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さて、敦賀原発全体の撤退が取り沙汰されている敦賀市の現況はどのようになっているだろうか。2015年4月5日付の福井新聞に、現在の敦賀市の現況を象徴するような記事が掲載されている。ここで紹介しておこう。

 

閉館の原子力PR施設、空っぽ3年 原子力機構の旧アクアトム(敦賀)
(2015年4月5日午前7時00分)

 日本原子力研究開発機構の原子力PR展示施設だった旧「アクアトム」(福井県敦賀市神楽町2丁目)の活用法が決まらない。閉館から丸3年、西川一誠知事と河瀬一治市長がそれぞれ議会で、県市の共同所有を発表してからも既に半年超。市中心部に巨大な空きビルが放置され続ける状況に、市民からもあきれる声が出ている。

 ■たなざらし

 アクアトムは2001年6月に開館し11年間で約100万人が訪れたが、福島第1原発事故後、民主党行政改革調査会からむだと指摘され11年度末で閉館した。機構や監督官庁の文部科学省、土地所有者の市に、県も加わり協議し昨年9月、県と市が機構から無償で譲り受け、建物を半分ずつ所有すると発表していた。

 具体的には、県市が機構に譲渡を申し入れた後、機構は文科省に申請。許可を得た上で無償譲渡を実施する―という流れだ。しかし県市はまだ、その端緒となる申し入れも行えていない。

 ■県市に隔たり

 難しいのは市の立場だ。市内原発の廃炉が決まり財政面で歳出削減が求められる中、安易に施設を譲り受けるのは難しい。例えば、同様に電力事業者から寄付されたイベントホール「きらめきみなと館」(桜町)は指定管理料が年間約2千万円かかっている。

 アクアトムに関して市は、借地料や固定資産税などを受け取らない代わりに、施設の維持管理費は負担しないなど、財政負担を減らす枠組みを模索している。

 活用面では市議会の意向も踏まえ、地域のにぎわいにつながる内容にしたい考えだが、機構は施設を譲渡する際の規定で「公共または学術研究の用に供すること」などと定めていることから、要件を満たすかどうかも課題。具体的な県市の協議は、先月に入ってようやく始まったばかりだ。

 さらに県市には、譲渡に際しそれぞれの議会で承認が必要か、仮に施設で事故があった場合、責任の所在はどちらか―といった事務的な内容でも隔たりがあり、時間が費やされてきた。

 ■押しつけ合い

 一時は解体も検討されたアクアトムが一転、活用の方向となったのは、1億円程度の解体費用を公費でまかなう必要があったことが理由の一つ。だが閉館後も維持管理費として、機構は借地料や固定資産税を中心に、年間約2200万円を支出している。これらも公費で、県、市、機構、文科省の4者が合意点を見いだせずにいたこの3年間で、支出は合計7千万円近くに達してしまった。

 「押しつけ合いをしているよう。皆が持ちたくないのだろう。市から説明もないしどうなるのか」。地元のある区長は心配顔だ。「シャッター通りの象徴。人が集まり便利に使える施設にしてほしい」と訴える。商店街からも「寂れた印象がよくない。いつまで検討しているつもりか」と不満の声が聞かれる。

 アクアトムを含む機構の展示施設を巡っては、政府の政策評価・独立行政法人評価委員会が今年1月、「機能廃止後も処分が進まず、毎年度多額の維持費を要している。早急にその必要性を検証し処分する」との勧告の方向性をまとめた。

 塚本勝典副市長は今月2日の会見で「選挙後の6月県会、市会を目標に、合意できるようやっていくのがわれわれ行政の仕事」と強調した。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/68125.html

まとめていえば、もんじゅなどを所管している原子力研究開発機構は、敦賀市中心部に「アクアトム」という原子力PR展示施設を開いていたが、3.11以後、民主党政権から「無駄」と指摘され、2011年度末に閉館した。しかし、その施設をその後どうするのかということが、閉館から3年たっても決まっていない。昨年、県と市が機構から無償で譲り受けるという方向性が打ち出されたが、結局費用負担などで関係者の合意がとれず、たなざらしのままにされているというのである。

この記事のなかで、住民は旧アクアトムを「シャッター通りの象徴」「寂れた印象がよくない」と指摘している。

実際、敦賀市中心部は、旧アクアトム周辺だけではなく、かなりの部分が「シャッター通り」化している。2015年4月5〜7日、私も調査のため、敦賀市を訪れたが、その寂れように驚いた。4月6日の18時頃に撮影した写真をいくつか紹介しておこう。

敦賀市中心部商店街(2015年4月6日撮影)

敦賀市中心部商店街(2015年4月6日撮影)

上記の写真は18時頃の撮影だが、アーケード街が遠くまで見渡せる。ほとんど人が歩いていないためだ。

敦賀市中心部商店街(2015年4月6日撮影)

敦賀市中心部商店街(2015年4月6日撮影)

そして、上記の写真のように、多くの店がシャッターを閉じている。

敦賀市中心部商店街(2015年4月6日撮影)

敦賀市中心部商店街(2015年4月6日撮影)

もちろん、現在、日本のどの地方都市にいっても「シャッター通り」が出現している。敦賀市もその一例にすぎないといえる。しかし、敦賀市の場合、たぶん原発関連なのだろうが、上記の写真のように、街路拡張やアーケード整備などのインフラ投資が進んでいるがゆえに、かえって「寂れた」印象が強まっているのである。

敦賀市のスーパー平和堂(2015年4月6日撮影)

敦賀市のスーパー平和堂(2015年4月6日撮影)

この「シャッター通り」の中で、ある程度人が集まっていたのは、大型スーパーの平和堂(商業施設全体はアル・プラザ敦賀と命名されている)であった。周知のように本年春季の選抜高校野球大会で敦賀気比高校が甲子園初優勝(福井県全体も含めて)したのだが、この「シャッター通り」の中では、そもそも「祝優勝」というポスターや垂れ幕の掲示は目立つほどされていない(開いている店では小さなポスターなどをはってはいたが)。この平和堂だけが、比較的大きな横断幕を掲示していた。高野連の指示で敦賀市は優勝パレードを自粛したということだが、それにしても自主的な形で祝祭ムードがあってもよいかとも思うのである。

このスーパー平和堂は大型の駐車場をもち、映画館なども併設している。確かに、このスポットだけで、人びとの消費活動は大部分完結できるだろう。多くの地方都市の中心部が「シャッター通り」になる要因としては、単に人口減少だけでなく(なお、敦賀市の人口は約6万人)、このような大型商業施設に消費者を奪われてしまうこともあるのである。

そういう意味で、敦賀市中心部の「シャッター通り」化の要因は原発のためだけではないのである。ただ、短期的には「原発廃炉」のためであると認識されているかもしれないとも考えられる。日本の地方都市一般の衰退という全体的な前提条件が、地域社会にとって、それまで以上に原発への依存度を高めてしまっているのではないだろうか。これは、敦賀市に原発が導入された1960年代にはなかったことであった。その意味で、閉館されたまま、利用方法も定まらない、原子力PR施設旧アクアトムは、敦賀市の「シャッター通り」化の象徴といえるのである。

