を考慮して、木村獨協大学准教授が最近の会議の席上、個人の見解として双葉町は場所によっては165年帰れないと発言しました。私には可か不可の判断できませんが、大変重要な言葉だと思います。半分としても80年だとしたら、この損害は甚大なものです。
 また、被ばくの影響についても責任者に対して担保をとっておく必要があります。

 中間貯蔵施設については、議論をしないまま、調査だから認めろと言いますが、この費用の出どころを確かめることが重要です。この施設は30年で県外に出すと国は言っていますが、約束は我々とはまだ出来ていません。この施設の周りには人が住めません。六ヶ所村では2km以内には民家がないようで、双葉町では町の中心部が殆ど入ってしまいます。では、どうするのかの議論が先です。ボーリング調査を行うのは着工です。予算の構成を見ますと、整備事業の下に調査費が付いています。これは行政判断としては着工になります。着工の事実を作らせないために、私は非難覚悟で止めていることをご理解ください。
 十分すぎるほど議論して町民の皆さんの理解の下に進めるべきです。日本初の事業です。双葉町最大の損害で、確かな約束を求める事をしないまま進めてはやがて子供たちに迷惑をかけます。新政権とじっくり話し合いをして、子供たちに理解を貰いながら進めます。このように、私たちには大きな損害があることをご理解ください。

 寒さが一段と厳しくなりました、風邪や体力の低下に気をつけて予防を心がけてください。これからもお伝えします。
 
 平成24年12月20日
双葉町長 井戸川 克隆
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20121220.html/

内容は明瞭である。今回は、ここで解説はしない。いつか、その内容を論じてみたいと思う。

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このブログで、井戸川克隆双葉町長が、除染などの放射性廃棄物質の中間貯蔵施設を双葉郡に建設するための調査を受け入れることを決めようとして、佐藤雄平福島県知事と双葉郡内町村長との11月28日に開催された協議会に欠席し、そのため翌29日、双葉郡の各町村長たちから双葉地方町村会長の辞職をせまられ、さらに、そのことを主な理由として、双葉町議会から町長辞職を要求されたことを伝えた。

その後、まず、井戸川町長は、10日に双葉地方町村会長の辞職を余儀なくされた。そのことを、福島民友新聞は、次のようにネット配信で伝えている。

井戸川氏が会長辞任 双葉町村会、後任に山田広野町長
 双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長が、中間貯蔵施設の現地調査受け入れを協議する会議など町村会と国・県などとの重要会議に欠席したことなどを理由に、双葉町を除く7町村長から会長辞任を求められていた問題で、井戸川会長は10日、郡山市で開かれた同町村会の会議で辞任を申し出て受理された。新会長には副会長の山田基星広野町長が選ばれた。山田新会長の任期は前会長の残任期間の来年3月31日まで。
 会議は非公開で行われた。山田氏によると、井戸川前会長への辞任要求は7町村長の総意として、先月29日、山田氏が行った。山田氏は「(先月28日の)会議欠席が問題だった。前に進む方法を採るべきだった」と井戸川前会長のこれまでの行動を批判した。
(2012年12月11日 福島民友ニュース)
http://www.minyu-net.com/news/news/1211/news3.html

他方、双葉町議会は、12日、井戸川克隆町長に対して辞任要求を行った。町長は17日に拒否したが、町議会は不信任案提出をめざした。下記の福島民友新聞のネット配信記事をみてもらいたい。

提出なら可決必至 双葉町長不信任案で議会
 双葉町議会の町議のほとんどが19日、埼玉県加須市で20日開かれる12月議会最終本会議に井戸川克隆町長の不信任案を提出する方針を固めた。同案が提出されれば、可決は必至の状況で、可決後は町長が議会を解散するか、自らが辞職することになり、年明けの選挙戦が避けられない。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故のため続く全町避難は2度目の年末を迎え混乱の度を増している。
 全町議8人は12日、「町長は議会への相談、町民への説明もなく、独断で町政を行っている。大事な会議を欠席するなど、双葉郡から町が孤立してしまう」などとして、井戸川町長に辞職を要求。これに対し井戸川町長は17日、「区域再編や中間貯蔵施設の建設問題など、町の命運を左右する大きな問題に形を付けなければならない」などとして、「町長職の続投」を回答、要求を拒んでいた。
(2012年12月20日 福島民友ニュース)
http://www.minyu-net.com/news/news/1220/news9.html

