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さて、最近、各新聞が、市民団体の調査により、取手市の小学一年生、中学一年生の間で心臓検診で「要精密検査」が必要とされた数が急増していることが報じられた。ここでは、東京新聞のネット配信記事をあげておこう。

73人が「要精密検査」 取手市内24校心臓検診

2012年12月26日

 取手市の市民団体は二十五日、市立小中学校二十四校の二〇一二年度の心臓検診で、一次検査で「要精密検査」と診断された児童・生徒の数が一一年度に比べて急増していることを公表した。
 心臓検診は取手市教委が毎年五月中に小学一年生、中学一年生に実施している。公表したのは「生活クラブ生協取手支部」(根岸裕美子代表)、「放射NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表)、「とりで生活者ネットワーク」(黒沢仁美代表)の三団体で、市教委などの資料を基に調べた。
 それによると、一二年度に一次検診を受けた小中学生千六百五十五人のうち、七十三人が要精密検査と診断された。一一年度の二十八人から二・六倍になり、中学生だけで見ると、十七人から五十五人と三倍強に増えていた。
 また、心臓に何らかの既往症が認められる児童・生徒も一〇年度の九人から一一年度二十一人、一二年度二十四人と推移。突然死の危険性が指摘される「QT延長症候群」とその疑いのある診断結果が、一〇年度の一人、一一年度の二人から八人へと急増していた。
 市民団体は「心臓に異常が認められるケースが急増しているのは事実。各団体と相談して年明けにも関係各機関に対応策を求めていきたい」としている。
 藤井信吾市長の話 データを確認したうえで対応策を考えたい。
  (坂入基之)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20121226/CK2012122602000145.html

これだけ読むと、何が問題なのか、よくわからない。朝日新聞などの報道も大体同じである。もちろん、児童・生徒において心臓疾患の恐れがある数が急増していること自体、もちろん問題ではあるのだが。

ここでは、端的に言わなくてはならない。1986年のチェルノブイリ事故以後、チェルノブイリ周辺の人びとの間で心臓疾患が急増している。日本でも、その可能性が懸念されている。その証左ではないかということで、取手市の児童・生徒における心臓疾患急増の可能性が恐れられているのである。

放射性物質によって心臓疾患が引き起こされる可能性を指摘しているのが、ベラルーシの元ゴメリ医科大学学長バンダジェフスキー氏である。バンダジェフスキー氏は、ボランティアグループ「放射能防御プロジェクト」(木下黄太代表)の招きで来日し、東京や札幌、仙台など全国5カ所で開催された計9回にのぼる一般向け講演会を行い、2012年3月19日には、衆議院第一議員会館内でマスコミ向け記者会見および国会議院や政府関係者、マスコミを対象とした院内講演会が開催された。その時の記者会見内容を、週刊東洋経済のオンライン配信サイト「東洋経済オンライン」が「セシウムによる健康被害を解明したベラルーシの科学者が会見、心臓や甲状腺への蓄積を深刻視」(2012年3月22日配信)というタイトルで伝えている。その内容を一部みておこう。

この記者会見で、バンダジェフスキー氏は次のように語った。

環境に高いレベルで放射線があるところで暮らしていると突然死の可能性がある。ゴメリ医科大の学生でもそういう例があった。放射性セシウムは特に心臓に激しい攻撃を加える。心筋細胞にセシウム137が取り込まれると、エネルギーの産生(合成)ができなくなり、突然死につながる。
 
 実際に解剖して測定すると、セシウム137の蓄積が確認できる。セシウム137は20~30ベクレル/キログラムという低レベルの蓄積でも心拍異常が起きている。それが突然死の原因になりうる。福島第一原発事故の被災地では、子どものみならず大人も対象に被曝量に関する調査が必要だ。
http://toyokeizai.net/articles/-/8864?page=2

つまり、セシウム137が心臓の心筋細胞に取り込まれることによって、心臓疾患が発生し、突然死の原因になりうると主張しているのである。

バンダジェフスキー氏は、日本政府が情報を公開せず、各放射性物質の調査もしないことをこの記者会見で批判した。さらに、がれき処理については、放射性物質を含んでいるので全国にばらまくべきではないとし、「このような沈黙を強いるやり方が旧共産党政権下で行われているならばわかるが、21世紀の今日、民主主義国である日本で行われているとは信じがたい。」と指摘している。