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1960年代、福島原発建設と同時期に、福井においても原発建設が進められていた。福井が公式に原発建設の候補地となったのは1962年で、初めは福井県嶺北地方の坂井郡川西町(現福井市)の三里浜地区が候補になったが、岩盤が脆弱なために放棄され、嶺南地方の敦賀半島に所在する、敦賀市浦底地区と美浜町丹生地区が原発建設の候補地となった。結局、前者に日本原子力発電株式会社敦賀発電所、後者に関西電力美浜発電所が建設され、双方とも1号機は1970年に営業運転が開始されている。この二つの原発は、福井県への原発集中立地のさきがけとなり、敦賀原発自体が二つ、美浜原発自体が三つの原子炉を有するとともに、近接して実験炉のふげん(廃炉作業中)、もんじゅが建設されることになった。さらに、若狭地方には、それぞれ四つの原子炉を有する高浜原発と大飯原発が建設され、福島を凌駕する日本最多の原発集中立地がなされることになった。

福井の場合、福島と違って、1960年代初めから、原発建設に対する懸念が強かった。福井県の労働組合やそれを基盤とする社会党・共産党の県議・市議たちは、原子力の平和利用ということは認めつつ、具体的な原発建設についてはさまざまな懸念の声をあげていた。また、地元においても、美浜町丹生などでは比較的反対する声が強かった。

他方、思いもかけない方面で懸念の声があがっていた。懸念の意を表明したのは、昭和天皇である。このことを報道した福井新聞朝刊1966年10月14日付の記事をここであげておこう。

原電、西谷災害など 北知事、陛下にご説明

町村北海道知事ら十二道府県知事は、十三日午前十時半から、皇居で天皇陛下に各県の情勢などを説明した。これは数年前から恒例の行事になっているもので、陛下を中心に丸く輪になってすわった各知事が、五分間ずつ各地の現状と最近のおおきなできごとを話した。陛下は北海道、東北地方などの冷害や台風被害などにつき質問されていた。
正午からは陛下とともに仮宮殿の別室で昼食をとった。
北知事の話 電源開発と昨年秋の集中豪雨禍で離村する西谷村の現状について申しあげた。電源開発計画は、九頭竜川上流に四十三年六月を目標に三十二万二千キロの水力発電が完成するほか、原子力発電は現在敦賀半島で六十七万キロの開発が進んでおり、このほかの計画も合わせると数年後には百二十万キロ以上の発電能力を持つ全国屈指の電力供給県になるとご説明した。陛下からは非常によい計画だが、これによって地盤変動などの心配はないかとのご質問があったが、じゅうぶん考慮しており大じょうぶですとお答えした。
また昨年九月の集中豪雨で大きな被害を出した西谷村について、防災ダム建設などもあって全村離村する計画をお話ししたが、これについてはご下問はなかったが、ご心配の様子がうかがえた。
(福井新聞朝刊1966年10月14日付)

「北知事」とされているのは、原発誘致を積極的にすすめた当時の北栄造福井県知事のことである。かいつまんでいうと、北知事は、当時の福井県で進められていた水力発電所と原発建設を中心とする電源開発について説明したのだが、その際、昭和天皇から「非常によい計画だが、これによって地盤変動などの心配はないか」と質問され、北知事は「じゅうぶん考慮しており大じょうぶです」と答えたということなのである。

ここで、昭和天皇は、福井県の電源開発について「地盤変動などの心配はないか」と懸念を表明している。あげられている文章からでは、水力発電を含めた電源開発全体についてなのか、原発に特化したものなのか判然としないのだが、「地盤変動」をあげていることから原発のことなのだろうと推測できる。

このように考えてみると、原発開発の創設期である1960年代において、昭和天皇は、原発について「地盤変動」ー具体的には地震などを想定できるのだがーを「心配」していたとみることができよう。

原発が建設される地元の人びとや、さらに昭和天皇ですら表明していた原発に対する「懸念」に、国も県も電力会社も正面から答えることはなかった。結果的に福井県の原発はいまだ大事故を起していない。しかし、それは、「地盤変動」が原因でおきた福島第一原発事故をみて理解できるように、「たまたま」のことでしかないのである。

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福島第一原発事故以後、停止されていた「次世代型原子炉」の研究開発が2015年度に再開させる方針を政府は固めたという。次の読売新聞のネット配信記事をみてほしい。

次世代型原子炉、研究開発を再開へ…政府
読売新聞 9月17日(水)7時32分配信

 政府は、次世代型原子炉として期待される高温ガス炉の試験研究炉(茨城県大洗町)の運転を2015年度に再開し、研究開発を本格化させる方針を固めた。

 東日本大震災を受けて停止中だが、早ければ10月にも原子力規制委員会に安全審査を申請する。産官学による協議会を年内に設置して研究開発の工程表を作成し、実用化に向けた取り組みを後押しする考えだ。

 高温ガス炉は軽水炉と違い、冷却に水ではなく、化学的に安定しているヘリウムガスを使う。このため、水素爆発などが起きず、安全性が高いとされる。

 日本は1990年代から、日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構)を中心に高温ガス炉の研究開発を行っており、世界有数の技術の蓄積がある。試験研究炉では98年、核分裂を連続して発生させる「臨界」に初めて成功した。ただ、震災を受けて2011年3月に運転を停止して以降、研究は進んでいない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140917-00050009-yom-sci

「新世代型原子炉」研究開発を再開するというのである。この原子炉は、減速材・冷却材にともに軽水を使う軽水炉と異なり、減速材に黒鉛、冷却材にヘリウムを使い、そのヘリウムガスでタービンを回して発電させる「高温ガス炉」というものである。産經新聞のネット配信記事(8月25日配信)によると、次のように安全性が説明されている。

自然に停止

 ヘリウムガスを冷却材に使う高温ガス炉は、基本的な仕組みは既存の原発と同じだ。ウラン燃料の核分裂反応で生じた熱でタービンを動かし、電力を生み出す。だが過酷事故の発生リスクは極めて低いという。

 茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の高温ガス炉の試験研究炉「HTTR」。ここで4年前、運転中に炉心冷却装置を停止する実験が行われた。福島第1原発事故と同じ状況だ。原子炉は、いったいどうなったか。

 「何も起こらず自然に停止した。何もしなくても安全だった」。同機構原子力水素・熱利用研究センターの国富一彦センター長はこう話す。

 炉心冷却を停止すると、通常の原発は温度上昇で危険な状態に陥る。しかし、HTTRは停止とほぼ同時に原子炉の出力がゼロになり、温度は一瞬上昇しただけで安定していた。放射能漏れや炉心溶融は、もちろん起きなかった。

