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Archive for 2013年8月

つい先日(2013年8月11日)、仕事のついでに足尾鉱毒問題において遊水池として「廃村」させられた旧谷中村に行ってみた。この旧谷中村遺跡は何度か訪れたことがある。しかし、3.11以後はいったことがなかった。

今、いってみると、大きな樹木が生えている塚がたくさん立ち並んでいることに目をみはった。次の写真をみてほしい。

旧谷中村の「水塚」(2013年8月11日撮影)

旧谷中村の「水塚」(2013年8月11日撮影)

これは、ただ一つのものを写したものだが、このような大きな樹木が生えた塚がそこら中にある。全てではないかもしれないが、これらの多くは、旧谷中村の住居跡なのである。

この地域は、足尾鉱毒問題が起こる以前から、渡良瀬川の水害にさらされてきた地帯であった。そのため、住居には堤防などの高地が必要であった。隣接する群馬県板倉町には、水害から一時的に避難するために、住居の裏に高台を築き、そこに避難用の家屋を建てている。これは水塚(みづか)とよばれている。

同じような生活文化は、隣村の旧谷中村にもあったと考えられる。住居には高地が必要であったのである。もちろん、神社や寺院にも高地は必要であった。例えば、次の写真は雷電神社跡(もちろん、神社そのものは残っていない)であるが、かなりの高地にあることがわかるだろう。

雷電神社跡(2013年8月11日撮影)

雷電神社跡(2013年8月11日撮影)

はっきりと整備され、遺跡であることがわかるものもある。次の写真は、谷中村役場が置かれた大野孫右衛門屋敷跡であるが、きれいに整備され、標柱もある。布川了『田中正造と足尾鉱毒事件を歩く』(改訂2009年)では、「谷中村役場跡は広場の左手に行ったところにある。大地主で、村長も務めた大野孫右衛門の屋敷の水塚の一棟が、谷中村役場にあてられていた」(p105)とされている。たぶん、大野家の屋敷の裏が土盛りされ、そこに水塚として避難用家屋が建てられ、それが谷中村役場になったのであろう。

旧谷中村役場・大野孫右衛門屋敷跡(2013年8月11日撮影)

旧谷中村役場・大野孫右衛門屋敷跡(2013年8月11日撮影)

しかし、ほとんど多くの住居跡は、単なる樹木の生えた塚にしかみえなくなり、自然のものか人工のものか区別できなくなっている。もちろん、全部を歩き回ったわけではないし、夏草におおわれて掲示板などが見えないものもあるかもしれない。『田中正造と足尾鉱毒事件を歩く』では「役場跡の下の道を北に歩きだせば、三〇近い住居跡が明治に亡びたまま、竹やぶや雑木の、いわゆる『やしきボッチ』として連なっている」(p105)と書かれ、「谷中村集落図」(p106)が掲載されている。

谷中村集落図

谷中村集落図

現時点では、樹木(たぶん屋敷林の名残り)が生えた塚が住居跡であり、葭原になってしまった湿原がかつての水田跡なのだろうと推測する他はない。まるで、自然がそのまま残されているかのような光景。しかし、これは、かつて、生活していた人びとを追い出し、その結果生まれた「自然」なのである。

旧谷中村遺跡の光景(2013年8月11日撮影)

旧谷中村遺跡の光景(2013年8月11日撮影)

そして、他方、完全に水没した地もある。戦後、渡良瀬遊水地が改修され、「谷中湖」ができた。その際、谷中村遺跡全体の水没もはかられたが、必死の抵抗運動で、谷中村遺跡全体の水没はまぬがれた。現在、谷中湖はハート形をしているが、それは谷中村遺跡を保存するためである。しかし、それでも、谷中村の下宮・内野地区は水没せざるをえなかったのである。次の写真は谷中湖である。この、非常に人工的な水面の下に、谷中村の一部は眠っているのである。

谷中湖(2013年8月11日撮影)

谷中湖(2013年8月11日撮影)

今、この谷中村遺跡を含んだ渡良瀬遊水地は、水鳥などの生息地である湿地を保護するラムサール条約の登録地になっている。もちろん、ラムサール条約登録には何の異論もない。しかし、足尾銅山の鉱毒による自然破壊の結果生まれた渡良瀬遊水地の「自然」を保護するというのは、非常に皮肉なことに思えるのである。

そして、この谷中村遺跡の状況は、また、福島で再現されようとしているのである。

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昨年来、首都圏反原発連合主催の金曜日の官邸前(国会前)抗議行動は続いている。昨年、万単位の参加者があったが、今は、それほどの参加者はない。しかし、今も、昨年定式化された、官邸前スピーチエリア、国会前スピーチエリア、ファミリーエリアの三ヵ所で行うという形は、今でも継続されている。

私は、8月9日、ファミリーエリアにいた。他のところは通していたことがないので雰囲気はわからないが、ここでも、「原発いらない」「再稼働反対」などのシュプレヒコールがあり、一般参加者のスピーチを行っている。ここでは、終わりのほうで「コール・リレー」というものが行われ、ドラム隊のサウンドにのって、一般参加者がシュプレヒコールをリズムカルにシャウトするという催しが定番となっている。