そして、実際に20日に双葉町議会に町長不信任案が提出され、全回一致で可決したのである。比較的詳細に報道している河北新報のネット配信記事をここであげておこう。

双葉町長不信任案可決 町議会で全会一致 進退、週明け判断

町議会の不信任決議に「批判する側にも責任がある」と反発する井戸川町長=20日、埼玉県加須市騎西総合支所
 福島県双葉町議会は20日、福島第1原発事故で役場機能を移した埼玉県加須市で12月定例会を開き、井戸川克隆町長の不信任決議を議員8人の全会一致で可決した。地方自治法で町長は10日以内に議会を解散しない限り失職する。井戸川町長は週明けにも進退を判断する意向を明らかにした。
 不信任決議は、除染廃棄物の中間貯蔵施設の立地調査をめぐり、11月28日に福島市であった福島県知事と双葉郡8町村長の協議を井戸川町長が欠席したのが主な理由。当時、調査候補地に双葉町の2カ所を含む郡内12カ所が挙がっており、井戸川町長は双葉地方町村会長として協議を主導する立場だった。
 本会議で、決議案を提出した岩本久人町議は「協議を議会に説明なく欠席した。中間貯蔵施設は賛否はあるが、避けては通れない問題で、復興への大きな妨げになった」と不信任の理由を説明。「町長は『町民の声を聞く、議会と相談する』と常々言うが、一度も機会がない」と批判した。
 井戸川町長は採決前に発言を求め、「町民の健康を守り、賠償で損をしないよう尽くした。国と県、東京電力こそ事故の経緯と今後の道筋を示すべきで、このような決議は残念」と反論した。議会終了後の取材には「議会は全て私が悪いと言うが、批判する側にも責任がある」と述べた。
 いわき市の双葉町仮設住宅に暮らすアルバイト林祐司さん(57)は「双葉町だけが何も前に進まず遅れているので、前進できる人に代わってほしい」と話した。同市のパート女性(52)は「議会も町長もそんなことで騒いでいる場合ではない。町民として恥ずかしい」と町政混乱を嘆いた。
 井戸川町長は双葉町出身。水道設備会社経営を経て2005年初当選し、2期目。現在の任期は13年12月7日まで。

◎独自の路線/説明不足

 【解説】福島県双葉町議会が全会一致で井戸川克隆町長の不信任を決めた。福島第1原発事故対応をめぐり対立してきた町長と議会。背景にあるのは双葉郡8町村の中で独自の道を模索する井戸川町長の姿勢だ。
 井戸川町長は第1原発から約4キロの町役場付近で事故に遭った。「放射能の感覚が違う」と公言し、他の町村長とは異なる判断を重ねてきた。
 原発事故で役場機能を移した県内9町村で唯一、県外に仮役場を置く。双葉町内の試行的除染を断り、放射線量に応じた避難区域の再編にも一切応じていない。
 年間1ミリシーベルト以上の追加被ばくに極めて慎重な姿勢を評価する声もある。独自の道を歩むからこそ丁寧な合意形成が求められるが、説明不足は否めず、議会側の理解は得られなかった。
 不信任案提出は6、9月の定例会に続き3度目。6月と9月は可決に必要な4分の3の賛成には達しなかった。今回の不信任案提出者は前回、前々回は町長を擁護し、否決に回った議員だった。
 町長不信任に伴う選挙で一定期間、復興の歩みが停止するのは事実。空白期を奇貨として町再生の道程を再構築するためには、住民を巻き込む理性的な議論が町長、議員双方に求められる。(福島総局・加賀山仁)