炉心溶融せず

高温ガス炉の安全性が高いのは、燃料の保護方法、炉心の構造材や冷却方式が従来と全く異なるためだ。

 既存の原発では、運転時の炉心温度は約300度。燃料の被覆材や、燃料を収める炉心構造材は耐熱温度が千数百度の金属製で、冷却材には水を使う。福島第1原発事故は冷却手段が失われ、炉心は2千度前後の高温になり溶融して燃料が露出。溶けた金属と冷却水の水蒸気が反応して水素爆発を起こし、放射性物質の飛散に至った。

 これに対しHTTRの炉心温度は950度と高いが、球状(直径0・9ミリ)の燃料は耐熱温度1600度のセラミックスで覆われており、これを2500度の超高温に耐える黒鉛製の炉心構造材に収めている。冷却材のヘリウムガスは化学的に安定で燃焼しない。これが炉心の高い熱エネルギーを運ぶため、高温ガス炉と呼ばれる。

 冷却手段が失われても炉心は理論上、1600度を超えないため、燃料の被覆が熱で壊れて放射能が漏れることはない。黒鉛製の構造材も溶融しない上、放熱効果が高いため自然に熱が逃げて冷える。

 水を使わないため水素爆発や水蒸気爆発の懸念もない。核分裂反応も、冷却停止で炉心温度がわずかに上がると、ウランは分裂しない形で中性子を吸収するため自然に停止するそうだ(後略)。
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140825/scn14082511170004-n2.htm

水を使わないから、水素爆発も水蒸気爆発もないというのは本当であろう。また、炉心冷却装置が停止しても支障がないともされている。しかし、それだから、安全というわけにもいかない。減速材に使われている黒鉛は「炭素」であり、高温で酸素や水に接触すると燃えるのだ。一般財団法人 高度情報科学技術研究機構(RIST)が運営しているインターネットの原子力百科事典『ATOMICA』では、最終的に対応できるとするものの、黒鉛が燃焼する可能性を指摘している。チェルノブイリ原発は、黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉というもので、冷却材に軽水を使っており、その点では違うのだが、減速材に黒鉛を使うという点は同じである。チェルノブイリ事故では、この黒鉛が燃えたのである。

通常運転時および事故時の黒鉛構造物の酸化損傷 (06-01-04-03)
<概要>
 高温ガス炉は減速材として黒鉛材料を使用しているので、黒鉛が燃焼したり、燃焼で生じた水素または一酸化炭素の爆発等により、黒鉛が酸化損傷する可能性を含んでいる。この酸化損傷は、通常運転時では冷却材中に含まれる反応性ガスによって、また万一炉心内に水または空気が侵入する事故時では水蒸気と空気によって引き起こされる可能性がある。通常運転時では、冷却材中に含まれる反応性ガスの量はわずかであるので酸化損傷が問題になることはない。事故時においては、空気侵入事故が酸化損傷の観点から最も厳しいので、高温ガス炉においては想定される最も厳しい空気侵入事故条件下でも原子炉の安全性が損なわれないように設計されている。
<更新年月>
2006年01月   
<本文>
 高温ガス炉では高温のガスを得るため、耐熱性と耐腐食性に優れた黒鉛材料が炉内に使用されている。したがって、原子炉の通常運転時においても、万一炉心内に水または空気が侵入する事故時においても、水蒸気、酸素等のガスと高温の黒鉛との間に酸化反応が生じる可能性がある。黒鉛の酸化現象が生じれば、炉心(燃料)を保護している黒鉛構造物が腐食されてもろくなり、最悪の場合には、チェルノブイル炉事故時にみられたように、炉心崩壊に至る可能性を秘めている。さらに、この黒鉛の酸化反応で生じた水素及び一酸化炭素がある量を超えて存在する場合には、燃焼あるいは爆発する恐れがある。このようなことを防ぐため、高温ガス炉においては、この酸化損傷対策を十分考慮し、炉心崩壊に至る事なく、かつ爆発が生じないように設計している。
 一般に、黒鉛と酸素との反応は500 ℃ 程度から、水蒸気との反応は 700 ℃以上から有意になることが知られている。通常運転時では、一次系ヘリウム純化系が計画的に一次系冷却材中の不純物を除去しているので、一次冷却材中に存在する反応性ガスは微量である。したがって、黒鉛構造物の温度がこれらの温度以上であっても、黒鉛酸化損傷が有意になることはない。
 また、事故時においても、黒鉛酸化反応が有意になる温度以下に冷却されれば黒鉛構造物の酸化損傷の問題はなくなるので、事故初期時の高温状態からこれらの温度に冷却されるまでに反応した酸化量が問題となる。黒鉛と水蒸気の反応は吸熱反応であり、一方空気(酸素)との反応は発熱反応であるので、厳しいのは空気侵入事故である。この空気侵入事故では、一次系の圧力バンダリーが技術的には壊れそうもないが万一壊れた場合を想定して原子炉安全性を評価している。なお、大口径配管(ダクト)は、原子炉圧力容器並みの信頼性があるとして、燃料取り出し管などの小口径配管ギロチン破断のみ想定する設計例もある。
 さらに、この高温ガス炉では市販されている電池の電極用黒鉛に比べ高純度で耐食性に優れた黒鉛を使用している。この原子炉級黒鉛は炭とは別の材料であって、燃えにくいものである。なお、炭は以下に示すような理由により黒鉛に比べて燃えやすい。
(1) 炭は黒鉛に比べポーラス(炭のかさ密度は黒鉛の約半分程度)であるので、より多くの酸素が炭素と反応する。
(2) 黒鉛の結晶構造は規則的である。一方、炭の結晶は黒鉛に比べて乱れているため、酸素と反応しやすい。
(3) 炭には多くの不純物が存在するので、酸素と炭素との反応が促進される(不純物は触媒作用するとともに、炭に含まれる有機物等(H2 、CH4 等)がそれ自体で反応する)。
 上記(1)~(3)に示したように、黒鉛との反応に比べ、炭との反応は激しくまた発熱量も多い。また練炭のように下側から空気を吸い込み上側から吐き出すという煙突効果等が加わり十分酸素が供給され続ければ、燃焼範囲に入り燃え続ける。大口径配管ギロチン破断を想定している高温工学試験研究炉(HTTR)では、酸素の量も格納容器内で制限されており、また侵入してくるガスの流れも緩やかであるなどの理由により、黒鉛が燃え続けることはない。
 図1に、HTTRの減圧事故時において発生した一酸化炭素濃度と燃焼範囲との関係を示す。黒鉛の酸化反応で発生したこの可燃性ガスが、仮に黒鉛が格納容器内のすべての酸素と反応して一酸化炭素になったとしても、爆発の可能性のある可燃性ガス濃度にならない。したがって、旧ソ連で起きた大規模チェルノブイル炉(高温ガス炉とその炉の構造が異なっているが、減速材として黒鉛を使用している。)事故のような惨事に至ることはない。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=06-01-04-03

そして、核燃料廃棄物の問題は軽水炉と同様に残っている。使用済み核燃料を再処理したところで、核燃料廃棄物自体がなくなるわけではない。事故が起こりにくいとしても、運転時などの労働者の被曝問題も解決されないだろう。