ずっと、スピーチを聞いていると、「なるほど」と思わせるものが多い。それぞれの取り組みの宣伝もあり、いわゆる情報提供もある。また、心情告白みたいなものもある。メモをとっていないので、あまり紹介できないのが残念である。

その中で、記憶に残ったスピーチを紹介する。まず、スピーチ者の写真をみてほしい。

金曜抗議行動におけるスピーチ(2013年8月9日)

金曜抗議行動におけるスピーチ(2013年8月9日)

このスピーチ者は、「原発廃炉」「損保業界は地震国の原発リスクを表明しろ」「電力業界は核廃棄物で地球を汚すな」「横浜○○損害保険事務所」とかかれた幟をもっている。このスピーチ者は、自分のことを「商店街のおやじ」と述べていた。たぶん、損害保険事務所を経営しているのだろう。

そして、この幟作成は、「一人でもできること」と言っていた。商店街によく宣伝用の幟があるが、それを使ったとのことである。聞きそびれたが、ふだんから、この幟は店の前に掲示されているのかもしれない。

そして、この文言にも意味がある。まず「損保業界は地震国の原発リスクを表明しろ」という文言であるが、これは、スピーチ者自身も属している損害保険業界にむけたものである。日本は地震が多い。そのことを考えると、本来、日本の原発の損害保険料は莫大なものにせざるをえないはずで、そのことからも、原発は経済的に優位とはいえないはずになるということになるということである。

他方、「電力業界は核廃棄物で地球を汚すな」という文言にも微妙な含意がある。スピーチ者は、メーカーには製造することで人に害をあたえてはならない責任があるはずだという。その例として「薬害」などをあげていた。しかし、原発供給電力を販売している東京電力などの電力会社は、原発で電力を製造することで、薬害にすら比較にならないほどの害がある核廃棄物を作り出している。メーカーとしての責任を自覚すべきだといい、そのことで、料金支払いのたびに電力会社(たぶん、東京電力だろう)の担当者に話しているのだと言っていた。

そして、このような行動について、スピーチ者は「ショー・ザ・フラッグ」(Show the flag)だといっていた。

「ショー・ザ・フラッグ」という言葉が有名になったのは、2001年9月11日の同時多発テロ直後のことである。それを伝える次の記事をみてほしい。この言葉が「日の丸を見せてほしい」と誤訳(たぶん、意図的に)され、アフガン攻撃の後方支援として、インド洋への自衛隊艦船派遣のつながっていったのである。とにかく、自衛隊の海外派遣を実現するために、意図的に「ショー・ザ・フラッグ」の意味を曲げた日本政府。彼らには、旗は「日の丸」しかないのだろうか。

時事ー自衛隊派遣まで想定せず=
「ショー・ザ・フラッグ」の解釈に“異論”-駐日米大使
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20011005-00000326-jij-pol

 ベーカー駐日米大使は5日、日本記者クラブでの講演で、アーミテージ国務副長官が同時多発テロ事件に関する日本の対米支援について「ショー・ザ・フラッグ」と述べたことについて「これは英語の慣用句。『旗幟(きし)鮮明にせよ』ということを意味したのではないか。自衛隊派遣まで考えてなかったと思う」との見方を示した。
 アーミテージ氏の発言は柳井俊二駐米大使と会談した際に述べられたもので、日本国内では一般的に「日の丸を見せてほしい」と訳され、米側が自衛隊による後方支援を非公式に打診したと受け止められた。 (時事通信)[10月5日19時9分更新]
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1310072.htm

もちろん、スピーチ者がいう「ショー・ザ・フラッグ」は「日の丸を見せろ」という意味ではない。「旗幟鮮明にせよ」という意味である。といっても、ここでも、実際の旗(といっても幟だが)が使われている。いわゆる思想内容ー「ショー・ザ・フラッグ」ーを示すための、視覚的表現として、実際の旗が用いられているのである。

人びとに「ショー・ザ・フラッグ」ー「旗幟鮮明にせよ」をせまるために、実際の「旗」を用いるというのは、本当にエレガントなレトリックだと思う。

そして、これは、他の人にもあてはまることである。「ショー・ザ・フラッグ」ー「旗幟鮮明にせよ」ということは、みなに求められていることなのである。

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福島第一原発の危機が拡大している。汚染水については、連日報道され、整理することも難しいほどだ。そんな中、ウォールストリートジャーナルが8月7日付で的確な整理を行っているので、まず、紹介したい。

2013年 8月 07日 11:55 JST
福島第1原発、汚染水封じこめで苦闘

東京電力は福島第1原発で、隔壁やポンプ、それに土壌を固める化学品などを使って、放射性物質に汚染された地下水が海に流出するのを防ごうとしている。

 同社は今週、最も高濃度の汚染水が見つかった場所を新たな一連の措置で封鎖しようとしているが、一部の専門家や規制当局者は、汚染水を原発敷地に完全に封じ込める闘いに勝つのは難しいかもしれないとみている。

 シーシュポスの神話のような果てしない苦闘を続ける東電は先週、汚染された水のレベルが上昇しており、わずか1カ月前に工事が始まったばかりで完了が今週末の予定となっている地中の「遮水壁」を既に越えている可能性があると発表した。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は先週の記者会見で、汚染水を汲み上げて貯蔵するといった東電の汚染水対策は一時的な解決策にすぎないとし、最終的には、処理をして放出濃度基準以下にした汚染水を海に捨てることが必要になるとの見解を示した。