2012年12月21日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121221t61007.htm

この河北新報の記事においては、いくつかのことが読み取られよう。一つに、やはり、中間貯蔵施設建設のための調査受け入れを決めようとした県知事と双葉郡の町村長たちの協議会に欠席したが不信任の主な理由となっているということである。これだけでは、どう考えても町長不信任の理由としてはおかしい。しかし、双葉町議会としては、町内の中間貯蔵施設受け入れを容認する姿勢をもっている。その意味で、直接的には、双葉町内に中間貯蔵施設受け入れについての是非が町長ー町議会の対立の原因となっているといえる。

もう一つには、放射性物質問題があるといえる。現在、福島県内は、かなり高い放射線量があるにもかかわらず、福島県の意向で、住民に避難の権利は与えられていない。年間20mSvにするという不十分な除染によって、さらに住民が住まなくてはならない高放射線量の地域は拡大することが予想される。そして、そのために中間貯蔵施設の建設が要請されている。

そのことに反対していたのが井戸川克隆双葉町長であったといえる。双葉町民の多くを埼玉県に避難させ、町役場を埼玉県に置いていることはそのあらわれといえる。そして、河北新報のいうように、町内の試行的除染や避難区域の再編に応じないのも、町民を被曝にあわせないためといえる。

しかし、年間20mSv以下は安全とする福島県のドクトリンからみて、井戸川町長のあり方は容認できないものであった。そして、福島県内に避難した住民も多いだろう。町議たちも福島県内の人間関係により多く拘束されているといえる。まさしく、このような考え方が、双葉町長の不信任に結果したと考えられるのである。

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facebookをみていたら、福島第一原発が所在する福島県双葉郡双葉町の井戸川克隆町長が双葉町議会から辞任をせまられているという一報があった。驚いて、ネット検索してみた。福島民報は、2012年12月9日に、次のような記事をネット配信している。

町長に辞任要求へ 双葉町議会、週明けにも
 福島県双葉町議会は8日までに井戸川克隆町長に対し辞任を求める方針を固めた。週明けにも辞任の要求書を井戸川町長に提出する方向だ。
 町議会は7日に開いた全員協議会で意見を調整した。町議によると、井戸川町長が議会と情報の共有化に努めていないことなどが辞任要求の理由として挙がったという。
 全員協議会では11月28日に福島市で開かれた中間貯蔵施設に関する県と双葉郡との協議に井戸川町長が欠席したことも問題と指摘された。町議の1人は「協議に出席して町の意見を伝えるべきだった」と話している。
( 2012/12/09 10:34 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201212095369

前段の理由はある程度あっただろうが、辞任要求の理由にはならないだろう。むしろ、後段の「中間貯蔵施設に関する県と双葉郡との協議に井戸川町長が欠席した」ことが辞任要求の大きな理由と考えられる。

このことについては、遡って考えてみる必要がある。除染などで出た放射性廃棄物の中間貯蔵施設を双葉郡内に建設する案については、昨年から提起されていたが、住民らの反発にあっていた。その代表者が井戸川克隆双葉町長であった。「容認派」も含めた昨年末の状況を福島民報は次のように伝えている。

【双葉郡に中間貯蔵施設要請】住民、怒りと落胆 「帰れなくなる」 除染のため必要の声も

 細野豪志環境相兼原発事故担当相が28日、中間貯蔵施設の双葉郡内への設置を佐藤雄平知事に要請したことに対して、双葉郡の住民からは長期間にわたり廃棄物が貯蔵されることに怒りと落胆の声が上がった。一方で、仮置き場の確保のためには決断が必要との声も。双葉郡各町村長は重い宿題を課せられ難しい決断を迫られる。県が、受け入れに向けて動きだすとしても関係町村を説得できるかなど乗り越えなければならない課題は多い。

