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さて、報道により、5月14日、おおい町議会が大飯原発再稼働に同意する決定を行った。おおい町議会のサイトに、その同意書が掲載されている。あまり、この文章の中身は紹介されていないので、ここで掲載しておく。

平成24年5月14日

原子力発電所3、4号機再起動の同意判断に関する見解

おおい町議会は4大臣会合における「大飯原子力発電所3、4号機の再起動判断」の説明で言及のあった、福島事故の知見を反映した再起動判断基準に整合した安全性の確認と、安全性に上限を設けず継続的に追及する姿勢、および原子力発電の必要性について概ね理解し、住民意見の集約に加え、電力消費地の生活や経済に及ぼす影響を考慮の上、同意することとしました。
今後、地元の判断はそれぞれの機関において検討され、再起動の最終決定は政府の責任においてなされるものと認識していますが、その重大性と権限を超える議論も視野に入れた判断を強いられたことに加え、政府の姿勢を含め、不確定要素が存在する状況での議論であったことから、原子力政策の一元的管理責任を担う政府の誠意ある継続的な対応を促すよう要請いたします。
尚、議会での議論の経過とその主な内容について述べます。
議会では「原発問題に関する統一見解」を基にした「福島事故後の大飯原発に関する決議」により政府に対して安全確保と経済・財1政に関する要請を行いました。その結果、現行法令上の規制要求を超える安全基準をもって安全の確保がされました。しかしながら安全の確保は、常に新たな知見を反映した安全性の追求が必要となります。よって、政府においては、関係規制法の改正や原子力規制庁の発足を待つことなく常時、安全性の向上に努められるべきであります。その上でできるだけ迅速な規制庁の発足が望まれます。
加えて、稼働停止中の地域経済や雇用に対する救済措置については具体的な対策が必要です。
さらに、福島原発事故を契機に原子力政策の根幹に何らかの変更をきたすことが推測されます。エネルギー基本計画の見直しによって地域づくりのよりどころとしてきた立地自治体の将来展望に少なからず影響を及ぼす可能性があります。我々も自治体経営の自己責任と自助努力の必要性を再認識すると同時に、政府においても国策に則って日本経済を支えてきた立地自治体の将来に対して責任ある対応が示されるべきであります。
また、一連の国民的議論や報道内容において一般世論が立地自治体の実情と遊離している状況が散見されます。すなわち、日本経済の発展にとって必要不可欠であった人口密集地には建設できない原子力発電所の誘致をもって社会に貢献し、地域づくりの根幹とせざるを得なかった立地自治体の苦悩と実情が広く国民に理解されていない現実があります。
その背景には社会基盤整備をはじめ、拡大する地域間格差を解消するために産業基盤の脆弱な過疎の地域である、小規模自治体の現実と課題に真摯に向き合うことを避けてきた政治の仕組みが存在します。
原子力防災に関連して一例をあげれば、部分的な災害制圧道路や避難道路の整備計画が推進されつつあるものの、周辺自治体を含め、広く嶺南地域において道路網をはじめとする社会基盤整備の遅れが存在し、県内地域間格差が存在しています。防災機能の向上は総合的な社会基盤の整備状況によって大きく影響を受けます。均衡ある整備に向けた姿勢も今一度見直されるべきであります。
また、安全を第一とする原子力政策について市場原理主義を基軸とする企業活動に担わせてきたことが、過酷事故が発生した一因であり、今後改善されるべき点であると考えられます。
しかしながら、政府の責任において電力需給と日本経済への懸念から再起動の必要性が判断されました。
おおい町の地域経済や、雇用については長期稼働停止によって既に大きな影響を受けている現状にあり、いまだ対策が講じられていないこととの不合理性は存在するものの、議会報告会における住民意見や町民説明会において出された意見、日頃より地域住民から聞き得た切実な思いや目の当たりにする生活の実情などを総合的に判断すると、大飯原発が必要とされる期間、立場の違いを超えて、存在する個々の原発の安全確保を最優先とする政府の求心力発揮に期待し、一元管理責任のたゆまぬ遂行をもって再起動に同意いたします。
ww.town.ohi.fukui.jp/sypher/open_imgs/info//0000000052_0000003733.pdf