 東電は5日、電子メールで、汚染水があふれている最近の問題に対処するため「いつかの措置を取りつつある」とし、「原発近くの水域の海水と魚介類への影響の監視を強化し続け、諸措置のあとに(汚染水の)廃棄について判断する」と述べた。

 2011年3月の東日本大震災で同原発が電源喪失状態となり、稼働中だった3つの原子炉がコントロール不能に陥ってから、東電は汚染水の管理に苦しんでいる。溶けた燃料炉心を冷やすために毎日約400トンの水―そのほとんどはリサイクルされているが―が使われている。より大きな問題は、これとは別に山々から下りてくる400トンの地下水が発電所敷地の下を流れ、海に注いでいることだ。

 東電はこの2年間、放射線濃度の高い原子炉建屋から水を汲み出し、敷地内のタンクにこれを詰めて汚染を封じようとしてきた。しかし、数カ月前には、原子炉付近で採取した地下水から高濃度の放射性物質が検出されて、その努力も実を結んでいないことが分かった。その理由は明らかではない。さらに、東電はこの水が海に漏れ出ている公算が大きいと明らかにしたのだ。

 放射能漏えいに関し同社の情報に透明性が欠けていることなど、原子炉敷地での問題が続いていることから、規制当局の批判を招いている。2日には、成果の上がらない除染作業で政府の役割を拡大するために設けられた原子力規制委員会の対策検討会が初会合を開いた。同検討会は東電に対して、国民の原発への反対が強まっているとして、コミュニケーションと信頼性を改善するよう要求した。

 東電は7月、緊急措置として、護岸に近い土壌に化学品を注入してこれを固め、地下隔壁とする作業を始めた。しかし、その後、この場所の地下水が隔壁にぶつかって水位が急速に上昇した。水位は地下1メートルのところまで来ており、地下1.8メートルから始まる隔壁を既に越えているようだ。

 同社は今、隔壁の手前にたまっている水の一部を汲み上げ、これまでと同様に貯蔵することを計画している。同社はまた、最も高濃度に汚染されている護岸周辺を隔壁で囲む準備もしている。さらに、隔壁で囲った部分を砂利とアスファルトでふたをし、何も漏れ出ないようにすることを提案している。同社は隔壁部分の作業を10月までに終えたい考えだ。

 同社はこのほかにも、原子炉建屋を凍土で囲うなど、いくつかの実験的構想も持っている。

 しかし、資源エネルギー庁の新川達也・原子力発電所事故収束対応室長は7月の記者会見で、このやり方では地下水の流れを変えてしまう恐れがあると述べた。また、水が大量にたまり、地盤を軟らかくして、原子炉建屋を倒壊させる可能性があると指摘した。東電は水が染み出している公算が大きい建屋内のひびをロボットを使って修理するといった方法も試してみるべきだとしている。

 埼玉大学の渡部邦夫地質学教授は、凍土にも問題があると述べた。同教授は、トンネル掘削で使われるこの技術は汚染地域に入ってくる地下水の量を減らせるかもしれないが、コストが高いとし、「システムを構築するには数億円が必要だ。この氷の壁を維持するのには大量の電力も必要だ」と語った。

 田中委員長は、東電は全ての水を処理することは不可能であるとし、許容水準内の汚染水を海に捨てる準備をすべきだと述べた。しかし、現地の漁業協同組合は依然として、かつてのように漁に出られるようになることを望んでいる。地元漁業者は昨年6月以降、放射能テストで一貫して低い値しか検出されないタコなどをとっている。相馬双葉漁協の遠藤和則氏は、最近汚染水が海中に流れ込んでいることについて、困惑しているとし、消費者が同地の魚を拒否し始めることへの懸念を示した。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324513804578652903693994978.html

つまり、壊れた原子炉に地下水が流れ込んでいて、それが汚染水となり、海洋に流れ出しているのである。東電としては、応急措置として、海側の地下に隔壁を設け、海洋に流れ出さないようにしようとしたが、かえってせき止められた汚染地下水の水位が上がり、隔壁をこえてしまったという。そこで、この汚染地下水をくみあげて貯蔵する計画をたてているということである。

その上、東電と規制委委員長は、汚染水(何らかの処理をすることを前提としているようだが)を海洋廃棄することを検討しているというのである。このことに対しては、周辺の漁協が反発しているということである。

さらに、東電が中長期的な措置として「凍土」で原子炉建屋を囲う構想をもっていることを報じている。

まず、このような大枠の理解のもとに、最近の報道をみてみたい。

最早、東電にせよ、それを監督する経産省の資源エネルギー庁にせよ、汚染水について十分な対策はとっていない。結局、規制側の原子力規制委員会が、東電や資源エネルギー庁に不満をもちながらも、陣頭指揮をとらざるをえなくなった。8月7日の河北新報はそれを次のように伝えている。