■反発
 「土地の買い上げや生活費の賠償がなければ絶対に受け入れられない」。会津若松市の仮設住宅に暮らす大熊町の無職荒木俊夫さん(63)は中間貯蔵施設の設置について憤る。
 自宅は東京電力福島第一原発から約4.5キロ。線量だけでみれば、自宅周辺は「帰還困難区域」になる。「この先の生活が全く見通せず、不安は募るばかり。国、東電が今後、きっちりと対応してくれるのか」と疑問を投げ掛ける。
 東京電力福島第一原発が立地する双葉町に住み、会津地方に避難している高校3年生の高野安菜さん(18)は「しばらく帰れないと覚悟はしているけど、施設建設は本当に嫌」と強く拒絶した。原発事故から9カ月半。埼玉県などに避難した同級生とは会えない日が続く。年越しが迫るが「年始の準備なんてする気になれない」という。「中間」とはいえ、施設が設置されれば最大30年間、廃棄物が貯蔵されることになる。「(郡内設置が)はっきり決まったわけではないんですよね」と念を押しつつ、「10年以上もお世話になった町。思い出が壊れてしまう」と声を落とした。
 中間貯蔵施設の候補地として有力視された両町の住民の反発は強い。

■気持ち複雑
 「原発周辺に施設を造れば帰ることができなくなるのでは」と不安をのぞかせているのは福島市の借り上げ住宅に避難する浪江町の理容師、小川昌幸さん(44)。子どもは帰りたいと言うが「完全に元の状態になった上でなければ不可能な話。何とも言えない」。
 茨城県つくば市に避難している双葉町の双葉ばら園主、岡田勝秀さん(67)は「中間貯蔵施設は双葉郡外にとの考えもあるが、現実は厳しいだろう。仕方がないのではないのか」と考えている。ただ、40年以上前から開墾し整備してきた自慢のばら園を思うと気持ちは複雑だ。
 郡山市の仮設住宅に夫妻で暮らす富岡町中央行政区長の遠藤武さん(68)も「断りようがない。やむを得ない状況なのだろう」と言葉を選んだ。「建設するなら国は土地の買い上げなどそれに見合ったものを提供すべきだ」と求めた。双葉町から白河市に避難している60代の男性は「他県が引き受けることは実際には考えられない。避難者の生活保障を東電任せにせず国がきちんと対応することが重要だ」と指摘した。

■温度差
 中通りで除染問題に悩む住民は、仮置き場からの搬入先となる中間貯蔵施設の議論が始まったことに安堵(あんど)しながらも、双葉郡住民の心情を思い、複雑な気持ちでいる。
 福島市渡利の看護師出雲キヨさん(75)は「これでようやく除染が進む」と話す。渡利地区は市内で比較的放射線量が高く、市が年明けに本格的な除染を予定している。しかし、市は仮置き場の選定に慎重になり、まだ設置場所が確定していない。中間貯蔵施設が決まれば、仮置き場問題も進展すると考えている。「ただ、双葉郡の住民のことを考えると非常に難しい問題だ」と語った。
 郡山市の桑野第2町内会長の今泉久夫さん(78)も地域の通学路の除染で出る土砂などの仮置き場が決まらないのが悩みだ。しかし、「双葉郡の住民にすれば到底納得はできないだろう。国が安全を確保するという約束が必要だ」と強調した。