まず、この同意書で注目されることは、原発再稼働の決定自体は政府が行うこととしていることである。そして、おおい町議会としては、「その重大性と権限を超える議論も視野に入れた判断が強いられた」として、自身の権限を超えた判断が無理強いされたとしている。おおい町議会としては、原発再稼働の責任をとりたくないのである。故に、原発再稼働の責任は政府にあることを再三強調している。

さらに、「政府においても国策に則って日本経済を支えてきた立地自治体の将来に対して責任ある対応が示されるべきであります。」と、原発受け入れは「国策」にしたがって日本経済のささえる営為であったとしている。その上で、「また、一連の国民的議論や報道内容において一般世論が立地自治体の実情と遊離している状況が散見されます。すなわち、日本経済の発展にとって必要不可欠であった人口密集地には建設できない原子力発電所の誘致をもって社会に貢献し、地域づくりの根幹とせざるを得なかった立地自治体の苦悩と実情が広く国民に理解されていない現実があります。」と述べている。人口密集地に設置できない最大の理由は、本ブログで述べてきたように原発事故の危険性を考慮してのことなのであると私は判断しているが、それをわざわざ誘致して社会に貢献し、地域づくりの根幹にしてきた、その苦悩や実情が一般国民には理解されていないというのである。

そして、「その背景には社会基盤整備をはじめ、拡大する地域間格差を解消するために産業基盤の脆弱な過疎の地域である、小規模自治体の現実と課題に真摯に向き合うことを避けてきた政治の仕組みが存在します。」と主張する。過疎地解消に向き合ってこなかった政治のしくみがあるから、原発を誘致し、依存しなければならなかったというのである。

ここには、「国」に対して、奇妙なねじれがあろう。一方で、地域間格差を放置してきた「政治のしくみ」があり、そのために「過疎地」たらざるを得なかったことへの怨嗟がそこにある。しかし、他方で、人口密集地に建設できない原発を受け入れることで、国策に則って日本経済の成長に貢献したという自負の念がある。しかし、その「自負」が一般国民には理解されていないと嘆いているのである。これは、もちろん、「脱原発」の世論やそれに依拠した関西圏の首長たちの行動をさしている。

原発に対する利益ーリターンは考慮されているだろう。しかし、ここでは、それが主眼ではなく、原発建設は国策であり、それを受け入れていることで、地域発展をはかっているという論理が中心となっている。ゆえに、一切の原発政策ー安全対策、再稼働、稼働停止中の雇用などーの責任は、政府がとるべきであり、おおい町議会は権限においてもとりようがないということになる。彼らの立場からすれば、無理からぬところがあろう。

それに対して、野田首相は、このように対応した。時事通信のネット配信記事をみてほしい。

地元議会の同意重い=大飯原発再稼働―野田首相
時事通信 5月24日(木)10時49分配信
 野田佳彦首相は24日午前の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、関西電力大飯原発3、4号機がある福井県おおい町の町議会が再稼働に同意したことについて「大変重たい事実だ」と強調した。
 政府の判断時期に関しては「真夏になってからの判断では企業もいろいろ準備があるし、国民も心の準備がある。福井県の考えをよく聞き、周辺自治体にもしっかり説明していきながら、しかるべきときに判断したい」と語った。自民党の橘慶一郎氏への答弁。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120524-00000054-jij-pol

この言い方であると、おおい町議会の同意が再稼働決定において「重たい事実」として作用するということである。おおい町議会の言い方は、国策だから引受けるが、その決定責任まで背負い込まされるのはいやだということである。原発再稼働において、地元自治体の同意は、必要条件であるが、十分条件ではないとしているのである。他方、野田は、地元自治体の同意を「重たい事実」として、原発再稼働の正当化の要因としているのである。その意味で、野田首相の発言は、おおい町議会の意図ととも食い違っているのである。