そして、食品における暫定基準について、このように主張している。

–4月から日本では食品に含まれる放射性物質について新しい基準値が設定される。これをどう評価しているか。

食品中に放射性物質が含まれていること自体が非常に危険だ。新基準で食品に含まれるのを許容するベクレル数を引き下げたことは肯定的な動きだが、ベラルーシでは1999年から用いられている基準のおかげで国民は放射性物質を摂取し続けている。
 
 食品を通じて体内に取り込んだ放射性物質は体のさまざまなシステムに影響を与える。このことは(放射線の照射である)外部被曝と比べても数段危険だ。

–仮に内部被曝をきちんと管理できた場合、土壌汚染地域で安全に生活できる閾(しきい)値はどれくらいか。具体的には(年間の積算放射線量が数ミリシーベルトに達する)福島市や郡山市、二本松市で生活することに問題はないか。

牛乳を例に取ってみると、クリーンな牛乳は50ベクレル/キログラム以下とされている。しかし、それ以下であれば安全という基準はない。基準以上であれ以下であれ、両方とも危険だ。基準とはあくまで運用上のものにすぎない。
 
 長い間汚染された地域に住む人が放射性核種を体内に取り込むとさらに危険が増す。最も危険なのは食品を通じて臓器に放射性物質が取り込まれることだ。

病気が誘引される放射性物質の濃度や放射線量ははっきりしない。ただ、子どもの場合、体重1キログラム当たり10~30ベクレルのセシウム137を取り込んだ子どものうち約6割の子どもで心電図に異常が出ている。

さらに蓄積量が多くなると、心臓の動きの悪い子どもの数がどんどん増加していることがわかった。ベラルーシの汚染地域ではそういう子どもがたくさんいる。だから子どもの死亡が多い。

チェルノブイリ原発から30キロメートルにあるウクライナのイワンコフ地区では人口1000人当たり30人が1年間に死亡している。キエフ州全体では18人だが、これも多いほうだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/8864?page=3

つまり、特に食品による内部被ばくによって、セシウム137が子どもの心臓にとりこまれ、心臓疾患が多発しており、子どもの死亡が多くなっているというのである。

このような、放射性物質による内部被ばくによって引き越される心臓疾患増加の兆しとして、取手市の児童・生徒の心臓疾患が懸念されているのだ。つまり、放射性物質によって引き起こされる健康傷害は、がんや白血病、遺伝傷害だけではない。心臓疾患もありうるのではないかと考えられるのである。

もちろん、この記事でも「福島第一原発事故をきっかけに始まった福島県による「県民健康管理調査」–。同調査の進め方を議論する「県民健康管理調査検討委員会」が配布した資料には次のような記述がある。「チェルノブイリ原発事故で唯一明らかにされたのは、放射性ヨウ素の内部被曝による小児の甲状腺がんの増加のみであり、その他の疾病の増加については認められていません」(昨年7月24日に開催された第3回検討委員会配布資料)。」と冒頭で報じているように、チェルノブイリ事故において甲状腺がん以外の疾患が放射能で発生したことは、日本においては公式では認められていない。それゆえ、新聞も追随して、なぜ取手市における心臓疾患問題が注目されるのか、その理由を全く報道していない。しかし、取手市における児童・生徒の間の心臓疾患は、福島第一原発事故が、チェルノブイリ事故に匹敵するほどの健康障害を引き起こす兆しとして、懸念されているのである。つまり、すでに首都圏でも、ある意味では、チェルノブイリと同等の危機に直面しているといえよう。

追記:未見だが『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響–チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』(著者はユーリ・バンダジェフスキー)が参考になると思う。

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本ブログで、カタログハウスの店・東京店において「福島さん」野菜を販売する試みを以前紹介した。

その時は、カタログハウスの店・東京店を実際に見ていなかったので、2011年10月15日に実際にいってみた。

本来は写真撮影は遠慮すべきだったのだが、結局、ブログに使うということで、写真を結果的に使えることになった(ありがとうございます)。

カタログハウスの店・東京店は、新橋駅前にある。一般的には「都心」といえるであろう。ビルの一・二階が店舗になっている。それほど大きくはない。基本的に通販であり、その一部を販売しているという感じである。食品などより、枕などの生活用品が目立つ印象がある。二階には講演会場もある。たぶん、『通販生活』のアンテナショップなのであろう。

カタログハウスの店・東京店(2011年10月15日撮影)

カタログハウスの店・東京店(2011年10月15日撮影)

「福島さんの野菜」コーナーは、1階入口付近の、かなり目立つところにあった。ここでも「ウクライナの基準合格」を強調していた。カタログハウスとしては、力を入れている企画だと感じた。