地域にどう説明 各首長”重い宿題”
■険しい道のり

 双葉郡の首長らは協議会後、重い宿題に直面し表情を曇らせた。
 双葉地方電源地域政策協議会長の遠藤勝也富岡町長は「8町村で議論したい」と気を引き締める。その上で「住民の理解は難しい仕事。双葉郡だけで解決できる問題ではなく、県と連携し前に進みたい」と語った。
 渡辺利綱大熊町長も「双葉郡の全体的な問題で、町単独で判断することではない」とする。施設の設置場所については「(建設に)手を上げる自治体はないだろう。施設のマイナスイメージの払拭(ふっしょく)は容易でない」と決定までの道のりの険しさをにじませた。
 協議会で中間貯蔵施設の議論になると「議題に乗っていない」と議事を止めたのは双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長。しかし、町村関係者の多数決で議事は継続になった。施設を1カ所とすることも示され「国は以前、数カ所と言っていた。信用できない」とぶぜんとした表情だった。
 一方、浪江町の馬場有町長は「今日はあくまでスタートライン」と受け止める。中間貯蔵施設はマイナスの印象が強いことも理解している。「県外の避難者が町に戻って来なくなる心配もある」と悩みを深めた。
 中には中間貯蔵施設の役割を重く受け止める首長もいる。草野孝楢葉町長は「除染には施設が必要で、双葉郡内に設置するのはやむを得ないのではないか」と受け入れ容認の考えを示した。松本允秀葛尾村長は「建設に向けた話が出たことはいいこと」と前向きに受け止めた。
 また、遠藤雄幸川内村長は「帰還に向けて除染と処分場は必要。相反する部分の解決をどうするかが課題だ」と指摘した。黒田耕喜広野町副町長は「双葉郡が足並みをそろえて協議することが大切だ」と淡々と語った。
 各首長の間にも施設の受け止め方に温度差が出始めている。
■申し訳ない
 細野豪志環境相兼原発事故担当相は佐藤雄平知事との会談の中で、何度も「申し訳ない」と頭を下げた。
 本県の最大の課題である除染を進めるため、「いずれかの場所に中間貯蔵施設を造らなければ除染が進まない」として、双葉郡内に中間貯蔵施設を設置したいとする考えを切り出した。
 県幹部は「中間貯蔵施設を受け入れるかどうかは双葉郡の町村の意向が前提となる」とした上で、「双葉郡内での調整が難しい場合は、県としても調停役を務める」との考えを示す。
 しかし、ある双葉郡の議会関係者は「県は判断を双葉郡に丸投げしているような印象だ。しっかりとリーダーシップをとるべきだ」と県の姿勢を批判した。

【背景】
 環境省は10月29日に除染で出た放射性物質を含む土壌などの廃棄物を保管する中間貯蔵施設を今後3年程度を目標に県内に整備し、廃棄物は貯蔵開始から30年以内に県外で最終処分するとした工程表を示した。中間貯蔵施設に廃棄物を搬入するまでの間は各市町村が設ける仮置き場での一時保管を求めている。仮置きの前提となる中間貯蔵施設の建設が具体化しなければ、仮置き場の確保も進まず、除染が滞る懸念もある。
(2011/12/29 15:19カテゴリー:3.11大震災・断面)
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/12/post_2881.html

ところが、8月19日に政府が、双葉・大熊・楢葉町の12ヵ所を候補として、現地調査に協力してほしい旨を依頼した。8月23日には大熊町議会が現地調査を受け入れる方針を決めた。そして、10月17日には双葉町議会も中間貯蔵施設建設を条件付きで受け入れるとした。それを伝えるのが、福島民報の10月18日付のネット記事である。

条件付き受け入れ方針 中間貯蔵施設で双葉町議会が町民懇で示す
 双葉町議会は、東京電力福島第一原発事故による汚染廃棄物を運び込む中間貯蔵施設建設を条件付きで受け入れる方針を固めた。17日、福島県南相馬市で開いた町民と議会との懇談会で明らかにした。
 懇談会で伊沢史朗副議長は「議会の中での意見調整はついている。放射性廃棄物は全国どこの自治体でも引き受けない。双葉町が引き受けざるを得ない」と述べた上で、「ただし、単に受け入れるのではなく条件が必要。賠償などを議会として考えている」と強調した。菅野博紀議員は賠償や町民の健康確保などを受け入れ条件に挙げ、「8人の議員が話し合った議会の統一見解」と述べた。
 出席者からは「(受け入れるための)条件を国に提示して話を進めるべき」などの意見が出された。
 井戸川克隆町長は国が一方的に施設設置を提案していると強調。明確な理由を示すように求め、設置に否定的な考えを示している。
( 2012/10/18 09:02 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201210184304