福島第1原発の汚染水流出 規制委、異例の陣頭指揮

 福島第1原発の汚染水の海洋流出問題で、原子力規制委員会が異例の陣頭指揮を執っている。汚染水対策など廃炉作業の監督は本来、経済産業省の役割だが、海洋流出に対する動きは鈍い。規制委の突出ぶりは、事態の深刻さへの焦りと対応が後手に回る東京電力へのいら立ちの裏返しと言えそうだ。(東京支社・若林雅人)

 「規制機関が踏み出すべき領域かどうか疑問もあるが、リスクが高まっている」
 規制委が2日に開いた汚染水対策作業部会の初会合。座長役の更田豊志委員は開催理由をこう説明し、早速東電から聴取を始めた。東電が「調査する」「検討する」と答えた事項について「次回、耳をそろえて持ってきてほしい」と強い口調で要求した。
 春先に地下貯水槽での汚染水漏れが発覚し、汚染水の貯蔵が問題となって以降、政府は廃炉対策推進会議の下に汚染水処理対策委員会を設置。経産省資源エネルギー庁が事務局となり、5月末に地下水流入の抑制策を柱とした報告書をまとめた。
 報告書に対し、規制委は「高濃度汚染水が滞留する海側トレンチ(作業用トンネル)からの漏えいリスクが高い」との見解を表明。海水や地下水から高濃度の放射性物質が検出され始めた6月下旬にはトレンチから海に流出した可能性を指摘したが、東電は7月下旬まで流出を否定し続けた。
 規制委の再三の警告にもかかわらず、エネ庁や対策委に目立った動きはなかった。エネ庁事故収束対応室は「汚染水対策のマネジメントはエネ庁だが、放射性物質の外部流出など安全管理は規制委が担う」と役割分担を理由に挙げた上で、「対策委が今後どう関わっていくべきか検討している」と説明する。
 規制委の会合では「緊急対策が必要な際に国の関与が明確でない」と、エネ庁を念頭に置いた苦言も出た。規制委事務局の原子力規制庁事故対策室は「規制委で対策を検討しても東電に実行させるのはエネ庁。責任の大きさは分かっているはずだ」と自覚を促す。
 福島県の内堀雅雄副知事は6日、規制庁と経産省を訪ね、国が前面に立った対処と監視を要望した。赤羽一嘉経産副大臣との会談後、内堀副知事は「経産省は廃炉対策の所管省庁。東電と一体でしっかり対応してほしい」とくぎを刺した。
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/08/20130807t63010.htm

その結果、汚染地下水汲み上げの前倒し実施がなされることになったといえる。NHKは、8月6日、原子力規制委員会の指摘を受けて、今月末に行うとしていた汚染地下水の汲み上げを前倒しして、今週中から開始するとした。東電の措置では、高濃度汚染水の大規模な海洋流出がさけられないとみての規制委員会の判断なのであろう。東電は、ここでも、当事者能力のなさを露呈したといえる。

福島第一原発 汚染水くみ上げ急きょ今週から
8月6日 5時56分

福島第一原発 汚染水くみ上げ急きょ今週から
福島第一原子力発電所で汚染された地下水が海に流出している問題で、流出を防ぐために行っている工事で地下水位が上昇していることから、東京電力は急きょ、地下水のくみ上げを、今週中に始めることにしました。
一方、観測用の井戸では新たに放射性物質の濃度が上昇していることが分かり、汚染水対策は手探りの対応が続いています。

福島第一原発では、汚染水の流出対策として、護岸沿いに地中を壁のように固める工事を進めていますが、せき止められて上昇した地下水がすでに壁を乗り越えているおそれがあることが先週、明らかになりました。
このため東京電力は急きょ、小規模な井戸を掘って、今週中にくみ上げを始め、くみ上げた地下水は、一時、地下の施設に保管した後、敷地内のタンクにためることにしました。
当初、東京電力は今月末から地下水をくみ上げるとしていましたが、国の原子力規制委員会から一刻も早く始めるよう指摘を受け、対応を早めることになりました。
一方、高濃度の汚染水がたまっている2号機のタービン建屋に最も近い観測用の井戸で、5日採取した地下水では先月31日に比べて放射性セシウムの濃度が14倍あまり、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す物質の合計の濃度が46倍あまりといずれも上昇していることが分かりました。
東京電力は濃度が上昇した原因は分からず、今後詳しく調べるとしています。
汚染水を巡っては、事故から2年4か月がたった今も流出の具体的な状況や影響の広がりをつかめず、手探りの対応が続いています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130806/k10013569671000.html

そして、政府もまた、東電の計画していた凍土による地下水遮水壁設置に国費投入を決定した。8月7日の毎日新聞は、次のように伝えている。

福島第1原発:汚染水対策に国費投入…政府検討
毎日新聞 2013年08月07日 13時01分(最終更新 08月07日 13時02分)

 政府は7日、東京電力福島第1原発の放射性汚染水問題をめぐり、対策費用の一部を国費で補助する検討に入った。経済産業省が2014年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。これまでも廃炉や事故収束に関係する研究開発費用は国が支援していたが、汚染水対策への補助が決まれば、国による初めての直接支援となる。国がより踏み込んだ対策を取る方針を明確に示して、処理対策を確実に進める構えだ。【大久保渉】