さらに、冷却材に使うヘリウム自体が供給不足ということもある。2014年3月22日、日本経済新聞は次のような記事を配信した。

ヘリウムが世界的な供給不足に陥っている。超電導磁石や半導体製造などに使われるヘリウムは天然ガスから採取される貴重な資源。しかし、最大の供給元の米国でシェールガスの採掘が増加、製造プラントの老朽化と相まって供給悪化が近年続いている。アジアなどの新興国需要も追い打ちをかけ、このままでは枯渇するともいわれている。
(後略)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO68601000Q4A320C1000000/

「次世代型原子炉」研究開発再開について、東京新聞は、9月19日のネット配信記事で、次のように批判している。

 

(前略)原子力への国民の不安が払拭(ふっしょく)されないまま実用化のめどが立たない研究に多額の税金を費やすのは一兆円以上をつぎ込んで頓挫している高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の二の舞いになりかねない。
(中略)
安倍政権は四月に閣議決定したエネルギー基本計画に、高温ガス炉の研究開発推進をもぐり込ませた。原子力機構はもんじゅの運営主体であり、自民党の河野太郎衆院議員は「もんじゅがだめだから高温ガス炉を突然入れてきた。予算確保が見え見えだ」と批判していた。
 九州大の吉岡斉(ひとし)教授(原子力政策)は「今やる理由が分からない。原子力機構は他に動かせそうなものがないから、研究機関としての稼働度を上げるために高温ガス炉に目を付けたのでは」と指摘した。
 政府は三〇年に高温ガス炉の実用化を目指しているが、成功しても「核のごみ」は発生する。最終処分場が見つかる見通しはなく、行き場のない核のごみは増え続ける。安倍政権は一二年の衆院選公約に脱原発依存を掲げ、原発依存度を下げると繰り返し表明しているが、逆行する動きとなる(後略)。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091902000154.html

 ここで、河野太郎や吉岡斉は挫折している「もんじゅ」などの代替として「高温ガス炉」開発が浮上してきたと指摘している。大体、日本の核技術というものは、軽水炉のようなアメリカが開発した技術をもとにしたものは「実用化」できたが、「もんじゅ」のような「自主開発」したものは、ことごとく挫折して終っている。たぶん、同じことが繰り返されるのだろう。福島第一原発事故を克服するということこそ、今一番求められていると思うのだが。

「次世代型原子炉」を開発するということ自体が「旧世代」の発想なのだろう。「安全性」「核廃棄物」「被曝」と、原子力には克服困難な問題が山積しており、よしんば解決可能だとしても、そのためのコストは厖大である。ゆえに、原子力からの脱却こそが、「新しい道」なのだ。しかるに、「次世代型原子炉」を開発するという名目で、福島第一原発事故を抑止はおろか事後管理すらもできない「旧き」原子力開発体制に、いまだに資金・人員を大量に動員することが目論まれている。「次世代」をつくるという「進歩」を名目とした「保守」がそこにはあるのだ。

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昨日(2014年4月3日)、たまたま読売新聞朝刊を見ていると、次の記事が目に飛び込んできた。

次世代原子炉の開発推進…エネ基本計画明記へ
2014年04月03日 04時12分

 政府が中長期的なエネルギー政策の指針となる新たな「エネルギー基本計画」に、次世代型原子炉の有力候補の一つである高温ガス炉の研究開発推進を明記することがわかった。

 高温ガス炉は燃料を耐熱性に優れたセラミックスで覆っているため、炉心溶融を起こしにくいのが特徴だ。国内での原発新増設の見通しは立っていないが、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、安全性の高い技術開発に取り組む姿勢を示す。

 2月に公表した計画案では、原子炉の安全性強化について、「過酷事故対策を含めた軽水炉の安全性向上に資する技術」の開発を進めると明記した。政府・与党内の調整を踏まえ、「固有の安全性を有する高温ガス炉など、安全性の高度化に貢献する原子力技術の研究開発を国際協力の下で推進」との文言を追加することが固まった。国内で主流の軽水炉より安全度の高い原子炉の技術の発展を目指す考えを示したものだ。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140403-OYT1T50005.html

この「エネルギー基本計画」は、原子力発電を「重要なベースロード電源」として位置付け、原発再稼働を押し進めるとともに、核燃料サイクルも維持し、欠陥続きのもんじゅも研究炉として残すというもので、この日の自民・公明の作業チームで基本合意され、両党の党内手続きをへて、近く閣議決定されるとされている。このエネルギー基本計画自体、過半数が原発再稼働に反対している世論動向に反したものである。

この報道によると、エネルギー基本計画に、わざわざ、「次世代型原子炉」としての「高温ガス炉」の技術開発を盛り込むというのである。

まあ、反省がないこととあきれてしまう。琉球新報が4月4日に配信した記事によると、このエネルギー基本計画の案文の「はじめに」書かれていた「「政府および原子力事業者は、いわゆる『安全神話』に陥り」や、過酷事故に対する「深い反省を一時たりとも放念してはならない」」という文言を削除し、自公の作業チームでも一部議員が問題にしたという。反省すら「反省」されて、なくなってしまっているのだ。

一方、「新たな科学技術」の導入を提唱するということは、いかにも安倍政権らしいことだと思っている。福島原発事故をみる通り、現状の原子炉ー軽水炉技術は大きな危険をはらんでおり、そのことが人びとの不安の原因になっている。この不安は、原発の再稼働や新増設ができない理由になっている。この不安に対し、安倍政権は、「未来志向」で「新たな科学技術」への夢を煽ることによって、解消しようとしているのである。

さて、安倍政権は現状の体制の維持を主旨とする保守党の自由民主党を基盤とした政権である。しかし、原発政策については、現状の国土や住民に対するリスクを回避することを第一にしてはいないのだ。むしろ、危険性の有無もはっきりしない新たな科学技術に期待し、それを「未来志向」というのである。保守主義者たちが強調する「未来」とは、こういうものなのであろう。「未来への夢」にはコストがかからない。まるでSFのような非現実的とも思われる「未来への夢」を引き換えに、現状のリスクを承服すべきとしているのである。ここには、たぶんに、石油ショック以前の高度経済成長期への懐古意識があるのだろう。新しい科学技術による産業開発を無条件に崇拝し、公害や環境破壊を考慮することなく、資源やエネルギーを浪費することによって、「鉄腕アトム」の世界のような時代を築きあげることを夢見た時代に回帰したいという志向がそこにはあるといえる。そのような「懐古意識」が、彼らにとっての「未来志向」なのである。

このようなことは、現状の体制自体をかえるべきだとしている日本共産党や社会民主党などが、かえって、現状の国土や住民を保全することを第一義として、反原発を主張していることと大きな対照をなしている。歴史的前提としては、高度経済成長期において、日本共産党や日本社会党など「革新政党」が、公害や環境破壊をまねいた当時の開発政策を批判し、革新自治体を誕生させて、公害対策や環境保護を当時の政府よりも先行して実施したということがある。前回のブログで紹介した、東京都練馬区のカタクリ群生地の環境保護も、革新都政の産物なのだ。ここには、「革新」側が、むしろ、現状を保全する側に立つという逆説が現出しているといえよう。