そして、おおい町と同様の立場にある、福井県知事は、野田首相のこのような姿勢を批判した。次の毎日新聞ネット配信記事をみてほしい。

大飯原発:再稼働問題 「首相が国民に意思を」 知事、対応に懸念--会見 /福井
毎日新聞 5月25日(金)15時49分配信
 関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働問題を巡り、野田佳彦首相に前面に立って対応するよう求めている西川一誠知事は24日の定例記者会見でも、「すべての国民、メディアに向かって、はっきり発言すべき」と求めた。【佐藤慶、橘建吾】
 西川知事は今月10日、松下忠洋副内閣相と会談し、「首相が先頭に立って対応する必要がある」と注文するなど、首相にリーダーシップの発揮を求めている。24日の会見では、政府の明確な意思表示がないために「(関西広域連合の)理解が及ばないんじゃないか」と指摘。原発の安全性を審議している県原子力安全専門委員会についても、「政府がはっきりした姿勢を示さないと、大本に返る恐れがある」と、再稼働へのプロセスが逆戻りする懸念まで示した。
 首相がどのように意思表示すればいいか問われると、「国民に向かって原子力の必要性や国益上どうだとか、安全をどう強化したかについておっしゃることだ」と説明した。
 一方、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の将来の研究開発の進め方を巡り、文部科学省が廃炉を含めた選択肢を示したことについては、「もんじゅについてはこれまでも核燃料サイクルにおける中核的な位置付けがあるので、エネルギーの安全保障など大局的な観点から十分慎重に審議してもらいたい」と要望。北陸新幹線金沢-敦賀間の着工認可については、「だらだらと遅くならないように期待する」と早期の認可を求め、敦賀以西に導入が検討されているフリーゲージトレイン(軌間可変電車)については、「技術が完全には確立されていない。雪が降り、気候が激変する福井での安全性が課題だ」と指摘した。

5月25日朝刊
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120525-00000269-mailo-l18

このように、おおい町や福井県は、国策だから原発を受け入れるという論理をもとに原発再稼働への合意をはかろうとしている。そして、その論理で、再稼働に反対している他の自治体を説得し、世論もその方向で統一してほしいと主張している。しかし、むしろ野田首相は、彼らの同意こそが原発再稼働を正当化する論理にしようとしているといえる。ある意味では、双方とも原発再稼働に根本的には賛成なのであるが、脱原発世論の前に、互いに責任を押し付け合っているといえる。

このおおい町議会の同意書は、「国策であるから原発を受け入れる」という論理を示している点で、注目されるものといえよう。しかし、それだけではなく、その論理の矛盾もみてとることができるといえる。

なお、まだ、おおい町としての同意決定はされていない。おおい町長によると、福井県原子力安全専門委員会などの動向をみて、月内に決定するのは難しいのではないかとしている。福井県全体の動向も含めて、今後注目される。

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さて、大飯原発再稼働が、2011.3.11以後の原発問題の現今の焦点となっている。とりあえず、形式的な形で政府はストレステストなどの結果を判定し、「安全」と認定した上で、大飯原発が立地している福井県とおおい町に対して再稼働の合意を求めた。それに対し、世論は脱原発デモなどで反発し、特に、滋賀県・京都府など、原発再稼働につき制度的な発言を有さず、雇用や電源交付金などで多大なリターンが得られないにもかかわらず、福島第一原発と同程度の原発災害があれば、関西圏の水源となっている琵琶湖の汚染など、多大なリスクを蒙らざるをえない自治体から異議が申し立てられているという状態になっている。

その中で、原発立地自治体である福井県とおおい町がどのような対応を示すのであろうか。関心を集めているところである。

そんな中で、おおい町の町議会の動向として、次のような報道がなされている。

原発再稼働 国への8項目を検討 おおい町議会が作業部会 福井

産経新聞 5月9日(水)7時55分配信
 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(おおい町)の再稼働について、おおい町議会は8日、作業部会の会合を開いた。

 作業部会は、小川宗一副議長や松井栄治原子力発電対策特別委員長ら7人と、オブザーバーとして新谷欣也議長で構成。今月1日に発足、複数回の会合で、今後の審議内容や日程を詰めてきた。会合は「非公式の会合であり、本音で話し合うため」(議員の1人)、すべて非公開となっている。

 この日の会合では、7日の全員協議会で中間報告として提出された、国への8項目の課題について審議。この中で議員が「避難道路も建設計画が始まり、安全担保はできているのでは」と指摘。別の議員が「安全を守るという議会のスタンスを表現するべきだ」などと、8項目の文言を検討していった。

 このほか、議員から「大飯原発が先頭を走っていることで、ほかの原発がなし崩しで再稼働するような誤解がある。国は一つ一つ検証していることをアピールすべきだ」と不満が出た。

 町議会は9日以降も、作業部会の会合や全員協議会を開き、最終的な再稼働の可否判断を行う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120509-00000037-san-l18&1336521728