 ◇遮水壁設置で

 経産省は5月、原子炉建屋への地下水流入を防ぐため、周囲の土を凍らせる遮水壁の設置を東電に指示。設置には数百億円の費用が見込まれるが、経営再建中の東電には資金的な余裕が乏しいのが現状だ。

 菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で「これだけの大規模な遮水壁は世界でも例がなく、設置に当たっては国として一歩前に出て支援する。予算は、経産省において現在検討中と聞いている」と説明。7日午後の原子力災害対策本部会議で、安倍晋三首相が茂木敏充経産相に対し、早急に対策を行うように指示する予定であることを明らかにした。

 汚染水対策を含めた廃炉の費用について政府は「東電による負担が原則」としてきたため、国費の投入には「東電救済とみられないか」との慎重論があった。しかし、福島第1原発の汚染水を巡っては、7月に海洋流出が明らかになるなど、東電任せによる対策には限界が指摘されている。

凍土による遮水壁は、長期にわたって使用された例がなく、東電は技術的な検討を進めた上で今年度中に実現可能かどうか判断するとしていた。
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130807k0000e010192000c2.html

結局、費用においても、すでに東電では調達できない。その意味で、原子力規制委員会の「陣頭指揮」にせよ、汚染対策への国費投入にせよ、遅ればせながら、公的機関がイニシアチブをとらなければ福島原発の廃炉作業が不可能なことを明示しているといえよう。

しかしながら、これらは、そもそも東電の計画だったことにも注目しておかねばならない。そもそも、場当たりの対応しかできなかった東電が構想した計画であり、その前倒しやバックアップにすぎない。汚染地下水の汲み上げにせよ、凍土による地下水遮水壁の設置にせよ、応急措置にすぎない。資源エネルギー庁で議論されていたようだが、ロボット装置などによる原子炉建屋の点検・修理が、廃炉作業を進める上でも不可欠のはずだが、そのようなことは具体化されていないのである。

しかも、汲み上げた汚染地下水もどんどんたまっていくだろう。凍土による地下水遮水壁設置については、そもそも効果自体に疑問があるのだが、それ以上に、2014年度概算要求の対象であり、つまりは、翌年からしか建設されないのである。現状の汚染水危機には即応するものではないのである。

すでに、東電も原子力規制委員会も、汚染水の海洋廃棄を検討していることは述べた。もはや、政府も、当面の措置として汚染水の海洋廃棄の検討を開始している。8月8日、読売新聞は、次のような記事をネット配信している。

福島第一の基準値以下の地下水、海洋放出検討へ

特集 福島原発
 茂木経済産業相は8日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所でたまった基準値以下の放射性物質を含む地下水について、「海への放出の可能性も含め、早急に検討して対策を具体化していきたい」と述べ、海洋放出を視野に入れた水の処理を検討することを明らかにした。

 同日午後に開かれる有識者らによる汚染水処理対策委員会で話し合う。この水は、原子炉建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げたもの。この水の海洋放出を巡っては、安全性などについて地元の漁業関係者の理解は得られておらず、具体的なめどは立っていない。

 7日に開かれた原子力災害対策本部の会議を受け、茂木経産相は、基準値以上の汚染水についても「国が主導して、絶対に漏らさない状況を作るということを進めたい」と話し、東電任せにせずに対策を進めることを強調した。そのうえで、海側の地中に薬剤を注入して地盤を固める工事や、1~4号機の地中を凍土の壁で囲うなどの対策を行う。

 経産省が7日に公表した、1日当たりの汚染水の流出量(300トン)について、茂木経産相は「汚染の度合いは違うにしても、汚染されている可能性は否定できない」と説明した。

(2013年8月8日14時13分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130808-OYT1T00613.htm?fb_action_ids=511507698928519%2C511427535603202&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_object_map=%7B%22511507698928519%22%3A152528584952987%2C%22511427535603202%22%3A622735257759194%7D&action_type_map=%7B%22511507698928519%22%3A%22og.recommends%22%2C%22511427535603202%22%3A%22og.recommends%22%7D&action_ref_map=%5B%5D

つまり、最早、福島第一原発の汚染水(もちろん、ある程度の処理をしてことだろうが)の海洋廃棄がさけられないとされてきているのである。

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連日、新聞・テレビなどで話題になっている、広島・呉少女遺棄事件であるが、ここでは、犯罪自体ではなく、犯罪を起こしたと比定されている加害少女らの背景について、どのように報道しているか、それをみていくことにする。

まず、NEWSポストセブンが発信したものをみていこう。これは、元々『女性セブン』に載せられたものだ。まず、最初のところをみておこう。

広島遺棄事件の主犯格少女 ゲーセンで1万円豪遊し飲酒した
2013.08.02 07:00

 広島県呉市で起きた、16才の少女らによる死体遺棄事件は、無職・無就学の彼女たちが形成した、いびつな人間関係が背景にあった──。
〈A子とドンキ行ってー、プリクラ撮ってー 車で語りんしながら送ってもらった☆A子ありがとねー 大好きよ〉
 黒瀬恵利華さん(享年16)が、広島県呉市の山中で変わり果てた姿で発見されたのは、彼女がブログでこう綴ったわずか2か月後のことだった。
 7月12日、主犯格と見られるA子(16才)が母親に伴われて広島東署に出頭。当初は「1人でやった」と供述していたが、捜査を進めるなか、A子の遊び仲間6人が次々に逮捕された。そのなかにはLINEだけでつながり、事件当日まで恵利華さんともA子とも面識がなかった少女も2人含まれていた。
 仲間内でもとりわけ仲がよく、親友と呼び合っていたA子と恵利華さん。2人が仲良くなったきっかけは、恵利華さんが通っていた高等専修学校でいじめに遭い、不登校になったことだった。
http://www.news-postseven.com/archives/20130802_203328.html