そして、高温ガス炉などの新世代の原子炉が、現状の日本の科学技術で作ることができるか、ということにも大きな疑問符がつく。アメリカからの技術移転を契機に作られた軽水炉は、とにもかくにも、商業ベースになる程度には日本の科学技術でも運転できてきた。他方、日本が独自に技術開発した核技術は、高速増殖炉もんじゅにせよ、核燃料再処理工場にせよ、ALPS(多核種除去設備)にせよ、どれもが安定的に運転されているとはいいがたい。これは、軍事技術として成立してきた核技術の本来のあり方が反映していると思われる。アメリカにせよ、イギリスにせよ、ロシアにせよ、フランスにせよ、核技術は、核兵器その他の軍事技術であった。その際、資金・物資・人員などのコストについては、商業上では考えられないほどかけられたと思われる。軽水炉(元々は原子力潜水艦の動力源だった)などは、軍事技術を転用して作られたものである。その技術をコピーして商業ベースにのせて運用することは、日本の科学技術でもできた。しかし、独自の技術開発については、他国の軍事技術ほどのコストはかけられない。それゆえ、日本独自の核技術開発は質的に劣っているのではないかと考えられる。

さらに、理化学研究所のSTAP細胞問題が象徴的に示しているように、政府・企業の考える「成果」をあげることを求めて過度に競争を強いている日本の科学技術政策によって、日本全体の科学技術のレベル自体が後退しているように思われる。この中で、どうして、新たな科学技術開発が可能なのだろうか。

このように、日本で次世代原子炉の開発をするということは、なんというか、すべてが「非現実的」に思えるのである。現実的とされる保守主義者たちが、現実を見ないでSF的な未来への夢を語り、現状を変えると主張する(保守主義者たちからいえば「空想的」な)共産党や社会民主党などが、「現実」のリスクを前提に反原発を提唱するという、一種のジレンマが、ここに現れているように思われる。

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2013年12月6日、経済産業省は、同省の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会を開き、「新しいエネルギー基本計画」の素案を提示した。産経新聞がネット配信した次の記事で概要をみてほしい。

エネルギー基本計画案に当局が「原発再稼働進める」と明記 民主政権のゼロ政策転換
2013.12.6 20:10 [原発・エネルギー政策]
 経済産業省は6日、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会を開き、政府の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示した。原発を「重要なベース電源」と評価したうえで、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発について再稼働を進める」と明記した。

 東日本大震災後に民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換する。

 素案では、原発について「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時に温室効果ガスの排出もない」と評価。その上で「エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベース電源である」とし、安全性の確保を前提に引き続き活用するとの方針を明記した。

 原発の新増設については具体的な記述を見送った。民主党政権が昨年9月にまとめた革新的エネルギー・環境戦略では「新増設は行わない」としていたが、将来的な新増設の可能性については含みを持たせた。

 将来の原発を含む電源の構成比率(総発電量に占める比率)についても明示せず、原発の再稼働状況などを見極めて「速やかに示す」ことを盛り込んだ。

 再生可能エネルギーの拡大などで、エネルギーの原発依存度は「可能な限り低減させる」とした。

 茂木敏充経産相は6日の記者会見で「実現可能でバランスの取れた責任ある計画としてまとめることが必要だ」と強調。12月中旬に計画を策定し、来年1月に閣議決定する方針を示した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131206/plc13120620130028-n1.htm

実際、経済産業省の出した文書でみてみよう。「エネルギー基本計画に対する意見(とりまとめ)」と出された文書(実際には12月6日の素案を基本政策分科会の意見によって修正したものとみられる)において、原発については、次のように指摘されている。

大きく変化する国際的なエネルギー需給構造の中で、深刻なエネルギー制約を抱える我が国が、エネルギー安全保障の強化、経済性のあるエネルギー源の確保、温室効果ガス排出の抑制という重大な課題に対応していくためには、多様かつ柔軟な電源オプションを確保することが必要である。
原子力発電は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源として引き続き活用していく。
原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。
いかなる事情よりも安全性を最優先し、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼動を進める。
また、万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。
さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠である。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/report-1.pdf

原発依存度を低減させるといいながらも、結局のところ、安全性が確認された原発を再稼働させるというところが主要な主張になっている。全体において矛盾した、わかりにくい文章である。詳細な内容については、ご一読してほしい。

さて、同日(12月6日)、2014年1月6日を期限として、エネルギー基本計画策定に向けてパブリックコメントが募集された。正式には「新しい『エネルギー基本計画』策定に向けた御意見の募集について」と題されており、あて名は資源エネルギー庁長官官房総合政策課となっている。募集のサイトについて、下記に示しておこう。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620213015&Mode=0

