Feeds:
投稿
コメント

Archive for the ‘もんじゅ’ Category

前述のように、5月24~25日にかけて福井県敦賀地方にいった。まず、24日に敦賀半島先端部にある24日に日本原子力発電敦賀発電所(敦賀原発)と日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「ふげん」―両者は隣接しているーをみた。その後、より先端部に所在している漁村の敦賀市立石にいった、その途中にある「猪ヶ池」というところに、「この辺で、小グマを見かけましたので、ご注意願います。!」という看板があった。

猪ヶ池の「小グマ注意」の看板

猪ヶ池の「小グマ注意」の看板

24日に宿泊した敦賀市のホテルで無料配布された福井新聞(2011年5月24日付)には、次のような記事が掲載されていた。

「もんじゅ」近く、成獣のクマ目撃 敦賀
 21日午後9時ごろ、敦賀市白木の日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」近くの海沿いで成獣のクマが歩いているのを警備員が目撃した。同日午前6時ごろにも、正門付近で成獣のクマ1頭が目撃された。
 敦賀市農務課は出没状況によって、おりの設置を検討するとしている。

つまり、敦賀市の原発4基(「ふげん」は廃炉中だが)は、クマが出没している地域に所在しているのである。観光地の軽井沢では、観光客の生ごみ目当てにクマが出没しているようだが、原発は、クマの餌になるようなものは出さないであろう。固定資産税や電源交付金ではクマは食えない。元来、クマが住み着いていたのであろう。むしろ、原発のほうが、クマの生息域に進出したといえる。ある意味での自然破壊である。

敦賀原発(奥に「ふげん」が所在)

敦賀原発(奥に「ふげん」が所在)

敦賀原発と「ふげん」(左が敦賀原発1号機、中央が2号機、右が「ふげん」)

敦賀原発と「ふげん」(左が敦賀原発1号機、中央が2号機、右が「ふげん」)

実際、敦賀市の原発にいってみると、敦賀半島先端部の、照葉樹林で覆われた山と、日本海の海に挟まれた、自然豊かな地に所在している。敦賀原発と「ふげん」は、敦賀半島東側にある入り江に面して建設されているが、周囲は全く山に囲まれている。豊かな自然で隠蔽されている「秘密基地」の観がある。

「もんじゅ」

「もんじゅ」

「もんじゅ」はさらに奥にある。「もんじゅ」のある敦賀市白木は、敦賀市に属しているが、敦賀市からは陸路で直行できない。まず、敦賀からは、敦賀半島を横断し、美浜原発のある美浜町丹生をぬけて、再度山をこえて、ようやく敦賀市白木につく。しかも、それから、「もんじゅ」トンネルをぬけて、ようやく「もんじゅ」に達する。ただ、すでに「もんじゅ」トンネルの入口で、一般車の進入は制限されている。

「もんじゅ」は、むしろ、人の立ち入りを頑として拒む中世の古城のようにすらみえる。とにかく、まともな工業施設の立地とは思えない。このような立地では、電源交付金・固定資産税・原発(被曝)労働者としての雇用以外の波及効果があるとは思えない。

一般の「軽水炉」と比べても、「もんじゅ」の危険性は大きい。高速増殖炉は、プルトニウム239とウラン238を燃やし、さらにウラン238をプルトニウム239に転換させるというものだ。「燃やせば燃やすほど燃料が増える」という、いわばエネルギー保存則を無視したキャッチフレーズが使われている。いわば、国家・資本にとっての「永久機関」「賢者の石」なのである。錬金術というところであろう。しかし、半減期の長いプルトニウムがそもそも核燃料として使われている。

その上、冷却材として液体ナトリウムが使われている。「もんじゅ」にいって知ったのだが、まず、原子炉内の一次冷却系ナトリウムを循環させ、二次冷却系のナトリウムに熱交換し、さらに三次冷却系の水に熱交換して蒸気を発生させてタービンを回すというものだ。さらに、三次冷却系の水も海水と熱交換して、水に戻している。

そもそも、ナトリウムというものが、水や酸素に接触すると激しい化学反応を起こすというものである。「もんじゅ」は1995年8月に発電を開始したが、同年12月には二次冷却系からナトリウムが漏洩し、火災となってしまった。その後、長らく休止していたが、2010年5月に試験運転で臨界となった。ところが、8月には、核燃料を燃料交換時に仮置きする炉内中継装置の落下事故をおこしてしまった。まともに動いたことがないのである。

炉内中継装置の落下事故への対応自体は、機械的な問題だが、ナトリウムを空気にふれさせないことが必要のため、とにかく大がかりな作業が要されている。私が敦賀地方を訪れた5月24日は、炉内装置の回収作業に着手した日であった。

福井新聞(2011年5月24日付)は、次のように報道している。

初日(23日)の検査を終えて記者会見した保安院の原山正明新型炉規制室長は「回収作業は、保安規定に基づく特別な保全計画で行われる。炉内に空気を混入させない対策や重量物の落下防止を中心に文書や現場で確認した。いつ地震が起きるか分からず、早く抜いた方がいい」と説明した。

つまり、現在のところ、「もんじゅ」は地震に対して備えが万全でないことを原子力安全・保安院自体が認めているのである。

その他、「もんじゅ」は緊急冷却装置がない(ナトリウムの沸点が高いため、冷却材喪失は想定できないとのこと)など、とにかく、かなり、危険なものである。人が立ち入らないようなところに立地するということは、そのような危険性を想定しているとも考えられるのである。

敦賀市白木

敦賀市白木

といって、人が住んでいないわけではない。「もんじゅ」は、漁村である白木集落からよく見える位置にある。それは、遮蔽物がなく、放射線が到達するということだ。人が少ないからといって、いないわけではない。人々の生活と、危険な「もんじゅ」が共に在るということ。困るのは、クマだけではないのである。

美浜原発や敦賀原発のような軽水炉のほうが多少危険性が少ないとはいえるが、それは程度問題でしかない。福島第一原発のようなことは、どこの原発でも起こりうるだろう。前述したように、美浜原発では、事故が起きれば、遮蔽物なく放射線が丹生集落に達しうる。海陸ともに丹生集落の入口に原発にあるので、逃げ道は白木に行くしかない。そして、白木は陸路をたたれ、船で避難するしかなくなる。

敦賀市立石

敦賀市立石

敦賀原発も同じようなものだ。敦賀原発よりさらに先端部に属している立石集落も、事故があれば陸路をたたれ、海路で避難するしかないであろう。

このようなことは、起こりえないといわれてきたし、私自身も無意識で考えてきた。福島第一原発・第二原発について無関心でいられたのも、そのためだろう。しかし、以下に人口が少なくても、そのようなことがあれば、地域社会は壊滅的な打撃を受けるのである。

もはや、福島第一・第二原発の地を訪れることは、少なくともしばらくはできない。しかし、他の原発をみることで、地域社会に原発のあることの意味を想像することはできよう。そのような目で、他の原発もみていきたい。

広告

Read Full Post »