ここでは、被害者と主犯格の少女が、高等専修学校でいじめにあったことがきっかけに、「親友」と呼び合う親しい関係になったことが語られている。

続いて語られていることは、この二人が「家出」をして、家賃4万2千円のワンルームマンションでともに暮らすようになり、年齢を偽って派遣マッサージによって月に100万円を稼ぐようになったことである。「裏稼業」で「あぶく銭」をかせぎ、ゲーセンや居酒屋で豪遊する毎日だったという、典型的な「非行少女の転落話」として語られている。

 

身体の悪い母親の肩を抱いて病院に連れて行くような、優しい子だったという恵利華さんは、やがてA子と一緒に行動し、家に帰らないようになる。A子の友人が借りる家賃4.2万円のワンルームマンションで、仲間たちとともに過ごすことが増えていったからだ。
「A子たちは年齢を偽って派遣マッサージの仕事をして、月に100万円もの収入があったと聞いたことがある。そのお金で共同でマンションを借り、共犯で逮捕された少年たちも含めて、常時3~4人が入り浸っていた」(A子の友人)
 彼女たちはいつもサンダル履きに、ジャージーを着、一様に髪の毛を染めていたという。近所の人が声を潜めて語った。
「見るのは日中ではなく、いつも夜中3時半とか、朝方。てっきり20才前後かと思っていたけど、まだ16才だったとは…」
 狭苦しいたまり部屋で、彼女たちはどんな生活をしていたのだろう。学生でもなければ社会人でもない。そんな現実と疎外感が重くのしかかるなか、裏稼業に手を染めながら、そのあぶく銭で、将来が見えない憂さを紛らわせていたのかもしれない。少女たちを乗せたことがあるというタクシー運転手が、ため息まじりに話す。
「深夜に繁華街まで乗せることがたびたびあった。話を聞いていると、『ゲーセンで1万円すった』とか平気で言っていて、普通のサラリーマンよりもはるかに金遣いが荒い。自分の子供時代にはとても考えられない感覚です」
 前出の友人によれば、彼女たちはゲームセンターのほか、居酒屋やカラオケで遊ぶことが多かったという。大人びていた少女たちが、大人から飲酒をとがめられることはなかった。
※女性セブン2013年8月15日号
http://www.news-postseven.com/archives/20130802_203328.html

他方、毎日新聞は、全く別の側面から、この加害少女たちを報道している。

広島・呉の少女遺棄:逮捕の1少女、虐待受け生活保護 1Kで共同生活
毎日新聞 2013年07月20日 大阪朝刊

 広島県呉市の灰ケ峰(はいがみね)の山中に若い女性の遺体が遺棄された事件で、死体遺棄容疑で逮捕された7人のうち、広島市中区の少女(16)が生活保護費を受給していたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。親のネグレクト(育児放棄)が原因とみられるため、単身世帯として直接、受け取っていた。逮捕された未成年者6人の中には、少女以外にも児童虐待を受けていた者がいるとみられ、県警捜査本部は過酷な生活環境が事件の遠因になった可能性があるとみて調べている。【黄在龍、石川裕士、吉村周平、中里顕】

 ◇車から血液反応

 また、7人が被害者を山中に運んだ車の床から大量の血液反応が出たことも判明。捜査本部は、車内での暴行を裏付けるものとみている。

 生活保護の受給基準は年齢制限がなく、未成年者の単身世帯でも要件を満たせば生活保護費を受給できる。

 福祉や捜査の関係者によると、少女は今年に入り、月額約10万円の生活保護費を受給。周囲に「親からネグレクトされていた」と打ち明けていたという。

 少女は一時、鳥取県内の施設に保護されたこともあったが、その後は友人宅を転々として、今年4月中旬、広島市中区の6階建てマンションに入居した。部屋は6畳の洋室とキッチンなどがついた1Kタイプ。家賃は生活保護の中の住宅扶助費上限である月額4万2000円(広島市の場合)だった。

 マンションには交際相手の少年(16)=鳥取県米子市=ら今回の事件で逮捕された者が複数、出入りしていた。事実上、未成年者だけで共同生活を送っていたという。

 関係者によると、逮捕グループの中には、同様に、育児放棄のような児童虐待を受けるなど、家族との間で深刻な問題を抱えている者が複数いるという。

 少女は、14日に逮捕された広島市東区の少女(16)に誘われ、被害者とみられる高等専修学校の女子生徒(16)と一緒に接客業をしていた。その収入と生活保護費で生計を立てていたとみられる。