「福島さんの野菜」コーナー(2011年10月15日撮影)

「福島さんの野菜」コーナー(2011年10月15日撮影)

店舗の入り口には、このような看板がたっている。販売する野菜・果物の放射性セシウム含有値をそれぞれ示しているのだ。ほとんどが10ベクレル未満になっている。つまりは検出限界ということなのであろう。ただ、ぶどうの一部は23ベクレル・17ベクレルとやや検出されている。果物は比較的セシウムがあることが多いことは承知していたので、これも想定通りであった。もちろん、野菜は40ベクレル、果物は70ベクレルという「ウクライナの基準」以下ではある。

放射性セシウム検査値をしめす看板(2011年10月15日撮影)

放射性セシウム検査値をしめす看板(2011年10月15日撮影)

実際の売り場は、このようになっている。値札をみてほしい。ミニきゅうり280円、ピーマン210円、ニンジン220円、ナス230円…。そんなに安くはない。比較的高級食材を売ることがメインであるスーパーマーケットなみの値段といえるのである。

野菜売り場(2011年10月15日撮影)

野菜売り場(2011年10月15日撮影)

ここでの商品は、基本的に生産者特約で買い入れている。それも明示している。

生産者を明示する掲示板(2011年10月15日撮影)

生産者を明示する掲示板(2011年10月15日撮影)

そして、極め付きは、店舗内に鎮座している放射能測定器である。本体の上にかなり大きなディスプレイがあり、検査結果がわかるようになっている。出荷している福島県側でも測定しているとされている。普通は、店舗内におくようなものではない。まさに、この放射能測定器が、「安心」を強調する、最大の宣伝アイテムとなっているのである。

放射能測定器(2011年10月15日撮影)

放射能測定器(2011年10月15日撮影)

放射能測定器のディスプレイ(2011年10月15日撮影)

放射能測定器のディスプレイ(2011年10月15日撮影)

店内には、「福島さんの野菜」を推奨する有名人の看板もあった。西田敏行・田部井淳子・永六輔・山本太郎・小泉武夫・鎌田實という面々である。

「福島さんの野菜」を推奨する有名人(2011年10月15日撮影)

「福島さんの野菜」を推奨する有名人(2011年10月15日撮影)

実際に、ナス(230円)を購入してみた。1袋に3個。やはり高級スーパーなみの値段である。ただ、それぞれが大きくて、肉が多いと感じた。たぶん、特約生産者による注意深い農作業のたまものであろう。

福島県産ナス(2011年10月17日撮影)

福島県産ナス(2011年10月17日撮影)

一言でいえば、かなり頭のいいという意味での、スマートな売り方だといえる。「放射能測定器」というアイテムを使用し、さらには、現行の暫定基準よりも厳しい基準を採用することで、「安全」という付加価値をつける。一度「安全」ならば、被災地福島県産の野菜を買うという積極的な購買意欲を掘り起こすことができる。それゆえ、ある意味で、かなり高い値段で売ることが可能となるのである。

といっても、それほど、カタログハウスとしては、この「福島さんの野菜」販売で大きな利益は見込んでいないであろう。むしろ、「安全な福島県産の野菜」を売ることで、カタログハウス全体のイメージをアップさせる、いわば「広告塔」のような役割もたぶん想定していると思われる。もちろん、カタログハウスとしての「信念」でもあろうが。ある意味では、企業戦略なのであろう。ただ、それは悪い意味ではない。ソフトバンクの孫正義社長が自然エネルギー導入を推進するということは、単に信念だけでなく、イメージアップという企業戦略もからんでいるであろうが、それ自体は評価すべきことである。それと同じような意味で、カタログハウスの試みも評価すべきなのである。

といっても、このような、イメージとしては成功(採算がとれているかいないかは不明だが)している売り方は、残念ながらたぶん少数であろう。そのことは、また別個に考える必要があるといえる。

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本ブログでは、専門外ながら、放射性ヨウ素、放射性セシウムの暫定基準の問題もとりあげてきた。

2011年10月12日、日本記者クラブでの会見で、チェルノブイリ事故への対応を行ってきたベラルーシの民間研究機関のウラジーミル・バベンコは、「日本の放射性物質に対する暫定基準は甘すぎ、全く理解できない。現実的な基準とすべきだ」と語った。それを伝えるMSN産経ニュースのネット記事を下記にあげておく。

日本の食品基準は甘すぎ ベラルーシ専門家が批判
2011.10.12 20:28 [放射能漏れ]