しかし、ここでも、井戸川克隆町長は、中間貯蔵施設受け入れ拒否の姿勢を貫いたのである。ここで、中間貯蔵施設受け入れについて、町長と町議会が対立したのである。

そして、11月28日、佐藤雄平福島県知事は、双葉郡の町村長との協議会を開き、そこで、中間貯蔵施設建設についての現地調査受け入れの方針を正式に示した。つまり、福島県としても双葉郡への中間貯蔵施設建設を容認する方向に向かったといえよう。しかし、井戸川克隆双葉町は、双葉地方町村会会長であったが、この協議会を欠席した。現時点では中間貯蔵施設の受け入れを容認できないという初志を貫徹したといえよう。福島民報は、11月29日に次のような記事をネット配信している。知事の「建設容認ではない」というのは、言い訳にしても苦しい。

知事、現地調査受け入れ 中間貯蔵施設 「建設容認ではない」
 東京電力福島第一原発事故による汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設の整備をめぐり、佐藤雄平知事は28日、建設候補地の現地調査の受け入れを表明、長浜博行環境相に伝えた。施設建設の受諾ではないことを明確にすることなど3項目を条件に挙げている。環境省は年明けにも調査を開始し、3カ月程度で終了させる方針だ。
 福島市で双葉郡の町村長との協議会を開き、(1)調査受け入れと建設の受け入れは別であることを明確にする(2)地域に対する丁寧な説明と設置者としての責任をしっかり果たす(3)調査の状況を適時に報告する-を条件に受け入れることで一致。長浜環境相に全ての条件を着実に実行するよう申し入れ、対応策を示すよう求めた。
 長浜環境相は同日、環境省内で記者団に対し、「施設の設置受け入れではないことを佐藤知事との間で確認した」と説明。佐藤知事が挙げた条件に応じることを明らかにした。環境省は地権者の確認と、同意を得る作業に並行して年内にボーリング調査などを行う業者を選定する。
 協議会終了後、佐藤知事は記者団に「調査しなければ、施設の安全性を確認できない。広域自治体の長として苦渋の決断をした」と説明する一方、「現地調査の受け入れであり、建設を認める訳ではない」と強調した。
 環境省は今年8月、建設候補地として大熊町の9カ所、双葉町の2カ所、楢葉町の1カ所を示し、県、双葉郡8町村に現地調査の受け入れを要請した。
 建設候補地を抱える双葉町の井戸川克隆町長は、「国の説明を受けていない」として協議会を欠席した。同町の建設候補地には町有地が含まれており、地質などを調べるボーリング調査の実施には町の同意が必要となる。

( 2012/11/29 08:08 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201211295149

これが、結局、佐藤知事の現地調査受け入れを唯々諾々と容認した、他町村長たちの怒りを買った。井戸川克隆に双葉地方町村会会長の辞任を迫ったのである。それを伝える福島民報の11月30日のネット記事を下記に示す。

井戸川会長に辞任要求 双葉地方町村会の町村長
 双葉町を除く双葉郡の7町村長は29日、双葉町の井戸川克隆町長に双葉地方町村会長を辞任するよう求めた。井戸川町長は28日に福島市で開かれた、中間貯蔵施設の整備をめぐる知事と双葉郡8町村長の協議会を欠席したため。
 同町村会副会長の山田基星広野町長は29日、井戸川町長に電話で連絡し、30日までの返答を求めた。山田町長によると井戸川町長は辞任について即答せず「8町村長が集まる場を設けたい」との意向を示したという。
 複数の町村長によると、井戸川町長は2月に国と双葉郡8町村の意見交換会を欠席していることなども背景にある。28日の協議会終了後、7町村長から「国や県を交え(会合には)重みがある。いかなる理由があっても会長として出席すべき」との声が上がり、総意として辞任を求めることにした。
 正副会長の任期は平成25年3月末。
( 2012/11/30 10:17 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201211305185