 捜査本部はこうした少女らの生活環境が事件に及ぼした影響についても調べる方針。
(後略)
http://mainichi.jp/area/news/20130720ddn041040013000c.html

まったく、違う報道といえる。主犯格の加害少女は、親から育児放棄され、一時期には施設にもいた。そして友人宅を転々とし、今年生活保護を受け、月額10万円の生活保護費を受け取るようになった。広島市の4万2千円のマンション家賃は、住宅扶助ぎりぎりだったという。それから、被害少女とともに「接客業」に従事し、「生活保護費」とともに生活費をあてていたという。そして、加害者の未成年の多くも、同様の児童虐待を受けていたようであると報道している。

かたや「ゲーセンで1万円豪遊」、かたや「生活保護」ということになる。

私が考えるに「ゲーセンで1万円豪遊」という報道も誤報とはいえないが、一面的な報道であるといえる。この事件の加害者は「見捨てられた子どもたち」といえる。もちろん、だから許されるというわけではない。ただ、結局、非行少女たちが「裏稼業」に手をそめて転落していったというものではない。彼女らは、親から見捨てられた生活困窮者たちだった。ゆえに、この広島のマンションを借りる際にも生活保護が必要だった。そして、いまだ、家庭で保護されるべき未成年者が、多少でも金を稼ぐためには、年齢を偽って「接客業」するしかなくなったのである。

たぶん、生活保護の濫給を主張する人たちは、これもまた不正受給というかもしれない。しかし、この場合、「接客業」で「月100万円」という生活のほうがおかしい。それを「自立した生活」というのだろうか。生活保護を前提として、自立した生活をめざすしかないだろう。そして、親が育児放棄している以上、社会が自立させていかねばならないのだ。

こういう報道の二面性は、生活保護を必要とする人びとをどう見るかということ全体に通じると思うのである。

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最近、ほとんど整理できないほど、福島第一原発事故の異常事態が、主要メディアでも伝えられている。たとえば、共同通信はトレンチから1リットル当たり23億5000万bqの放射性セシウムに汚染された水が検出されたと報じ、「汚染水対策は事実上破綻」と批判した。

【福島第1原発の現状】 汚染水対策は事実上破綻  海洋流出防げるか不透明

 福島第1原発からの汚染水の海洋流出を受け、東京電力は護岸の地盤改良など流出防止策を急ぐが、対策の効果は不透明だ。加えて敷地内の汚染水は1日400トンのペースで増え続け、抜本的な解決策もない。廃炉に向け当面の最重要課題とされた汚染水対策は事実上、破綻している。
 「1リットル当たり23億5千万ベクレル」。原子力規制委員会が汚染水の漏えい源と疑う敷地海側のトレンチ(地下道)にたまっていた水の放射性セシウム濃度だ。東電が27日、発表した。トレンチが通る2号機タービン建屋東側の一帯では5月以降、観測用井戸で高濃度汚染水の検出が相次いでいる。
 東電は4月、港湾内で長さ約780メートルにわたって鋼管約600本を壁のように打ち込む「海側遮水壁」の工事を始めた。完成は来年9月ごろで、汚染水が海に漏れ出さないよう“念のため”の措置だった。
 ところがわずか約2カ月後、敷地海側や港湾内の海水で高濃度汚染水の検出が相次ぐと、水ガラスという薬液で護岸などの地層を固める「土の壁」の工事に着手せざるを得なくなった。
 トレンチには事故直後に流れ込んだ極めて高濃度の汚染水がたまっている。2011年4月に2号機取水口近くで汚染水漏れがあったことを受け、継ぎ目部分の縦穴を埋めて水の流れを遮断しているが、本来は配管や電源ケーブルを通すためのトレンチに、防水処理は施されていない。
 東電は早期に汚染水を抜き取ってトレンチを埋める計画だが、ここが汚染源だとすれば、完了までは高濃度の汚染水が漏れ続ける。今月26日に記者会見した 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長は「もっと早くやるべきだった」と悔やんだ。
 一方、汚染水をどう減らすのかも重要な課題だ。建屋に流れ込む前の地下水を井戸でくみ上げて海に出す「地下水バイパス」計画は地元の強い反発でめどが立たない。1~4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」は15年の完成を目指すが、世界的に例のない取り組みで効果は未知数だ。「まずは流入量を減らさないとだめだが、抜本策は挙げられない」と広瀬社長は苦悩をにじませている。
(共同通信)
2013/07/29 12:2
http://www.47news.jp/47topics/e/244207.php

そして、結局、原子力規制委員会も、東電頼みでデータをとるのではなく、自らの分析チームを7月29日に設置した。そのことを伝える毎日新聞のネット記事を下に掲載しておく。

福島第1原発:汚染水問題 規制委、分析チームを設置
毎日新聞 2013年07月29日 11時20分(最終更新 07月29日 12時33分)

 東京電力福島第1原発から出た放射性汚染水が海洋に流出している問題を受け、原子力規制委員会は29日、第1原発の収束作業が適切に実施されているかをチェックする「特定原子力施設監視・評価検討会」の会合を開いた。規制委は、汚染水について分析する作業チームを設置することを決めた。現在は「東電任せ」になっている放射性物質のデータ採取・分析について、客観性を確保するのが狙い。