チェルノブイリ原発事故後の住民対策に取り組んできたベラルーシの民間の研究機関、ベルラド放射能安全研究所のウラジーミル・バベンコ副所長が12日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。東京電力福島第1原発事故を受け、日本政府が設定した食品や飲料水の放射性物質の基準値が甘すぎ、「まったく理解できない」と批判、早急に「現実的」な値に見直すべきだと述べた。

 例えば、日本では飲料水1キログラム当たりの放射性セシウムの暫定基準値は200ベクレル。一方、ベラルーシの基準値は10ベクレルで、20倍の差があるという。

 ベラルーシでは内部被ばくの影響を受けやすい子どもが摂取する食品は37ベクレルと厳しい基準値が定められているが、日本では乳製品を除く食品の暫定基準値は500ベクレルで、子どもに対する特別措置がないことも問題視。「37ベクレルでも子どもに与えるには高すぎる。ゼロに近づけるべきだ」と指摘した。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111012/erp11101220300003-n1.htm

たぶん、日本であると、より緩和した基準にするほうが現実的であるといわれるであろう。バベンコは、より厳しい数値こそが「現実的」というのである。

以前、本ブログで、福島県産野菜を販売するカタログハウスの試みをとりあげ、その中でウクライナの基準をとりあげた。もう一度、引用しておこう。

【ウクライナ規制値】
チェルノブイリ事故から12年過ぎた1998年1月からウクライナ保健省が実施している基準。「この基準内の食品(複数)を標準的な量で摂取していった合計が年間1ミリシーベルトを超えない」を保証する規制値です。住民の内部被ばくの拡大を反映して、何回も改定をくり返していった結果が厳しい現在の規制値になったそうです。

そして、具体的には、次のような基準であるとしている。

ウクライナ規制値 :野菜40 果物70 パン20(米も準用)  卵6  肉200  魚150 飲料水2 牛乳・乳製品100  幼児食品40(単位はBq/kg)

それでは、ベラルーシの放射性物質対策とは、どのようなものなのだろうか。そのことについて、すでにNHKが、8月4日にBS1の「ほっと@アジア」(17時台の番組で紹介している。YouTubeに本番組がアップされていたので、まず紹介しておきたい。

(http://www.youtube.com/watch?v=fMaqzvb2HWoより)

内容は、NHKが「解説アーカイブズ」として、ネット配信している(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/450/91326.html)。まず、解説委員の石川一洋は、この番組の意図をこのように語っている。

石川)ベラルーシはチェルノブイリ後、飛来した放射能が雨によって土地に沈着して広大な土地が汚染されました。その状況は今回の事故後の原発から北西方向、そして福島県の中通り、さらには関東など各地に点在するホットスポットの状況と似ています。放射性のセシウムが主要な汚染源であるという点も似ています。
ベラルーシではもっとも汚染の酷い土地からは移住させました。しかし汚染地帯には多くの住民が住み、農業などそこでとれる作物を利用しています。
住民の健康を守るため厳格な食物の放射性物質の検査などを行っています。
汚染状況が似ていること、もう一つは住民の健康を守るためにベラルーシが取っている対策が日本の今後の指標となるからです。
私はベラルーシで子供の健康調査や食物の放射性物質の検査を続けている研究所の所長に話を聞きました。

取材を受けたベルラッド研究所アレクセイ・ネステレンコ所長は、次のように語っている。

ベルラッド研究所アレクセイ・ネステレンコ所長
「日本ではソビエトと同じように情報の隠蔽が行われている印象があります。重要なのは、まず食料を厳重に検査し管理することです。次に住民、特に子供たちの体内にどのくらい放射性物質が取り込まれたのか、検査を続けることです。そして住民に食物から放射性物質を除去する方法など放射性物質の影響を少なくする情報を教えることです」

その上で、石川一洋が以前取材した同研究所の活動も紹介しながら、ベラルーシの放射性物質対策について、この番組では、次のように指摘している。

ベラルーシは日本と比較しても、国も広範な検査を実施しています。
しかしネステレンコ所長は国だけでなく民間の研究所や食品会社や市民自身が並行して食料の中の放射性物質を検査することが重要だと指摘しています。
「国家機関は場合によっては都合の悪い情報は隠すものです。従って国の機関の検査結果に対しては住民の不信が高まります。こうした不信を取り除くためにも民間が独自に検査することは重要です。私たちは学校に検査機器をおいて実施していますが、そうしますと教育的な効果もあります。子供たちが放射性物質を詳しく知ることになるのです」。