このパブリックコメントに、本日(2014年1月2日)に応じてみた。その内容を次に示しておこう。

骨子:エネルギー供給減としての原子力発電は即刻廃止すべきである。

2013年3月11日の福島第一原発事故は、原子力発電の危険性を如実に示した。それまでも、放射能もれ、被曝労働、実現性のない核燃料サイクル計画や放射性廃棄物処分など、原子力発電の問題性は露呈していたが、福島第一原発事故は、原子力発電における過酷事故が、周辺地域社会全体の存立を脅かし、さらには国家や地球全体にも多大な影響を与えることを提示した。原子力発電によって得られるとされるいかなるリターンも、想定される過酷事故のリスクには見合わない。さらに、原子力発電は、実際に原子力発電に携わる労働者や立地している地域社会への構造的差別の上に成り立っている。ゆえに、エネルギー供給としての原子力発電は廃止し、それに携わってきた人員・施設・予算は、福島第一原発事故の処理を中心として、今までの原子力発電によってもたらされきた問題の解決へ振り向けられるべきである。以下、原子力発電の問題性を箇条書きで示しておく。
1、現在のエネルギー基本計画案の基調は「経済負担の最小化を図りつつ、エネルギーの安定供給と環境負荷の低減を実現していくことは、既存の事業拠点を国内に留め、我が国が更なる経済成長を実現していく上での前提条件となる」(「エネルギー基本計画に対する意見」)という観点が中心となっていると考えられる。つまり経済成長のためには多くのエネルギーを供給しなくてはならないとする高度経済成長期と変わらない意識が前提とされているといえる。それゆえに、原子力発電も必要とされることになっている。しかし、前述してきたように、原子力発電のリスクは、どのような経済成長の可能性でも補えないものである。これは、単に、原子力発電だけではない。中国におけるPM2.5による大気汚染のように、経済成長のためにやみくもにエネルギーを確保することは、深刻な環境破壊をひき起こし、人間社会を破壊することになるだろう。それは、地球温暖化全体がそうである。新しいエネルギー基本計画の基調は、環境破壊を惹起しない程度のエネルギー供給はどの程度であるかを示し、それに見合った省エネルギー的な経済成長を促進していくということでなくてはならないと考える。
2、「エネルギー基本計画についての意見」では、「シェール革命 」によって低コストのエネルギー源が見いだされる可能性に言及しながらも、海外依存率を低めるという名目のもと、現在輸入済み核燃料があまっているとして「準国産」のエネルギー源として原子力発電を推奨している。長期的にいえば、ほとんど輸入に頼っているウランを燃料としている原子力発電は「国産」とよぶことはできない。短期的には、低コストとされるシェールガスにエネルギー源を転換しつつ、中長期的には再生可能エネルギーによる供給をめざすべきであろう。
3、核燃料サイクル計画は、その核である高速増殖炉もんじゅは事故によってほとんど稼働せず、六ヶ所村核燃料再処理工場の竣工も遅れている状況であり、頓挫しているといえる。高速増殖炉開発については世界のほとんどの国で断念されており、その場合、再処理工場が本格稼働しても、ウラン燃料よりもコストが高く、核兵器への転用のおそれがあるプルトニウムが蓄積されるだけになるだろう。すでに破たんした核燃料サイクル計画は他に先駆けて廃止し、それらに費やしてきた予算・人員・施設・技術は、福島第一原発事故処理などに転用すべきである。
4、高レベル放射性廃棄物処分については、現在、地層処分をもっとも有効なものとして検討されている。しかし、地層処分の安全性について十分信頼されているとはいえず、特に、日本においては、万年単位で安全な地層が得られる保証は得られない。現時点における高レベル放射性廃棄物は当然なんらかの形で処分されなくてはならないが、原発の再稼働によりより放射性廃棄物を増やすべきではない。
5、原子力発電は、従事する労働者や立地する地域社会に対する構造的差別の上で成り立っている。原子力発電において、なんらかの被ばく労働はさけられないが、それらの被ばく労働は、長期的に働く社員ではなく、待遇の悪い下請け労働者や日雇労働者によってなされている。また、原発は、近代的産業の中心地ではなく、人口が少ない地域に立地されており、事故の際には、立地地域の人びとの犠牲によって社会的・経済的影響を小さくさせている。労働者や地域間における構造的差別を是正していくことはエネルギー対策の観点からのみできることではないが、原子力発電を維持することで、このような構造的差別を温存・助長すべきではないと考える。

このパブリックコメントは2000字が限度とされている。私のコメントは1900字を超えているので、分量的には限界に近い。「エネルギー基本計画に対する意見」へのコメントであり、その内容ついて項目ごとに反論していく手法もあるとは思ったが、字数が限られており、さらに、かなり専門的内容に反論していくことは、かなり困難だと考えた。そして、結局、「骨子:エネルギー供給減としての原子力発電は即刻廃止すべきである」として、その理由をあげていくことにした。今考えると、他にも書くことがあったなと思ったりもする。ご参考になれば幸いである。

前述したように、期限は1月6日である。こんなに長文でなくても、ほんの少しの文章でもかまわないそうである。なるべく、コメントしてほしいと思う。

なお、本パブリックコメントを呼びかけているサイトを最後に紹介しておきたい。

http://publiccomment.wordpress.com/

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さて、もう一度、現在の参議院選挙における自由民主党の公約の中で、原発再稼働問題がどのように扱われているかみておこう。自民党の公約では、次のように述べられている。

●原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ねます。
その上で、国が責任を持って、安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をいたします。
●次世代への責任を果たすべく、高レベル放射性廃棄物の「大幅な有害期間の短縮・毒性の低減化」の研究開発を加速させます。

まず、上段では、原子力規制委員会に安全性の判断を委ねるとしながらも、安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体を説得するなど積極的に動くとしている。このことについては、そもそも、原子力規制委員会の安全審査自体が十分なのかということがある。

他方で、例え原発の運転は安全だとしても、その結果生じる放射性廃棄物はどうするのかということがある。現在、使用済み核燃料については、再処理してプルトニウムやウランを取り出し、普通の軽水炉(プルサーマル)か高速増殖炉で再び燃料とするという核燃料サイクルが方針として打ち出されている。しかし、現在、核燃料再処理工場、高速増殖炉もんじゅなどは安定して稼働できる保障はない。プルサーマルについては、再処理して再び燃料とするコストを考えると、そのまま廃棄処理するほうが経済的ではないかといわれている。

そして、例え、再処理したとしても、そこで再利用できるのは、プルトニウムやウランだけにすぎない。その他のセシウム137(半減期約30年)、ストロンチウム90(半減期約28年)などはもちろん残る。より問題なことは、ネプツニウム237(半減期214万年)など、長期間にわたって放射線を出すものも残ってしまう。これらについては、放射線が出ないようにガラスで固めて(ガラス固化)、地中深く埋める(地層処分)ことになっている。しかし、放射性廃棄物の種類によっては、それこそ数万年以上も放射線を出し続けることになり、何かのメカニズムで再び地上に出て来ることが懸念されている。その意味で、原発の稼働を続けるということは、人類自体が処理不可能な放射性廃棄物を増やしていくといわれているのである。

そのことに対して、自民党の公約は「次世代への責任を果たすべく、高レベル放射性廃棄物の『大幅な有害期間の短縮・毒性の低減化』の研究開発を加速させます」といっている。これを読んで、最初は何を言っているのかわからなかった。知人に「消滅処理ー核変換処理」のことを言っているのだろうと教示をうけた。何らかの形で、放射性物質の原子核の核種を変換させて、別の物質にするということである

この「消滅処理ー核変換処理」の現状については、デイリー東北がネット配信した記事が要領よくまとめている。

核燃料サイクル

注目の研究「核変換技術」 現状と課題探る
(2013/01/20)
 原発の使用済み核燃料を再処理した際に出る高レベル放射性廃棄物。放射能レベルが非常に高く、人体への毒性が天然ウラン並みに下がるまで約1万年かかるとされる。この核のゴミを、「核変換技術」を用いて毒性を低減させる研究が国内で進められている。政府も2013年度、本腰を入れて取り組む姿勢を示し、注目が集まる。確立すれば毒性低減の時間を1万年から300年に短縮できる「夢の技術」だが、技術的や時間的な課題も多く、実用化は未知数。核のゴミ問題を解決する突破口になるか、現状と課題を探った。

■核変換の仕組み
 核変換は原子核に中性子を当てて、異なる元素や同位体に変換する技術。廃棄物の場合、長時間、強い放射線を出す原子核を短時間で弱い核種に変換するという考え方だ。
 全ての放射性核種には、固有の「半減期」があり、例えば半減期30年のセシウム137は、30年ごとに放射能が半減し、300年で1千分の1になる。
 高レベル廃棄物にはさまざまな核種が存在するが、中でも半減期の長いネプツニウム237(半減期214万年)とアメリシウム243(同7370年)がやっかいだ。
 これらの長寿命放射性原子核はマイナーアクチノイド(MA)と呼ばれ、重さ1トンの使用済み核燃料にわずか1キロしか含まれていないが、放射線を長時間出すため、毒性低減の妨げとなっている。
 核変換では、MAに中性子を当て、半減期の短いセシウム137(同30年)やストロンチウム90(同28年)などの短寿命放射性原子核に変える。どの核種に変化するかは、中性子の当たり具合で異なり、繰り返すことで効果を高められる。