 検討会は、東電が汚染水の海洋流出を公表して以降、初めての開催となる。作業チームは、原子力規制庁や産業技術総合研究所などで構成し、東電も加わる。規制委の更田(ふけた)豊志委員は「地下水や地層、土木の専門性がある職員を結集し、より実質的な分析を進めたい」と述べた。汚染水が海へ流出している現状を受け、海のモニタリング態勢を強化する検討チームも別に作る。

 一方、規制委は東電から汚染水の現状をヒアリングした結果、2号機海側の電源ケーブル用トレンチ(トンネル)下部の砕石層(砂利)が汚染水の通り道になっているとの見方を強め、早期の対策実施を求めた。http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130729k0000e040153000c.html

また、以上の問題と関連するかどうか不明だが、8月1日、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織「国際廃炉研究開発機構」が設置された。

福島第一原発廃炉で新組織
8月1日 14時46分

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、研究機関や電力会社など17の機関が一体となって研究開発を進めるための新たな組織が設立され、1日、茂木経済産業大臣から認可書が交付されました。

新たに設立されるのは「国際廃炉研究開発機構」で、原発の製造メーカーや電力会社など17の企業や政府系の研究機関から500人以上が参加します。
茂木経済産業大臣が、1日、機構の理事長を務める京都大学原子炉実験所の山名元教授に対し「福島県民や国民の期待は高く、関係者が一丸となって、すばらしい成果を挙げていただきたい」と述べて認可書を手渡しました。
福島第一原発の廃炉は、世界でも例のない技術的に難しい作業で、最長で40年に及ぶとされています。
機構では、廃炉作業が順調に進むよう、溶け落ちた核燃料を取り出す技術の確立や、放射線量が高い場所でも遠隔で操作できるロボットの開発など、幅広い分野の研究開発を共同で行うことにしています。
山名理事長は「オールジャパンで技術を結集し、海外からも積極的にアイデアを募って、できるかぎり早く廃炉技術を育てたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130801/k10013460401000.html

東電自体が、もはや当事者能力がなく、物事を先送り、その場しのぎの対応をしているのは、すでに広く理解されていることである。東電側からすれば、福島第一原発の廃炉作業に資金・人員・技術をつぎこんでも利益にはならない。柏崎刈谷原発の再稼働にむけて、政府・自民党に協力したほうが、より利益にはなるだろう。これは、営利会社として当然の論理である。結局、東電の存続を許し、事実上国有化したにもかかわらず、民間会社の形態をとらせることで、安上がりな「廃炉」をしようとしていた政府こそ、一番責任を負わなくてならない。

その意味で、政府機関である規制委員会が、分析だけにせよ独自の体制を組んだことは、遅きに失しているし、全く不十分ではあるが、国の責任で廃炉作業をしなくてならないことを暗示させているものといえる。しかし、結局、実行部隊ではない。廃炉作業の研究開発をする「国際廃炉研究開発機構」も、結局は、「原発の製造メーカーや電力会社など17の企業」が中心になっているようである。廃炉作業を契機とした企業グループの形成というべきか。

この廃炉作業は、資本が投下して利潤を上げられる事業ではない。しかし、ボランティアでできるようなものではない。福島第一原発の廃炉作業は、現状では採算を度外視してすすめるしかないのではなかろうか。

それにしても、東電ではない体制をとるにせよ、その核になるかもしれない原子力規制委員会自体が心もとない。田中俊一委員長が排出基準値以下の汚染水を将来的に海に放流するしかないと発言したことは、本ブログでも伝えたが、案の定、周辺の漁協から反発された。

原子力規制委に福島県漁連が反発 汚染水の排出めぐり

 原子力規制委員会の田中俊一委員長が、東京電力福島第一原発の処理済みの放射能汚染水を海に排出することを認めた発言を受け、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は26日、「県漁連としては排出を認めない。発言の真意を規制委に確認している」と述べた。

 福島市で開いた県漁連の組合長会議で語った。会議では、ある組合長から「汚染が薄まったとしても海への排出は認められない」と反発の声が上がった。

 田中委員長は24日の記者会見で、原発敷地のタンクにたまる一方の汚染水について、「きちんと処理して(国の排出)基準以下になった汚染水を海に排出することは避けられない」と発言した。
http://www.asahi.com/national/update/0726/TKY201307260276.html

東電はもはや福島第一原発を管理することができない。それは、良心の問題というよりも営利会社という体質の問題である。そして、こうなると、責任を負うのは、株主である国なのだが、その中核となるべきと考えられる原子力規制委員会は、体制が不十分であるとともに、社会から信頼を得ていない。そして、また、廃炉作業にむけての企業グループがつくられようとしている。しかし、資本を投下しても利潤を得られない廃炉作業に、どれほど営利会社が関心をもつだろうか。結局、公的資金で行う事業の「下請け」でしかなかろう。

資本主義と国民国家、この二つの共犯関係の上で、現在の日本社会はよくも悪くも運営されてきた。しかし、福島第一原発の廃炉作業は、今までの体制ではできそうもない。チェルノブイリ事故がおこり、そればかりが原因ではないが、ソビエト連邦は解体した。日本社会もまた、そのような危機が眼前にあるといえる。

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