この中で、気になったのは、「避難道路も建設計画が始まり、安全担保はできているのでは」と述べた議員の発言である。この発言の背景として、大飯原発が半島の突端に建設され、その近くの大島集落から原発事故の際避難するためには、海岸沿いを進む道が一本しかないことがあげられる。以下の googleマップで確認できよう。

おおい町議会は、3月以来、他の安全対策の実施にならんで、「原発災害制圧道路及び避難道路の多重化 、アクセス道路の複線化と上位道路構造令の適用などによる自然災害やあらゆる気象状況に耐えうる道路の早期着工。」(3月6日の「原発問題に関する統一見解」)「を求めていた。この要求に対し、4月26日におおい町を訪問した経済産業省の柳沢副大臣は、本年度予算で14億円計上したと回答している。

しかし、背景説明を承知しても、この発言は第三者からみれば、異様なものに響く。第一に、まず避難道路の確保が、なぜ現段階においても課題になるのか。第二に、まだ予算計上されたばかりで、建設すら始まっていない避難道路が、なぜ「安全担保」になるのだろうか。

まず、第一の問題から考えてみよう。東電の相次ぐ事故かくしをうけて、元々は反対派の福島県議であったが、この時は双葉町長として原発建設を推進した岩本忠夫が衆議院経済産業委員会によばれ、2002年11月20日に参考人として陳述した。岩本は次のように述べている。

岩本忠夫双葉村長の衆議院経済産業委員会における発言(2002年11月20日)
○岩本参考人 おはようございます。福島県双葉町長の岩本忠夫であります。
 福島県の双葉地方は、現在、第一原子力発電所が六基、さらに第二原子力発電所が四基、計十基ございます。三十数年間になりますけれども、多少のトラブルはございましたが、比較的順調に、安心、安全な運転を今日まで続けてきたわけでありますけれども、八月二十九日、突然、今平山知事の方からもお話がございましたように、東京電力の一連の不正事件が発生をし、そしてそれを聞きつけることができました。
 これまで地域の住民は、東京電力が、国がやることだから大丈夫だろう、こういう安心感を持ってやってきたわけでありますけれども、今回の一連の不正の問題は、安全と安心というふうに分けてみますと、安全の面では、当初から国やまた東京電力は、二十九カ所の不正の問題はありましても、安全性に影響はないということを言われてまいりました。したがって、安心の面で、多年にわたって東京電力、原子力との信頼関係を結んできました地域の者にとっては、まさに裏切られた、信頼が失墜してしまった、こういう思いを実は強くしたわけでありまして、この面が、何ともやりきれない、そういう思いをし続けているのが今日であります。
 ただ、住民は比較的冷静であります。それはなぜかといったら、現在、第一、第二、十基あるうちの六基が停止中であります。そして、その停止されている原子力発電所の現況からすれば、何とはなしに地域の経済がより下降ぎみになりまして深刻な状態にあります。雇用の不安もございます。
 何となく沈滞した経済状況に拍車をかけるような、そういう重い雰囲気が一方ではあるわけでありまして、原子力と共存共栄、つまり原子力と共生をしながら生きていく、これは、原子力立地でないとこの思いはちょっと理解できない面があるのではないかなというふうに思いますが、原子力立地地域として、原子力にどのようなことがあっても、そこから逃げ出したり離れたり、それを回避したりすることは全くできません。何としてもそこで生き抜いていくしかないわけであります。
 そういう面から、国も東京電力もいずれはちゃんとした立ち上がりをしてくれるもの、安全性はいずれは確保してくれるもの、こういうふうに期待をしているからこそ、今そう大きな騒ぎには実はなっておりません。表面は極めて冷静な姿に実はなっているわけであります。
 (中略)
 また一方では、今回の一連の不正の問題等について、国のエネルギー政策やまた原子力政策がこれでもって崩壊したとか、これでもって大きくつまずいたとかということを言われる方もいらっしゃいますけれども、私は、これは政策とは基本的に違う、こういうふうに実は考えておりまして、いたずらに今回の不正の問題を政策の問題にすりかえてしまうというのはやはりおかしいんじゃないかな、こういうふうに自分なりに実は感じているところであります。
 ともあれ、原子力はあくまでも安全でなければなりませんし、地域の方々が安心して過ごしていけるような、そういう地域、環境をつくるということが大きな使命であるというふうに実は考えております。
 もう一つ、この際お願いをしておきたいことは、地域環境の整備であります。かつては、避難道路などという、避難ということをいいながら道路の整備をお願いしたいということは、余り口には出しませんでした。しかし、近年は、どうしても万々が一に備えてそのような道路、周辺の道路の整備や何かをぜひともお願いしたい、こういうことを申し上げてまいりました。常磐自動車道の問題も一つであります。さらにまた浜街道、広野小高線という道路がありますが、これらの道路の整備についても同様であります。
 さらにもう一つ、横軸としまして、福島県の二本松から双葉地域にかける阿武隈山系横断道路という、これはまだ印も何もついておりませんけれども、私たちは、これは避難道路、つまり横軸の骨格の道路としてどうしても必要だ、こういうことでお願いをしているところでありまして、どうぞ御理解をいただきたいというふうに考えております。
 今回の事故を振り返ってみますと、かつて茨城県東海村のジェー・シー・オーの事故、この教訓が果たして生かされているのかどうかということを痛切に感じております。その際に深谷通産大臣が私の方に参りまして、ジェー・シー・オーの施設と原子力発電所の施設は違う、原子力の施設は多重防護策をとっていて、万々が一の事故があっても完全に放射能物質を封じ込めることができる、だから安全である、こういうことを明言されていたようでありますけれども、私も、これには決して逆らうつもりはありませんし、そういう原子炉の体制にはできている、こういうふうに考えておりますけれども、かつての事柄について、十二分それを教訓としてこれから原子力行政に生かしていただきたいとお願いを申し上げまして、私の意見陳述にかえさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)(国会会議録検索システム)