その上で、日本の暫定基準とベラルーシの基準を比較している。(なお、吉井はアナウンサー)

吉井)日本も食品については暫定基準を定めていますよね、ベラルーシの基準はどのようなものですか。

石川)まず日本の基準です。
日本は食品については放射性物質の基準が無かったために暫定的な基準を三月に急遽定めました。今現在は問題となるのは半減期の長い放射性セシウムです。ほとんどの食品で1キログラムあたり500ベクレル、飲用水と牛乳やミルクなど乳製品は200ベクレルとされています。

しかしネステレンコ所長は基準が甘すぎると批判しています。
「日本の基準はベラルーシに比べてあまりに緩すぎて、酷いと言っても良いくらいです。
ベラルーシではたとえば3歳児までの子供用の牛乳など食物の許容限度は放射性セシウムで37ベクレルです」

日本が飲料水と乳製品については200ベクレルとしていますが、その他は一律に500ベクレルという大雑把な基準となっていますが、ベラルーシでは、食品の種類ごとに細かく基準が定められています。表をご覧ください。

3歳児までの乳幼児用の食品は1キログラムあたり37ベクレル、飲料水は10ベクレル、牛乳は100ベクレル、パンは40ベクレル、牛肉は500ベクレル、豚肉、鶏肉は200ベクレルなど食品ごとに基準値が細かく定められ、全般的に日本よりもかなり厳しめになっています。

吉井)でも日本よりも甘いものもありますね。

石川)そうです。たとえば乾燥キノコやお茶は日本よりも甘くなっています。お茶の葉にはこれだけのセシウムがあってもお茶自体にはセシウムはすべて溶け出しませんし、また乾燥キノコなども国民が食べる量は限られている、その代り、水や主食のパン、牛乳、ジャガイモなどは大変厳しい値になっています。国民の食生活の実態に合わせて細かく基準を定めているのです。

ネステレンコ所長も、日本の基準は甘すぎるといっている。ベラルーシの基準は、実際の食生活に配慮しつつ、日本よりも全体として厳しいものになっているのだ。特に、水・牛乳や、主食のパン・ジャガイモが厳しくなっていることに注目されたい。

この基準の違いを石川は、次のように解説している。

吉井)なぜ日本とベラルーシの基準値がこんなに違うのですか。

石川)ベラルーシの基準値の考え方は、内部被爆・外部被爆併せて1ミリシーベルトを超えないという基本方針からそれぞれの食品の基準が定められています。一方日本の場合も平常時は1ミリシーベルトが基準でしたが、福島第一原発の事故を受けて、現在は事故後の緊急状況であるとして暫定基準を定めるときに5ミリシーベルトまでは許容しようと食品に対する考え方を緩めたわけです。しかも5ミリシーベルトの中には放射性セシウムとストロンチウムによる被ばくのみです。ヨウ素などは別枠です。
5ミリシーベルトと1ミリシーベルトという基本方針の違いが基準値の差となって現れています。

ただ厚生労働省では、もしも暫定基準値の値の食物を食べ続けた場合に5ミリシーベルトになるという値であり、実際の内部被ばくの値ははるかに小さくなり、健康には影響は無いとしています。また現在は事故後の緊急時であり、あまり厳しい値を定めることは被災地の農業や水産業を破壊することになりかねず、安全と経済のバランスを取ることが必要だとしています。

いずれにしてもあくまで緊急時であり、平時の1ミリシーベルトに戻さなければならないでしょうし、日本の食生活に合わせたさらに細かな基準づくりというものが必要になってくるでしょう。

つまりは、日本の現行の暫定基準は、事故後の緊急時であり「安全と経済のバランスを取る」ということから、平常時の5倍の被ばく量を想定して設定しているというのである。そして、石川は、「いずれにしてもあくまで緊急時であり、平時の1ミリシーベルトに戻さなければならないでしょうし、日本の食生活に合わせたさらに細かな基準づくりというものが必要になってくるでしょう」としているのである。つまりは、その意味で日本の暫定基準は「暫定」なのである。

そして、番組の最後のほうでは、児玉龍彦の国会での発言も紹介しながら、このような言葉で結んでいる。

吉井)ベラルーシではいろんな努力をして、放射性セシウムなど放射性物質から子供たちを守ろうとしているのですね。日本でもこうしたことは可能でしょうか。

石川)食生活で言えばベラルーシと日本は異なるわけですから、日本に合わせた基準を作れば良い、主食のコメなどは厳しくするとか、日本に合わせた基準が必要でしょう。
また食品の検査についても今は一品、一品時間をかけて検査する方法ですが、日本の高度な技術を使えば、流れ作業のような形で検査するシステムが開発可能だという提言も出ています。