■研究の現状
 廃棄物の核変換技術は現在2種類の研究が行われている。一つは加速器駆動未臨界システム(ADS)を使った研究、もう一つは高速中性子を使った高速炉で発電しながら核変換を行う「高速炉サイクル」の研究だ。
 ADSの研究は原子力機構が茨城県で実施。毒性低減に特化した装置で、専用炉に冷却材の鉛・ビスマスとMAを入れ、加速器で加速させた陽子を照射。炉内で発生した中性子で核変換を行う。
 大量のMAを処理できるほか、臨界(核分裂の連鎖反応)を伴わないため安全性が高いとされるが、装置は未完成で基礎研究にとどまっている。
 一方、高速炉を使った核変換は「もんじゅ」(福井県、原子力機構)で今後、本格的な研究が進められる見通し。
 経済産業省は国の13年度予算の概算要求で、高速炉を使った廃棄物の毒性低減や減容化の研究費として新規で32億円を要求、本格的な研究に着手する方針を示している。

■課題と見通し
 ADSはさまざまな技術的課題がある。まず陽子を照射する加速器を高出力に変えることが不可欠で、超電導装置の研究開発に時間がかかる。
 冷却材に使用している鉛・ビスマスも重い上、さびやすいため酸素濃度の調整が必要なほか、炉内に入れるMAの加工技術も重要な研究課題となる。
 もんじゅは、トラブル続きで現在も運転を停止しており、再開の見通しが立っていない。経産省は「コンピューターのシミュレーションなどで研究はできる」としているが、先行きは不透明だ。
 技術的な課題は、プルトニウム・ウラン混合(MOX)燃料などにMAを混ぜて燃焼させた際の安全性の確保や、以前から指摘されている冷却用ナトリウムの安定性などが挙げられる。
 「もんじゅ」を再稼働させることに対する国民の反発も根強く、今後の研究に影響する可能性がある。http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/tiiki_tokuho/kakunen/news/news2013/kn130120a.htm

具体的には、高速増殖炉もんじゅと、東海村の大強度陽子加速器(J-PARC)を使い、そこで、長寿命放射性元素をより寿命の短いセシウムやストロンチウムに変換することが現在研究されているということである。

朝日新聞は、この「核変換」を「現代の錬金術」とよんだネット記事を2013年7月1日に配信している。

核のごみ、毒性消す「錬金術」 実用化には高い壁

 【小池竜太】原発の使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物」が、たまり続けている。国は地下深くに埋めて捨てる方針だが場所は未定。処分場を造っても、放射能が強く、数万年は社会から隔離する必要がある。この「核のごみ」の寿命を短くしたり量を減らしたりする「核変換」という技術がある。実現できるのか。

     ◇

 「核変換はある意味、現代の『錬金術』です」。京都大原子炉実験所の三澤毅教授(原子炉物理学)はいう。中世の錬金術師たちは卑金属から金を作り出そうと試みたが、かなわなかった。だが、今は中性子を使って物質を変えられる。

 実は核変換は珍しいことではない。原発で起きている核分裂反応もその一つ。ウランが中性子を取り込んで分裂、ヨウ素やセシウムなどに変わる。

 核変換技術を原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」対策に役立てる研究がある。毒性が長く続く放射性核種の寿命を短くしたり、毒性を消したりするのが目的。使用済み核燃料をそのまま捨てると、放射線の強さが天然ウランと同じレベルに下がるまで約10万年、高レベル放射性廃棄物は数千年かかる。核変換ができれば数百年に短縮できるとされる。
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201306300096.html

「核変換処理」でも、危険期間が万年単位から百年単位になるだけのことだが、画期的な技術ではあろう。朝日新聞は、たぶん、評価する意味で「錬金術」とよんでいる。そもそも、原発のエネルギー源となっている核分裂反応は、人の手で新しい物質を作り出すことでもある。そう考えると、全く不可能なことではないともいえよう。

しかし、現状において、そもそも、このような処理は可能なのか。まず、この核変換処理が、使用済み核燃料再処理と、高速増殖炉・プルサーマルによって再処理した核燃料を再利用する核燃料サイクルを前提にして立案されていることに注目しなくてはならない。前述したように、日本の核燃料再処理工場や高速増殖炉もんじゅは、安定的に稼働できる状態ではない。つまり、核変換処理自体の前提がクリアされていないのである。

そして、核変換処理研究の一方の柱として、高速増殖炉もんじゅがあげられている。そもそも、通常運転すらおぼつかないもんじゅで、このような研究が可能なのか。その点、やはり疑問なのである。

もう一つの柱が、茨城県東海村の大強度陽子加速器(J-PARC)である。この陽子加速器を使って核変換させることが現在計画されている。しかし、この陽子加速器をつかったハドロン実験施設で5月23日に放射能漏れ事故が起きたことは記憶に新しい。そもそも、こんな状態で、より危険度の高い放射性廃棄物が扱えるのかとも思うのである。報道の一例として、ここでは毎日新聞のそれをあげておこう。

茨城・放射能漏れ:被ばく 新たに24人確認 計30人に
毎日新聞 2013年05月26日 21時53分(最終更新 05月27日 00時11分)

 茨城県東海村の加速器実験施設「J−PARC」(ジェイパーク)の放射性物質漏れで、日本原子力研究開発機構などは26日、新たに24人の被ばくを確認したと発表した。被ばくしたのはこれまでの6人と合わせ計30人になった。被ばく量は最大で1.7ミリシーベルトだった。6人が未検査で、さらに増える可能性もある。

 同機構などによると、事故は23日正午ごろ発生。当時施設にいた測定対象者55人のうち、49人を測定した。被ばくが確認されたのは22〜55歳の男女計30人で、線量は1.7〜0.1ミリシーベルト。最大被ばく量は、22歳の男性大学院生と29歳の原子力機構の男性職員の計2人だった。女性は、36歳の大学職員(0.1ミリシーベルト)と51歳の研究機関職員(0.4ミリシーベルト)の計2人だった。いずれも放射線業務従事者の年間被ばく限度の50ミリシーベルトを下回っており、「健康に影響する可能性はかなり低い」としている。

 19人は検出限界値未満。残りの6人については27日以降に測定する。

 被ばく者数が多くなった理由について、J−PARCの担当者は「放射性物質が遮蔽(しゃへい)材の隙間(すきま)などを通して漏えいしたが、気付くまでに時間がかかり、退避が遅れたのでは」と説明している。

 事故は、金に陽子線を当てて素粒子を発生させる実験中に照射装置が誤作動し、通常より400倍の強さで陽子線が当たり、高温になった金の一部が蒸発。原子核が崩壊し、放射性物質が漏れた。【斎藤有香】
http://megalodon.jp/2013-0527-0023-09/mainichi.jp/select/news/20130527k0000m040048000c.html