そして、早期に受け入れを表明した大熊町には、政府から「恩賞」を与えられた。中間貯蔵施設の候補地を9ヵ所から6ヵ所に減らすというのだ。それを伝える12月6日の福島民報のネット記事を下記に示す。しかし、「(減らす3カ所があるのは)サケが遡上(そじょう)する熊川の周辺。扱いは慎重にすべきという実感を持った。町の意向に沿うようにした」というのは……。悲しくて言葉もでない。

大熊町の中間貯蔵施設建設候補地 9カ所から6カ所に減らす方針
 東京電力福島第一原発事故による汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設の建設をめぐり、環境省は5日、大熊町の9カ所としていた建設候補地を6カ所に減らす方針を町と町議会に示した。町内南部の3カ所を北部6カ所に集約させる。ただ、同省は施設に搬入させる土壌などの量を減らさない方針で、北部6カ所の施設の面積は増える可能性がある。
 同省の小林正明水・大気環境局長が5日、会津若松市で渡辺利綱町長、千葉幸生町議会議長らに方針を説明した。同省は候補地の対象としない3カ所について現地調査をしない。小林局長は「(減らす3カ所があるのは)サケが遡上(そじょう)する熊川の周辺。扱いは慎重にすべきという実感を持った。町の意向に沿うようにした」と理由を述べた。
 一方、施設に搬入する土壌の量については「一定の容量は確保できるようにする。候補地が北部の6カ所に加え、周辺地域に広がる可能性はある」と話した。同省は現地調査の準備作業を年内にも始める予定。
 説明を受けた渡辺町長は「(熊川周辺を候補地としないよう)町民感情も考えて要請していた。削減は当然」と語った。ただ、「施設に搬入する土壌の量や最終処分場の在り方など全体的に不明確な部分も多く、調査結果が出た上で町の対応を考えたい」とした。今後、区長会を開いて報告し、地権者、町民に説明する方針。
 千葉議長も「熊川周辺は自然豊かで観光面からも復興のシンボルの一つとなる」と同省の方針を一定程度評価したが、搬入する土壌の量などの説明が不明確と強調し「説明に根拠があるのか疑問」と述べた。
( 2012/12/06 11:38 カテゴリー:主要 )
http://www.minpo.jp/news/detail/201212065308

たぶん、これが決め手になったのだろうと思われる。双葉町議会はそもそも中間貯蔵施設の条件付き受け入れに賛成していた。しかし、井戸川克隆町長の受け入れ拒否の姿勢は堅い。しかし、大熊町が早期受け入れを表明して「妥協」(考えてみれば考えてみるほど悲しい「恩賞」である)を獲得したことに刺激され、早く交渉しなければという気持にかられたのであろうと思われる。大熊町で減らした分を双葉町に押しつけられては困るというのだろう。

まず、「双葉地方町村会」を使って、一見強制でない形をとって「合意」をとり、反対派の井戸川克隆町長を孤立させていく。他方で、大熊町と双葉町を「容認」について競わせているが、福島第一原発を建設する際にも、福島県は大熊町と双葉町を競わせて、原発誘致に積極的にさせようとしていた。そして、最終段階で、町議会が井戸川町長に辞任要求をつきつけるというのである。こういう形で、現在、井戸川克隆町長は難局に直面しているといえる。

そして、「総選挙」という状況を利用していることも注視しなくてはならない。普段であれば、そもそも双葉郡における中間貯蔵施設建設容認、そして、そのことを背景にした井戸川克隆町長への辞任要求は、かなり大きなスペースで伝えられるはずである。そのことについての批判も大きいはずだ。しかし、現時点では、総選挙報道に塗りつぶされてしまっている。ほとんどの人ー特に埼玉に避難している双葉町民ーが、十分検討できない状況をねらって、重大なことが行われようとしているのである。

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