この全体をより詳細に検討すべきなのだが、ここでは、この部分に注目したい。岩本は「もう一つ、この際お願いをしておきたいことは、地域環境の整備であります。かつては、避難道路などという、避難ということをいいながら道路の整備をお願いしたいということは、余り口には出しませんでした。しかし、近年は、どうしても万々が一に備えてそのような道路、周辺の道路の整備や何かをぜひともお願いしたい、こういうことを申し上げてまいりました。」と述べている。つまり、避難道路建設ということは国への補助申請においては避けるべきことだったと岩本は意識しているのである。

福島原発立地自治体において、電源交付金のかなりの使途は、周辺道路の整備である。しかし、避難を名目にした道路整備は、平時には請求できず、東電の事故隠しなど、安全性への不安が露呈した時しか要求できなかったと考えられる。もちろん、それは、原発は安全であるという安全神話を守るためであったと考えられる。これは、他の安全対策でも考えられる。単にコストがかかるからというのではなく、安全神話を守るためにも、大掛かりな安全対策はされなかったといえないだろうか。そのため、現時点で避難道路を建設するという遅ればせな要求が出てくると考えられるのである。

他方、予算計上しただけの「避難道路」が、なぜ、「安全担保」になるのだろうか。原発事故はいつどのような形で起こるかわからず、そのために「避難道路」を複数確保するということは、根本的な解決ではないが、合理的である。しかし、現在できてもいない「避難道路」は、現在の「安全担保」にならないのは当然である。

ある意味では、安全対策としては「非合理」なのだが、これを、立地自治体へのリターンの一種として考えるならば、意味をなしてくると思う。安全対策は、国なり電力会社が、立地自治体住民に対して無条件に保障すべきものであり、それは、単に予算措置ではなく、実際に建設して、はじめて「安全」といえる。しかし、ここで問題としている安全対策としての「避難道路」は、現実には14億円の道路費予算投入でもあることを忘れてはならないであろう。その場合、最終的に「安全」が確保されるかどうかは問題ではなく、14億円の予算投入によって、公共事業がうまれ、さらに、道路修築によってインフラが整備されるという点が注目されているのではなかろうか。そうなると、「安全対策」も「リターン」の見地から評価されていくことになるのではなかろうか。

そうなってくると、大飯原発再稼働において、国が、福島第一原発事故で効力を発揮した免震重要棟の建設について、「将来の計画」でかまわないとした意味が理解できるのではなかろうか。安全対策も、所詮、立地自治体への「リターン」でしかなく、それが実際に機能することは二の次なのであるといえよう。

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