現状でもかなり放射性廃棄物があり、それを処理するための有効な方法を可能な限り研究することはよいだろう。しかし、いかに理論上可能であったとしても、破綻した核燃料サイクルを前提に立案している限り、実施は困難だと考えられる。良い意味でも、悪い意味でも「核変換」とは「現代の錬金術」としかいえないだろう。

その上で、自民党の参院選公約に、「核変換」と思われることが推進されている意味を考えたい。もちろん、これは、原発再稼働において、増え続ける放射性廃棄物の処理につき、ある意味で「前向き」な印象を与えることを目的としていると思われる。そして、それは、破綻した核燃料サイクル事業にさらに資金をつぎ込むことを正当化するものでもあろう。しかし、現状においては、とても実現できるものではない。しかし、逆に、この実現困難性は放射性廃棄物処理を遠い将来の課題として先送る論拠にもなっている。その上で、まさに「核変換処理」という、現状では「幻想」でしかない「錬金術」についての期待と夢をかきたてることにもつながっていく。そして、「錬金術」についての「科学信仰」が強化されていく。実現困難なことへの「期待」と「夢」をかきたてるということは、経済の面におけるアベノミクスにもつながるだろう。その意味で、この一文は、安倍政権全体のあり方にもつながっていると思う。

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福島第一原発事故を受けて、関西電力大飯原発3・4号機の再稼働問題がクローズアップされている。まず、福井県の原発の現況をウィキペディアや関西電力などのサイトに依拠して、ここで概観してみよう。

現在、福井県内にある原発は、高速増殖炉もんじゅも含めて、14基を数える。現在、福島第一原発1〜4号機が廃炉となり、もんじゅも含めれば51基(商業炉だけでいえば50基)の原発が存在しているが、基数でいえば全体の約27.4%にあたる。福島第一・第二原発が健在であった時期の福島県においても10基(現在は6基)にすぎない。全国で最も原発が集中して建設されているといえる。そして、これらの原発は、全て福井県の嶺南地方といわれる、敦賀・若狭地区に建設されている。

ここで、それぞれの原発についてみておこう。

敦賀発電所(日本原子力発電所株式会社 関西・北陸・中部電力に電力供給 敦賀市所在)
1号機 電気出力35.7万kw 営業運転開始1970年3月14日 定期点検2011年1月25日より
2号機 電気出力116万kw 営業運転開始1987年3月30日 定期点検2011年5月7日より(放射能漏洩調査あり)

もんじゅ(日本原子力開発機構 高速増殖原型炉 敦賀市所在)
もんじゅ 電気出力28万kw 運転開始1983年1月25日(事故・故障続出で運転実績が少ない)

美浜発電所(関西電力株式会社 美浜町所在)
1号機 電気出力34万kw 営業運転開始1970年11月28日 定期点検2010年11月24日より
2号機 電気出力50万kw 営業運転開始1972年7月25日 定期点検2011年12月18日より
3号機 電気出力82.6万kw 営業運転開始1976年3月15日 定期点検2011年5月14日より

高浜発電所(関西電力株式会社 高浜町所在)
1号機 電気出力82.6万kw 営業運転開始1974年11月14日 定期点検2011年1月10日より
2号機 電気出力82.6万kw 営業運転開始1975年11月14日 定期点検2011年11月25日より
3号機 電気出力87.0万kw 営業運転開始1985年1月17日 定期点検2012年2月20日より
4号機 電気出力87.0万kw 営業運転開始1985年6月5日 定期点検2011年2月20日より

大飯発電所(関西電力 おおい町所在)
1号機 電気出力117.5万kw 営業運転開始1979年3月27日 定期点検2010年12月10日より
2号機 電気出力117.5万kw 営業運転開始1979年12月5日 定期点検2011年12月16日より
3号機 電気出力118万kw 営業運転開始1991年12月18日 定期点検2011年3月18日より
4号機 電気出力118万kw 営業運転開始1993年2月2日 定期点検2011年7月22日より

事業者別でいえば、関西電力11基、日本原子力発電2基、日本原子力研究開発機構1基であり、関西電力の原発が突出して建設されている。日本原子力発電の敦賀発電所は、地元の北陸電力にも電力供給しているが、大部分は域外の関西電力圏内に供給されているといえよう。なお、原子炉形式は、敦賀発電所1号機が沸騰水型軽水炉、もんじゅが高速増殖炉であるが、それ以外はすべて加圧水型軽水炉である。

このように、福井県の原発について、自分なりにメモしてみると、興味深いことがわかる。関西電力の各原発は美浜、高浜、大飯の順で建設されていったといえるのだが、今回、ストレステストに合格したと称して再稼働が企てられている大飯3号機・4号機は、福井県の原発の中で、最も後に建てられた(1990年代前半に営業運転開始)ものであることがわかる。いわば、この地域にとっては、最新鋭の原発なのである。

このことは、各原発の定期点検に入った日からも裏付けられる。大飯原発3・4号機は、それぞれ2011年3月と7月に定期点検に入っているが、その前から定期点検に入った原発は、敦賀1号機(2011年1月)、美浜1号機(2010年11月)、高浜1号機(2011年1月)、大飯1号機(2010年12月)と、かなりある。これらが、ストレステスト実施後初の再稼働候補にならなかった理由は、端的にはこういえるだろう。これらは、大飯原発3・4号機よりもかなり古い原発なのである、敦賀1号機は現存の原発としては1番古いもので1970年運転開始であり、美浜1号機は次に古い原発で、これも1970年運転開始なのである。この二つの原発は、40年をこえている。高浜1号機も1974年運転開始である。また、大飯原発1号機も電気出力は、3・4号機とさほど変わらない117.5万kwなのだが、運転開始は1979年で、30年以上昔のものである。

30年以上たった原発は、最新鋭の原発と比較すると、よりリスクがあるとされている。そもそも、原発は、熱や放射線などをあび続けていると材質などがもろくなるとされている。また、特に初期型の原発は、アメリカのウェスティングハウス社やゼネラルエレクトリック社によって、いわばレディメイドな形で設計され、耐震性などは初期設計では考慮されなかったということもあり、そもそも、よりリスクがあるといえるのだ。電力会社などは、建設後60年まで運転できると称している。しかし、彼らも、より古い原発のほうがリスクが高まることは承知しているといえる。ゆえに、最新鋭で、たぶん故障も少ないと思われる大飯3・4号機を再稼働の候補としたといえる。

もちろん、この再稼働が実施されれば、それを前例にしてその後は古い原発も安全であるといいはると考えられる。しかし、この最新鋭の原発ですら、安全性の面では根本的な改善がみられず、世論が再稼働に反対するに至ったとは見ての通りである。そして、今後は、より古く、リスクがより大きいと関西電力すら認める原発が再稼働されていくことになってしまうと考えられるのである。

さて、このような現況をふまえて、機会をみて、どのように福井県地方に原発が建設されていくにいたったかを検討していきたいと考えている。

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