東大アイソトープセンター長 児玉龍彦教授
「流れ作業的に沢山やれるようにしてその中で、はねるものをどんどんイメージで、画像上でこれが高いと出たらはねていくような仕組みを、これは既存の技術ですぐできますものです。そういうものを全力を上げてやっていただきたいと思っております」

日本の高度な技術を食品管理に活かすということです。
ベラルーシは国家予算の二割がチェルノブイリ事故の対策に費やされています。
ベラルーシに比べますと日本は国家予算で100倍という大国です。
ベラルーシの国家予算の二割というのは1200億円ほどで日本の国家予算にすれば0.1パーセントほどの額です。後は国民の健康と安全を守るという政治的意思が日本政府にあるかどうかということだと思うのです。
ベラルーシなどで何が起きて、どのような対策が取られたのか、日本の今後を考える上でも、今度は我々がベラルーシなどから学ばなければなりません。

まさに、「後は国民の健康と安全を守るという政治的意思が日本政府にあるかどうかということだと思うのです。」ということなのである。

このような対応をとっているベラルーシは、どのような国なのか。ウィキペディアは、次のように伝えている。現在、ベラルーシは、ルカシェンコ大統領が強権政治を行っている国とみられているようである。

一方、2010年12月の大統領選挙では、選挙後に野党の候補者が政権により拘束されたという[5]。このため、EUとアメリカが制裁を決定する[6]など、現在のベラルーシは国際社会からの孤立を深めている。
ルカシェンコが四選を果たした直後から2011年7月現在に至るまで、ベラルーシ国内は深刻な経済危機に陥っている。そんな中、SNSなどでの呼びかけで、市民の間でルカシェンコ政権への抗議運動が発生し始めている。政権に抗議する市民たちは無言で拍手をしながら街を練り歩くと言う静かで平和的な抗議運動を行っているが、治安当局はデモ隊の徹底した弾圧を実行している
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7

つまりは、強権政治を行っているとみられているベラルーシのほうが、より国民の健康と安全を配慮した対策を施しているのである。

一方で、日本は、どうか。朝日新聞は、10月13日、次のような記事をネット配信した。

コメの放射性物質検査を進めていた福島県は12日、今年の県産米の検査を終え、すべてで放射性セシウムが国の基準値(1キロあたり500ベクレル)を下回ったと正式に発表した。これでコメを作付けしている全48市町村で出荷が可能になり、佐藤雄平知事は「安全宣言」をした。

 県は8月下旬、原発事故で作付けが禁止された双葉郡などを除く48市町村で検査を開始。収穫前に汚染の傾向をつかむ予備検査と、収穫後に出荷の可否を判断する本検査の2段階で実施した。

 一般米の本検査の対象となった1174地点のうち、放射性セシウムが検出されなかったのは82%にあたる964地点。100ベクレル未満が17%の203地点、100ベクレル以上は0.6%の7地点だけだった。

 ただ、予備検査で1キロあたり500ベクレルを検出した二本松市の旧小浜町地区では、この日判明した本検査でも470ベクレルを検出。県はこの水田と、隣接する水田の計3枚(9アール)で収穫したコメ約400キロをすべて買い上げ、市場に流通しないようにする。
http://www.asahi.com/national/update/1013/TKY201110120767.html

さすがに、暫定基準値すれすれの米は市場に出回らないようにしたようであるが……。暫定基準を下回ったとして、福島県の佐藤雄平知事は「安全」といっている。実際、検査結果をみると不検出や極微量検出の米が多いのだが、平常時の5倍に緩和した基準をたてに「安全」といっている。これでは、政府が「安全」だと決めたから「安全」であるということになってしまう。あくまでも「緊急時の暫定」であり、今後はより基準を厳しくしていく必要があると考えられるのに、このような「安全宣言」は不穏当である。そして、それは、より厳しい基準を設定していく営為を阻害していくものといえよう。

結局、「民主主義」国家と形式的にはいわれる日本は、「強権国家」と批判されるベラルーシよりも、はるかに劣った放射性物質対策を行っているのである。そして、日本では、たぶん「緩和する」ことが「現実的」と言われるであろうが、ベラルーシでは、より厳しい基準を設定することが「現実的」なのである。「現実」について、日本とベラルーシには違った認識があるといえよう。

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